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父との謁見
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善は急げとばかりに、メリアローズは父との謁見を願い出た。
「……結婚をお許しいただけるでしょうか?」
エリヴェルトは不安そうに、黒い軍服の胸元に手をあてる。
「それは大丈夫だと思いますわ。私はもう二十五歳です。貰ってもらえるだけありがたいとお父様も思うはずです」
つい十日前に見合いをしたばかりだが、それについての言い訳は考えてある。
エリヴェルトはメリアローズとの身分差に悩みなかなか求婚できていなかったが、ついに覚悟を決めて王都までやってきた。メリアローズも一時はエリヴェルトを諦めて見合いをしたものの、やはり彼を忘れられず、求婚を受け入れた──という筋書きだ。
かなり荒削りだが、押し通すしかない。
すぐに宰相が小走りで戻ってきた。五十歳になったばかりの宰相の額には汗が浮かんでいる。
「メリアローズ様」
「宰相様、父はなんと?」
「……今から来るようにとのことです」
エリヴェルトは二日後の朝には王都をたたねばならない。すぐに父との謁見が叶って良かったとメリアローズはほっと胸を撫で下ろすが、隣に立つエリヴェルトの顔色は青ざめている。
「こ、心の準備が……」
「大丈夫。私から父に話しますから」
政には厳しい父だが、娘には甘い。自分がどうしてもエリヴェルトの元に嫁ぎたいと言えば、反対はされないはずだ。
そう、メリアローズは考えていたのだが……。
「ティンシア領行きは賛成できない」
整えられた白い髭を蓄えた王は、メリアローズの願いを跳ね除けた。
王は六十歳。老人と言っていい年齢だが、その声と容姿に衰えは感じられない。夏場であるため、毛皮はまとっていないが、紺色の詰襟服をきっちりと着込み、玉座に深く腰掛けている姿には威厳がある。
「どうしてですか? 私は愛する人と共になりたいのです」
メリアローズはエリヴェルトのことを古くから付き合いのある良き友人として好感は持っていたが、男としては愛していなかった。……だが、ここは芝居を打った。結婚を許してもらうために。
王は太めの片眉を吊りあげた。
「……愛する人? お前は敵地に接したティンシア領を救いたいだけだろう。お前に掛かるドレス代も貴金属代も、すべてティンシア領の防衛費に変わった。これ以上ティンシア領に関わるな、メリアローズ。お前がこれ以上犠牲になる必要はない」
王はすべてを解っていたらしい。だが、それでもメリアローズは引き下がれなかった。
ここで自分が引き下がればどうなるか、火を見るより明らかだった。
「犠牲になどなっておりません。愛する人が育った領地を守りたいと思うのは当然のことです。どうか、このメリアローズのわがままをお許しください、お父様!」
言うなり、メリアローズは自分のすぐ隣に視線を下ろす。そこには、片膝をついたまま頭を垂れるエリヴェルトがいた。彼は顔をあげることを許されなかったのだ。
エリヴェルトの黒い前髪の隙間からは、彼の悔しさに滲んだ横顔が見えた。
──このままでは終われない。
メリアローズも、その場にしゃがみ込んだ。
エリヴェルトが驚いた様子でこちらを見る。メリアローズは彼にだけ聴こえる声で「ごめんなさい」とつぶやくと、彼の美しい曲線を描く輪郭に手をのばす。
メリアローズは瞼を閉じると、自分の唇を彼の唇に押し当てた。
「メリアローズ……!」
「……分かったでしょう? 私は本気なのです」
メリアローズは床に膝をついたまま、王を睨む。
「おもてをあげろ、エリヴェルト」
「陛下、恐れながら……」
片膝をついたまま、エリヴェルトは真っ直ぐに王を見上げる。その横顔は、黒い詰襟の際まで赤く染まっていた。
