11 / 16
あやかし腐死鳥の戦い方
しおりを挟む
「ふざけんな!」
私は六尾に殴りかかった。
案の定、霊体同志であればパンチは届く。
「効かねぇな」
だが、私のパンチは弱いから、六尾にダメージは殆どない。
「いいんだよっ。私は弱いっ」
弱いながらもガンガン挑み殴る私。
「うぜぇんだよっ」
六尾の反撃。
私は簡単に倒れてしまう。
六尾は私の体に馬乗りになった。
「オマエなんて大人しく死んでろよ」
六尾は嘲りながら私を殴る。
「やめろっ」
阿木クンが制止する声が響く。
だが、効果なんてない。
六尾は私を馬乗りになったまま殴り続ける。
「オマエなんて大人しく死んでりゃいいんだっ」
「……っ」
霊体同士の殴り合いは、何故か血が流れる。
イメージなのか?
顔を殴られた私は鼻血を流して、あっという間に白いコートが血まみれになる。
「萌子ちゃんっ」
阿木クンの悲壮な声が響く。
阿木クン?
他の人から見たら、何も無い空間に向かって叫んでるからね?
通報されないように注意してね?
「ほらっ、とどめだっ」
重いパンチが飛んできて、折れちゃいけない場所がボキンと折れる音がした。
「萌子ちゃん!」
阿木クンの悲鳴じみた声が聞こえた。
暗転。
そして再生。
ボンッと私は全身が燃え上がる。
「あわっ?」
六尾は飛び退いた。
「私はあやかし腐死鳥だからね。死なないよ」
ゆらりと立ち上がって六尾を睨んでやる。
白いコートは再び真っ白になった。
「なっ、何だよっ。その機能はっ!」
「機能っていうか……特性?」
私は再び、六尾に殴りかかった。
そこからは、まるで茶番。
私は何度も六尾に殴りかかり、何度も殺された。
そして、何度も再生する。
繰り返し、繰り返し、再生する。
「……っ。化け物っ」
「あやかし、だからね?」
私はうっそり笑う。
「腐死鳥なんで死なないよ?」
腐ってるけどなっ。
いいんだよっ。
ゾンビ的な腐ってるじゃないから。
腐女子的な意味だから。
「なんだよ、それっ」
「……」
それを聞かれても、私には説明できない。
私の指定なんだけど。
死なない、って以外の特性を見いだす前に襲われたからね?
冷静に検討する時間を奪ったのはお前だからね?
「気色悪いっ」
「……っ」
殴られて血まみれで倒れて、ボンッと火がついて燃え上がって再生する私。
「死ねよっ。大人しく死んでろよっ」
「やだね。お前みたいな、持っているモノのありがたみが分からないヤツが一番嫌いなんだっ! 持っているのに価値に気付かず、世の中を斜めに見て拗ね散らかして。幸せに生きている他人の人生に手を突っ込んで歪めようとする。そんなヤツが、私は一番嫌いなんだよっ!」
「オレがナニを持ってるっていうだっ」
「男だろっ。女よりも何倍も優遇されてんじゃんっ」
「ナニ言ってんだっ。女のほうが優遇されているだろっ。オマエみたいなババァでもよぉ」
「ババァじゃないっ。まだ32歳だっ。そもそもお前、何歳だよっ」
「40歳」
「お前のほうが年上じゃないかっ」
「男と女は価値が違うんだよっ」
「ふざけんなっ。それが優遇されている感覚なんだよっ。なんで40歳が32歳をババァ呼ばわりしていいと思ってんだよ。それ自体が優遇されてたことの証明じゃないかっ。持っているモノに気付きもしないで、感謝もしないで、他人の笑顔をだた羨み恨む。そんな根性悪が、私は一番嫌いなんだよっ」
「好き嫌いの問題? 正義の問題ではなく?」
「阿木クンっ。そこは正義を持ち出すと話がややこしくなるからヤメテっ!」
何度も何度も殴られて死んで。
何度も何度も再生する。
やがて六尾は音を上げた。
「はぁはぁ……疲れた……」
「……っ」
私は六尾にパンチを入れた。
ヘロヘロになっていた六尾はモロに殴られて気を失った。
「ふふん。腐死鳥の恐ろしさが分かったかっ」
私は立ち上がりながら吐き捨てる。
白いコートは汚れてしまった。
ここで終了すると思っていなかった私は、もう一回くらい再生しとけば良かったかなぁ、と、密かに思った。
「萌子ちゃんっ」
「ほっほっほっ。お疲れ、お疲れ」
駆け寄って来る阿木クンの声と共に、変な声が響いた。
「神さま?」
驚いて振り向いた視線の先には、神さまが居た。
隣には目を見張って固まっている阿木クンが居たけど、ちょっとメンドクサイんで無視しました。
私は六尾に殴りかかった。
案の定、霊体同志であればパンチは届く。
「効かねぇな」
だが、私のパンチは弱いから、六尾にダメージは殆どない。
「いいんだよっ。私は弱いっ」
弱いながらもガンガン挑み殴る私。
「うぜぇんだよっ」
六尾の反撃。
私は簡単に倒れてしまう。
六尾は私の体に馬乗りになった。
「オマエなんて大人しく死んでろよ」
六尾は嘲りながら私を殴る。
「やめろっ」
阿木クンが制止する声が響く。
だが、効果なんてない。
六尾は私を馬乗りになったまま殴り続ける。
「オマエなんて大人しく死んでりゃいいんだっ」
「……っ」
霊体同士の殴り合いは、何故か血が流れる。
イメージなのか?
