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五話 姉貴ラブ?それとも……
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昼休み、掃除時間と怜治はそわそわと俺を見てきた。けど、友達に囲まれるから、中々俺に近寄れないようだ。
俺も特に怜治の方に視線を向けなかったし。後で話すって言ってたんだから、後でいいだろ。
後で、がいつなのかは知らんけど。
放課後になって、怜治は慌てるように俺のところに走ってきた。
「なぁ関原! 一緒に帰るだろ?」
「おう」
「俺、最寄りレモン駅なんだけど。そっちは?」
「あ? えっと、レモン駅」
「マジで!? 同じだったのかよ、今度から一緒に帰ろうぜ~」
レモン駅は、学校の最寄りの蜜柑駅から六駅離れている。これだけ離れれば地元の奴と学校被らないだろうと思っていたのに。
なんで被った奴が怜治なんだよ。
「いいよ」
「やりぃ!!」
大袈裟に喜ぶ怜治。なんでそこまで喜ぶのか意味が分からないが、スルーでいいだろう。
「じゃあレモン駅の近くのファストフード行こう。学校近くの店だと誰かに聞かれそうで嫌でさ」
「いいよ」
二人でレモン駅まで向かった。
基本的に怜治が喋って、俺が頷く。俺の意見を求められたら当たり障りなく返事をした。
「でさぁ、姉貴が……姉貴で……姉貴と……姉貴に……」
といった感じで、姉貴姉貴うるさい。そういえば、中学時代も姉貴って単語聞いた気がする。
眺めていただけで会話内容聞いてなかったから、定かじゃないんだけど。きっとそうだ。いや絶対。
「そんなに弟に好かれて、お姉さん嬉しいだろうね」
笑顔で言った。皮肉も篭っているけど、ま、コイツなら気付かないだろ。
「……はぁ。悩みってそれなんだけどさ……俺って本当にバカで……」
と、怜治が言おうとした時、電車が停車して扉が開いた。レモン駅だ。
電車を降り、とりあえず店に入ってから悩みを聞いて欲しいと言うので、肯定した。
改札口を出て、バス乗り場で広くなっている道のところで、急に怜治が立ち止まった。
「姉貴……」
ポツリと呟いた瞬間、怜治はダッと走り出した。その先に見えたのは、いかにも女子大生といった雰囲気の女性だ。
茶髪の髪は毛先だけ巻き髪にしていて、カットソーは白で、細身の人が似合うように身体の線が見えるピッタリとしたものだ。
スカートはフワッと花弁のように広がっていて、膝下から見えるストッキングに包まれた脚はモデルのように細い。
化粧もマナーを守る程度の素朴さなのだが、元の素材が良いんだろう、パッチリとした瞳は少女漫画のヒロインのように大きくて、一言で言えば美人だ。
あれが怜治のお姉さんか。姉弟のイチャイチャを見せつけられるのか俺は、とゲンナリしそうになったのだが。
悪い意味で奴は期待を裏切ってくれた。
「おい、お前俺が外にいる時に顔見せんなっつってるだろ!!」
「げ、怜治……! 最悪。なんでいるのよ!」
お姉さんは怜治の顔を見ると、Gと名高いあの黒かったり茶色だったりする生物を、部屋の中で見掛けたような──いや、それ以上に嫌そうな顔をした。
怜治はそんなお姉さんに罵倒をし始めた。
「ブスと一緒にいると、俺までブスの仲間だと思われるわ。あーあヤダヤダ。こんな不細工な姉を持って俺は不幸だ」
「は……はぁっ!? なら声掛けなきゃいいでしょっ! もぉ最悪!」
怜治の姉はすこぶる機嫌を悪くして去っていった。怖かったから俺はポストの後ろに隠れたよ。
あんな美人に睨まれたくないし。
あのバカは何してるんだ? と怜治を見てみると。ガクッと項垂れて、小さく丸まってしまった。そーっと近寄る。だって、何言われるか分からないんだもん。
やっぱり脳裏に浮かぶのは、あの告白だ。付き合ってください、と言われた直後に罵倒された事を思い出す。
「あ、あのさ、橋村?」
「う……うわー!! 関原ぁ!! こんな俺は死んだ方が良いと思うんだけど、お前もそう思うよな!?」
