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2 アレックス王
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「面をあげよ」
玉座から響く王の声。
わたしとジェシカは言われるままに顔を上げた。
階から玉座までの高さがかなりある。普通は三段ほどのはずだが、十数段もあった。
おかげで王の顔を見るのにだいぶ上のほうを見上げなければならない。
この高さもアレックス王の権威の強さを演出したものだろうか。
ダラム国アレックス王。
足を開き、尊大な態度でわたし達を見下ろしている。
銀髪に碧眼。想像していたよりも線が細く、色白の美しい青年。
筋骨隆々のいかつい男性だと勝手なイメージを持っていたので意外だった。
ただ、わたし達を見るその目は冷たく、明らかに嘲りや蔑みが含まれていると感じた。
「名を名乗れ」
労いや歓迎の言葉もなく、アレックス王はそれだけ言った。
「シェトランド国の王女、レイラにございます」
「ブ、ブリジェンド国の王女、ジェシカです」
わたしが名乗り、続いてジェシカも怯えながらも答えることができた。
「…………」
それに対してアレックス王の反応は希薄。
まるで関心がないという態度だった。
わたしはとりあえず儀礼通りに口上を述べる。
「この度は偉大なるダラム国王陛下のお招きに預かり光栄至極に存じます。陛下のご厚情に甘える身ではありますが、これを機に両国の友好親善と御国のさらなる発展を切に願っております」
アレックス王の表情は変わらない。
さらに口上を述べようとすると、アレックス王は手で制した。
「もうよい。うわっ面の巧言など聞き飽きておるわ。それよりもだ」
アレックス王はわたしを指さす。
「シェトランドとブリジェンドめ。小国とはいえ、こんな貧相な娘ふたりを寄越してくるとはな。こんなもので従属の証になるとでも?」
アレックス王の言葉に、廷臣や兵からどっと笑い声が起きる。
それに調子づいたのか、さらに侮蔑の言葉を投げかけてきた。
「これならば金銀や家畜のほうがまだ使い道があるというものだ。かの国々を制圧すれば、それも好き放題に手に入れることができる」
謁見の間にまた笑い声が響く。
それが収まってから、わたしは口を開いた。
「お言葉ですが、それでは話が違います」
その場が一瞬で張り詰めた雰囲気に。ジェシカがちょっと、なに言ってるのと非難の眼差しを向けてきた。
アレックス王は少し驚いた表情。
前のめりになり、話が違うとは? と聞き返してきた。
わたしは失礼、と立ち上がる。すぐに廷臣のひとりから無礼だぞと指摘されるが、アレックス王がよい、と許してくれた。
わたしは少し周りを見渡し、それからアレックス王を見上げて意見を述べた。
「たしかに我が国とブリジェンドはダラム国に恭順の意思を示しました。しかし、それは正式な協定に同意しての決定。各々の国の第一王女を差し出せば国の自治と現王位は認めると。陛下の申された金銀や家畜、その他の物資や特産品も年ごとに一定数収めると約束されています」
「ふむ、たしかに。それが?」
アレックス王が興味深げにまた聞いてくる。
この答えによっては不興を買うかもしれないが、わたしは堂々と答えた。
「協定確約後において、この公の場で侵攻を示唆するような申され方はどうかと。ダラム国そのものの信用が揺らぎかねません」
廷臣や兵がざわつき始めた。わたしに対する怒りや不満の声が聞こえてくる。
アレックス王が手を挙げるとピタリと収まる。
「なるほど。たしかに正論だ。だがな」
アレックス王は底意地の悪そうな笑みを浮かべながら言った。
「女。自分の立場をわきまえるがいい。協定など余にはさほど意味をなさん。余の号令ひとつで大軍は動き、かの国らを蹂躙することなど容易い。無論、目の前の貴様らの命とて同じ。その首、ここで落としてみるか」
ここで隣にいるジェシカが這いつくばって大声をあげた。
「や、やめてぇっ! 殺さないでっ! 命だけはどうか……なんでもするからっ」
ジェシカの命乞いにさも満足したような顔を見せるアレックス王。
「ふん、命が惜しければみっともなく命乞いするのが当然だ。王族だろうと貴族だろうとな。それでいい。見苦しいものではあるが」
兵のひとりに連れ出すよう命じ、ジェシカは引きずられるように連れて行かれた。
「ひいぃっ、殺さないで! どうかっ、お願い!」
謁見の間から連れていかれる間、ジェシカの泣き叫ぶ声が響く。
止めようがなかった。わたしの周囲にも複数の兵が近づいている。
「……ジェシカ王女に乱暴はおやめ下さい。陛下に口答えしたのはこのわたし。罰するのなら、このわたしを」
「貴様は恐ろしくはないのか? 死ぬかもしれないという、この状況が」
「恐ろしくないと言えば嘘になります。ですが、ここへ来ると決まったときから覚悟はできております」
「ほう、覚悟か。ならば、これでも涼しい顔をしていられるかな」
アレックス王が目配せするとひとりの兵、いや、身なりからして騎士。わたしの前に進み出てきた。
騎士が剣を抜く。わたしに向けて鈍い光を放つ剣身を見せつけるように構えた。