顔を殴られた私は鼻血を流して、あっという間に白いコートが血まみれになる。
「萌子ちゃんっ」
阿木クンの悲壮な声が響く。
阿木クン?
他の人から見たら、何も無い空間に向かって叫んでるからね?
通報されないように注意してね?
「ほらっ、とどめだっ」
重いパンチが飛んできて、折れちゃいけない場所がボキンと折れる音がした。
「萌子ちゃん!」
阿木クンの悲鳴じみた声が聞こえた。
暗転。
そして再生。
ボンッと私は全身が燃え上がる。
「あわっ?」
六尾は飛び退いた。
「私はあやかし腐死鳥だからね。死なないよ」
ゆらりと立ち上がって六尾を睨んでやる。
白いコートは再び真っ白になった。
「なっ、何だよっ。その機能はっ!」
「機能っていうか……特性?」
私は再び、六尾に殴りかかった。
そこからは、まるで茶番。
私は何度も六尾に殴りかかり、何度も殺された。
そして、何度も再生する。
繰り返し、繰り返し、再生する。
「……っ。化け物っ」
「あやかし、だからね?」
私はうっそり笑う。
「腐死鳥なんで死なないよ?」
腐ってるけどなっ。
いいんだよっ。
ゾンビ的な腐ってるじゃないから。
腐女子的な意味だから。
「なんだよ、それっ」
「……」
それを聞かれても、私には説明できない。
私の指定なんだけど。
死なない、って以外の特性を見いだす前に襲われたからね?
冷静に検討する時間を奪ったのはお前だからね?
「気色悪いっ」
「……っ」
殴られて血まみれで倒れて、ボンッと火がついて燃え上がって再生する私。
「死ねよっ。大人しく死んでろよっ」
「やだね。お前みたいな、持っているモノのありがたみが分からないヤツが一番嫌いなんだっ! 持っているのに価値に気付かず、世の中を斜めに見て拗ね散らかして。幸せに生きている他人の人生に手を突っ込んで歪めようとする。そんなヤツが、私は一番嫌いなんだよっ!」
「オレがナニを持ってるっていうだっ」
「男だろっ。女よりも何倍も優遇されてんじゃんっ」
「ナニ言ってんだっ。女のほうが優遇されているだろっ。オマエみたいなババァでもよぉ」
「ババァじゃないっ。まだ32歳だっ。そもそもお前、何歳だよっ」
「40歳」
「お前のほうが年上じゃないかっ」
「男と女は価値が違うんだよっ」
「ふざけんなっ。それが優遇されている感覚なんだよっ。なんで40歳が32歳をババァ呼ばわりしていいと思ってんだよ。それ自体が優遇されてたことの証明じゃないかっ。持っているモノに気付きもしないで、感謝もしないで、他人の笑顔をだた羨み恨む。そんな根性悪が、私は一番嫌いなんだよっ」
「好き嫌いの問題? 正義の問題ではなく?」
「阿木クンっ。そこは正義を持ち出すと話がややこしくなるからヤメテっ!」
何度も何度も殴られて死んで。
何度も何度も再生する。
やがて六尾は音を上げた。
「はぁはぁ……疲れた……」
「……っ」
私は六尾にパンチを入れた。
ヘロヘロになっていた六尾はモロに殴られて気を失った。
「ふふん。腐死鳥の恐ろしさが分かったかっ」
私は立ち上がりながら吐き捨てる。
白いコートは汚れてしまった。
ここで終了すると思っていなかった私は、もう一回くらい再生しとけば良かったかなぁ、と、密かに思った。
「萌子ちゃんっ」
「ほっほっほっ。お疲れ、お疲れ」
駆け寄って来る阿木クンの声と共に、変な声が響いた。
「神さま?」
驚いて振り向いた視線の先には、神さまが居た。
隣には目を見張って固まっている阿木クンが居たけど、ちょっとメンドクサイんで無視しました。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる