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部員は何人
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後ろから、パタパタと走る音がする。
振り向くと、1年生の青木凪夜が、息を切らせながら立っていた。
「桃夢先生。歩くの早くなりました?なかなか、追いつかなかったですよ」
「おお。凪夜。悪かったな。気が付かなかった」
凪夜は、何故か分からないが、とても桃夢に懐いてくれている。
優秀な成績でもっと難関の進学校へも行けたのに、中の上の偏差値のこの学園へ先願入試で入ってきた変わった生徒である。
「こんにちはー」
そして、部室に入る時に、部員に最低限聞こえるような音量で凪夜は挨拶をした。
各自、作業をしているから、気を遣っての行動だ。
基本、桃夢が来るまでは、各自やりたいことを決めて行動する。
そして補習を終えた桃夢が来たら、何かをテーマを全員で決めて、みんなで考える。
そんな、流れになる事が多い。
今日は、部長である3年生の渡瀬紺介渡瀬紺介が、何かを見つけたらしく顕微鏡で白い小さなものを調べている。
渡瀬は眼鏡をかけた切れ長な目をしていて、少し口調が昔風なのが気になるが、多様性の時代だと軽く流している。
忙しそうにしている様子を見ると、この学校でミステリーが起こったらしい。
たいしたことでは無いだろうが、生徒たちの興味は事件の大小は関係ないらしい。
話しかけては悪いかと思い、調理器具の本を読んでる2年生の夏葉雪子に小声で聞く。
この学園で、かなり異質で気味が悪がられているミステリー研究会に入部してきた、かなりめずらしい女性の生徒である。
部長の渡瀬が少し頼りないのでテキパキと雑務をしてくれるので、とても助かっている。
長い髪をクルクルとクリップでまとめながら、読んでた本をパタンと閉じる。
「部室に来た時に、何かが落ちていたらしいですよ。ただのゴミだと思いますけどね」
夏葉が、興味なさそうに、桃夢に小声で言う。
しっかりとその会話を聞いていた渡瀬は、ゴミなどではない!とさけび、桃夢にどうだと見せてくる。
「このミス研の前でこの羽が落ちていた。なぜだと思うか?ここは、部室棟の一番奥だ、鳥など入ってこない。俺は、このミス研に対する挑戦状だと思うのだよ!」
身振り手振りをやたらと大きくして説明する。
よく見ると、少し大きめな鳥の羽のようだ。
でも、根本で折れている。自然に落ちたものではないだろう。
だが、夏葉はあきれたように言う。
「何言ってるんですか?そんな訳ないでしょう。みんな、この部活と関わり合いになりたくないと思ってますよ。顧問だって、誰もいないから桃夢先生が仕方なく無給でしてくれてるんですから」
桃夢は、いやいや、仕方なくじゃなく楽しいよ、と伝えたかったが、勢いに負けて口をつぐんだ。
その時、凪夜と幼馴染の一年生コンビの津田春人がその羽をのぞき込んできた。
ふわふわした髪のまだ幼い感じがするのに、性格は大人っぽくハッキリとしている。
不思議な雰囲気のある、こちらも可愛い系の美少年だ。
「桃夢先生、そうなんだ。仕方なかったんだ。ごめんね」
春人は、気の毒そうに、ごく小さな声でつぶやいた。
やはり、誤解をされた。
「いや、春人、仕方なくじゃないからさ。夏葉、誤解されるからやめてくれ」
そんな、話をしていたら、渡瀬が反復横跳びして、注目を集めようとしながら、大声を上げた。
「それよりも!みんなどう思う?」
「俺はわかったから、ヒントを出そう」
渡瀬以外の部員は、この羽を見た時点で謎が解けているが、渡瀬が分からないなら付き合おうと、桃夢はクイズを出す。
きっと他のみんなは気づいていると思うので、桃夢は渡瀬だけに分かった時点で答えてくれ、とヒントを出していく。
「昨日は雨で、この部室棟の天井は他の建物より高い。あと、昨日はミス研は休みだったので、この部屋には誰も来ていない」
これだけ言ったら分かるだろう。
だが、渡瀬はしかめっ面をしている。
「嘘でしょ」
凪夜が、するどくつっこむ。
「渡瀬って、運動が苦手だっけ?」
「もちろんだとも!あんな、肉体を酷使して何の役に立つのか。体育など授業から無くしてしまえば良いと思ってる」
間髪入れずに答える。
それじゃ、仕方ないな、と思いヒントを次々に出していく。
「昨日、体育館は多くの部活がルーティンで使用している。昨日、使えなかった部活は何か。それに、落ちていた羽は短く揃っている」
ここまで言えば、正解も同然だ。
「バドミントン部のシャトルの羽根か!」
渡瀬が眼鏡を直し叫ぶ。
「そうか、外練が雨で出来なかったから、天井が高い部室棟で練習したんだな。しかし、今までこんな事なかったのに」
「きっと、いつもはナイロン羽根で練習してたのが、昨日は無かったんだろう。でも、掃除していかないのは悪いな。俺が後で怒っておくよ」
確か、翔太はバドミントン部だ。
今、活動をしているところだからバスで会うだろう。
パンパン!と柏手を打ち、空気をビシッとさせた。
「では、今日の部活の研究題材はバドミントンに関してのトリックを考えよう」
