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『パティスリー・セリナ』開店日
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そんなことを考えながら店舗へと帰る道すがら、何やら見覚えのある恰幅の良い女性が買い物用の編みカゴを手に前を歩いている。もしやと思い早足で追いかけて、女性の顔を見ると思った通りの人物だった。
「エマさん!」
「あら、セリナちゃんじゃないの! ちょうど良かったわ!」
「え、ちょうど良かった?」
私が首をかしげれば肉屋のエマさんは満面の笑みを浮かべた。
「ええ。旦那に店番をまかせたし、今からセリナちゃんのお店に行こうと思ってたのよ!」
「本当ですか!? うれしいです! 実は全然、お客さんが入ってないので……」
苦笑しながら話せば、エマさんは少し目を見開いて軽く驚く。
「あら、そうなの? まぁ、開店初日だしねぇ」
「そうですよね……。それに、ケーキなんて嗜好品ですからね……。もっと主食のパンとかも取り扱った方が良いのかもって考えてたんですよ」
「今日、オープンしたばかりなのに、もう職種変更を考えてるのかい?」
「いやぁ、職種変更とまでは考えてないんですが」
前世で日本以外のパティスリーではケーキとパン、両方取り扱う場合も多かったはずだから、ケーキ販売だけだと厳しいならパンも取り扱うべきかと考えていただけなのだが、これは職種変更ということになるのだろうか。
若干、戸惑いながら、どう返答すべきか悩んでいるとエマさんは、私を励ますように笑った。
「セリナちゃんの作ってくれたクッキー、美味しかったからお店のメインになるケーキはどんなだろうって、開店日をずっと待ってたんだよ! もっと、自分の作ってる商品に自信を持ちな!」
「エマさん……」
温かい言葉が胸に染みる。そうこう言っている内に店舗につけば、私の姿を見た猫耳の双子メイドが瞳を輝かせる。
「あ、お帰りなさいませ!」
「っと、いらっしゃいませ!」
双子がお客様としてやって来たエマさんに笑顔で接客する。
「セリナちゃん。おすすめのケーキはどれなんだい?」
「そうですね。やっぱり旬の果物をたっぷり使ったフルーツケーキとか……」
私は購入した果物を置き、フルーツケーキやチーズケーキをすすめると、エマさんは嬉しそうにそれらを購入してくれた。そして、忘れてはいけない大事なことを補足する。
「エマさん。今日、買って頂いたフルーツケーキやチーズケーキは保冷が必要なんですよ。保冷する為の物も有料であるんですが……」
「保冷が有料なのかい? それじゃあ、私は自分で氷を作って保冷しとくから、有料の保冷はいらないわ」
「そうですか……」
エマさんは持参した買い物用の編みカゴにケーキを入れると、その横に氷魔法で氷を作って保冷した。これなら保冷したまま自宅まで十分持つだろうし、氷が溶けても編みカゴのすき間から溶けた水が地面に落ちるからケーキが水浸しになる心配は無いだろう。
「エマさん!」
「あら、セリナちゃんじゃないの! ちょうど良かったわ!」
「え、ちょうど良かった?」
私が首をかしげれば肉屋のエマさんは満面の笑みを浮かべた。
「ええ。旦那に店番をまかせたし、今からセリナちゃんのお店に行こうと思ってたのよ!」
「本当ですか!? うれしいです! 実は全然、お客さんが入ってないので……」
苦笑しながら話せば、エマさんは少し目を見開いて軽く驚く。
「あら、そうなの? まぁ、開店初日だしねぇ」
「そうですよね……。それに、ケーキなんて嗜好品ですからね……。もっと主食のパンとかも取り扱った方が良いのかもって考えてたんですよ」
「今日、オープンしたばかりなのに、もう職種変更を考えてるのかい?」
「いやぁ、職種変更とまでは考えてないんですが」
前世で日本以外のパティスリーではケーキとパン、両方取り扱う場合も多かったはずだから、ケーキ販売だけだと厳しいならパンも取り扱うべきかと考えていただけなのだが、これは職種変更ということになるのだろうか。
若干、戸惑いながら、どう返答すべきか悩んでいるとエマさんは、私を励ますように笑った。
「セリナちゃんの作ってくれたクッキー、美味しかったからお店のメインになるケーキはどんなだろうって、開店日をずっと待ってたんだよ! もっと、自分の作ってる商品に自信を持ちな!」
「エマさん……」
温かい言葉が胸に染みる。そうこう言っている内に店舗につけば、私の姿を見た猫耳の双子メイドが瞳を輝かせる。
「あ、お帰りなさいませ!」
「っと、いらっしゃいませ!」
双子がお客様としてやって来たエマさんに笑顔で接客する。
「セリナちゃん。おすすめのケーキはどれなんだい?」
「そうですね。やっぱり旬の果物をたっぷり使ったフルーツケーキとか……」
私は購入した果物を置き、フルーツケーキやチーズケーキをすすめると、エマさんは嬉しそうにそれらを購入してくれた。そして、忘れてはいけない大事なことを補足する。
「エマさん。今日、買って頂いたフルーツケーキやチーズケーキは保冷が必要なんですよ。保冷する為の物も有料であるんですが……」
「保冷が有料なのかい? それじゃあ、私は自分で氷を作って保冷しとくから、有料の保冷はいらないわ」
「そうですか……」
エマさんは持参した買い物用の編みカゴにケーキを入れると、その横に氷魔法で氷を作って保冷した。これなら保冷したまま自宅まで十分持つだろうし、氷が溶けても編みカゴのすき間から溶けた水が地面に落ちるからケーキが水浸しになる心配は無いだろう。
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