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第17話 蒼月直哉
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例え憎んでいた相手であっても、その生命を断つ時のなんとも言えないもやもやは何なのだろう。
自分の経験から、その事を淑音は痛い程痛感している。だから淑音は、ミツキを見つめながら自問した。
ついさっきの闘技場での出来事だってそうだ。生き残ったことに満足感を覚えたものの、敵である獣を殺したこと事態には深い嫌悪すら覚える。あれがもし、倒すべき敵が、獣ではなく人間だったとしたら。
淑音は、自分を苛む強い罪悪感の痛みに表情を曇らせた。
そんな淑音の心境を知ってか知らずか、
「淑音は人を殺したことがあるか?」
ミツキはそう言った。
それは淑音がそうしたことがあるという予感から話したものというよりは、自分の告白をさらに続ける為のただの問いかけだったが、淑音にとって最も触れてほしくない部分であった。
顔を背けて、表情を悟られないようにする。湯船に映る自分の顔が歪んでいた。
「無我夢中だったんだ。決して最初から殺そうと思った訳じゃない。いや、殺したいと思った時は何度もあった。こいつさえ──。こいつさえ居なければって。父親が、わたしを売ることにした事を知った日だ。わたしは怒って父親に詰め寄った。何が起こったかは正直あまり覚えていない。気づいたら父親は地面に倒れていた。わたしは地面に血塗れに倒れているのを見て、身体が震えた。不思議だよな。ずっと死ぬのを願っていたのに。いざ本当にそうなると、身体の震えが止まらなかった」
時折目を閉じながら、ミツキは滔々と語る。思い出したくもない思い出を、しかし、一瞬たりとも忘れたことなどないであろう忌まわしき記憶を。
淑音も、ミリィも言葉を挟まなかった。ミリィの表情は険しい。それはミツキを責めるものというよりは、親であるのに子供にそんな仕打ちをする人間が果たしているのだろうかという、自身の常識を揺らがされた故の反応だ。
淑音は、目だけ動かしてミリィのその表情を見ていた。
──居るんだよ。そういう人間も……。
決して理解されないであろう感覚を、胸の内で反芻する。
理解して貰えない家庭環境そのものが、常に淑音に後ろめたい気持ちを抱かせる。だから、これまでも家について話すことはなかったし、ミツキの話を聞いても尚、思いを詳らかにする気にはなれなかった。
ただ、目を閉じる。フラッシュバックするのは、瞼の裏に焼き付いた義父の下卑た表情。
憎しみと欲情が入り交じっていたあの顔が、淑音は脳裏からぬぐい去ることが出来ない。
こびり付いた泥の汚れが、擦っても擦っても脳の内壁にこびり付いてとれないような感覚だ。
──わたしも……。
淑音は日本での日々を思い出す。以前から、義父直哉の淑音を見る目には、違和感があった。
淑音は義父が自分に対して欲情しているのにいつからか気が付き始めた。
はじめは淑音が自室で休んでいる時、義父直哉はなんの理由もなしに、そこに訪れた。
唇を奪おうとして、顔を近づけ、そこで淑音は飛び起きた。目を開けた先にある直哉の顔。もし少しでも目を開けるのが遅かったら、唇はこのまま奪われていただろう。そう思うと、身体が震えて声が出なかった。
ただの暴漢であったら淑音は叩きのめしていたし、そうするだけの力もある。けれど身内が、それも義父である直哉が凶行に及ぶなど考えつきもしなかったのだ。
どう反応すればいいのか分からなかった。
混乱。そして、怒り。その怒りは更に深いものになり、敵意と変わり、最後には殺意へと変わった。
幸か不幸か、殺す方法なら幾らでも思いついた。
蒼月家はそういう一族だ。
実践的な戦闘方法にこだわり、他者の生命を断つことに拘るおぞましき教え。
何故、なんのためにこんなものが存在し続けていたのか、甚だ淑音には理解できなかったが、幼少からそんな環境に慣れ親しんでいると、違和感もだいぶ薄れてしまう。
けれど同時に、何かの間違いだという気持ちも消えなかった。
淑音をさらに混乱させたのは、翌日直哉が何事も無かったように、振舞っていたことだ。
道場で稽古し、門下生と話し、いつものように淑音をいびり倒す。昨日のあれは何でもなかった。何もなかった。あたかもそのように言い含めるように。
どこまでが現実で、どこからが自分の夢だったのかさえ分からなくなった。
自分は何か悪い夢を見ていたのではないか。
そうなのかも知れない。いつしか夢だったのだと思い込もうとさえした。
直哉は狡猾だった。記憶は次第に薄れ、当初の印象は記憶中で変化を遂げる。忘れた頃にまた直哉はやってきた。
「どうした? 淑音」
不思議そうな顔をつくって、直哉が言う。そう言われてしまうとただ、肩を引き寄せられただけだ、少なくとも傍からそう見えると冷静な自分が訴える。
身体には一切触れていない。触れさせてはいない。それなのに直哉の目が、仕草が、淑音にたまらない気持ち悪さを呼び起こすのだ。
「やめてください」
「何をだ?」
何も言えなくなる。
淑音は深い深い闇の中に沈みこんでいった。
そこは一切の光を遮断する漆黒の暗闇。子供の自分では抵抗できない無力感と、具体的に何をされたとも言えないもどかしさ。さらに、その奥底に渦巻いているのは泥ついた殺意。
「こいつさえいなければ──」
ミツキの言葉はそのまま、淑音自身の心の叫びでもあった。
そして事件は起こった。あの日のことを、まるでついさっきの事のように思い出す。あの日。それは、お盆休みを挟んで門下生の殆どが実家に帰省して行った日。
これまでもやかましく鳴いていた蝉が、残り少ない命だとばかりに最後の生命を燃やして鳴いていた。
道場。
人気がないということは、淑音にとっては恐怖だった。道場での鍛錬は義父とふたりきりということになる。
母、文音は滅多なことでは道場に顔を出さない。思えば、母とはここ数ヶ月ほとんど話していない。
元々、気難しい人だ。わたしとは性格も、物事の捉え方もまるで違う。だから何を考えているのだろうと、淑音は幼い頃から何度も思った。
意見の相違を反抗と見なされては、行き過ぎた仕置きをされた事も、一度や二度ではない。
けれど武術に励み、母の力を遥かに上回るようになってからは、淑音に対する母の攻撃は止んだ。
これが力というものなのか。やはりこの家で自分を守るためには自分で戦わねばならないのだ、と、淑音は思っていた。
けれど今回の件には淑音は、ほとほと参ってしまっていた。
同じ女性に、特に母親に相談したかったが、あの母親ではそれも叶うまい。それは、母親の気難しさとは別の理由があった。
──お母様はわたしに嫉妬している……。
それが何に対してのものか、明確には分からなかったが、女性として直感がそう教えていた。
鍛錬を休んでしまおうかとも思ったが、義父はそれを許すまい。
普段から、淑音の手抜かりを探してつついてくるような男だ。淑音にも意地があった。
それでいつもの時間には、道着に着替えて道場に足を向けていた。
思えばこれがそもそもの間違い。プライドなどかなぐり捨てて、いつもの習慣など破ってしまえばよかった。淑音は後に後悔する。
「稽古をつけてやろう」
道場で向かい合いながら、直哉は言った。
道場では淑音の方が立場が上である。何しろ祖父に道場を任されたのは淑音なのだ。
傲慢不遜。祖父が存命であれば決して許されない無礼が、今はまかり通っている。
直哉は実の所、剣の腕も立つ。
淑音に対して、五回戦えば二回は勝つ。
実力は拮抗していると言ってもいい。だからこそ、直哉は我慢ならないのであろう。
何故、俺が選ばれなかったのかと。
けれど、直哉には人間として欠落している部分が大きかった。祖父はそれを危惧していたのだ、と淑音は思う。
「いいですよ。直哉さん」
淑音は彼を決して、お義父さんとは呼ばない。
それは彼を家族としては認めていないことの、ささやかな淑音なりの抵抗だった。
向かい合ったふたりは、それぞれの思惑を抱えながら竹刀を握る。
「いつでも結構です」
淑音は言った。
直哉は不敵な笑顔を浮かべている。酷く不快な表情。
けれど淑音は惑わされない。
──わたしの剣技で叩きのめしてやる……!
視線は真っ直ぐ彼の剣先に注がれている。
その些細な動きから、彼の全ての行動を読み解こうとするように。
道場の空気が緊張に包まれた。
さっきまで鳴いていた蝉が何処へやら。今は沈黙している。
ギシッ。
床を踏み抜く音。
思いっきり床を蹴って、前のめりに直哉は飛んでいた。
電光石火。
竹刀が空気を切り裂いた。
淑音は軽く腕を振って、それを竹刀で受け流す。まともに打ち合ったりはしない。
力ではどうしたって直哉に分がある。
だから、衝撃を逃がしながら、直哉の一瞬の隙を待つ。
カッカッ!!
