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平和編
good-bye,
しおりを挟む気づいたら、シズは階段を上がっていた。すぐにそれは高校で、屋上へ向かっているのが分かった。ドアを開ける。絵本みたいな青空が広がっていた。
「あれ、静じゃん」
見ると、柵にもたれているカケルがいた。けれどいつものカケルとは違った。私服を着てなんか少し大人で、あれだ、高校生のカケルじゃない。
「お前、いつもと違うな」
シズと同じ感想をカケルは口にした。
「なんか最近、女の時の静の夢よく見るんだよな」
「女の時? は? 」
「お前、男になったじゃん」
「は? 」
「東高にお礼参りに行った帰り、俺と別れてからお前行方不明になったじゃん。三日後記憶喪失になって見つかったら、お前男になってて。DNA検査したら、ちゃんとお前の父ちゃんと母ちゃんと親子って証明できて。結構な大騒ぎになったんだぞ。田舎だし」
シズは絶句した。ミトス・スイドは、男になったシズとして生活してるのか? 生まれてすぐ入れ替わったわけだから、DNA検査は正しいはずだ。それでもシズは心の中で、マジかよを繰り返す。
「けどやっぱり別人だったんだな」
ひとりパニックになっているとカケルは平然といった。
「記憶喪失とかいってるけど、あいつなんか変だし。お前と顔同じだけど、なんか違う。なんかさ、男の静の方が品位がある」
「殴るぞてめぇ」
シズは聞きたい事も、言いたい事も山ほどある。
「男の私は、幸せそうか? 」
なのにシズは、一番にそんなことを聞いてしまった。カケルは唸った。
「よくわからん。けどいい奴だよ。ご飯が美味しいっていってる。パン食べてるときは幸せそうかも」
シズは思わず笑った。
「お前は幸せか? 」
カケルが唐突に聞いてきた。
「幸せか? 」
二回聞かれ、シズは答えた。
「よくわからん。けどこっちにもいい人いるよ。お前にそっくりな女もいる」
「え! そいつ絶対美人だな」
否定できないのが、シズは悔しい。
「私、元気だから」
伝えられないと思ったことが伝えられた。シズは泣きそうだった。
「おお、そりゃよかった」
カケルの指先が白い欠片となって飛んで行く。白い欠片が飛ぶたびに、カケルが消えていく。シズは焦って言いたい事を並べまくった。
「カケル、つらいことはあまりするなよ。嫌なことはうまく断れ。お前、性格は悪いけど、いい奴だからさ。それでもしんどいことがあったら、落ち込んでいいからな。どんなに周りが急かしてきてもすぐに元気にならなくていい。気が済んでから元気になれ。それでできるだけ長く図太く生きろ! 」
消えていくカケルの笑い声がゲラゲラと響く。
「なんだ、お前。気色わりー」
シズは目が覚めた。
「最後の言葉が気色悪いって。ひでー奴」
シズはこみ上げた笑いと共に涙がこめかみに流れ、こそばゆい。ああ、寂しい。
ぶっ倒れたシズは、インデッセの病院に運ばれたが、結局船に乗せられ、意識が戻らないままアベンチュレに戻ってきたらしい。(実際は何度か目を開けたらしいが、記憶にない)重度の貧血と、風邪で結構大変だったらしい。念のため、少し長めに入院をすることになった。シズが目が覚めてから、色んな人が見舞いにきた。ジャモンは色々持って、毎日来る。アシスもほぼ毎日来てくれる。シズがあれからのことを聞くと、ルバはとりあえず八局棟にいるという。だが、結局九十七期生の真実を公にすることはなく、これから彼をどうするか検討中だという。ひと段落はついて、ほっとしたけど、なんか、何とも言えない気持ちだとアシスは言った。アシス達は国のトップシークレットを抱えることになったのだ。国というのは大変だとつくづく思うし、戦争を起こさないって大変なんだなと、シズは思った。平和は根比べだ。シズはハクエンとも長い話をして、顔見知りはほとんど来た。アザムもカルカとシズの見舞いにきた。シズは同じ病院に入院している、ラリマの所に突撃した。すると、ラリマは大号泣した。学生時代はあんなクソ野郎だったのにとシズは思った。。
「マッシュって呼ぶのやめて、これからはちゃんとラリマって呼ぶよ」
と、反省すればなんとラリマは拒否した。
「俺、実はあだ名付けて貰ったことがなくて。実は少し嬉しかった。内緒だぞ! クドとかには言うなよ! 内緒だぞ! 」
と言った。
シズが目が覚めて一週間。病室にカザンが現れた。
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