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二十一話 放置プレイ中③
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縛り終えると、ベッドの上に膝を着いて尻を向ける形となった。上半身は肩で支えており、顔は布団に埋もれないよう、ミヤが薄めの枕を顎下に置いた。
「苦しくないかい?」
「大丈夫です」
「なら、次行ってもいいかな?」
「えっと……鞭ですか?」
「そう」
ミヤは布団の上に座ると、棒から、黒くて平たい革製の鞭が沢山付いている、バラ鞭を見せてきた。
「これがバラ鞭だよ。初心者向けで痛みもそこまでないものだ」
「それ痛くないんですか?」
「痛い方が好みかい? でも、初心者ならこれでも痛いと思う筈だ」
「どれくらいの痛みか分かるんですね?」
「SはMの身体や、限界値を理解していないといけないんだ。緊縛もそうだが、鞭で打たれてみて、Mがどう感じているのか一度は経験しないと。
そうしていないSもいるが、俺はそうしている」
「そうなんですね」
ミヤは鞭を撫でながらそう説明した。匠の中でSMと言うと、女王様がバラ鞭を持っているイメージがあった。
この鞭が初心者向けとは思っていなかったのだ。
ミヤはベッドから立ち上がると、鞭で匠の尻を撫でた。
「最初は、これから打つという合図をする」
ミヤが匠の尻に鞭を軽くパサリと振り、右と左の臀部に何度か繰り返した。
くすぐったさから、匠は尻をモジモジさせた。
「どうした? 縄で興奮したか? それとも鞭で? 射精したければストップと言いなさい。いつでも縄は外せる」
「……あ、大丈夫です。お尻がくすぐったくて……」
「じゃあそろそろ本番だ」
ミヤは大きく鞭を振って、パァンと大きい音をさせた。匠は意外と痛くないので、バラ鞭はこんなに痛くないのかと拍子抜けした。
「因みにこの大きく音を鳴らすように打つ方法は、激しく音を鳴らすパフォーマンスだ。
音の割にあまり痛くないのが特徴だよ」
そう言いながら何度も何度も激しい音を鳴らして十回、二十回と打っていくと、流石に匠も痛みから表情が歪む。
「い、痛……」
「何度も打つと痛いな。最初の内はこれを何度も繰り返す」
「は、はい」
「因みに、ちゃんと打つとこんな感じだ」
ミヤは匠の右側の臀部に鞭を振るった。今までのような大きい音はせず、ズバンッと鈍い音がした。
余りの痛みから、匠の身体は大きくバランスを崩して、尻を横に倒してしまった。
「う……うぅ……」
「流石に痛かったか?」
「僕の尻、切れてないですか?」
「尻はそんな簡単には切れないさ。これくらいなら赤くもなっていない筈だ。
気になるなら洗面所に見に行ってみるかい?」
「あ、そうします」
ミヤはすぐに匠に施した縄を解いた。違う部屋でいかがわしい事をしたという誤解をされない為に寝室に残り、匠は一人で洗面所に行った。
手首に少しばかり縄の後が残ったくらいで、服の上からだからか体には縄の跡は付いていない。
尻も特になんともなかった。
「今日はこれで終わりにしよう。どうだった?」
「……なんというか、僕はM側向いてないと思いました」
「そうかい?」
「僕は奴隷扱いを受けるのが好きだと思っていました。僕の身体の事はお構い無しに、好きに使われたいと……。
でも、今みたいなプレイを気になっている彼にしたら、きっと騒ぐんだろうと思うんですけど、またこの前みたいに泣かせられそうって思うんです」
「ふむ、何があったかは想像しか出来ないが、君はSでもあるって事なんだろう。
Mは主に二パターンに分かれる事が多い。自分の性欲を満たしたいワガママなタイプか、主人に忠誠を誓ってる身も心もドMタイプ。
SはサービスのSとも言われているけどね、真面目な人で相手に尽くすタイプか、人をいたぶるのが趣味のサディストタイプで分かれる事が多い。もちろん例外もあるがね」
「どちらかというと、僕は……Sがやりたいです」
「うんうん」
ミヤはニコニコと頷いたが、匠は不安になった。
「僕もSになれますか? ネコしかやった事ないし、Mみたいなんですけど」
「勿論。Sに必要なのは相手を思いやる気持ちだよ。MからSになる人も多い。寧ろ、Mの気持ちが分かるから、相手の求めている事を把握しやすかったりする」
「そうなんですね。あの、ミヤさん。僕の師匠になってくれませんか?」
「えっ!?」
──それから匠はミヤからSMプレイの指南を受けた。
縄の扱い方から縛り方、管理の仕方、玩具の管理、人体の構造など。知っておかなければ、大きな事故に繋がる危険性の孕んだ、危ない遊びの為、匠が勉強する事は多いのだ。
SMバーに行き、緊縛ショーに毎回出ているオーナーに場所を借りて縛りの練習をしたり、受験勉強とSMの勉強を両立させた。
全ては皇樹を泣かせる為だ。
匠は皇樹を思い出していた。必死にしがみついて、別れないでと泣く姿だ。
あの縋り付く皇樹をもっと泣かせて、その後甘やかせたい。そんな気持ちでいっぱいになったのだ。
正直、まだ皇樹への気持ちは恋愛感情ではないが……。
「これで大体基礎は出来たな。受験もあるだろう、これ以上の事は高校生になったら教える」
とミヤに言われ、匠は受験勉強に集中したお陰で、どうにか無事第一志望を合格したのだった。