竹刀のぶつかり合う音。
剣には人というものが表れる。淑音は、そう考えていた。その人の剣技を見れば、どんな人物か自ずと明らかになる。
そういった観点から直哉の剣を見れば、彼の剣技は何処までも周到で、狡猾だ。勝つためには手段を選ばない。
それは図らずも、蒼月家の教えとも重なるところがあった。『全ての事を差し置いて、勝利を目指すべき』。
他者を害し、自らの生存をモットーとする蒼月家がたどり着いた教え。
だから、彼の剣技と蒼月家の教えには、通ずるものがある。
それでも、それはあくまで『戦い』においてのみである。
それなのに直哉は全てのことにおいて、その教えに準じていた。自分の欲する物の為ならば、他者を顧みることは無い。例外はない。
だから妻がいる身でありながら、義理の娘であろうと毒牙にかけようというのだ。
数度の打ち合いの後、直哉は大きく前進すべく、また一歩床を踏み抜いた。
淑音は、距離をとろうと後ろに下がりかけて、引き止められた。見れば、淑音の道着の襟首を直哉の手が掴んでいる。
「くっ」
これは剣道では無い。明確なルールなどない。ただ敵を打ちのめし、屈服させる実戦を意識した戦いだ。
だから相手の服を掴もうが、髪を掴もうが、勝利すればなんの問題もなかった。
淑音は掴まれた手を振りほどこうと、身体ごと右に大きく旋回する。
淑音と直哉は、クルクルとまるでダンスを踊るように道場を回った。
「楽しいなぁ。淑音ぇ」
直哉が笑い、淑音は表情を固くする。
道場に人は居ない。もし、ここで直哉に組み伏せでもされたらと淑音は考える。
幾ら剣技の上で直哉を幾らか凌ぐとはいえ、男性にのしかかられたら、抵抗する事など出来ない。
「知ってるか淑音。母さんのことだ」
淑音は思う。
──お前が『母さん』と呼ぶな。
「あの女はなぁ……。お前に女として負けてると思っているんだぜぇ? 毎日聞いてくるんだ。わたしと淑音、どちらが綺麗ですか? 魅力がありますか、ってなぁ」
淑音は目を見開いた。
「あんたが……、あんたがそんなんだからお母様は……っ!!」
「口の利き方がなってないな。お義父さま、だろ?」
「誰がっ!!」
身体の芯が燃えて、ドス黒い感情が淑音を突き動かした。祖父の教えとは真逆の冷静さを失った行動だ。構うものかと怒りに任せて、淑音は腕を振り払う。
直哉は思わぬ抵抗に面食らったらしく、後ろにバランスを崩しかけた。
淑音はその隙を決して見逃さない。床を力強く蹴り、渾身の一撃を直哉の脳天に向けて振り下ろす。
ヒュン、と竹刀が空気を切り裂き、その速さゆえに竹刀が折れ曲がって見えるほどだった。
──とった!!
確信する。
けれど、淑音の予想を超越して直哉は身体を捻り、それを苦もなく交わしてみせた。驚異的な身体能力。神様がそれを直哉に与えたというのなら、余りにも理不尽な力だった。
淑音の竹刀は空を切って、道場の床を激しくうち叩く。バシン、という音が道場に反響した。
淑音は、手に伝わる衝撃に耐えながら急いで腕を引く。今度はこちらが隙だらけだ。冷や汗が背中に伝わる。それがどういうことを意味するか、淑音には分かっていたからだ。
直哉が下卑た笑みを浮かべた。
淑音の激情を逆手にとって、これ以上ないチャンスを作り出した。なんという僥倖。直哉は舌舐めずりをする。
淑音の手首に激痛が走る。直哉の竹刀が手首にめり込んでいた。
「いっ……痛っ!」
思わず叫んで、淑音は竹刀を取り落とした。その様子がスローモーションのように映る。まるで映画のワンシーン。絶望的な一コマ。
続いて、喉元に竹刀が抉りこまれて、淑音は声にならない声をあげる。
「げ……ぇ……っ」
自分の意志とは別に、淑音は道場の床に竹刀の先端で押し付けられるように、倒れ込んでいた。
頭からの危険な転倒。強かに打ち付けたせいか、視界が一瞬真っ白になる。数秒の間意識を失っていたかもしれない。
「ふはははは……。この時をずっーと、待っていたぞ淑音ぇ……!」
どこか遠くで、直哉の声が聞こえた。
淑音は自分にのしかかる重みを感じる。直ぐに直哉のものと分かった。直哉は淑音に馬乗りになって、勝ち誇りながら笑っていた。
