秘密の聖女(?)異世界でパティスリーを始めます!

中野莉央

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セリナの憂鬱と決断

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「陛下? 陛下!?」

「落ち着いてローザ……。まだ僅かに呼吸があるわ」

「でも、もう」

 治癒魔法をかけながらレオン陛下の鼻先にかざした指先から、まだ自発呼吸をしていることは分かったが国王本人がすでに生きる気力が無い上、肉体的にももう限界なのがローザにも分かったのだろう。そして、頑張って治癒魔法をかけ続けていたが異様な魔力の消費で私も限界だった。

「ローザ。ごめん、私もこれ以上は……」

「セリナ!?」

 寝台の上で、金髪の国王陛下にかざしていた両手がダラリと下がると同時に私は疲弊のあまり脱力し、座っていた椅子から崩れ落ちそうになった。とっさにローザが支えてくれたが、これ以上は治癒魔法をかけることが出来そうにない。

「くっ……! 麻痺症状と異常な魔力の枯渇、消耗……。なんでこんな事が?」

 呆然としながら室内に視線をさ迷わせる。天蓋付きの寝台、クリスタルのシャンデリア、青いカーテン。今朝見た夢のままの光景。そしてダーク王子が今わの際に言い残した言葉……。

 第二王子ライガはレオン国王を麻痺症状にした。何か、必ず麻痺症状と魔力が枯渇する原因があるはず……。でも、どこに? そう思った時、ローザが寝台で臥せる金髪の国王の手を握りしめて、ひとすじの涙を流した。

「やっぱり、セリナでも無理だった……。私にはこれ以上、どうすることも出来ない! レオン陛下!」

「ローザ……。ちょっと見せて」

「え?」

 私はゆっくりと国王の金髪をかきあげた。そして耳元をのぞき込んだ時、全身に鳥肌が立った。

「ヒッ!」

「セリナ?」

「ど、どうしよう……。一体、どうすれば。下手に触るとこれは……。でも、一刻も早く何とかしないと……」

 うろたえる私をローザも女官長も唖然とした様子で見ているが最早、説明する余裕も時間も無い。しかし、アレを無理に取ることは出来ないだろう。動揺しながら必死に思い出す。こんな時、どうすれば良いのか。

 直接、無理やりはダメだ。失敗すれば余計に事態が悪化する。それこそ、国王陛下が間違いなく死んでしまうだろう。ぐるぐると考えていた時、ふとベッドサイドのキャビネットに置いた箱が視界に入った。

「これだわ!」

 私は木の皮で造られた箱を開ける。中には体力が弱っている国王陛下でも食べやすいようにと柔らかいチーズケーキやフルーツケーキ、バタークリームケーキが入っている。

 フルーツケーキとバタークリームケーキでどちらにするか一瞬、迷ったあとロシアンノズル口金で美しく花の形にデコレーションしたバタークリームを指ですくいとった。

「セリナ、一体なにを?」
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