海底の魔素採掘師と竜人の約束

宵町あかり

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第11話 交渉の開幕

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王国調査船が海域の境界線上に停泊してから、三日が経過した。

アビス・パレスの大広間は、普段の静謐さとは一変していた。古代より続く美しい貝殻の装飾と、巨大な水晶の柱に囲まれた空間に、緊張感が漂っている。青い光を放つ発光珊瑚が、いつもより淡く輝いているように見えた。

マリナは、リヴァイアの隣に立ちながら、自分の心臓の鼓動が水中でも響いているような気がしていた。三日間で準備した資料を手に、彼女は今日という日を迎えている。

「緊張しているのか?」

リヴァイアの低い声が、水流に乗って耳に届く。その声音に、いつもの堂々とした響きとは違う、微かな不安が混じっているのを、マリナは敏感に察知した。

「少し、ね」

マリナは正直に答える。リヴァイアの深海色の瞳を見上げると、そこにも同じような緊張が宿っているのが見えた。しかし、彼の表情は凛々しく、海底の王子としての威厳を保っている。

「でも、私たちの成果は本物よ。数字は嘘をつかない」

海底実証実験の結果を思い起こしながら、マリナは自分に言い聞かせるように呟いた。500%という驚異的な魔素濃度、古代遺跡の覚醒、そして海洋生態系の劇的な改善。これらすべてが、今日の交渉における最強の武器だった。

大広間の入り口で、ダゴン長老とベック技師長が最終確認を行っている。二人の表情も普段より厳しく、今回の交渉がいかに重要かを物語っていた。

「王子殿下、使者の方々がお見えになりました」

近衛兵の一人が、水流を震わせて報告する。その声には、明らかな警戒心が込められていた。

「通してくれ」

リヴァイアの声が、大広間全体に響く。彼は背筋を伸ばし、海底の王子としての威厳を全身にまとった。その姿を見て、マリナは改めて、彼がただの優しい青年ではなく、一つの国を背負う立場にあることを実感した。

王国の使者団が大広間に入ってきた瞬間、空気が一変した。

先頭を歩くのは、五十代ほどの男性で、銀色の軍服に身を包んでいる。その後ろには、若い軍人と、学者らしき初老の男性が続いていた。彼らは特殊な魔法装置を使って呼吸を確保しており、水中でも陸上と変わらない動作で歩いている。

「海底王国アビス・パレスのリヴァイア王子殿下にお目にかかれて光栄です」

銀髪の使者が、慇懃な礼を取る。しかし、その視線は鋭く、明らかに値踏みするような色が含まれていた。

「私はアルトリア王国海軍省のクラウス提督です。こちらは副官のレイナルド中佐、そして王立学院の魔素研究者、ガーランド博士です」

一人ずつ紹介される使者たちの表情を、マリナは注意深く観察していた。提督の顔には隠しきれない傲慢さがあり、中佐は明らかに不快感を示している。しかし、博士だけは異なっていた。好奇心に満ちた目で、周囲の海底宮殿の美しさに見入っている。

「ようこそ、アビス・パレスへ」

リヴァイアの挨拶は丁寧だが、どこか距離を置いたものだった。王子としての立場と、個人的な感情を完全に分離している様子が、マリナには痛いほど分かった。

「さて、今回の会談の趣旨について確認させていただきたい」

クラウス提督が口を開く。その声には、軍人特有の威圧感が込められていた。

「我々は、この海域での無許可な魔素採掘活動について、アルトリア王国政府の立場を明確にするために参りました」

無許可、という言葉に、マリナは眉をひそめた。彼らの活動は、竜人族の正式な許可を得て行われている。王国側の認識が、いかに一方的なものであるかを示していた。

「提督殿、誤解があるようですね」

リヴァイアの声は平静だが、その奥に怒りの炎がくすぶっているのを、マリナは感じ取った。

「この海域は、我がアビス・パレスが古代より統治してきた領海です。魔素採掘に関しても、我々が独自の判断で許可を出している」

「しかし、アルトリア王国の海洋法では…」

レイナルド中佐が割り込もうとした瞬間、ガーランド博士が手を上げた。

「失礼いたします。法的な議論の前に、まず現状を把握したいのですが」

博士の声は穏やかで、学者らしい冷静さがあった。

「噂では、この海域で驚異的な魔素濃度が記録されているとか。研究者として、ぜひとも詳細をお聞きしたい」

この発言に、マリナは希望の光を見出した。少なくとも博士は、技術そのものに興味を示している。

「では、実際のデータをご覧いただきましょう」

マリナが前に出る。準備していた資料を魔法で浮上させ、大広間の中央に表示した。

青い光に包まれた数値が宙に浮かび、三日間の実証実験の結果が詳細に示される。魔素濃度500%、海洋生態系活性化率300%、環境負荷ゼロ。

ガーランド博士の目が、驚愕に見開かれた。

「これは…理論値を遥かに超えている。どのような技術を使えば、こんな数値が…」

「従来の魔素採掘とは根本的に異なるアプローチです」

マリナは、用意していた説明を始める。彼女の声には、自分の技術に対する確固とした自信が込められていた。

「私たちが開発したのは、海洋生態系と共生する採掘システムです。魔素を強制的に抽出するのではなく、自然の流れを活用して効率化を図っています」

「具体的には?」

博士の質問は鋭く、純粋な学者の好奇心に満ちていた。

「分散型システムによる海流活用技術と、竜人族の古代海洋魔法の融合です」

マリナは、リヴァイアと共に開発した技術の概要を説明する。その過程で、彼女は自然と王子の方を見上げていた。

「リヴァイア王子の協力なくしては、この技術は完成しませんでした。竜人族の海の歌による協調制御技術が、システム全体の調和を生み出しているのです」

リヴァイアの表情が、微かに和らぐ。二人の協力関係が、技術的な成功だけでなく、個人的な信頼関係の上に成り立っていることを、彼は改めて実感していた。

しかし、クラウス提督の反応は冷ややかだった。

「興味深い技術だとは思いますが、問題は別のところにあります」

提督の声に、明らかな威圧感が戻ってきた。

「この技術が仮に有効だとしても、アルトリア王国の許可なく海洋資源を開発することは、国際法に抵触します」

「国際法、ですか」

リヴァイアの声に、氷のような冷たさが混じる。

「アルトリア王国が制定した一方的な法律を、我々が従う義務はありません。この海域は、竜人族が千年以上前から住み続けてきた故郷です」

大広間の緊張感が、一気に高まった。水流さえも、静止しているかのように感じられる。

「では、武力による解決をお望みですか?」

レイナルド中佐の挑発的な発言に、アビス・パレスの近衛兵たちが身構える。彼らの手が、それぞれの武器に向かった。

「武力?」

リヴァイアの瞳が、深海の嵐のように暗くなる。しかし、彼は冷静さを保っていた。

「この海域での武力行使が何を意味するか、理解していらっしゃいますか?」

王子の質問に、使者たちは困惑の表情を見せた。

「海底での戦闘は、陸上とは全く異なります。我々竜人族にとって、海は第二の母なる大地。そこで戦うということは…」

リヴァイアは立ち上がり、その瞬間、大広間全体の水流が彼を中心に渦を巻いた。古代より続く海の王族としての威厳が、圧倒的な存在感となって使者たちに迫る。

「貴方たちが勝利できる見込みは、ゼロに等しいでしょう」

しかし、この威圧的な雰囲気を破ったのは、意外にもマリナだった。

「でも、私たちは戦争を望んでいるわけではありません」

彼女の声は、リヴァイアの力強さとは対照的に、穏やかで理性的だった。

「今日の会談の目的は、互いの立場を理解し、共存の道を探ることのはずです」

マリナの発言に、ガーランド博士が強く頷いた。

「その通りです。技術者として、私はこの革新的なシステムに心から敬意を表します」

博士の視線がマリナに向けられる。そこには、純粋な尊敬の念が込められていた。

「従来の魔素採掘は、環境破壊という大きな代償を伴っていました。しかし、あなたたちの技術は、その問題を根本的に解決している」

「ありがとうございます」

マリナは微笑みながら答える。同じ研究者として、博士の理解を得られたことは大きな意味があった。

「でも、技術的な優位性だけでは、政治的な問題は解決しません」

「確かに」

博士は深く考え込むような表情を見せた。

「しかし、この技術が実用化されれば、アルトリア王国にとっても大きな利益をもたらすはずです」

この発言に、クラウス提督とレイナルド中佐が鋭い視線を向ける。

「博士、何を…」

「考えてみてください」

ガーランド博士は、提督の制止を無視して続ける。

「従来の魔素採掘による環境破壊で、王国内の海洋資源は年々減少している。このまま続けば、十年以内に深刻な資源枯渇に直面するでしょう」

その指摘に、使者団の表情が変わった。博士の言葉が、彼らの予想以上に深刻な現実を突いていたからだ。

「しかし、この技術を導入すれば、環境負荷ゼロで持続可能な資源開発が可能になる。王国の将来にとって、これほど重要な技術はありません」

マリナは、博士の理解の深さに感動していた。技術の持つ可能性を、的確に評価してくれている。

「そのためには、竜人族との協力関係が不可欠です」

博士の視線が、リヴァイアに向けられる。

「この技術は、両民族の知識と経験が融合して初めて実現したもの。一方的な支配では、決して生み出せない成果です」

リヴァイアの表情が、わずかに和らいだ。博士の言葉は、彼らの協力関係を正当に評価してくれている。

「博士の仰る通りです」

マリナが、話の流れを受け継ぐ。

「この技術の真価は、異なる文化と知識の融合にあります。人間の工学技術と、竜人族の海洋魔法。どちらか一方だけでは、決して到達できない領域に踏み込むことができました」

「具体的には、どのような協力関係を想定していますか?」

博士の質問は、実務的で建設的だった。

「段階的な技術移転と、共同開発体制の構築を提案したいと思います」

マリナは、事前に準備していた提案書を魔法で表示する。

「第一段階では、アルトリア王国内の限定的な海域での小規模実証実験。第二段階で、技術者の相互派遣による本格的な共同開発。最終段階で、両国間の長期的な協力協定の締結」

