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過去編
百年の恋、もしくは隠された希望
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ルリは憂いに目を伏せた。故郷のベグテクタを恋しく思っているのだろうとジルは察した。しばし悩み、悪魔にしてはまぬけな姿のダイアスにジルは害はないだろうと判断することにした。
「ここから数分歩いたところに半分地下になっている所があり、そこに鏡のような美しい泉があるとメイド長から聞いたことがあります」
「そんな所があるなんて。どうして教えてくれなかったのよ」
「ルリ様は目を離すとすぐにどこかへ行ってしまうので。捜す場所が増えると私も大変なのです」
「なによ、それ」
ルリがふてる。
「もし足を滑らせて落ちても大変ですからね。けど今は私がいるので大丈夫でしょう。さっさと終わらせて、刺繍を致しますよ」
「ありがとう、ジル」
ルリはダイアスに手を伸ばす。
「乗って。案内してあげる」
「俺は飛べる」
「人に見られたら私の立場がなんというか、難しくなるの。変人と思われたらここでの生活がもっとやりにくくなるの。大丈夫、潰したりしないから」
ダイアスは少し止まって、しょうがなさそうにルリの掌に乗った。ルリはゆっくりと立ち上がる。
「行きましょう、ジル」
「はい」
ジルに付いて十分程歩いた。中庭を抜け、灰色の建物の傍にある白い石段を壁をつたっておりていく。すると壁にぽっかりと開いた入り口があり、そこに入る。少し暗かったが日光が入り込み、床に白く伸びていた。すぐに水の音が聞こえた。
「付きましたよ」
そこには丸い泉があった。蝋燭の形のような上に球体が乗った石のオブジェが泉を囲むように四つあった。ルリは泉を覗き込むと底は見えず、自分の顔と風景がはっきりと映っていた。
「本当の鏡みたい……」
「 鏡泉というようですよ」
ジルが泉の名前を教えた。ルリの手からダイアスが飛び立つ。
「助かった。少し遠くまで飛んだら帰り道が分からなくなってな」
「いいわ。また迷子になったら送ってあげる。ここまでの道も覚えたし」
「もう遠出はしない」
ダイアスはそう言って泉に身体をつけた。
「あなたお魚なの? 」
ルリが尋ねる。
「違う。けど水の中の方が好きだ」
「水の中でも息ができるの? 」
「当たり前だ」
ルリは感心した声を上げた。
「水の中でも陸の上でも息ができるなんて、凄いわね」
「空の上でもできる」
「素敵! 」
ルリは目を輝かせた。
「あなた面白いわ。また会いに来てよ」
「だから遠出はもうしない」
「じゃあ私がここまで会いに来るわ」
「ルリ様! 」
ジルが怒る。ルリは振り返り、頼んだ。
「お願いジル。足を滑らせて泉に落ちるなんてドジはしないから」
ジルが頭を抱える。
「あなたは言って聞くようなお方ではないですからね。どうしたものでしょう……」
ルリは困るジルを笑い、ダイアスの方へ向き直る。
「私が会いに来るから。来たら顔を出してよ、ダイアス」
「……気が向いたらな」
ダイアスは、ぽちゃん、と泉の中へ潜っていった。
「ここから数分歩いたところに半分地下になっている所があり、そこに鏡のような美しい泉があるとメイド長から聞いたことがあります」
「そんな所があるなんて。どうして教えてくれなかったのよ」
「ルリ様は目を離すとすぐにどこかへ行ってしまうので。捜す場所が増えると私も大変なのです」
「なによ、それ」
ルリがふてる。
「もし足を滑らせて落ちても大変ですからね。けど今は私がいるので大丈夫でしょう。さっさと終わらせて、刺繍を致しますよ」
「ありがとう、ジル」
ルリはダイアスに手を伸ばす。
「乗って。案内してあげる」
「俺は飛べる」
「人に見られたら私の立場がなんというか、難しくなるの。変人と思われたらここでの生活がもっとやりにくくなるの。大丈夫、潰したりしないから」
ダイアスは少し止まって、しょうがなさそうにルリの掌に乗った。ルリはゆっくりと立ち上がる。
「行きましょう、ジル」
「はい」
ジルに付いて十分程歩いた。中庭を抜け、灰色の建物の傍にある白い石段を壁をつたっておりていく。すると壁にぽっかりと開いた入り口があり、そこに入る。少し暗かったが日光が入り込み、床に白く伸びていた。すぐに水の音が聞こえた。
「付きましたよ」
そこには丸い泉があった。蝋燭の形のような上に球体が乗った石のオブジェが泉を囲むように四つあった。ルリは泉を覗き込むと底は見えず、自分の顔と風景がはっきりと映っていた。
「本当の鏡みたい……」
「 鏡泉というようですよ」
ジルが泉の名前を教えた。ルリの手からダイアスが飛び立つ。
「助かった。少し遠くまで飛んだら帰り道が分からなくなってな」
「いいわ。また迷子になったら送ってあげる。ここまでの道も覚えたし」
「もう遠出はしない」
ダイアスはそう言って泉に身体をつけた。
「あなたお魚なの? 」
ルリが尋ねる。
「違う。けど水の中の方が好きだ」
「水の中でも息ができるの? 」
「当たり前だ」
ルリは感心した声を上げた。
「水の中でも陸の上でも息ができるなんて、凄いわね」
「空の上でもできる」
「素敵! 」
ルリは目を輝かせた。
「あなた面白いわ。また会いに来てよ」
「だから遠出はもうしない」
「じゃあ私がここまで会いに来るわ」
「ルリ様! 」
ジルが怒る。ルリは振り返り、頼んだ。
「お願いジル。足を滑らせて泉に落ちるなんてドジはしないから」
ジルが頭を抱える。
「あなたは言って聞くようなお方ではないですからね。どうしたものでしょう……」
ルリは困るジルを笑い、ダイアスの方へ向き直る。
「私が会いに来るから。来たら顔を出してよ、ダイアス」
「……気が向いたらな」
ダイアスは、ぽちゃん、と泉の中へ潜っていった。
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