「わ……わ、た……し……に」
呂律の回らない口で、淑音は叫ぼうとした。
──わたしに何かしたら、殺してやる殺してやる殺してやる殺して──
口元を直哉の手が押さえつける。呼吸が、声が、止まった。噛み付くほどに脳は回復していない。だから殆ど抵抗は出来なかった。
絶望が、淑音の全身を襲った。まるで道場の床に今まで潜んでいたムカデが、全身を這い回って埋めつくしていく。
──殺してや……。
無力さに襲われた。蒼月家の看板を背負ったとはいえ、ただの少女に過ぎない。何が正しいか、常に正解を選択出来る訳でもない。どこで間違ったのか、何がいけなかったのか。
「やめて……」
「あ?」
「や、やめてください……。お義父様……。どうか……」
屈辱的な敗北宣言だった。言葉と同時に、淑音は目尻から涙が溢れだしてくるのを感じた。
「ふふふふふ……。鼻からそうしおらしくしていれば、痛い目に合わずに済んだものを……。なあに、大人しくしていれば、出来るだけ優しくしてやるよ」
直哉の目は被虐的な光で満ちていて、その顔は上気している。それは、世の中にこれ程醜い笑顔があるのかと思える表情だった。
淑音は目を閉じる。もうこうなれば、心を殺す以外に方法はない。暗闇の中に逃げ込んだ。
ズブリと何かが刺し貫く音がした。それは、油の沢山入った布袋を刃物で突いた時のような感じだ。
袋が破けて、中に詰まっていた油がこぼれ落ちた。
べちゃ……。べちゃ……。
生臭い匂い。それが自分に大量に降り掛かっている。
僅かに目を開けて、世界が真っ赤に染まっているのが見えた。赤い液体が視界全体を覆っている。
赤い水が噴水のように吹き上がっていて、その出処は直哉のようだった。
「かは……っ……」
間の抜けた直哉の声は、苦しそうに震えている。その時、ようやく淑音はまともに状況を認識した。
直哉の腹の辺りから、一本の切っ先が生えていることに。それは背中から貫通し、腹から抜けていた。
直哉自身も状況を飲み込めていないらしく、痙攣しながら背後をゆっくり振り向いた。
そこには──。
母、文音の姿があった。
蒼月家に代々伝わる、真剣「奇怪丸」。その切れ味故に、妖怪であろうと魑魅魍魎であろうと切ってしまうといういわく付きの刀だ。
その刀をあろう事か、母が直哉への致命傷を負わせるために用いている。
刀は大した抵抗なく、再びゆっくり引き抜かれた。
腹と背中を貫通した穴から、更に大量に出血。
まだ直哉は状況が理解できないというふうに、泣きそうな顔を文音に、そして淑音に、向けた。
その表情に淑音は刺し貫かれたように動けなくなってしまう。直前まで自分を犯そうとしていた男の哀れな表情だ。
それなのに、罪悪感が込み上げる。そして、生理的な恐怖が這い上がってきた。
「淑音。行きなさい」
母の言葉のお陰で、どうにか正気を保つ。
淑音は未だに理解が追いつかない。
「声に従って行きなさい!!」
今度は大声を張り上げるように言った。瞬間、弾かれるように身体がコントロールを取り戻し、淑音は自分にのしかかる直哉を弾き出すように立ち上がった。
あれほど、抵抗が難しいように思えた直哉の身体は、簡単に弾かれ床にべちゃりと転がった。
更に血溜まりが広がる。自分の血溜まりで溺れながら、直哉は最後の言葉をあぶくと一緒に吐き出した。
「淑音ぇ……」
最後の声は助けを求めるように聞こえた。
──きゅ、救急車を……っ!!
最早どう見ても助からない。けれど冷静さを失った淑音にはそれが分からない。
今度は声が頭で響いた。
「淑音……おいで」
はっきり淑音を呼ぶ声が頭の中で反響する。何が何だか分からなかった。
直哉に襲われ、その直哉を母が刺し貫いた。さらにずっと響いていた声が、分かるようにわたしを呼んだ。そもそも母に「声」について話した覚えはない。何故『声に従うように』と母は言ったのか。
困惑の表情を母の方に向ける。
母は何だか、数十歳も歳を多くとったような様相だ。普段の母とは違う雰囲気を感じたが、
「行きなさい!!」
と追い立てられ、淑音は道場を抜け、声の導くままに走り出した。
──何がどうなっているの……!?