「……十年前、初めてお目にかかったその日から、私はメリアローズ様だけを想い続けてまいりました。しかし、私は最北の地、ティンシアを治める家の者。その地の冬は厳しく、ただ生き抜くことすら困難です。さらに、雪解けと共に敵国からの侵攻に常に備えねばならない土地でもあります。そんな過酷な地に、メリアローズ様をお連れするなどとても忍びなく、私は想いを秘めたまま時を過ごしておりました……。ですが、メリアローズ様はそんな私に仰ってくださいました。『私と、結婚してくれませんか?』と……」
エリヴェルトの目は赤く充血している。ところどころ言葉を詰まらせながらも、王を見据えていた。
そんな彼の隣で、メリアローズは心の中で「がんばれ、がんばれ」と繰り返し応援を送った。
「メリアローズ様のこと、必ずこの命に代えてもお守りいたします。どうか陛下……メリアローズ様を、私にお授けください!」
謁見の間に、エリヴェルトの嘆願が響く。
王は玉座から立ち上がると、その場を回るように歩き始めた。
そして、口を開く。
「──エリヴェルト」
「はっ……」
「お前はメリアローズの前では少々気弱な優男だが、戦場では勇敢な将だ。褒賞を与えるに相応しい戦果をいくつも上げている。お前に、メリアローズを託すべきなのかもしれない」
「陛下……っ」
「お父様……!」
わっと声をあげ、メリアローズとエリヴェルトはお互いの顔を見合わせる。
「だが……」
一瞬喜んだメリアローズだったが、王は言い淀む。
「いきおくれの王女を、国の最北端を守る英雄に押し付けた……そんな風にティンシア領の民は考えないだろうか?」
王の言葉に、メリアローズは固まる。
「上の娘達は亡き妃に似て、華やかな容貌をしている。デカリア王国の宝石と謳われていたほどだ。各国から求婚話が殺到し、二人共十八歳で主要国の正妻として嫁いだ。だが、メリアローズは二十五歳になった今でも、親子ほど歳の離れた貴族の後妻にすらなれていない。そんないきおくれの王女を押し付けられてしまったと、ティンシア領の民は憤らないだろうか?」
父の言うことはもっともだとメリアローズは思った。ティンシア領の民から自分がどう思われるのか、考えなかったわけではない。きっと民は衝撃を受けるだろうし、悲しむ人も多く出る。
「……メリアローズ様は、華やかさこそ控えめかもしれませんが、ティンシアの地では、慎ましやかな方こそが人々に愛されます。私が責任を持って、メリアローズ様の魅力を民にお伝えいたします」
「エリヴェルト将軍……」
エリヴェルトの真摯な言葉に、メリアローズの胸がいっぱいになる。
(大丈夫よ、私は医法院でも受け入れてもらえたもの)
メリアローズが医法院で勤め出したのは、もう九年も前になる。最初こそ王女を働かせるなんてと反発もあったが、いつしかそんな声もなくなった。身を粉にして働き、認めてもらえばいいのだ。ティンシア領でも。
「──待った」
謁見の間に聞き慣れた声が響く。清廉なその場所に、頭から黒いフードを被った男が突然現れた。
男はすぐに頭からフードを下ろす。煌めくワンレングスの長い金髪が露わになった。
「お兄様!」
「話は聞かせてもらった。婚礼の式はティンシア領で行うのだろう? 俺も参列しよう」
端に金の蔓模様が入った黒のローブは、宮廷魔法使いの証だった。王太子という地位にありながら魔法使いとしても働く兄サディアスは、王に一礼した。
「……しばらく城を留守にしても?」
「やれやれ、どうせ止めても行くのだろう? 可愛い末の妹の婚礼だ。私の分も祝ってやってくれ」
「はい、父上」
美貌の兄は口元にだけ薄く笑みを浮かべる。今年で三十歳になるはずだが、肌は年齢を感じさせないほど艶やかだ。苦労が滲み出ているエリヴェルトの方が歳上に見える。
「エリヴェルト、くれぐれもメリアローズをよろしく頼むぞ」
「はっ! 必ずや、メリアローズ様をお守りいたします」
王は念を押すようにエリヴェルトに告げる。それにエリヴェルトも力強く返事をする。
なんとか結婚を父から許してもらえた。