部員が、みんなでわいわい考えはじめる。
桃夢は楽しそうに話す部員たちの間に入り、一緒に考えた。
振り向くと、1年生の青木凪夜が、息を切らせながら立っていた。
「桃夢先生。歩くの早くなりました?なかなか、追いつかなかったですよ」
「おお。凪夜。悪かったな。気が付かなかった」
凪夜は、何故か分からないが、とても桃夢に懐いてくれている。
優秀な成績でもっと難関の進学校へも行けたのに、中の上の偏差値のこの学園へ先願入試で入ってきた変わった生徒である。
「こんにちはー」
そして、部室に入る時に、部員に最低限聞こえるような音量で凪夜は挨拶をした。
各自、作業をしているから、気を遣っての行動だ。
基本、桃夢が来るまでは、各自やりたいことを決めて行動する。
そして補習を終えた桃夢が来たら、何かをテーマを全員で決めて、みんなで考える。
そんな、流れになる事が多い。
今日は、部長である3年生の渡瀬紺介渡瀬紺介が、何かを見つけたらしく顕微鏡で白い小さなものを調べている。
渡瀬は眼鏡をかけた切れ長な目をしていて、少し口調が昔風なのが気になるが、多様性の時代だと軽く流している。
忙しそうにしている様子を見ると、この学校でミステリーが起こったらしい。
たいしたことでは無いだろうが、生徒たちの興味は事件の大小は関係ないらしい。
話しかけては悪いかと思い、調理器具の本を読んでる2年生の夏葉雪子に小声で聞く。
この学園で、かなり異質で気味が悪がられているミステリー研究会に入部してきた、かなりめずらしい女性の生徒である。
部長の渡瀬が少し頼りないのでテキパキと雑務をしてくれるので、とても助かっている。
長い髪をクルクルとクリップでまとめながら、読んでた本をパタンと閉じる。
「部室に来た時に、何かが落ちていたらしいですよ。ただのゴミだと思いますけどね」
夏葉が、興味なさそうに、桃夢に小声で言う。
しっかりとその会話を聞いていた渡瀬は、ゴミなどではない!とさけび、桃夢にどうだと見せてくる。
「このミス研の前でこの羽が落ちていた。なぜだと思うか?ここは、部室棟の一番奥だ、鳥など入ってこない。俺は、このミス研に対する挑戦状だと思うのだよ!」
身振り手振りをやたらと大きくして説明する。
よく見ると、少し大きめな鳥の羽のようだ。
でも、根本で折れている。自然に落ちたものではないだろう。
だが、夏葉はあきれたように言う。
「何言ってるんですか?そんな訳ないでしょう。みんな、この部活と関わり合いになりたくないと思ってますよ。顧問だって、誰もいないから桃夢先生が仕方なく無給でしてくれてるんですから」
桃夢は、いやいや、仕方なくじゃなく楽しいよ、と伝えたかったが、勢いに負けて口をつぐんだ。
その時、凪夜と幼馴染の一年生コンビの津田春人がその羽をのぞき込んできた。
ふわふわした髪のまだ幼い感じがするのに、性格は大人っぽくハッキリとしている。
不思議な雰囲気のある、こちらも可愛い系の美少年だ。
「桃夢先生、そうなんだ。仕方なかったんだ。ごめんね」
春人は、気の毒そうに、ごく小さな声でつぶやいた。
やはり、誤解をされた。
「いや、春人、仕方なくじゃないからさ。夏葉、誤解されるからやめてくれ」
そんな、話をしていたら、渡瀬が反復横跳びして、注目を集めようとしながら、大声を上げた。
「それよりも!みんなどう思う?」
「俺はわかったから、ヒントを出そう」
渡瀬以外の部員は、この羽を見た時点で謎が解けているが、渡瀬が分からないなら付き合おうと、桃夢はクイズを出す。
きっと他のみんなは気づいていると思うので、桃夢は渡瀬だけに分かった時点で答えてくれ、とヒントを出していく。
「昨日は雨で、この部室棟の天井は他の建物より高い。あと、昨日はミス研は休みだったので、この部屋には誰も来ていない」
これだけ言ったら分かるだろう。
だが、渡瀬はしかめっ面をしている。
「嘘でしょ」
凪夜が、するどくつっこむ。
「渡瀬って、運動が苦手だっけ?」
「もちろんだとも!あんな、肉体を酷使して何の役に立つのか。体育など授業から無くしてしまえば良いと思ってる」
間髪入れずに答える。
それじゃ、仕方ないな、と思いヒントを次々に出していく。
「昨日、体育館は多くの部活がルーティンで使用している。昨日、使えなかった部活は何か。それに、落ちていた羽は短く揃っている」
ここまで言えば、正解も同然だ。
「バドミントン部のシャトルの羽根か!」
渡瀬が眼鏡を直し叫ぶ。
「そうか、外練が雨で出来なかったから、天井が高い部室棟で練習したんだな。しかし、今までこんな事なかったのに」
「きっと、いつもはナイロン羽根で練習してたのが、昨日は無かったんだろう。でも、掃除していかないのは悪いな。俺が後で怒っておくよ」
確か、翔太はバドミントン部だ。
今、活動をしているところだからバスで会うだろう。
パンパン!と柏手を打ち、空気をビシッとさせた。
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部員が、みんなでわいわい考えはじめる。
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