キフの薄い本

中山(ほ)

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二冊目 「先っぽだけ」を信じるな!

上げて落として

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 はっと目を覚まして飛び起きた。

「……あれ?あ、声!声が出る!?へ?あ、身体ある!!!?どういうこと?」

 突然のことに頭に流れ込んでくる情報を処理しきれずに呆然としていると、すぐそばで聞き慣れた声。

「おーはよ、ヒィロ」

 慌てて顔を向けると、視界が流れて頭がくらりと揺れる。キィが、自分を見下ろして笑っていた。いつもの、自分の姿だ。

「……あれ?お前……も、はぁ、身体あるよな?は、はぁ……ふぅ。お前が使ってるのって自分の体だよな?」

「そうだよ~、僕が元から使ってるのが本当のヒィロの身体。で、今ヒィロが使ってるのは僕が作った予備」

「……予備って、勝手に人の身体複製しやがって……なんか、くる、し……」

 過剰に呼吸をしていた事にようやく気がついた。

「あはは、息の仕方まで忘れちゃったの?」

「すぅ……はぁ……うっせ。んで?何すんの?このカオスな状況で」

 とりあえず見下ろされてるのはなんか気に障る。
 そこでようやくキィの部屋、そこの寝台に寝かされてた事に気づいた。

「んしょ」

 広い寝台の端から慎重に足を床につけて立ち上がる。毛足の長い絨毯がなんだか少しくすぐったい。
 おぉ、自分で立ってるって、なんかすごい新鮮。

「じゃ、もうちょっとこっちきて~」

 キィに手招きされてわずかにふらついたのを誤魔化しながら近づいた。

「何するんだ?」

「えへへ~、えい」

「!?」

 途端に崩れる自分の身体。かくりと膝が折れ、そのまま倒れ込もうとする肩を支えて、キィはニンマリと笑った。

「おい?……っ、身体動かないんだが?」

「うん、そうしたからね。声は出るし感覚は残してるよ。準備終わったら、そうだなぁ、反応見たいし、もうちょっとだけ動くようにしてあげる」

「準備って……?何してんだ?」

 肩にかかるだけだった一番上のひらひらとした布切れがするりと引き抜かれて床へと放られた。
 普段キィが着ているような、何枚もの布が重ねられた衣装、それによく似ているのだが、見える範囲ではボタンのようなものはなく、どうやって着せられているのかよくわからない代物だ。

「やっぱ剥ぎ取るとこからだよね~、わざと手間かかる服にしたから、ゆっくり裸にしてあげる。いっぱい恥ずかしがってね」

 しゅるり
 軽い摩擦音とわずかに引っ張られる感触。
 はらりと右肩の布が解けた。

「~~っ!?」






「このあほ!ばか!!男の服はいで何が楽しいんだ!!」

 相手の顔も見ることができずに放たれる、子供のような悪口は虚しく聞き流されるだけだ。

「はーい、これで最後の一枚!寒くない?じゃ、次下行こうね」

 するする
 背中を支えられ、両腕から袖をぬかれて。
 ぱさり 重ねられた繊細な作りの服の上に、最後の薄衣がかけられた。上半身をあらわにした黒髪の少年が顔を真っ赤にして口だけで抵抗をしているが、もう一人の少年は全く気にもとめていない。






「ん~、このままで、っていうのもいいかも。余計扇情的で」

 腰のあたりをまさぐりつつ、考えるようにキィは呟いた。

「はぁ、はぁ。何言って……?」

「久しぶりの体だから、大声出すだけでも息上がっちゃって、かーわい」

 一度だけ、体温を確かめるようにヒィロの頬を撫で、僅かな身震いを楽しんでから、キィはそのまま無防備な背を伝うように座り込み、後ろからその身体を抱え込んだ。

「よいしょっと」

 力の入らない体はくてりとキィへと預けられる。
 その胸へと伸ばされる両手。

「………っ!?」

「女の人みたいに触られて、どう?」

 くりくりといじられて、感じているのはわずかなくすぐったさと、嫌悪感。圧倒的な羞恥心だ。

「お、ま……」

「耳もお顔も熱いね」

 キィはその顔へと頬擦りして、満足げに手を離した。
 そして下の服の隙間へと右手を差し込む。

「なに……ぅあ!?」

「この服、作りは複雑だけど、こういうことしやすくできてるんだよね~」

 縮こまったそれを優しく揉み込む。







「ばかばか!やめろって!すぐに手ぇ抜け!っぁ!?」

 そんな威勢のいい文句を言えたのは最初の頃だけで、

「やだぁ!やめ!……んっ、あぁ!?」

「どうしようもないもんね~、んふふ、すっかり硬くなっちゃって、何百年ぶり?ほら」

「ひゃ!?……あ………ゃぁ……」

 先端を撫でられて震える身体を抱かれて、ヒィロはすでに抵抗の声も上げられず、なすがままになっていた。
 キィは自身の衣装越しでも感じる、熱い背中と拍動にご満悦だ。
 閉じきれず、口の端から伝う唾液をすくい取り、少し悩んでから熱い口内へと戻してやった。

「ぁ………ぁ…………」

 くち、くち、くちゅ
 先端をトントンと指で軽くたたかれ、ぴく、ぴくと身体が反応する。
 服の中では指と先端との間に糸が引いていた。







「もう出そう?あ、そこは見たいな。いいや、消しちゃおう」

 その言葉で消え去る残った衣服。キィに握られ、自身の体液に塗れながらそりたつそれを見せつけられた。

「ずっとね、とくとくってしてるよ。もう一つの心臓みたいだね?ここ好きでしょ」

「!?……もう、やめ……んっ!」

 先端をこねられて、離れた指先がツゥっと粘つく液体を延ばす。

「気持ちいいって、ヒィロの体が言ってる」

「よく、な……ぁん……あ、やぁ……」

「良くないの?……くすっ、うそつき」

 突然動きを早めたキィの手に、なす術なくヒィロは白濁を飛ばした。

「あ、はっ……はぁ……」

 真っ白になった意識が戻るにつれ、感じたのはそのままになっているキィの手、背筋がぞわりとし、それを受けて背後から、空気が抜けるような笑い声がした。

「だんだん静かになってきたね」

「……離せよ」
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