ざーっと、響く音からすると外は土砂降りのようだった。いつもの間にか、大雨が降り出していたらしい。
玄関を抜け、傘も持たずに駆け出した。雨は、淑音の身体を容赦なく濡らした。けれど、今はその雨の一粒一粒が心地よかった。
自分の経験から、その事を淑音は痛い程痛感している。だから淑音は、ミツキを見つめながら自問した。
ついさっきの闘技場での出来事だってそうだ。生き残ったことに満足感を覚えたものの、敵である獣を殺したこと事態には深い嫌悪すら覚える。あれがもし、倒すべき敵が、獣ではなく人間だったとしたら。
淑音は、自分を苛む強い罪悪感の痛みに表情を曇らせた。
そんな淑音の心境を知ってか知らずか、
「淑音は人を殺したことがあるか?」
ミツキはそう言った。
それは淑音がそうしたことがあるという予感から話したものというよりは、自分の告白をさらに続ける為のただの問いかけだったが、淑音にとって最も触れてほしくない部分であった。
顔を背けて、表情を悟られないようにする。湯船に映る自分の顔が歪んでいた。
「無我夢中だったんだ。決して最初から殺そうと思った訳じゃない。いや、殺したいと思った時は何度もあった。こいつさえ──。こいつさえ居なければって。父親が、わたしを売ることにした事を知った日だ。わたしは怒って父親に詰め寄った。何が起こったかは正直あまり覚えていない。気づいたら父親は地面に倒れていた。わたしは地面に血塗れに倒れているのを見て、身体が震えた。不思議だよな。ずっと死ぬのを願っていたのに。いざ本当にそうなると、身体の震えが止まらなかった」
時折目を閉じながら、ミツキは滔々と語る。思い出したくもない思い出を、しかし、一瞬たりとも忘れたことなどないであろう忌まわしき記憶を。
淑音も、ミリィも言葉を挟まなかった。ミリィの表情は険しい。それはミツキを責めるものというよりは、親であるのに子供にそんな仕打ちをする人間が果たしているのだろうかという、自身の常識を揺らがされた故の反応だ。
淑音は、目だけ動かしてミリィのその表情を見ていた。
──居るんだよ。そういう人間も……。
決して理解されないであろう感覚を、胸の内で反芻する。
理解して貰えない家庭環境そのものが、常に淑音に後ろめたい気持ちを抱かせる。だから、これまでも家について話すことはなかったし、ミツキの話を聞いても尚、思いを詳らかにする気にはなれなかった。
ただ、目を閉じる。フラッシュバックするのは、瞼の裏に焼き付いた義父の下卑た表情。
憎しみと欲情が入り交じっていたあの顔が、淑音は脳裏からぬぐい去ることが出来ない。
こびり付いた泥の汚れが、擦っても擦っても脳の内壁にこびり付いてとれないような感覚だ。
──わたしも……。
淑音は日本での日々を思い出す。以前から、義父直哉の淑音を見る目には、違和感があった。
淑音は義父が自分に対して欲情しているのにいつからか気が付き始めた。
はじめは淑音が自室で休んでいる時、義父直哉はなんの理由もなしに、そこに訪れた。
唇を奪おうとして、顔を近づけ、そこで淑音は飛び起きた。目を開けた先にある直哉の顔。もし少しでも目を開けるのが遅かったら、唇はこのまま奪われていただろう。そう思うと、身体が震えて声が出なかった。
ただの暴漢であったら淑音は叩きのめしていたし、そうするだけの力もある。けれど身内が、それも義父である直哉が凶行に及ぶなど考えつきもしなかったのだ。
どう反応すればいいのか分からなかった。
混乱。そして、怒り。その怒りは更に深いものになり、敵意と変わり、最後には殺意へと変わった。
幸か不幸か、殺す方法なら幾らでも思いついた。
蒼月家はそういう一族だ。
実践的な戦闘方法にこだわり、他者の生命を断つことに拘るおぞましき教え。
何故、なんのためにこんなものが存在し続けていたのか、甚だ淑音には理解できなかったが、幼少からそんな環境に慣れ親しんでいると、違和感もだいぶ薄れてしまう。
けれど同時に、何かの間違いだという気持ちも消えなかった。
淑音をさらに混乱させたのは、翌日直哉が何事も無かったように、振舞っていたことだ。
道場で稽古し、門下生と話し、いつものように淑音をいびり倒す。昨日のあれは何でもなかった。何もなかった。あたかもそのように言い含めるように。
どこまでが現実で、どこからが自分の夢だったのかさえ分からなくなった。
