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#006
推理
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まずは何より情報収集だ。
放課後になって河内森キョウコのクラスメートに河内森キョウコについて聞くと、JDさんたちの組織が上手く情報操作をしたのだろう、どうやら親の急な転勤によって引っ越したという事になっているらしかった。河内森キョウコと仲の良かったやつも特にいないようだったので、誰も気にしていないようだった。
ユウキについてもそうだった。あいつについて尋ねたやつらは、最初はユウキの死に驚いたらしいが、地味で学校にもそんなに来ていなかったので特に思う事はないそうだ。
そもそも偽者は人とつながりが少ない人間から狙うらしいので、当たり前と言えば当たり前なのだが、それにしてもこういう事態に慣れつつあるこの状況も異常なのではないだろうか。
だって、毎週死者が出る状況だぜ?明らかに不自然であると思うのだが、対したニュースにもなっていないし、この事件を究明しようというやつもいない。そもそも、これらの一件を事件であると認識していないからだろう。いや、それも込みでやつらの地球侵略作戦なのか。だとすれば功名だな。諸葛亮もびっくりだぜ。
さて、ここらで一先ずこれまで事、そしてこれからの事を紙にでも書いて整理しておくべきだろう。俺の脳の情報処理に関するスペックでは二桁×一桁の暗算が精一杯だからな。
俺は自分の部屋の勉強机にルーズリーフを数枚並べると、そこにこれまでこの事件に少しでも関わりのあった人物を既に死んじまったやつを赤ペンで、まだ生きているやつを黒ペンで相関図のようにして書き込んだ。
「ふむ……」
出来上がった図を見ると、案外俺の周りの小さなサークル内での事件のように思えてくるな。嵐の孤島、吹雪の山荘みたいなミステリー小説の登場人物の総勢であればまずまずであると思うが、学校規模の事件であればいささか登場人物が少ない。主要人物であればなおさらだ。
順に、妹、宮之阪、ユウキ、JDさん、河内森キョウコ、ペテン師X、そして手がかりゼロの真犯人。その内半分がもういないし、半分が敵サイドだ。この中で残っている俺の味方と言えるのはもうJDさんくらいである。
だが、メモ帳についてはJDさんたちもその行方が分からないようだったので、現段階では俺と同じ程度か少し多いくらいの情報しか持っていないと考えていいだろう。
であれば、このラインナップで未だ直接探りを入れていないのはペテン師Xだけだな。新たに発覚した真犯人に関係しているかどうかは微妙なところだが、現状何も手がかりがない以上しらみつぶしに一度調査しておいてもいいだろう。
あの時は正体までは突き止めていなかったからな。
あれから少し時間は立ってしまっているが、幸いにも宮之阪の推理によって生徒会に居ることまでは分かっている。今からでも俺一人で見つけるのはそんなに難しいことじゃあないはずだ。
「他に、少しでも事件に関係していたやつっていたっけか……」
今一度相関図ざっと見回してみる。
……「宮之阪」の名前が目に入りふと思ったのだが、そう言えば宮之阪亡き今、宮之阪妹の方はどうしているのだろうか。宮之阪からは両親共に仕事で忙しく世界を飛び回っているがゆえにほとんど家を空けていると聞いていたので、仮に宮之阪の両親があいつの死後一度も家に帰ってきていないとすると宮之阪妹は未だ俺らが訪問した時のように部屋に監禁されている事になるのだが。
さすがに学校側から宮之阪の訃報の連絡があり宮之阪の両親は一度帰宅しているとは思うが、宮之阪妹が現在どのような状態にあるのか一度確認しておいても遠回りといことはないだろう。宮之阪の両親共々帰宅していた場合、宮之阪妹は拘束を解かれている可能性が高いが、運が良ければ宮之阪について何かしらの情報が得られるかもしれんからな。
「―――てなわけで用心棒としてついて来て欲しいんだが、それくらいはいいよな?」
両親が寝静まった後、俺は隣の妹の部屋の前でドア越しに妹(偽)にそう話しかけた。部屋の電気はついているのでまだ起きているはずだ。
少ししてゆっくりとドアが開き、
