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第50話 最期
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「お父様!?」
衝撃的な光景に、アザレアは叫ぶ。
いきなりこの場に現れた大公が、ストメリナを後ろから刺したからだ。
クレマティスやディルクから、大公がストメリナを討つつもりだと聞いていたが、まさか今、魔石鉱山の坑道へやってくるとは思わなかった。
大公は、ストメリナに突き刺した氷の槍の上に足を置いた。急所を刺されたストメリナはもう絶命寸前だ。
「やめてください、お父様!!」
「黙っていなさい、アザレア。私は今からこいつに、真実を告げねばならない」
「真実……?」
アザレアは大公の言葉に、足を止める。
「ストメリナ、お前は……私の子ではない」
「えっっ……!」
大公の言葉に、アザレアは両手で口を覆う。
(ストメリナが……お父様の娘ではないですって!?)
ストメリナは大公と同じ、銀色の髪を持つ。
誰もが、大公とストメリナの血縁関係を疑っていなかったはずだ。
大公の足元にいるストメリナも、動揺に瞳を揺らす。
「そ、そんな……そんなはずは……」
「ストメリナ、お前は知らんだろうが、私はお前の母親を一度も抱いていない。それなのにお前が産まれた」
「……!!」
「お前の父は私の異母弟だ。お前の母親に腰を打ちつけている弟の背に氷の槍を刺してやったのだ。今のお前のようにな」
「そ、……そん……な」
大公はストメリナを見下ろしながら、薄笑いを浮かべている。
「……お前の母親も私が殺した。あの女も、血統ばかりを誇る愚かな女だった。……お前と同じでな!!」
「ぐふぅぅ!!」
大公は氷の槍の上に置いた、足に体重を掛ける。
ストメリナは血を吐き出した。
「お父様、やめてくださいっ!」
「どうして止める、アザレア! お前はずっとストメリナから虐げられていただろう! 今こそ復讐の時だぞ!」
大公から復讐の時だと言われても、アザレアは首を横に振る。
「悪かったのは、あなたです! お父様!!」
「なっっ……」
「あなたがストメリナを愛してくださっていたら、こんなことにならなかった……!!」
アザレアは大公を両手でドンと突き飛ばす。
「何を言ってるんだ、アザレア。ストメリナは裏切り者から生まれた娘だぞ!!」
「ストメリナの両親があなたを裏切っていたとしても、彼女には関係ありませんっ! 謝って!! 謝りなさい!!」
アザレアがぼろぼろと涙を溢しながら叫ぶ。
(ストメリナは私に嫉妬していた。私がお父様の関心を集めていたと思って)
ストメリナが自分を迫害していたのは、愛情不足が原因なのは明らかだった。
大公がストメリナに関心を向けていたら、こんなことにはならなかっただろう。
愛せないなら愛せないなりに、ストメリナにきちんと真実を明かしていたのなら、もっと別の展開があっただろう。
「すべてを黙っていて復讐するなんて、最低です!!」
「……だまりなさい」
アザレアが大公を糾弾していると、ストメリナが口を開いた。
ストメリナの目には、すでに光はなかった。
「大丈夫!? 今、回復魔法を……」
「いらないわ……。あっ、あんたなんかに……同情されたくない……」
「ストメリナ……!」
「私は……あんたのそういうところが……嫌いよ……」
「!! ストメリナ……? ストメリナッ!! ねぇ、目を開けて……!」
口から鼻から、血を吐き出すと、ストメリナは目を見開かせたまま、動かなくなった。
「そんな……こんなことって……」
ストメリナの美しかった銀色の髪はすべて抜け落ち、あたりに散らばっている。白かった肌も火傷をしたように真っ赤に爛れていた。
義姉の最期に、アザレアは呆然とすることしかできなかった。
衝撃的な光景に、アザレアは叫ぶ。
いきなりこの場に現れた大公が、ストメリナを後ろから刺したからだ。
クレマティスやディルクから、大公がストメリナを討つつもりだと聞いていたが、まさか今、魔石鉱山の坑道へやってくるとは思わなかった。
大公は、ストメリナに突き刺した氷の槍の上に足を置いた。急所を刺されたストメリナはもう絶命寸前だ。
「やめてください、お父様!!」
「黙っていなさい、アザレア。私は今からこいつに、真実を告げねばならない」
「真実……?」
アザレアは大公の言葉に、足を止める。
「ストメリナ、お前は……私の子ではない」
「えっっ……!」
大公の言葉に、アザレアは両手で口を覆う。
(ストメリナが……お父様の娘ではないですって!?)
ストメリナは大公と同じ、銀色の髪を持つ。
誰もが、大公とストメリナの血縁関係を疑っていなかったはずだ。
大公の足元にいるストメリナも、動揺に瞳を揺らす。
「そ、そんな……そんなはずは……」
「ストメリナ、お前は知らんだろうが、私はお前の母親を一度も抱いていない。それなのにお前が産まれた」
「……!!」
「お前の父は私の異母弟だ。お前の母親に腰を打ちつけている弟の背に氷の槍を刺してやったのだ。今のお前のようにな」
「そ、……そん……な」
大公はストメリナを見下ろしながら、薄笑いを浮かべている。
「……お前の母親も私が殺した。あの女も、血統ばかりを誇る愚かな女だった。……お前と同じでな!!」
「ぐふぅぅ!!」
大公は氷の槍の上に置いた、足に体重を掛ける。
ストメリナは血を吐き出した。
「お父様、やめてくださいっ!」
「どうして止める、アザレア! お前はずっとストメリナから虐げられていただろう! 今こそ復讐の時だぞ!」
大公から復讐の時だと言われても、アザレアは首を横に振る。
「悪かったのは、あなたです! お父様!!」
「なっっ……」
「あなたがストメリナを愛してくださっていたら、こんなことにならなかった……!!」
アザレアは大公を両手でドンと突き飛ばす。
「何を言ってるんだ、アザレア。ストメリナは裏切り者から生まれた娘だぞ!!」
「ストメリナの両親があなたを裏切っていたとしても、彼女には関係ありませんっ! 謝って!! 謝りなさい!!」
アザレアがぼろぼろと涙を溢しながら叫ぶ。
(ストメリナは私に嫉妬していた。私がお父様の関心を集めていたと思って)
ストメリナが自分を迫害していたのは、愛情不足が原因なのは明らかだった。
大公がストメリナに関心を向けていたら、こんなことにはならなかっただろう。
愛せないなら愛せないなりに、ストメリナにきちんと真実を明かしていたのなら、もっと別の展開があっただろう。
「すべてを黙っていて復讐するなんて、最低です!!」
「……だまりなさい」
アザレアが大公を糾弾していると、ストメリナが口を開いた。
ストメリナの目には、すでに光はなかった。
「大丈夫!? 今、回復魔法を……」
「いらないわ……。あっ、あんたなんかに……同情されたくない……」
「ストメリナ……!」
「私は……あんたのそういうところが……嫌いよ……」
「!! ストメリナ……? ストメリナッ!! ねぇ、目を開けて……!」
口から鼻から、血を吐き出すと、ストメリナは目を見開かせたまま、動かなくなった。
「そんな……こんなことって……」
ストメリナの美しかった銀色の髪はすべて抜け落ち、あたりに散らばっている。白かった肌も火傷をしたように真っ赤に爛れていた。
義姉の最期に、アザレアは呆然とすることしかできなかった。
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