自分は何か悪い夢を見ていたのではないか。
そうなのかも知れない。いつしか夢だったのだと思い込もうとさえした。
直哉は狡猾だった。記憶は次第に薄れ、当初の印象は記憶中で変化を遂げる。忘れた頃にまた直哉はやってきた。
「どうした? 淑音」
不思議そうな顔をつくって、直哉が言う。そう言われてしまうとただ、肩を引き寄せられただけだ、少なくとも傍からそう見えると冷静な自分が訴える。
身体には一切触れていない。触れさせてはいない。それなのに直哉の目が、仕草が、淑音にたまらない気持ち悪さを呼び起こすのだ。
「やめてください」
「何をだ?」
何も言えなくなる。
淑音は深い深い闇の中に沈みこんでいった。
そこは一切の光を遮断する漆黒の暗闇。子供の自分では抵抗できない無力感と、具体的に何をされたとも言えないもどかしさ。さらに、その奥底に渦巻いているのは泥ついた殺意。
「こいつさえいなければ──」
ミツキの言葉はそのまま、淑音自身の心の叫びでもあった。
そして事件は起こった。あの日のことを、まるでついさっきの事のように思い出す。あの日。それは、お盆休みを挟んで門下生の殆どが実家に帰省して行った日。
これまでもやかましく鳴いていた蝉が、残り少ない命だとばかりに最後の生命を燃やして鳴いていた。
道場。
人気がないということは、淑音にとっては恐怖だった。道場での鍛錬は義父とふたりきりということになる。
母、文音は滅多なことでは道場に顔を出さない。思えば、母とはここ数ヶ月ほとんど話していない。
元々、気難しい人だ。わたしとは性格も、物事の捉え方もまるで違う。だから何を考えているのだろうと、淑音は幼い頃から何度も思った。
意見の相違を反抗と見なされては、行き過ぎた仕置きをされた事も、一度や二度ではない。
けれど武術に励み、母の力を遥かに上回るようになってからは、淑音に対する母の攻撃は止んだ。
これが力というものなのか。やはりこの家で自分を守るためには自分で戦わねばならないのだ、と、淑音は思っていた。
けれど今回の件には淑音は、ほとほと参ってしまっていた。
同じ女性に、特に母親に相談したかったが、あの母親ではそれも叶うまい。それは、母親の気難しさとは別の理由があった。
──お母様はわたしに嫉妬している……。
それが何に対してのものか、明確には分からなかったが、女性として直感がそう教えていた。
鍛錬を休んでしまおうかとも思ったが、義父はそれを許すまい。
普段から、淑音の手抜かりを探してつついてくるような男だ。淑音にも意地があった。
それでいつもの時間には、道着に着替えて道場に足を向けていた。
思えばこれがそもそもの間違い。プライドなどかなぐり捨てて、いつもの習慣など破ってしまえばよかった。淑音は後に後悔する。
「稽古をつけてやろう」
道場で向かい合いながら、直哉は言った。
道場では淑音の方が立場が上である。何しろ祖父に道場を任されたのは淑音なのだ。
傲慢不遜。祖父が存命であれば決して許されない無礼が、今はまかり通っている。
直哉は実の所、剣の腕も立つ。
淑音に対して、五回戦えば二回は勝つ。
実力は拮抗していると言ってもいい。だからこそ、直哉は我慢ならないのであろう。
何故、俺が選ばれなかったのかと。
けれど、直哉には人間として欠落している部分が大きかった。祖父はそれを危惧していたのだ、と淑音は思う。
「いいですよ。直哉さん」
淑音は彼を決して、お義父さんとは呼ばない。
それは彼を家族としては認めていないことの、ささやかな淑音なりの抵抗だった。
向かい合ったふたりは、それぞれの思惑を抱えながら竹刀を握る。
「いつでも結構です」
淑音は言った。
直哉は不敵な笑顔を浮かべている。酷く不快な表情。
けれど淑音は惑わされない。
──わたしの剣技で叩きのめしてやる……!
視線は真っ直ぐ彼の剣先に注がれている。
その些細な動きから、彼の全ての行動を読み解こうとするように。
道場の空気が緊張に包まれた。
さっきまで鳴いていた蝉が何処へやら。今は沈黙している。
ギシッ。
床を踏み抜く音。
思いっきり床を蹴って、前のめりに直哉は飛んでいた。
電光石火。
竹刀が空気を切り裂いた。
淑音は軽く腕を振って、それを竹刀で受け流す。まともに打ち合ったりはしない。
力ではどうしたって直哉に分がある。
だから、衝撃を逃がしながら、直哉の一瞬の隙を待つ。
カッカッ!!