「……入ってください」
招かれるまま十年ぶりにくらいに妹の部屋に入った。
放課後になって河内森キョウコのクラスメートに河内森キョウコについて聞くと、JDさんたちの組織が上手く情報操作をしたのだろう、どうやら親の急な転勤によって引っ越したという事になっているらしかった。河内森キョウコと仲の良かったやつも特にいないようだったので、誰も気にしていないようだった。
ユウキについてもそうだった。あいつについて尋ねたやつらは、最初はユウキの死に驚いたらしいが、地味で学校にもそんなに来ていなかったので特に思う事はないそうだ。
そもそも偽者は人とつながりが少ない人間から狙うらしいので、当たり前と言えば当たり前なのだが、それにしてもこういう事態に慣れつつあるこの状況も異常なのではないだろうか。
だって、毎週死者が出る状況だぜ?明らかに不自然であると思うのだが、対したニュースにもなっていないし、この事件を究明しようというやつもいない。そもそも、これらの一件を事件であると認識していないからだろう。いや、それも込みでやつらの地球侵略作戦なのか。だとすれば功名だな。諸葛亮もびっくりだぜ。
さて、ここらで一先ずこれまで事、そしてこれからの事を紙にでも書いて整理しておくべきだろう。俺の脳の情報処理に関するスペックでは二桁×一桁の暗算が精一杯だからな。
俺は自分の部屋の勉強机にルーズリーフを数枚並べると、そこにこれまでこの事件に少しでも関わりのあった人物を既に死んじまったやつを赤ペンで、まだ生きているやつを黒ペンで相関図のようにして書き込んだ。
「ふむ……」
出来上がった図を見ると、案外俺の周りの小さなサークル内での事件のように思えてくるな。嵐の孤島、吹雪の山荘みたいなミステリー小説の登場人物の総勢であればまずまずであると思うが、学校規模の事件であればいささか登場人物が少ない。主要人物であればなおさらだ。
順に、妹、宮之阪、ユウキ、JDさん、河内森キョウコ、ペテン師X、そして手がかりゼロの真犯人。その内半分がもういないし、半分が敵サイドだ。この中で残っている俺の味方と言えるのはもうJDさんくらいである。
だが、メモ帳についてはJDさんたちもその行方が分からないようだったので、現段階では俺と同じ程度か少し多いくらいの情報しか持っていないと考えていいだろう。
であれば、このラインナップで未だ直接探りを入れていないのはペテン師Xだけだな。新たに発覚した真犯人に関係しているかどうかは微妙なところだが、現状何も手がかりがない以上しらみつぶしに一度調査しておいてもいいだろう。
あの時は正体までは突き止めていなかったからな。
あれから少し時間は立ってしまっているが、幸いにも宮之阪の推理によって生徒会に居ることまでは分かっている。今からでも俺一人で見つけるのはそんなに難しいことじゃあないはずだ。
「他に、少しでも事件に関係していたやつっていたっけか……」
今一度相関図ざっと見回してみる。
……「宮之阪」の名前が目に入りふと思ったのだが、そう言えば宮之阪亡き今、宮之阪妹の方はどうしているのだろうか。宮之阪からは両親共に仕事で忙しく世界を飛び回っているがゆえにほとんど家を空けていると聞いていたので、仮に宮之阪の両親があいつの死後一度も家に帰ってきていないとすると宮之阪妹は未だ俺らが訪問した時のように部屋に監禁されている事になるのだが。
さすがに学校側から宮之阪の訃報の連絡があり宮之阪の両親は一度帰宅しているとは思うが、宮之阪妹が現在どのような状態にあるのか一度確認しておいても遠回りといことはないだろう。宮之阪の両親共々帰宅していた場合、宮之阪妹は拘束を解かれている可能性が高いが、運が良ければ宮之阪について何かしらの情報が得られるかもしれんからな。
「―――てなわけで用心棒としてついて来て欲しいんだが、それくらいはいいよな?」
両親が寝静まった後、俺は隣の妹の部屋の前でドア越しに妹(偽)にそう話しかけた。部屋の電気はついているのでまだ起きているはずだ。
少ししてゆっくりとドアが開き、
「……入ってください」
招かれるまま十年ぶりにくらいに妹の部屋に入った。
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