断罪するのは天才悪女である私です〜継母に全てを奪われたので、二度目の人生は悪逆令嬢として自由に生きます

紅城えりす☆VTuber

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お父様、なにか誤解なさっているようで?

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 豊穣祭の後、メアリーの企てによって世間に悪事が露見した神官たちは、国王の命令により取り調べを受けることになった。神官たちの悪事を世に広めるためとはいえ、上位貴族が多く集まっている祭典を台無しにしてしまったことに代わりはない。

 きっと屋敷に戻った後、父から謹慎処分を受けるであろう。そのぐらいの覚悟はできていた。

 だが、しかし――屋敷から戻ってきたメアリーを待っていたのは父からの賞賛と抱擁であった。

「よくやったぞメアリー。私はターレンバラの家長――いや、父として鼻が高い!」

 鍛え上げられたクリスの両腕に抱きしめられたメアリーは「うえぇ」と、あまり上品ではない声をもらしそうになったが、なんとか耐えようとする。

 イセルの方は特に褒めるようなことはしなかったが、一言「怪我はなかったか?」とだけ聞いてきた。

「先ほど、宮廷から魔法で届いた手紙によれば褒美として神官どもから押収した財産は我が家に下賜されるらしい。お前にも宮廷で上級女官として働く権利を下さるとか……」

 うーん、二つ目の褒美は要らないわね。

 皇帝の寝室付き女官といった上級女官は非常に高位の貴族家庭出身の者から選ばれる。理由としては高い教養や家柄、忠誠心が求められるからだ。

 宮廷に仕えるメリットは主に良い結婚相手を探すためだが、今のところメアリーに夫探しをする予定はない。

 万が一フィネラから命を狙われそうになったときは、逃げ先としてつかえるかもしれないけどね。

「そうだ。これは父としての質問だが……」

 クリスの腕がメアリーから離れる。
 今までコルセットと屈強な腕に締め付けられていた体が、やっと解放された。

「お前がウィリアム公爵閣下と交際しているのは、あの銀髪魔道士との関係をカモフラージュするためか?」

 父のあまりにも突拍子すぎる発言にメアリーは耳を疑った。

「おっ、お父様。なにか誤解なさっているようですけど……」

「なに、誤魔化さずとも良い。娘のことなど父である私には全てお見通しだ。さては、銀髪の魔道士を慕っていることを隠すために、ウィリアム公爵閣下と恋仲になったフリをしていたのだろう?」

 いえいえ、お父様。

 それは”お見通し”ではなく、ただの”誤解”です!

 まさか冗談をおっしゃているの?

 いや、お父様はこのようなときに冗談を言う方ではないわ。

 もしかして、誰かから私がメギスとウィリアム公爵閣下と交際しようとしているだなんて話を聞いたのかしら?

 だとしたら今すぐにでも誤解を解かなければ!

「いやいや、私は公爵閣下とメギス。どちらとも結婚する予定はありませんから!」

「そうなのか? 使用人からはメアリーが魔道士の男と親密そうにしていたと聞いているが。公爵閣下の件も……」

「どちらも誤解です!」


***


 自身の噂がどれだけ独り歩きしていたのか。知ることになったのは、豊穣祭の一件が完全に片付いた後であった。

「ちよっとー、メアリー。貴方に聞きたいことが色々あるんですよ!」

 そう言いながら目をキラキラ輝かせるのは、グリンダである。

 茶菓子やチェスなどの暇つぶし用の道具が用意された部屋の中。外では雨粒が窓ガラスを叩いていた。

「へっ、へぇー、そうなの。私なんかに聞きたいことだなんて、なにかしら?」

「ウィリアム公爵閣下についてですよぉ!」

 予想通りの展開。
 やっぱり、社交界では私とウィリアム閣下に関する噂で持ち切りみたいね。

「それで、お二人の関係はどこまで進んだのでしょうか?」

 無邪気な笑顔で詰め寄ってくるグリンダ。
 メアリーの笑顔に困惑と焦りが混じった。
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