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オメガだからって甘く見てるから溺愛する羽目になるんだよっ!

※ オメガだからって甘く見てるから溺愛する羽目になるんだよっ!

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「あっ……ンンッ……」

 我ながら甘い声に笑う。

「ウッ……ァッ……」

 お綺麗な貴族さまの上げる獣みたいな声は、何度聞いても気分がいい。

 欲望が甘く白く弾けて、ルノがオレの上にドサッと倒れ込んで抱きしめてくる。

「重い……」

 これが何度目かは忘れた。

 ルノはクスクス笑いながら、オレの髪や頬にキスを落とす。

「ダァーーー。疲れたぁーーー」

「ふふ。オメガは体力がないな」

 オレの心からの声にルノが笑う。

「ちがっ……アルファが化け物なんだっ!」

 部屋には二人して作り上げた濃厚な淫臭が部屋に充満していた。

 グレープフルーツのような柑橘系の爽やかな香りがルノの匂いだったとしても、重たい淫猥な臭いは消しきれない。

 何度目かの終わりをみた後、オレはルノの体を抱きしめたまま、おざなりに洗浄の魔法をかけた。

 帰ってきた時には明るかった窓の外も、今は暗い。

「そろそろ、何か持ってきてもらおうか? 夕食のために食堂へ行く時間が惜しい」

「スケベっ」

「おや。男子たるもの、みなスケベなのでは?」

「程度の問題っ」

 寝そべるオレの上に覆いかぶさるように、ルノは腕を立てた。

「腕立て伏せでも始める気か?」

「ん? して欲しい?」

「いらん。鬱陶しい」

 綺麗な顔が近付いて。唇が唇に軽く触れて、また離れる。

「ふふっ。ホントに腕立て伏せ始めるの?」

「さぁ? どうしようかな」

 オレがクスクス笑うのを確認しながら、再び唇が唇に触れて離れていった。

 さらさらの銀髪が、オレの体の上に散らばる。

 マジマジと見ても美形は美形だ。

「ルノの瞳って……青空みたいな色だな」

「そう?」

 近付いてくる青い目。唇に唇が重なる。

 目を閉じて指で辿っても分かるほど整った顔。

 バッキバキに割れた腹筋。

 滑らかな肌に息づいている筋肉は、しなやかに力強く動く。

 油断して弛緩したオレの首元には相変わらずチョーカー。

 オレがオメガだという証であり、足枷であり、防具。

 それをルノが、指先でチョンチョンと突く。

「コレは……取らないの?」

「うん。まだ取らない」

「噛ませてくれないの?」

「うん。まだ噛ませない」

 ルノの口がガシガシとチョーカーに当たる感触がする。

 チョーカーに仕掛けた魔法のせいで、当たるたびにビリビリと静電気みたいな電撃がかかっているハズなのに。

 ルノは諦めきれないかのように、何度も何度もチョーカーに戯れを仕掛けている。

「ふふ。そっちばっかり……」

「ん?」

「ルノ。チョーカーとオレ。どっちにちょっかい出したいの?」

 彼の白い喉元がゴクリと動いたのが分かった。

 そりゃオレでしょ?

 この甘々の雰囲気のなかで、チョーカーごときに負けてる場合じゃないんだよ。

「えっと…………」

「……」

 言いよどむんじゃねぇっ!

 そういうトコだぞ、ルノ⁈

「もうっ。これじゃ、どっちが溺愛してんのわかんねぇよっ」

「いいじゃないか。どっちも、で」

「えー、お互いに溺愛? オレってば、ルノのことを溺愛してんの?」

「そう。私の可愛いオメガは、私を溺愛してるのさ」

「ウェー。それ納得出来ねぇ―」

「なんで? ねぇ、なんで?」

 面倒くさくなったので、とりあえず。

 うるさく騒ぐオレのアルファの口を唇で塞ぐ。

 軽く唇を重ね合うようなキスは、やがて湿った音を立て始めて。

 次のラウンドに雪崩れ込むのであった……。
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