竹刀のぶつかり合う音。
剣には人というものが表れる。淑音は、そう考えていた。その人の剣技を見れば、どんな人物か自ずと明らかになる。
そういった観点から直哉の剣を見れば、彼の剣技は何処までも周到で、狡猾だ。勝つためには手段を選ばない。
それは図らずも、蒼月家の教えとも重なるところがあった。『全ての事を差し置いて、勝利を目指すべき』。
他者を害し、自らの生存をモットーとする蒼月家がたどり着いた教え。
だから、彼の剣技と蒼月家の教えには、通ずるものがある。
それでも、それはあくまで『戦い』においてのみである。
それなのに直哉は全てのことにおいて、その教えに準じていた。自分の欲する物の為ならば、他者を顧みることは無い。例外はない。
だから妻がいる身でありながら、義理の娘であろうと毒牙にかけようというのだ。
数度の打ち合いの後、直哉は大きく前進すべく、また一歩床を踏み抜いた。
淑音は、距離をとろうと後ろに下がりかけて、引き止められた。見れば、淑音の道着の襟首を直哉の手が掴んでいる。
「くっ」
これは剣道では無い。明確なルールなどない。ただ敵を打ちのめし、屈服させる実戦を意識した戦いだ。
だから相手の服を掴もうが、髪を掴もうが、勝利すればなんの問題もなかった。
淑音は掴まれた手を振りほどこうと、身体ごと右に大きく旋回する。
淑音と直哉は、クルクルとまるでダンスを踊るように道場を回った。
「楽しいなぁ。淑音ぇ」
直哉が笑い、淑音は表情を固くする。
道場に人は居ない。もし、ここで直哉に組み伏せでもされたらと淑音は考える。
幾ら剣技の上で直哉を幾らか凌ぐとはいえ、男性にのしかかられたら、抵抗する事など出来ない。
「知ってるか淑音。母さんのことだ」
淑音は思う。
──お前が『母さん』と呼ぶな。
「あの女はなぁ……。お前に女として負けてると思っているんだぜぇ? 毎日聞いてくるんだ。わたしと淑音、どちらが綺麗ですか? 魅力がありますか、ってなぁ」
淑音は目を見開いた。
「あんたが……、あんたがそんなんだからお母様は……っ!!」
「口の利き方がなってないな。お義父さま、だろ?」
「誰がっ!!」
身体の芯が燃えて、ドス黒い感情が淑音を突き動かした。祖父の教えとは真逆の冷静さを失った行動だ。構うものかと怒りに任せて、淑音は腕を振り払う。
直哉は思わぬ抵抗に面食らったらしく、後ろにバランスを崩しかけた。
淑音はその隙を決して見逃さない。床を力強く蹴り、渾身の一撃を直哉の脳天に向けて振り下ろす。
ヒュン、と竹刀が空気を切り裂き、その速さゆえに竹刀が折れ曲がって見えるほどだった。
──とった!!
確信する。
けれど、淑音の予想を超越して直哉は身体を捻り、それを苦もなく交わしてみせた。驚異的な身体能力。神様がそれを直哉に与えたというのなら、余りにも理不尽な力だった。
淑音の竹刀は空を切って、道場の床を激しくうち叩く。バシン、という音が道場に反響した。
淑音は、手に伝わる衝撃に耐えながら急いで腕を引く。今度はこちらが隙だらけだ。冷や汗が背中に伝わる。それがどういうことを意味するか、淑音には分かっていたからだ。
直哉が下卑た笑みを浮かべた。
淑音の激情を逆手にとって、これ以上ないチャンスを作り出した。なんという僥倖。直哉は舌舐めずりをする。
淑音の手首に激痛が走る。直哉の竹刀が手首にめり込んでいた。
「いっ……痛っ!」
思わず叫んで、淑音は竹刀を取り落とした。その様子がスローモーションのように映る。まるで映画のワンシーン。絶望的な一コマ。
続いて、喉元に竹刀が抉りこまれて、淑音は声にならない声をあげる。
「げ……ぇ……っ」
自分の意志とは別に、淑音は道場の床に竹刀の先端で押し付けられるように、倒れ込んでいた。
頭からの危険な転倒。強かに打ち付けたせいか、視界が一瞬真っ白になる。数秒の間意識を失っていたかもしれない。
「ふはははは……。この時をずっーと、待っていたぞ淑音ぇ……!」
どこか遠くで、直哉の声が聞こえた。
淑音は自分にのしかかる重みを感じる。直ぐに直哉のものと分かった。直哉は淑音に馬乗りになって、勝ち誇りながら笑っていた。
「わ……わ、た……し……に」
呂律の回らない口で、淑音は叫ぼうとした。
──わたしに何かしたら、殺してやる殺してやる殺してやる殺して──
