キフの薄い本

中山(ほ)

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二冊目 「先っぽだけ」を信じるな!

過保護

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 ヒィロは瓶の中、内心頭を抱えていた。
 こうなる気はしてたけど、してたけど!
 視線の先、とはいっても視界は360度あるのだが、注目しているのは下界を映す水鏡だ。
 ヒィロの子孫たちである聖剣一族の暴走によって至る所が削り取られた世界に名だたる学園都市……の残骸。
 一族の当主は後片付けに頭を抱えながらも、どさくさに紛れて持ち出した大量の蔵書へと頬擦りをしていた。
 後ろから伸ばされた手のひらが見る間に大きくなり、視界の大半が塞がり、持ち上げられる。

「あれ、まだ見てたの?」

 最高神であり長年の付き合いであるキィが手に取った小瓶へと話しかける。

『せめて、最後まで見届けるべきかと……』

「最後までって、どこまでが最後?」

『……そ、だな。これ以上は見てても意味ないか』

 返事を受けて、キィは魂を封じた小瓶に鎖を繋いでいつもの腰元へとぶら下げた。

『あ~、キィ?ルインがたくさん本を手に入れたみたいだから、引っ越しが終わるまで保管してやれないかな?』

「いいよ!僕がしまっておいてあげる!!」

 キィはパッと顔を輝かせて食い気味に返事をする。瓶の光が気まずそうに瞬いた。

『ありがと』

「ヒィロ、一つ貸しね」

『………はぁ、わかった』






 弾むような足取りで長い廊下を歩きながら、キィは瓶を見下ろして笑った。

「あのね~、明日一日だけ、ヒィロの記憶消していーい?」

 一日分の記憶を消されるのか、記憶を消されて一日過ごすのか、どちらとも取れる言い方だったが、どっちだろうと、瓶詰め魂の自分にさせられる事なんてたかが知れている。そんな結論にたどり着いて軽く答えた。

『なんだ、もっと無茶なこと言われるかと思ったら、全然マシだな。ちょっとホッとした』

「なにそれ~、僕のことなんだと思ってるのさ。で、返事は?」

 口を尖らせる黒髪の少年。これで最高神だというのだから、まったく。

『まぁ「いいよ」本はいつ受け取りに行く?』

「今から!」

『早いな!?』

「うん、やることは全部終わらせておこうかなって」

 やけに張り切っている、手のかかる弟のような存在に、内心首を傾げたが、やる気になっているのならそれでいいかと納得した。

『まぁいいや、頼んだ』

「はーい」
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