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残り2話で終わりです。
「苦しくないかい?」
「大丈夫です」
「なら、次行ってもいいかな?」
「えっと……鞭ですか?」
「そう」
ミヤは布団の上に座ると、棒から、黒くて平たい革製の鞭が沢山付いている、バラ鞭を見せてきた。
「これがバラ鞭だよ。初心者向けで痛みもそこまでないものだ」
「それ痛くないんですか?」
「痛い方が好みかい? でも、初心者ならこれでも痛いと思う筈だ」
「どれくらいの痛みか分かるんですね?」
「SはMの身体や、限界値を理解していないといけないんだ。緊縛もそうだが、鞭で打たれてみて、Mがどう感じているのか一度は経験しないと。
そうしていないSもいるが、俺はそうしている」
「そうなんですね」
ミヤは鞭を撫でながらそう説明した。匠の中でSMと言うと、女王様がバラ鞭を持っているイメージがあった。
この鞭が初心者向けとは思っていなかったのだ。
ミヤはベッドから立ち上がると、鞭で匠の尻を撫でた。
「最初は、これから打つという合図をする」
ミヤが匠の尻に鞭を軽くパサリと振り、右と左の臀部に何度か繰り返した。
くすぐったさから、匠は尻をモジモジさせた。
「どうした? 縄で興奮したか? それとも鞭で? 射精したければストップと言いなさい。いつでも縄は外せる」
「……あ、大丈夫です。お尻がくすぐったくて……」
「じゃあそろそろ本番だ」
ミヤは大きく鞭を振って、パァンと大きい音をさせた。匠は意外と痛くないので、バラ鞭はこんなに痛くないのかと拍子抜けした。
「因みにこの大きく音を鳴らすように打つ方法は、激しく音を鳴らすパフォーマンスだ。
音の割にあまり痛くないのが特徴だよ」
そう言いながら何度も何度も激しい音を鳴らして十回、二十回と打っていくと、流石に匠も痛みから表情が歪む。
「い、痛……」
「何度も打つと痛いな。最初の内はこれを何度も繰り返す」
「は、はい」
「因みに、ちゃんと打つとこんな感じだ」
ミヤは匠の右側の臀部に鞭を振るった。今までのような大きい音はせず、ズバンッと鈍い音がした。
余りの痛みから、匠の身体は大きくバランスを崩して、尻を横に倒してしまった。
「う……うぅ……」
「流石に痛かったか?」
「僕の尻、切れてないですか?」
「尻はそんな簡単には切れないさ。これくらいなら赤くもなっていない筈だ。
気になるなら洗面所に見に行ってみるかい?」
「あ、そうします」
ミヤはすぐに匠に施した縄を解いた。違う部屋でいかがわしい事をしたという誤解をされない為に寝室に残り、匠は一人で洗面所に行った。
手首に少しばかり縄の後が残ったくらいで、服の上からだからか体には縄の跡は付いていない。
尻も特になんともなかった。
「今日はこれで終わりにしよう。どうだった?」
「……なんというか、僕はM側向いてないと思いました」
「そうかい?」
「僕は奴隷扱いを受けるのが好きだと思っていました。僕の身体の事はお構い無しに、好きに使われたいと……。
でも、今みたいなプレイを気になっている彼にしたら、きっと騒ぐんだろうと思うんですけど、またこの前みたいに泣かせられそうって思うんです」
「ふむ、何があったかは想像しか出来ないが、君はSでもあるって事なんだろう。
Mは主に二パターンに分かれる事が多い。自分の性欲を満たしたいワガママなタイプか、主人に忠誠を誓ってる身も心もドMタイプ。
SはサービスのSとも言われているけどね、真面目な人で相手に尽くすタイプか、人をいたぶるのが趣味のサディストタイプで分かれる事が多い。もちろん例外もあるがね」
「どちらかというと、僕は……Sがやりたいです」
「うんうん」
ミヤはニコニコと頷いたが、匠は不安になった。
「僕もSになれますか? ネコしかやった事ないし、Mみたいなんですけど」
「勿論。Sに必要なのは相手を思いやる気持ちだよ。MからSになる人も多い。寧ろ、Mの気持ちが分かるから、相手の求めている事を把握しやすかったりする」
「そうなんですね。あの、ミヤさん。僕の師匠になってくれませんか?」
「えっ!?」
──それから匠はミヤからSMプレイの指南を受けた。
縄の扱い方から縛り方、管理の仕方、玩具の管理、人体の構造など。知っておかなければ、大きな事故に繋がる危険性の孕んだ、危ない遊びの為、匠が勉強する事は多いのだ。
SMバーに行き、緊縛ショーに毎回出ているオーナーに場所を借りて縛りの練習をしたり、受験勉強とSMの勉強を両立させた。
全ては皇樹を泣かせる為だ。
匠は皇樹を思い出していた。必死にしがみついて、別れないでと泣く姿だ。
あの縋り付く皇樹をもっと泣かせて、その後甘やかせたい。そんな気持ちでいっぱいになったのだ。
正直、まだ皇樹への気持ちは恋愛感情ではないが……。
「これで大体基礎は出来たな。受験もあるだろう、これ以上の事は高校生になったら教える」
とミヤに言われ、匠は受験勉強に集中したお陰で、どうにか無事第一志望を合格したのだった。
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残り2話で終わりです。
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