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失踪
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楽しい部活時間が終わり、空が暗くなり始める。
この時期は、学校の中の明るさと外の暗さのギャップが激しすぎて取り残されているようで、不安だ。
もう少ししたら、18時でも明るいのに。
生徒たちは、顔認証システムで登下校をチェックしている。
これで親にきちんと学校へ行っているのか、登下校した時間が自動的に分かるようになっているのだ。
ぞろぞろと生徒がバスの方へ向かうが、桃夢はその生徒の行列をかいくぐり、翔太を探す。
「なあ、そこの3年生。翔太を、見なかったか?」
吹奏楽部だろうか、大きな楽器を持っている黃色のネクタイをしている生徒に聞く。
ネクタイは学年で色分けされていて、3年は黄、2年は赤、1年は青である。
「翔太?あぁ、見てないなぁ」
友達みたいだが、違う部活なので知らないようだ。
桃夢は首を傾げる。
今いないということは部活を休んだのだろうか?
いや、さっき大きな長細い袋を肩がけしていたから、ラケットを持っていたはずだ。
だが、俺には他に知っているバドミントン部員はいないし、みんなバスに乗り込んでしまったようだ。
駐車場には生徒はほぼいない。
何かおかしいと感じた桃夢は、まだ、バスの時間まで少しあるのを確認し、走って守衛室に行った。
翔太が下校のチェックをしているか確認するためだ。
パスワードを解除してもらい、パソコンを借りて調べる。
「帰りの認証をしてるな。でも、バスには乗っていなかった」
認証する場所とバスの距離は3メートルほどで脇道はないため、認証を通し誘拐されるということは無い。
可能性としては、自分で認証をし、そのままどこかへ消えた。というのが一番高いのだが。
何のためにだろう?
ふと、さっき、部室で話していたシャトルの羽根を思い出す。
そんな偶然があるだろうか。
脳裏に渡瀬から証拠写真として、見せてもらったスマホの写真を思い出す。
「あながち、渡瀬の言ってた挑戦状というのも間違いじゃないかもしれない」
羽根は10枚で、とう。
桃夢へのメッセージの可能性がある。
羽根は散らばっているにしては向きが一緒だった。
部活棟の方と羽根が向いていた位置関係を確認する。
それは、特別室棟に向いていた。
その中には図書室がある。
ということは、10枚は桃夢の名前と図書室の〝と〟を掛けているのかもしれない。それに、図書室には翔太との思い出がある。
悩んでいる時間はない。
守衛の近藤さんに、図書室へ忘れ物をしたから取りに行くと伝え、駆け出した。
バス乗り場は、守衛室と特別棟の間なので、また元の道に戻り、特別棟へ向かおうとする。
「あっ!桃夢先生!バス乗らないの?まさか夜に自力で下山するとか?」
補修で教えている女子生徒が、笑いながらバスの窓から聞いてくる。
「ちがうよ!忘れ物しただけ。帰りはタクシーでも呼ぶよ」
「そうなんだー。じゃ、また明後日、補習よろしくねー!」
おう!と軽く返事をしながら走る。
特別棟は少し遠かったが3分くらいで着いた。図書室はその3階にある。
外から窓を見ると明かりはついていない。
ここじゃないのか?と少し焦った時に、ピカピカと10回ライトが光った。
きっと、合図だ。
ここで間違いない。
3階まで階段を2段飛ばしで登っていく。何度か転んで膝が痛いが、なんとか気合で乗り切る。
「こっちは、さっきからずっと走ってるんだ。くそっ」
簡単に息が出来ない苦しさから、普段使わない汚い言葉を吐き捨ててしまう。
やっと、図書室につき、バンッ、と大きい音をたてて、扉をいきおいよく開いて、電気をつけた。
すると、翔太は1人でこっちを見て、立っていた。
この時期は、学校の中の明るさと外の暗さのギャップが激しすぎて取り残されているようで、不安だ。
もう少ししたら、18時でも明るいのに。
生徒たちは、顔認証システムで登下校をチェックしている。
これで親にきちんと学校へ行っているのか、登下校した時間が自動的に分かるようになっているのだ。
ぞろぞろと生徒がバスの方へ向かうが、桃夢はその生徒の行列をかいくぐり、翔太を探す。
「なあ、そこの3年生。翔太を、見なかったか?」
吹奏楽部だろうか、大きな楽器を持っている黃色のネクタイをしている生徒に聞く。
ネクタイは学年で色分けされていて、3年は黄、2年は赤、1年は青である。
「翔太?あぁ、見てないなぁ」
友達みたいだが、違う部活なので知らないようだ。
桃夢は首を傾げる。
今いないということは部活を休んだのだろうか?
いや、さっき大きな長細い袋を肩がけしていたから、ラケットを持っていたはずだ。
だが、俺には他に知っているバドミントン部員はいないし、みんなバスに乗り込んでしまったようだ。
駐車場には生徒はほぼいない。
何かおかしいと感じた桃夢は、まだ、バスの時間まで少しあるのを確認し、走って守衛室に行った。
翔太が下校のチェックをしているか確認するためだ。
パスワードを解除してもらい、パソコンを借りて調べる。
「帰りの認証をしてるな。でも、バスには乗っていなかった」
認証する場所とバスの距離は3メートルほどで脇道はないため、認証を通し誘拐されるということは無い。
可能性としては、自分で認証をし、そのままどこかへ消えた。というのが一番高いのだが。
何のためにだろう?
ふと、さっき、部室で話していたシャトルの羽根を思い出す。
そんな偶然があるだろうか。
脳裏に渡瀬から証拠写真として、見せてもらったスマホの写真を思い出す。
「あながち、渡瀬の言ってた挑戦状というのも間違いじゃないかもしれない」
羽根は10枚で、とう。
桃夢へのメッセージの可能性がある。
羽根は散らばっているにしては向きが一緒だった。
部活棟の方と羽根が向いていた位置関係を確認する。
それは、特別室棟に向いていた。
その中には図書室がある。
ということは、10枚は桃夢の名前と図書室の〝と〟を掛けているのかもしれない。それに、図書室には翔太との思い出がある。
悩んでいる時間はない。
守衛の近藤さんに、図書室へ忘れ物をしたから取りに行くと伝え、駆け出した。
バス乗り場は、守衛室と特別棟の間なので、また元の道に戻り、特別棟へ向かおうとする。
「あっ!桃夢先生!バス乗らないの?まさか夜に自力で下山するとか?」
補修で教えている女子生徒が、笑いながらバスの窓から聞いてくる。
「ちがうよ!忘れ物しただけ。帰りはタクシーでも呼ぶよ」
「そうなんだー。じゃ、また明後日、補習よろしくねー!」
おう!と軽く返事をしながら走る。
特別棟は少し遠かったが3分くらいで着いた。図書室はその3階にある。
外から窓を見ると明かりはついていない。
ここじゃないのか?と少し焦った時に、ピカピカと10回ライトが光った。
きっと、合図だ。
ここで間違いない。
3階まで階段を2段飛ばしで登っていく。何度か転んで膝が痛いが、なんとか気合で乗り切る。
「こっちは、さっきからずっと走ってるんだ。くそっ」
簡単に息が出来ない苦しさから、普段使わない汚い言葉を吐き捨ててしまう。
やっと、図書室につき、バンッ、と大きい音をたてて、扉をいきおいよく開いて、電気をつけた。
すると、翔太は1人でこっちを見て、立っていた。
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