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高校早退して気づいたら親友の家でした
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トモはふ、と目を覚ました。
こたつの中でいつの間にやら寝ていたらしい。
ユウはまだ帰っていないが、寝癖の生えた頭の中はぽやっとしていて、自身がどこにいるのか、なぜ寝ていたのか、そんな疑問すら浮かばなかった。
すん
わずかに鼻を鳴らす、かすかに、吸い込まれる、良い匂い。
「……もっと」
そんなことを呟いて、トモはふらふらと立ち上がった。
目は開いているはずなのに、視界がどこかぼやっとして定まらない。壁についている手もどこか感覚が遠い。
それでも、今はこの良い匂いがたくさん欲しくて、トモは少しでも濃い方へと壁に寄りかかるように歩いていた。
「はぁ……、あ、ここ?」
ドアの隙間に顔を近づけ、うっとりと目を閉じる。そのままずるずるとしゃがみ込んで、しばらくそうしていたのだが、まだ足りない、もっと欲しいと、頭のどこかが訴えている。
そっと、震える手でノブへと手を伸ばす。
ぶわり
部屋から溢れてきた匂いを、胸いっぱいに吸い込んだ。
「あ、すご、いい、におい」
お酒を飲んだ時のようにふわふわとしている。
明らかに正常ではない自身の様子には気づかず、普段なら決して勝手に入ったりはしないユウの部屋へと入り込んだ。
ふらふらとベッドに上がり込み、布団を体に巻き付ける。それだけで、肺の中と頭の中が多幸感に満ち、さらに思考が溶けていく。
すっかりぽやぽやになったトモは、布団へと顔を埋めながら、自身の周りに居心地良く、布団を幾重にも巻きつけ始めた。
---
「ただいま、トモ、抑制剤買ってきた……トモ?」
玄関を開き、少し顔を赤くしたユウが居間を覗いてトモへと声をかけたのだが、コタツはもぬけの殻だった。
慌てて玄関を振り返って、トモの靴があることを確認して、ほっと息を吐く。
「トモ?トイレ?」
廊下へと目をやり、ユウは自分の部屋のドアが開いていることに気づいた。
「トモ?」
薄暗い部屋を覗くと、部屋の隅に置かれたベッド。
その上で、布団を体の周りにぐるりと配置し、中央で枕を抱きしめながら、半ば意識を飛ばしかけているトモがいた。
ふらりと上半身が揺れるたびに、わずかにピクリと反応して身体を戻し、枕へと顔を埋める。
今回は、抑えるつもりだった。
だからわずかに発情期の兆しを見せたトモを、急いで自身の家へと保護したつもりだったし、抑制剤も慌てて買ってきた。
せめて高校を卒業するまで、大学には通いたいなら通わせて、それでも、待つつもりはあったのだ。
けれど、この姿。
普段はしっかり者のトモが、ぽやっとした顔で、ユウの布団で巣作りし、枕を抱えて幸せそうに吸っている。
そんな姿を見せられて、ユウは部屋のドアを閉めた。
カチリと鍵をかけ、もうひとつのドアロックもはめる。
そして、部屋に充満し始めたトモの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
---
あとがきのようなもの
なんか、他のお話読んでいいね押してくださってる方いまして、場所違いかもですが、ありがとうございます~
こたつの中でいつの間にやら寝ていたらしい。
ユウはまだ帰っていないが、寝癖の生えた頭の中はぽやっとしていて、自身がどこにいるのか、なぜ寝ていたのか、そんな疑問すら浮かばなかった。
すん
わずかに鼻を鳴らす、かすかに、吸い込まれる、良い匂い。
「……もっと」
そんなことを呟いて、トモはふらふらと立ち上がった。
目は開いているはずなのに、視界がどこかぼやっとして定まらない。壁についている手もどこか感覚が遠い。
それでも、今はこの良い匂いがたくさん欲しくて、トモは少しでも濃い方へと壁に寄りかかるように歩いていた。
「はぁ……、あ、ここ?」
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そっと、震える手でノブへと手を伸ばす。
ぶわり
部屋から溢れてきた匂いを、胸いっぱいに吸い込んだ。
「あ、すご、いい、におい」
お酒を飲んだ時のようにふわふわとしている。
明らかに正常ではない自身の様子には気づかず、普段なら決して勝手に入ったりはしないユウの部屋へと入り込んだ。
ふらふらとベッドに上がり込み、布団を体に巻き付ける。それだけで、肺の中と頭の中が多幸感に満ち、さらに思考が溶けていく。
すっかりぽやぽやになったトモは、布団へと顔を埋めながら、自身の周りに居心地良く、布団を幾重にも巻きつけ始めた。
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「ただいま、トモ、抑制剤買ってきた……トモ?」
玄関を開き、少し顔を赤くしたユウが居間を覗いてトモへと声をかけたのだが、コタツはもぬけの殻だった。
慌てて玄関を振り返って、トモの靴があることを確認して、ほっと息を吐く。
「トモ?トイレ?」
廊下へと目をやり、ユウは自分の部屋のドアが開いていることに気づいた。
「トモ?」
薄暗い部屋を覗くと、部屋の隅に置かれたベッド。
その上で、布団を体の周りにぐるりと配置し、中央で枕を抱きしめながら、半ば意識を飛ばしかけているトモがいた。
ふらりと上半身が揺れるたびに、わずかにピクリと反応して身体を戻し、枕へと顔を埋める。
今回は、抑えるつもりだった。
だからわずかに発情期の兆しを見せたトモを、急いで自身の家へと保護したつもりだったし、抑制剤も慌てて買ってきた。
せめて高校を卒業するまで、大学には通いたいなら通わせて、それでも、待つつもりはあったのだ。
けれど、この姿。
普段はしっかり者のトモが、ぽやっとした顔で、ユウの布団で巣作りし、枕を抱えて幸せそうに吸っている。
そんな姿を見せられて、ユウは部屋のドアを閉めた。
カチリと鍵をかけ、もうひとつのドアロックもはめる。
そして、部屋に充満し始めたトモの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
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