乱交パーティー出禁の男

眠りん

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二章

三話 探る心

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 無事ショーも終わり、翠は瑞希と帰路に着いた。一昨日襲われそうになった事もあり、翠は気まずいまま黙々と歩いていたが、先に瑞希が沈黙を破った

「……昨日はごめんね?」

「いえ。欲求不満だったのなら仕方ないですよ。発散出来ました?」

「ぜーんぜん。早く乱パ復活しないかなぁ」

「伊吹さん次第ですよね。伊吹さんいないと開催されませんし」

「まぁ……出来ない事もないんだけど……」

 瑞希は少し気まずそうに顔を顰めた。

「そうなんですか? じゃあ、早く乱交して性欲発散させてください。また襲われて伊吹さんに勘違いされたらたまったものじゃないです!」

「……ほんと翠君はビジネスMだよね。僕の事、ご主人様とも目上の人とも思ってないだろ?」

「えっ、いえ、そういうわけじゃ……ご主人様とは思ってません。そもそもSMにそこまで興味持てないです。伊吹さんが相手ならまだしも。
 それに瑞希さんはSになると伊吹さんより怖いですし」

「そんなに怖いかなぁ? 伊吹は喜んでくれるんだけどな」

「それは伊吹さんがドMだからでしょ。とにかく、目上の人とは思ってますから。じゃあ俺はここで失礼します!」

 翠は、瑞希に頭を下げて立ち去ろうとした。だが、瑞希が呼び止める。

「ねぇ! 乱パ開催する為に、僕が何をしようとしてるか分かる?」

 分かる筈がない。翠は迷惑そうに眉間に皺を寄せて振り向いて瑞希を見た。

「知りませんよ」

「伊吹に命令するの。乱パ開催しろって。知ってる? 伊吹って、僕が言えば傷が治ってなくても僕の言う通りにしてくれるんだよ」

「弱味でも握ってるんですか?」

「そっ。翠君にはどうにも出来ない弱味だよ。前に言ったでしょ、伊吹はね僕を裏切ったの。
 そのせいで僕は進学出来ずにこんな生活送る羽目になったんだよ」

「……その割には、不幸そうに見えないですけどね」

 翠は苛立つ気持ちを隠して困惑した顔を見せた。瑞希は伊吹を憎んでいると言いながらも、本当に憎んでいるようには見えない。
 伊吹のせいでこんな生活を……と言っているが、本気で嫌ならその生活から抜ければいいのだ。

 瑞希は上手くいかない事を他のせいにするような、そんな弱い人間には見えない。翠には分かる。今の生き方は瑞希が望んだ結果だと。

「翠君に僕の何が分かるの?」

「ある程度分かりますよ。ドSで、性欲強くて、腹黒で、だけど本当は優しいって」

「や、優しい? 僕のどこが?」

 瑞希は取り乱した。想定外の事を言われたから返答に困っているようだ。
 初めて瑞希より上に立てたような優越感が湧き上がる。

「優しいところあると思いますよ。いつも柔らかく笑って、柔らかい口調にしてるのって、相手に気を使ってるからでしょ? 瑞希さんみたいにいつも笑顔振りまいてたら俺なら疲れますし。
 ドSモードで悪い笑顔浮かべてる方がまだ安心しますよ」

「僕、Sの時そんなに悪い笑顔してる?」

「してますね」

「うっそ。てか、そんなんじゃないし。生まれつきこういう顔でこういう口調なの!」

「そうでしょうか? 作り笑顔って疲れますよ。それをいつもしているんだから、優しい人なんだなって」

「買い被りすぎ。そんなんじゃないから」

 瑞希の顔がみるみる赤くなっていった。少し涙を浮かべているようにも見える。
 翠にとって瑞希は泣こうが笑おうが、どうでもいい相手だ。翠は至って平静に、一歩踏み込んだ発言をする事にした。

「俺、瑞希さんを恋のライバルだと思ってますから」

「ライバル!? いやいや、勝ってる人が何言ってるの? ライバルも何も、翠君はもう伊吹を手に入れてるでしょ。僕に勝ち目ないし」

「本当に? 伊吹さんに告白なんてしてないですよね?」

「してないけど。何年か前に好きだったって言ったよ」

「告白して伊吹さんの心が瑞希さんに少しでも向かないなんて事あるでしょうか? きちんとすれば、向き合わざるを得なくなると思いますよ?」

「いや、でもそれ以上に憎んでるって何度も言ってるし。告ったところで絶対伊吹に信じてもらえないと思うよ」

「……伊吹さんを理由にして、戦う前から諦めるのやめません? それとも……俺には敵わないって思ってます?」

「思ってない。でも、伊吹を憎む気持ちだって本物なんだ。好きだからって易々と全部許して、好きですなんて言えるか!」

「そうやって憎んでも瑞希さんにメリットないですよ。憎んで何か良い事ありましたか?」

「…………なかった。何も」

「お二人の過去に何があったかは知りません。でも、瑞希さんは自分の幸せを考えるべきです。
 それは、伊吹さんに復讐する事なんかじゃない筈ですよ。復讐は負の連鎖しか生みません。誰も幸せになんてなれませんよ」

「僕は、伊吹に復讐しながら乱パしてりゃ幸せなんだよ!」

「それは嘘です。よね?
 このままSMプレイをしていれば、信頼関係も今より強くなると思うんです。
 だから、瑞希さんが俺を信じてもいいって思ってくれた時にでも、瑞希さんの本当の気持ちを聞かせてください。どんな内容でも聞きますから」

 瑞希は押し黙ったまま頷くと、翠は優しく微笑んだ。
 嫌いな作り笑いだが、瑞希に安心感を与えて本心を言わせる為に、警戒心を解く必要がある。

 SMプレイをする上で信頼関係を築きたい等とは一ミリたりとも思っていない。伊吹を確実に自分のものにする為に、瑞希には消えてもらわなければならない。
 どうでもいい赤の他人が伊吹に向ける愛情や憎しみは邪魔でしかない。

(まずは瑞希さんの弱味を引き出さなければ……)

「じ、じゃあ翠君。また明日ラブピーチで。次のSMショーの内容考えようね」

「はい!」

 瑞希が去っていき、人混みに紛れていく。翠は見えなくなるまで血が通っていないような冷たい目を向けていた。
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