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刺殺しといて簡単に死ぬとかどうなの?
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「どうかした?」
私はスマホ画面を覗き込んで難しい顔をしている阿木クンに聞いた。
軽快な音をさせたスマホを取り出して画面を見るまでは許そう。
黙ったまま険しい顔をして押し黙るのは、ちょっと止めて欲しい。
ちょい不安になる。
私は何かした覚えはないけど。
刺されて死んだだけだから。
不可抗力だから。
「ん……萌子ちゃんを刺殺した犯人。死んだらしい」
「えっ⁉」
「公衆の面前での犯行だったから。犯人である六尾は、すぐに捕まったんだ。連行されて身柄は確保されていたけど……取り調べのための移動途中に自殺したらしい」
「えぇっ⁉」
「それなりに屈強な男たちが付いてたらしいんだが。六尾は凄い力で振り切って、窓から飛び降りて死んだようだ」
「えっ、意味わかんないっ。えっ⁉ 自殺するくらいなら、私、殺されなくて良かったんじゃない?」
「ん。そうだよね。萌子ちゃんの刺殺事件は、ストレス解消殺人とか言われてるくらいだからね」
「……」
なんだ、その呼ばれ方。嬉しくない。
「自分で死ねないから、っていうなら、理由としてはムカつくけど分からないでもない。他人に殺してくれって腰抜けが人生甘く見やがって、とは思うけど。でも、ストレス解消とかほざいて殺して、挙句に自殺するって何だか変だよね」
「うん、変」
自殺する勇気があるなら、私を巻き込まずにサクッと死んでください。サクッと。
私は、まだまだ生きたかったんだよっ。
せっかくコンサートのチケット、取れたのにぃ~。
「それに、六尾ってヤツ。力が強いタイプにも見えないんだよね」
「うん。あいつ、弱そうだった」
「そんなヤツが、腕に覚えのある屈強な人達を振り切れたっていうのも不自然だ」
「ですよねぇ~」
おお。元警察官みが出てるぞ、阿木クン。
尊みがキラッと来たよ、キラッと。
いいね、いいね。ふふふ。
「なぜ、自殺なんてしたんだろうか?」
「だよね」
人間、全く全然分からないと自分事でも思考停止するね。
六尾ってヤツは私を刺殺した憎き犯人ではあるけれど。
なんだか現実味なくてサクッと忘れたい。
だから。
まさか、あんなことになるとは思わなかったんだよね、私。
私はスマホ画面を覗き込んで難しい顔をしている阿木クンに聞いた。
軽快な音をさせたスマホを取り出して画面を見るまでは許そう。
黙ったまま険しい顔をして押し黙るのは、ちょっと止めて欲しい。
ちょい不安になる。
私は何かした覚えはないけど。
刺されて死んだだけだから。
不可抗力だから。
「ん……萌子ちゃんを刺殺した犯人。死んだらしい」
「えっ⁉」
「公衆の面前での犯行だったから。犯人である六尾は、すぐに捕まったんだ。連行されて身柄は確保されていたけど……取り調べのための移動途中に自殺したらしい」
「えぇっ⁉」
「それなりに屈強な男たちが付いてたらしいんだが。六尾は凄い力で振り切って、窓から飛び降りて死んだようだ」
「えっ、意味わかんないっ。えっ⁉ 自殺するくらいなら、私、殺されなくて良かったんじゃない?」
「ん。そうだよね。萌子ちゃんの刺殺事件は、ストレス解消殺人とか言われてるくらいだからね」
「……」
なんだ、その呼ばれ方。嬉しくない。
「自分で死ねないから、っていうなら、理由としてはムカつくけど分からないでもない。他人に殺してくれって腰抜けが人生甘く見やがって、とは思うけど。でも、ストレス解消とかほざいて殺して、挙句に自殺するって何だか変だよね」
「うん、変」
自殺する勇気があるなら、私を巻き込まずにサクッと死んでください。サクッと。
私は、まだまだ生きたかったんだよっ。
せっかくコンサートのチケット、取れたのにぃ~。
「それに、六尾ってヤツ。力が強いタイプにも見えないんだよね」
「うん。あいつ、弱そうだった」
「そんなヤツが、腕に覚えのある屈強な人達を振り切れたっていうのも不自然だ」
「ですよねぇ~」
おお。元警察官みが出てるぞ、阿木クン。
尊みがキラッと来たよ、キラッと。
いいね、いいね。ふふふ。
「なぜ、自殺なんてしたんだろうか?」
「だよね」
人間、全く全然分からないと自分事でも思考停止するね。
六尾ってヤツは私を刺殺した憎き犯人ではあるけれど。
なんだか現実味なくてサクッと忘れたい。
だから。
まさか、あんなことになるとは思わなかったんだよね、私。
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