メリアローズは安心感から脱力しそうになるが、慌てて口を引き結ぶ。
エリヴェルトが王都に滞在できる時間は僅かだ。それまでに各所を回らなくてはならない。呆けている暇はないのだ。
「……結婚をお許しいただけるでしょうか?」
エリヴェルトは不安そうに、黒い軍服の胸元に手をあてる。
「それは大丈夫だと思いますわ。私はもう二十五歳です。貰ってもらえるだけありがたいとお父様も思うはずです」
つい十日前に見合いをしたばかりだが、それについての言い訳は考えてある。
エリヴェルトはメリアローズとの身分差に悩みなかなか求婚できていなかったが、ついに覚悟を決めて王都までやってきた。メリアローズも一時はエリヴェルトを諦めて見合いをしたものの、やはり彼を忘れられず、求婚を受け入れた──という筋書きだ。
かなり荒削りだが、押し通すしかない。
すぐに宰相が小走りで戻ってきた。五十歳になったばかりの宰相の額には汗が浮かんでいる。
「メリアローズ様」
「宰相様、父はなんと?」
「……今から来るようにとのことです」
エリヴェルトは二日後の朝には王都をたたねばならない。すぐに父との謁見が叶って良かったとメリアローズはほっと胸を撫で下ろすが、隣に立つエリヴェルトの顔色は青ざめている。
「こ、心の準備が……」
「大丈夫。私から父に話しますから」
政には厳しい父だが、娘には甘い。自分がどうしてもエリヴェルトの元に嫁ぎたいと言えば、反対はされないはずだ。
そう、メリアローズは考えていたのだが……。
「ティンシア領行きは賛成できない」
整えられた白い髭を蓄えた王は、メリアローズの願いを跳ね除けた。
王は六十歳。老人と言っていい年齢だが、その声と容姿に衰えは感じられない。夏場であるため、毛皮はまとっていないが、紺色の詰襟服をきっちりと着込み、玉座に深く腰掛けている姿には威厳がある。
「どうしてですか? 私は愛する人と共になりたいのです」
メリアローズはエリヴェルトのことを古くから付き合いのある良き友人として好感は持っていたが、男としては愛していなかった。……だが、ここは芝居を打った。結婚を許してもらうために。
王は太めの片眉を吊りあげた。
「……愛する人? お前は敵地に接したティンシア領を救いたいだけだろう。お前に掛かるドレス代も貴金属代も、すべてティンシア領の防衛費に変わった。これ以上ティンシア領に関わるな、メリアローズ。お前がこれ以上犠牲になる必要はない」
王はすべてを解っていたらしい。だが、それでもメリアローズは引き下がれなかった。
ここで自分が引き下がればどうなるか、火を見るより明らかだった。
「犠牲になどなっておりません。愛する人が育った領地を守りたいと思うのは当然のことです。どうか、このメリアローズのわがままをお許しください、お父様!」
言うなり、メリアローズは自分のすぐ隣に視線を下ろす。そこには、片膝をついたまま頭を垂れるエリヴェルトがいた。彼は顔をあげることを許されなかったのだ。
エリヴェルトの黒い前髪の隙間からは、彼の悔しさに滲んだ横顔が見えた。
──このままでは終われない。
メリアローズも、その場にしゃがみ込んだ。
エリヴェルトが驚いた様子でこちらを見る。メリアローズは彼にだけ聴こえる声で「ごめんなさい」とつぶやくと、彼の美しい曲線を描く輪郭に手をのばす。
メリアローズは瞼を閉じると、自分の唇を彼の唇に押し当てた。
「メリアローズ……!」
「……分かったでしょう? 私は本気なのです」
メリアローズは床に膝をついたまま、王を睨む。
「おもてをあげろ、エリヴェルト」
「陛下、恐れながら……」
片膝をついたまま、エリヴェルトは真っ直ぐに王を見上げる。その横顔は、黒い詰襟の際まで赤く染まっていた。