口元を直哉の手が押さえつける。呼吸が、声が、止まった。噛み付くほどに脳は回復していない。だから殆ど抵抗は出来なかった。
絶望が、淑音の全身を襲った。まるで道場の床に今まで潜んでいたムカデが、全身を這い回って埋めつくしていく。
──殺してや……。
無力さに襲われた。蒼月家の看板を背負ったとはいえ、ただの少女に過ぎない。何が正しいか、常に正解を選択出来る訳でもない。どこで間違ったのか、何がいけなかったのか。
「やめて……」
「あ?」
「や、やめてください……。お義父様……。どうか……」
屈辱的な敗北宣言だった。言葉と同時に、淑音は目尻から涙が溢れだしてくるのを感じた。
「ふふふふふ……。鼻からそうしおらしくしていれば、痛い目に合わずに済んだものを……。なあに、大人しくしていれば、出来るだけ優しくしてやるよ」
直哉の目は被虐的な光で満ちていて、その顔は上気している。それは、世の中にこれ程醜い笑顔があるのかと思える表情だった。
淑音は目を閉じる。もうこうなれば、心を殺す以外に方法はない。暗闇の中に逃げ込んだ。
ズブリと何かが刺し貫く音がした。それは、油の沢山入った布袋を刃物で突いた時のような感じだ。
袋が破けて、中に詰まっていた油がこぼれ落ちた。
べちゃ……。べちゃ……。
生臭い匂い。それが自分に大量に降り掛かっている。
僅かに目を開けて、世界が真っ赤に染まっているのが見えた。赤い液体が視界全体を覆っている。
赤い水が噴水のように吹き上がっていて、その出処は直哉のようだった。
「かは……っ……」
間の抜けた直哉の声は、苦しそうに震えている。その時、ようやく淑音はまともに状況を認識した。
直哉の腹の辺りから、一本の切っ先が生えていることに。それは背中から貫通し、腹から抜けていた。
直哉自身も状況を飲み込めていないらしく、痙攣しながら背後をゆっくり振り向いた。
そこには──。
母、文音の姿があった。
蒼月家に代々伝わる、真剣「奇怪丸」。その切れ味故に、妖怪であろうと魑魅魍魎であろうと切ってしまうといういわく付きの刀だ。
その刀をあろう事か、母が直哉への致命傷を負わせるために用いている。
刀は大した抵抗なく、再びゆっくり引き抜かれた。
腹と背中を貫通した穴から、更に大量に出血。
まだ直哉は状況が理解できないというふうに、泣きそうな顔を文音に、そして淑音に、向けた。
その表情に淑音は刺し貫かれたように動けなくなってしまう。直前まで自分を犯そうとしていた男の哀れな表情だ。
それなのに、罪悪感が込み上げる。そして、生理的な恐怖が這い上がってきた。
「淑音。行きなさい」
母の言葉のお陰で、どうにか正気を保つ。
淑音は未だに理解が追いつかない。
「声に従って行きなさい!!」
今度は大声を張り上げるように言った。瞬間、弾かれるように身体がコントロールを取り戻し、淑音は自分にのしかかる直哉を弾き出すように立ち上がった。
あれほど、抵抗が難しいように思えた直哉の身体は、簡単に弾かれ床にべちゃりと転がった。
更に血溜まりが広がる。自分の血溜まりで溺れながら、直哉は最後の言葉をあぶくと一緒に吐き出した。
「淑音ぇ……」
最後の声は助けを求めるように聞こえた。
──きゅ、救急車を……っ!!
最早どう見ても助からない。けれど冷静さを失った淑音にはそれが分からない。
今度は声が頭で響いた。
「淑音……おいで」
はっきり淑音を呼ぶ声が頭の中で反響する。何が何だか分からなかった。
直哉に襲われ、その直哉を母が刺し貫いた。さらにずっと響いていた声が、分かるようにわたしを呼んだ。そもそも母に「声」について話した覚えはない。何故『声に従うように』と母は言ったのか。
困惑の表情を母の方に向ける。
母は何だか、数十歳も歳を多くとったような様相だ。普段の母とは違う雰囲気を感じたが、
「行きなさい!!」
と追い立てられ、淑音は道場を抜け、声の導くままに走り出した。
──何がどうなっているの……!?
ざーっと、響く音からすると外は土砂降りのようだった。いつもの間にか、大雨が降り出していたらしい。
玄関を抜け、傘も持たずに駆け出した。雨は、淑音の身体を容赦なく濡らした。けれど、今はその雨の一粒一粒が心地よかった。
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