……だからさ、そういう返事に困る質問形式で同意を求めてくるなってんだ。
俺も特に怜治の方に視線を向けなかったし。後で話すって言ってたんだから、後でいいだろ。
後で、がいつなのかは知らんけど。
放課後になって、怜治は慌てるように俺のところに走ってきた。
「なぁ関原! 一緒に帰るだろ?」
「おう」
「俺、最寄りレモン駅なんだけど。そっちは?」
「あ? えっと、レモン駅」
「マジで!? 同じだったのかよ、今度から一緒に帰ろうぜ~」
レモン駅は、学校の最寄りの蜜柑駅から六駅離れている。これだけ離れれば地元の奴と学校被らないだろうと思っていたのに。
なんで被った奴が怜治なんだよ。
「いいよ」
「やりぃ!!」
大袈裟に喜ぶ怜治。なんでそこまで喜ぶのか意味が分からないが、スルーでいいだろう。
「じゃあレモン駅の近くのファストフード行こう。学校近くの店だと誰かに聞かれそうで嫌でさ」
「いいよ」
二人でレモン駅まで向かった。
基本的に怜治が喋って、俺が頷く。俺の意見を求められたら当たり障りなく返事をした。
「でさぁ、姉貴が……姉貴で……姉貴と……姉貴に……」
といった感じで、姉貴姉貴うるさい。そういえば、中学時代も姉貴って単語聞いた気がする。
眺めていただけで会話内容聞いてなかったから、定かじゃないんだけど。きっとそうだ。いや絶対。
「そんなに弟に好かれて、お姉さん嬉しいだろうね」
笑顔で言った。皮肉も篭っているけど、ま、コイツなら気付かないだろ。
「……はぁ。悩みってそれなんだけどさ……俺って本当にバカで……」
と、怜治が言おうとした時、電車が停車して扉が開いた。レモン駅だ。
電車を降り、とりあえず店に入ってから悩みを聞いて欲しいと言うので、肯定した。
改札口を出て、バス乗り場で広くなっている道のところで、急に怜治が立ち止まった。
「姉貴……」
ポツリと呟いた瞬間、怜治はダッと走り出した。その先に見えたのは、いかにも女子大生といった雰囲気の女性だ。
茶髪の髪は毛先だけ巻き髪にしていて、カットソーは白で、細身の人が似合うように身体の線が見えるピッタリとしたものだ。
スカートはフワッと花弁のように広がっていて、膝下から見えるストッキングに包まれた脚はモデルのように細い。
化粧もマナーを守る程度の素朴さなのだが、元の素材が良いんだろう、パッチリとした瞳は少女漫画のヒロインのように大きくて、一言で言えば美人だ。
あれが怜治のお姉さんか。姉弟のイチャイチャを見せつけられるのか俺は、とゲンナリしそうになったのだが。
悪い意味で奴は期待を裏切ってくれた。
「おい、お前俺が外にいる時に顔見せんなっつってるだろ!!」
「げ、怜治……! 最悪。なんでいるのよ!」
お姉さんは怜治の顔を見ると、Gと名高いあの黒かったり茶色だったりする生物を、部屋の中で見掛けたような──いや、それ以上に嫌そうな顔をした。
怜治はそんなお姉さんに罵倒をし始めた。
「ブスと一緒にいると、俺までブスの仲間だと思われるわ。あーあヤダヤダ。こんな不細工な姉を持って俺は不幸だ」
「は……はぁっ!? なら声掛けなきゃいいでしょっ! もぉ最悪!」
怜治の姉はすこぶる機嫌を悪くして去っていった。怖かったから俺はポストの後ろに隠れたよ。
あんな美人に睨まれたくないし。
あのバカは何してるんだ? と怜治を見てみると。ガクッと項垂れて、小さく丸まってしまった。そーっと近寄る。だって、何言われるか分からないんだもん。
やっぱり脳裏に浮かぶのは、あの告白だ。付き合ってください、と言われた直後に罵倒された事を思い出す。
「あ、あのさ、橋村?」
「う……うわー!! 関原ぁ!! こんな俺は死んだ方が良いと思うんだけど、お前もそう思うよな!?」
……だからさ、そういう返事に困る質問形式で同意を求めてくるなってんだ。
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