「……十年前、初めてお目にかかったその日から、私はメリアローズ様だけを想い続けてまいりました。しかし、私は最北の地、ティンシアを治める家の者。その地の冬は厳しく、ただ生き抜くことすら困難です。さらに、雪解けと共に敵国からの侵攻に常に備えねばならない土地でもあります。そんな過酷な地に、メリアローズ様をお連れするなどとても忍びなく、私は想いを秘めたまま時を過ごしておりました……。ですが、メリアローズ様はそんな私に仰ってくださいました。『私と、結婚してくれませんか?』と……」
エリヴェルトの目は赤く充血している。ところどころ言葉を詰まらせながらも、王を見据えていた。
そんな彼の隣で、メリアローズは心の中で「がんばれ、がんばれ」と繰り返し応援を送った。
「メリアローズ様のこと、必ずこの命に代えてもお守りいたします。どうか陛下……メリアローズ様を、私にお授けください!」
謁見の間に、エリヴェルトの嘆願が響く。
王は玉座から立ち上がると、その場を回るように歩き始めた。
そして、口を開く。
「──エリヴェルト」
「はっ……」
「お前はメリアローズの前では少々気弱な優男だが、戦場では勇敢な将だ。褒賞を与えるに相応しい戦果をいくつも上げている。お前に、メリアローズを託すべきなのかもしれない」
「陛下……っ」
「お父様……!」
わっと声をあげ、メリアローズとエリヴェルトはお互いの顔を見合わせる。
「だが……」
一瞬喜んだメリアローズだったが、王は言い淀む。
「いきおくれの王女を、国の最北端を守る英雄に押し付けた……そんな風にティンシア領の民は考えないだろうか?」
王の言葉に、メリアローズは固まる。
「上の娘達は亡き妃に似て、華やかな容貌をしている。デカリア王国の宝石と謳われていたほどだ。各国から求婚話が殺到し、二人共十八歳で主要国の正妻として嫁いだ。だが、メリアローズは二十五歳になった今でも、親子ほど歳の離れた貴族の後妻にすらなれていない。そんないきおくれの王女を押し付けられてしまったと、ティンシア領の民は憤らないだろうか?」
父の言うことはもっともだとメリアローズは思った。ティンシア領の民から自分がどう思われるのか、考えなかったわけではない。きっと民は衝撃を受けるだろうし、悲しむ人も多く出る。
「……メリアローズ様は、華やかさこそ控えめかもしれませんが、ティンシアの地では、慎ましやかな方こそが人々に愛されます。私が責任を持って、メリアローズ様の魅力を民にお伝えいたします」
「エリヴェルト将軍……」
エリヴェルトの真摯な言葉に、メリアローズの胸がいっぱいになる。
(大丈夫よ、私は医法院でも受け入れてもらえたもの)
メリアローズが医法院で勤め出したのは、もう九年も前になる。最初こそ王女を働かせるなんてと反発もあったが、いつしかそんな声もなくなった。身を粉にして働き、認めてもらえばいいのだ。ティンシア領でも。
「──待った」
謁見の間に聞き慣れた声が響く。清廉なその場所に、頭から黒いフードを被った男が突然現れた。
男はすぐに頭からフードを下ろす。煌めくワンレングスの長い金髪が露わになった。
「お兄様!」
「話は聞かせてもらった。婚礼の式はティンシア領で行うのだろう? 俺も参列しよう」
端に金の蔓模様が入った黒のローブは、宮廷魔法使いの証だった。王太子という地位にありながら魔法使いとしても働く兄サディアスは、王に一礼した。
「……しばらく城を留守にしても?」
「やれやれ、どうせ止めても行くのだろう? 可愛い末の妹の婚礼だ。私の分も祝ってやってくれ」
「はい、父上」
美貌の兄は口元にだけ薄く笑みを浮かべる。今年で三十歳になるはずだが、肌は年齢を感じさせないほど艶やかだ。苦労が滲み出ているエリヴェルトの方が歳上に見える。
「エリヴェルト、くれぐれもメリアローズをよろしく頼むぞ」
「はっ! 必ずや、メリアローズ様をお守りいたします」
王は念を押すようにエリヴェルトに告げる。それにエリヴェルトも力強く返事をする。
なんとか結婚を父から許してもらえた。
メリアローズは安心感から脱力しそうになるが、慌てて口を引き結ぶ。
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