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肉食トンボ
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「先生、これあげるよ」
凪夜は黄色と黑の派手なベストをリュックから取り出す。
部員全員が、そのしましま模様に見覚えがあり口にするかどうか迷うがその前に凪夜が言った。
「これ、虫よけのベストなんだ」
「お、おぅ。凪夜、ありがとう?」
その瞬間、言わなくて良かった、という微妙な空気に部室が包まれる。
全員が、ホッと胸をなでおろした所で凪夜が説明を追加した。
「オニヤンマ柄なんだ。オニヤンマって最強の肉食とんぼで、体に身につけてると虫がよけるんだってさ」
あれもこれも、と言いながら色々な虫対策グッズをカバンから取り出す。
「黑と黄色のロープで作ったオニヤンマの人形が手軽で良いと思う。たくさん作ったからみんなにもあげるよ。あと、虫除けスプレーでしょ。足の匂いにも反応するらしいから防臭靴下も。夏は暑いから長袖でも大丈夫なようにひんやりスプレーもあるよ」
机の上が次第に虫対策グッズで山になっていく。
桃夢は、その気持ちは嬉しいのだが、とその山を遠い目で眺める。
ありがたく頂くが、どうやって持って帰ろうか悩む量である。
「凪夜、分かったよ。心配かけてごめんな。暑かろうが、完全防備で来るわ」
そう言って、紙袋にパズルのように整理しながら敷き詰めていく。
そこで、横で暇そうにしてた渡瀬がカレンダーを見ながら、のんびりと言う。
「そろそろ、夏休みだが。なんかしないのかい?」
一応、最高学年の部長という立場なのだが、自分はそろそろ引退するから、と言う理由で丸投げの態度である。
でも、何かしたいというわがまま部長だ。
「するする!海行こうよ」
騒ぎ出したのは、キラキラと目を輝かせている夏葉である。
これは率先して動いてくれそうだ。ありがたい。
「歩いて行ける所にわざわざ?ここからでも見えるよ」
凪夜は少し不満そうにしているが、たしかに、その通りだ。
「私たちだけで、謎解きツアーしつつの、花火しつつの、闇たこ焼きパーティしよう!」
夏葉はアニメかなにか見て青春に、憧れがあるらしい。
実際にあんなドラマみたいな青春はないだろうと思うが、夢を壊してはいけないので黙っている。
桃夢は、どうだろうかな、と思案する。
夏休みは学園に入れないし。集まれる場所がない。
それに、買い出しなんかも、車がないと大変だろう。
「そうだ。南沢先生にお願いしてみよう?」
「南沢先生?」
と、凪夜以外の部員は誰ですか?という、表情をしている。
確かに、補習を受けてない生徒の認知度はゼロだろう。
「チャラいけど面倒見が良い、塾講師だよ。きっと、サーファーだから、海好きそうだし」
凪夜が偏見にみちた、適当な説明をする。
桃夢は南沢の名誉のために訂正をすることにした。
「あの派手な車は兄から借りたものだよ。本性は、休みは1日ゴロゴロして酒を飲んでるだけの可愛いもの好きの暗い人間だから、誤解しないであげて」
むしろ名誉が無くなった気がする内容を暴露した。
凪夜がびっくりして、立ち上がる。
「そうなんだ。俺、結構長い付き合いだけど、見抜けなかったよ。ここまでくると、すごい才能だね」
「だから、まぁ、夏休みはあきらめて」
桃夢がまとめようとすると、夏葉が、ちょっと待った!と立ち上がる。
「何にも問題ないよ。私達は車と場所さえあれば良いんだから。じゃ、塾の盆休みに入る初日に集まりましょう!桃夢先生、南沢先生に伝える担当をお願いします」
本人が居ないのに、勝手に決めて良いのだろうか。
でも、止められなさそうなので、あきらめて桃夢は南沢に送るメールの文章を考え始めた。
凪夜は黄色と黑の派手なベストをリュックから取り出す。
部員全員が、そのしましま模様に見覚えがあり口にするかどうか迷うがその前に凪夜が言った。
「これ、虫よけのベストなんだ」
「お、おぅ。凪夜、ありがとう?」
その瞬間、言わなくて良かった、という微妙な空気に部室が包まれる。
全員が、ホッと胸をなでおろした所で凪夜が説明を追加した。
「オニヤンマ柄なんだ。オニヤンマって最強の肉食とんぼで、体に身につけてると虫がよけるんだってさ」
あれもこれも、と言いながら色々な虫対策グッズをカバンから取り出す。
「黑と黄色のロープで作ったオニヤンマの人形が手軽で良いと思う。たくさん作ったからみんなにもあげるよ。あと、虫除けスプレーでしょ。足の匂いにも反応するらしいから防臭靴下も。夏は暑いから長袖でも大丈夫なようにひんやりスプレーもあるよ」
机の上が次第に虫対策グッズで山になっていく。
桃夢は、その気持ちは嬉しいのだが、とその山を遠い目で眺める。
ありがたく頂くが、どうやって持って帰ろうか悩む量である。
「凪夜、分かったよ。心配かけてごめんな。暑かろうが、完全防備で来るわ」
そう言って、紙袋にパズルのように整理しながら敷き詰めていく。
そこで、横で暇そうにしてた渡瀬がカレンダーを見ながら、のんびりと言う。
「そろそろ、夏休みだが。なんかしないのかい?」
一応、最高学年の部長という立場なのだが、自分はそろそろ引退するから、と言う理由で丸投げの態度である。
でも、何かしたいというわがまま部長だ。
「するする!海行こうよ」
騒ぎ出したのは、キラキラと目を輝かせている夏葉である。
これは率先して動いてくれそうだ。ありがたい。
「歩いて行ける所にわざわざ?ここからでも見えるよ」
凪夜は少し不満そうにしているが、たしかに、その通りだ。
「私たちだけで、謎解きツアーしつつの、花火しつつの、闇たこ焼きパーティしよう!」
夏葉はアニメかなにか見て青春に、憧れがあるらしい。
実際にあんなドラマみたいな青春はないだろうと思うが、夢を壊してはいけないので黙っている。
桃夢は、どうだろうかな、と思案する。
夏休みは学園に入れないし。集まれる場所がない。
それに、買い出しなんかも、車がないと大変だろう。
「そうだ。南沢先生にお願いしてみよう?」
「南沢先生?」
と、凪夜以外の部員は誰ですか?という、表情をしている。
確かに、補習を受けてない生徒の認知度はゼロだろう。
「チャラいけど面倒見が良い、塾講師だよ。きっと、サーファーだから、海好きそうだし」
凪夜が偏見にみちた、適当な説明をする。
桃夢は南沢の名誉のために訂正をすることにした。
「あの派手な車は兄から借りたものだよ。本性は、休みは1日ゴロゴロして酒を飲んでるだけの可愛いもの好きの暗い人間だから、誤解しないであげて」
むしろ名誉が無くなった気がする内容を暴露した。
凪夜がびっくりして、立ち上がる。
「そうなんだ。俺、結構長い付き合いだけど、見抜けなかったよ。ここまでくると、すごい才能だね」
「だから、まぁ、夏休みはあきらめて」
桃夢がまとめようとすると、夏葉が、ちょっと待った!と立ち上がる。
「何にも問題ないよ。私達は車と場所さえあれば良いんだから。じゃ、塾の盆休みに入る初日に集まりましょう!桃夢先生、南沢先生に伝える担当をお願いします」
本人が居ないのに、勝手に決めて良いのだろうか。
でも、止められなさそうなので、あきらめて桃夢は南沢に送るメールの文章を考え始めた。
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