この提案に、ガーランド博士は深く考え込んだ。

「魅力的な提案です。しかし、実際の決定権は…」

博士の視線が、クラウス提督に向けられる。提督の表情は険しく、明らかに内心での葛藤があることが窺えた。

「提督殿」

リヴァイアが、静かに口を開く。

「この技術が王国にもたらす利益について、改めてご説明させていただきたい」

王子の提案に、提督は渋々頷いた。

「現在の魔素採掘による環境破壊は、王国の海洋資源に深刻な影響を与えています。特に、沿岸部の漁業への打撃は甚大で、多くの漁民が生計を失っている状況です」

リヴァイアの指摘は、王国側にとって痛いところを突いていた。

「しかし、我々の技術を導入すれば、環境負荷ゼロで従来の5倍の効率を実現できます。これにより、海洋生態系を回復させながら、資源確保も継続できる」

「それは…」

提督の声が、わずかに揺れた。軍人として、王国の利益を最優先に考える彼にとって、この提案は無視できないものだった。

「さらに、技術の共同開発により、アルトリア王国は海洋魔法という新たな知識体系を獲得できます」

マリナが、追加の説明を行う。

「これは、将来的な技術革新の基盤となり、王国の国際競争力を大幅に向上させるでしょう」

長い沈黙が、大広間を支配した。

使者団の三人は、それぞれ異なる表情を浮かべている。博士は明らかに賛成の立場で、中佐は依然として懐疑的。そして提督は、深く考え込んでいる様子だった。

「一つ、確認したいことがあります」

ついに提督が口を開く。

「この技術協力により、竜人族が求める対価は何ですか?」

実務的で核心を突いた質問に、リヴァイアとマリナは視線を交わした。

「領海の独立承認と、技術開発成果の公平な分配です」

リヴァイアの答えは明確だった。

「我々は、アビス・パレス周辺海域の自治権を正式に認めていただきたい。そして、共同開発により生み出される技術と利益は、貢献度に応じて公平に分配する」

「自治権、ですか…」

提督の表情が、再び険しくなる。これは、王国にとって大きな政治的譲歩を意味していた。

「しかし、それは現実的な要求です」

マリナが、補足説明を行う。

「この技術は、竜人族の海洋魔法なくしては成立しません。彼らの協力を得るためには、相応の対価が必要です」

「それに」

リヴァイアが続ける。

「自治権を認めることで、王国は魔素採掘に関する環境問題への責任を軽減できます。我々が独自に管理することで、国際的な批判からも免れられるでしょう」

この指摘は、提督にとって見過ごせないものだった。最近、アルトリア王国の環境破壊は国際的な問題となっており、外交上の重荷になっている。

「検討に値する提案だとは思います」

提督の声に、わずかな変化があった。完全な拒絶から、慎重な検討へとトーンが変わっている。

「しかし、この決定は私一人では下せません。王国政府との協議が必要です」

「もちろんです」

リヴァイアは頷く。

「我々も、今日すぐに結論を求めているわけではありません。十分な検討時間を提供いたします」

「ただし」

マリナが付け加える。

「検討期間中も、現在の実証実験は継続させていただきます。技術の完成度を高め、より具体的な提案を準備するために」

この条件に、レイナルド中佐が反応した。

「それは、既成事実の積み重ねではないですか?」

「いえ、科学的な検証の継続です」

ガーランド博士が、中佐の懸念を否定する。

「技術開発において、実証実験の中断は致命的です。継続的なデータ収集こそが、真の技術完成への道筋です」

博士の支持を得られたことで、マリナは内心で安堵した。少なくとも、使者団の中に理解者がいることは心強い。

「では、今回の会談の結論として」

リヴァイアが、会談の締めくくりに入る。

「アルトリア王国には、我々の提案を政府レベルで検討していただく。その間、我々は技術開発を継続し、より詳細な協力プランを準備する。一ヶ月後に、再度会談の場を設ける、ということでよろしいでしょうか?」

提督は、長い沈黙の後に頷いた。

「承知いたしました。王国政府に報告し、正式な回答を一ヶ月以内に準備いたします」

この合意により、緊張していた大広間の雰囲気が、わずかに和らいだ。

会談終了後、使者団が退席する際、ガーランド博士だけが振り返った。

「マリナ様、リヴァイア王子殿下」

博士の声は、心からの敬意に満ちていた。

「今日拝見した技術は、人類の未来を変える可能性を秘めています。ぜひとも、協力関係の実現を祈っております」

博士の言葉に、マリナとリヴァイアは深く頭を下げた。

~~~

使者団が去った後、大広間には静寂が戻った。

マリナとリヴァイアは、並んで立ったまま、長い沈黙を続けていた。今日の会談で起こったすべてのことを、心の中で整理している。

「うまくいったと思う?」

マリナが、小さな声で尋ねる。

「博士は完全に味方についてくれた。提督も、最初の敵意は薄れた」

リヴァイアの分析は冷静だった。

「しかし、真の試練はこれからだ。王国政府の決定が、すべてを左右する」

「そうね」

マリナは深く息を吐く。水中でも、その動作は彼女の疲労を表していた。

「でも、私たちにできることは全部やったと思う」

「ああ」

リヴァイアが振り返り、マリナの顔を見つめる。

「君の技術説明は完璧だった。博士が感動していたのが、よく分かった」

マリナの頬が、わずかに赤くなる。

「あなたの政治的な交渉も見事だったわ。王子としての威厳と、現実的な提案のバランスが絶妙だった」

二人の間に、互いへの尊敬と信頼が流れている。困難な交渉を乗り切った達成感と、これから始まる真の挑戦への不安が混じり合っていた。

「マリナ」

リヴァイアが、彼女の名前を呼ぶ。

「何があっても、君と一緒に戦い続けたい」

その言葉に込められた意味を、マリナは深く理解していた。技術的な協力を超えた、個人的な絆の確認。

「私も」

マリナは微笑みながら答える。

「どんな困難が待っていても、一緒に乗り越えていきましょう」

海底宮殿の青い光に包まれて、二人は新たな決意を固めていた。交渉の第一段階は終了したが、真の挑戦はこれから始まる。

王国政府の決定、技術開発の継続、そして深まっていく二人の関係。すべてが、未来への重要な要素として、彼らの前に横たわっていた。

大広間の発光珊瑚が、いつもより温かい光を放っているように見えた。それは、希望への第一歩を踏み出した二人を、静かに見守っているかのようだった。
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