秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!

中野莉央

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三人の王弟

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「兄上はああ見えて、歴代の金獅子国王の中でも屈指の魔力を持っているんですよ。その気になれば我々、王弟など一瞬で屠れる実力を持っている。だからこそ、王弟を処刑することを止めてくれたという面も大きいでしょう」

「レオン陛下が、そんなに高い魔力を……」

 思えば魔力重視で伯爵令嬢フローラが婚約者に選ばれるような王家なのだから、歴代の王が魔力の高い者と子供を作っていれば当然の結果なのかも知れないが普段、レオン陛下が大っぴらに魔力を使っているのを目にした事が無かった為、第三王子の口から語られる事実に私は目を見張った。

「魔力の高い新王を直接、害そうと思う者はまずいない筈だ。しかし、寵妃ローザ。あなたはどうですか? 自分の身を、自分で守れる自信がありますか?」

「私は……」

 お世辞にも魔力が高いとは言えないし、男性のように力がある訳でもない。言葉に窮していると第三王子は真剣な眼差しで私を見すえた。

「魔力が低いなら尚更、気をつけることだ。油断していれば足元をすくわれる。あなたがいるのはそういう場所ですよ」

「ブランシュ殿下」

「せっかく堅物の兄上に思い人が出来たのです。弟から出来るせめてもの助言だと思って、胸に留め置いて頂ければ嬉しく思います」

「思い人だなんて、そんなことは……」

「謙遜されずとも良いではないですか。あなたがつけているサファイアの首飾り。兄上から渡されたのでしょう?」

「はい。先の王太后様の首飾りと、ついさっきリオネーラ様からお聞きして驚きました。そんな大切な品だったなんて知らなくて驚きました」

「もしや、兄上から聞いてないのですか?」

「何をでしょう?」

 方眉を上げる第三王子の意味が分からず、私は首を傾げた。

「正確に言うと……。その首飾りは先の王太后が第一王子の伴侶に渡すようにと、兄上に譲り渡された首飾りです」

「えっ!」

「それを付けているということは、兄上の御心はローザ姫の物ということでしょう」

「レオン陛下は……。きっと私が、このような晴れやかな場につけていけるような宝飾品を持っていないというのを気遣って、この首飾りを身につけるように言って下さったのだと思います。そのような意図は……」

「ローザ姫。兄上は仮にも一国の王です。宝飾品を用意しようと思えば何も、先の王太后から頂いた形見の品以外に、いくらでも用意できた筈です。おまえもそう思うだろう」

「そうだな」

「我々、兄弟がこう言っているのです。兄上の御心はあなたの物に間違いない筈ですよ」

 王弟たちはそう断言するが、私は名ばかりの寵妃に過ぎず……。しかも下級貴族の娘で身分も魔力も低く、レオン陛下に釣り合いが取れない事、この上ない。首元で輝くブルーサファイアの首飾りを見つめながら、私はただ困惑するばかりだった。
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