クズ可愛いやり捨て令嬢は執着の探偵に愛される

天田れおぽん

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第2話 令嬢には子どもが必要だった

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 わたしは、お金持ちのご令嬢だ。
 何不自由なく生活できる以上のものを与えられて育った。
 そうなるとどうなるか?
 ゲームで夜更かしして寝坊をしたり、お洒落に興味がなかったり、だらだらと怠惰に過ごしたりしているだけで、簡単にドロップアウトできるのだ。

 浪費好きでお洒落好きなだけなら問題はない。
 賭け事好きもギリ問題はない。
 動物園を作るほどの動物好きでも問題はないが、ゲーム廃人は令嬢的にはギリアウトなのである。

 ゲームにはまって生活のリズムを崩したわたしは、高校進学に失敗してご令嬢ルートから外れた。
 だが捨てる神あれば拾う神あり。
 浜田雛子ひなこという珍しくもない名前のおかげで一般に埋没できて、楽しい高校生活を送ることができたのだ。

 しかしご令嬢ルートを外れたご令嬢体質のわたしを見る身内の目は、意外と冷たかった。
 高校卒業後、わたしは進学も、就職もせず、アニメを見ては笑い、ゲーム攻略に勤しんだ。
 たらふく食べてゴロゴロして、アニメを見て、ゲームして、好きなだけ寝た。

 わたしの素行に頭を悩ませた祖父は、わたしにだけ遺産相続の条件を設けた。
 その条件が「25歳までに子どもを産む」というむちゃぶりだった。
 せめてその条件をもう少し早く知っていれば在校中にどうにかなったかもしれない。
 が、わたしに条件が伝えられたのは20歳を過ぎてからだ。

 遅ればせながらお洒落に目覚めた。
 やってみたら楽しかった。
 令嬢としてお洒落して、なんか分からんがお澄ましして別人格を演じるのも楽しかった。
 
 変わったわたしが嬉しかったのか、両親はわたしを色々なところへ連れ回した。
 お澄まししたわたしのところへ寄ってくる男性もいた。
 
 だってわたし、お金持ちのご令嬢だもん。
 お洒落してみたら可愛かったし。
 もともと胸は大きく、背は低く、手足は細い男性受け抜群の体型なのだ。
 モテた、モテた。

 でも興味ない。

 わたしが好きなのは、彼だけだったから。

 色々なタイミングが色々とズレていたら、何の問題もなかったかもしれない。
 だけどタイミングは合わず、わたしは根性なしだった。

 だから逃げた。
 素直に自分の気持ちをぶつけるのなんて怖いことは、できなかったから。
 わたしの人生に、黒岩くんを巻き込む勇気なんて、なかったから。
 令嬢としての自分も、だらしなくてダメダメな自分も、素直にさらけ出すことはできなかったから。
 だから全力で逃げた。

 代わりにわたしの手元には、可愛い息子の睦月むつきが残った。
 
 子どもを25歳で産んだわたしは、祖父の遺言書にあった通り、25億の遺産を手に入れたのだった。
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