「やれ」
アレックス王の一声。騎士の剣がうなりをあげ、わたしの首筋を刈るように払われる。
ブオッ、と剣の風圧でわたしの青い髪が乱れる。
しかしわたしの首が飛ぶことはなかった。
寸止め。騎士の剣は触れるか触れないかの位置で止められていた。
「瞬きひとつせんとはな。たいした女だ」
アレックス王が呆れと感心が混じったような声を漏らす。
騎士は顔の前に剣を立てて礼の形を取り、後ろへ下がっていった。
「面白いな、貴様は。レイラとか言ったか」
「はい」
「貴様、余の妻となれ」
百官や兵からどよめきが起こる。突然のことにわたしも驚いた。
「陛下の……妻に?」
「そうだ。二度言わせるな。貴様を余の妻にしてやる」
廷臣の中でも位の高そうな男が転ぶように前に出てきた。
「陛下、いきなりそれは……。王妃を決めるとあらば、かような小国の王女でなくても。それと王室のしきたりがありまして、決められた順序が」
「黙れ。余が掟であり法である。余に意見するか」
「いっ、いえいえ! とんでもございませぬ」
一喝された廷臣はすごすごと引っ込んでいく。
なんという王だろうか。こんな場で求婚。まだ会ったばかりだというのに。しかも王女とはいえ、虜囚に等しい立場のわたしに。
アレックス王はそれでも蔑んだような目でわたしを見下ろしている。
「女、勘違いするな。貴様に求婚したのは惚れているわけではない。貴様のように平然としている態度が気に食わないのだ。ここで王妃として安穏に暮らせると思うなよ。あらゆる苦痛や恥辱を与えてやる。その顔がどのように歪むのか今から楽しみだな」
「わたしの意思は関係ないのですね」
「当然だ。そして貴様は余に助けを求めるであろう。自分の無力さを存分に思い知り、余に心から屈服するのだ」
これがアレックス王とわたしの最初の出会いだった。
わたしは婚約者となったものの、婚約の儀式は省略され、わたしの祖国にも簡単な文書を送っただけ。
シェトランドが属国という扱いも変わるものではないし、年ごとの貢物が軽減されるわけでもなかった。
正式な結婚式は国を挙げての盛大なものが開かれたが、参列者にシェトランドの親族の参加は許されなかった。
もしかしたらお父様やお母様に再会できるかも、と期待していただけにこれにはひどく落胆した。
これもわたしに対する嫌がらせのつもりなのだろう。
だけど落ち込むような表情は決して見せない。ずっと平静を装っていた。
豪勢な純白のドレスも、頭上に輝くティアラも全てが白々しく、虚しいものに思えた。
式の間も晩餐会のときもアレックス王はわたしの側には近寄りもしないし、話しかけもしない。
それどころか挨拶をしようとする来賓者も王には近づけない。
一定距離で兵が近づけないように囲んでいた。
暗殺でも恐れているのだろうか。
謁見の間であれだけ豪胆かつ横暴な態度を見せていたアレックス王だが、意外と気は小さいほうなのかもしれない。
そして夜が訪れる。ふたりにとっては結婚初夜となる。
寝所に向かう途中でもアレックス王はわたしとは距離を置いて歩いていく。
そして数人の兵も一定距離を保ってついてくる。
「陛下、あの者らはどこまでついてくるのですか?」
たまらず聞くと、アレックス王は目を逸し、バツが悪いようにボソボソとしゃべる。
「む……ついてきてはまずいか」
「それはそうでしょう。寝所ですよ。それに今夜は大事な初夜です」
「貴様は嫌ではないのか? 怖くはないのか? 望まぬ相手とそのような行為を」
どうにも様子がおかしい。あれだけ強気だったアレックス王が。
独身とはいえ、女を知らぬ身でもないだろうに。
「望まぬもなにも、すでにあなたの妻ですので。こうなっては王妃としての責務を果たすのみです」
「…………」
アレックス王は複雑な表情をしながら寝所の前で立ち止まる。
そして手で合図して兵を追い払った。
「これでいいだろう。貴様は先に中に入って休んでおけ」
アレックス王はそう言って扉の前から離れる。
わたしは言われるままに寝所へ入り、ドレスを脱ぐ。
下着姿でベッドへ潜り込み、目を閉じた。
わたしだって平気なわけではない。
でも王族として生まれたからには、いずれは誰かに嫁ぐことになる。
普通の恋愛は出来ないし、選り好みできる立場ではない。
わたしは覚悟してぎゅっとシーツを握りしめ、その時を待った。
玉座から響く王の声。
わたしとジェシカは言われるままに顔を上げた。
階から玉座までの高さがかなりある。普通は三段ほどのはずだが、十数段もあった。
おかげで王の顔を見るのにだいぶ上のほうを見上げなければならない。
この高さもアレックス王の権威の強さを演出したものだろうか。
ダラム国アレックス王。
足を開き、尊大な態度でわたし達を見下ろしている。
銀髪に碧眼。想像していたよりも線が細く、色白の美しい青年。
筋骨隆々のいかつい男性だと勝手なイメージを持っていたので意外だった。
ただ、わたし達を見るその目は冷たく、明らかに嘲りや蔑みが含まれていると感じた。
「名を名乗れ」
労いや歓迎の言葉もなく、アレックス王はそれだけ言った。
「シェトランド国の王女、レイラにございます」
「ブ、ブリジェンド国の王女、ジェシカです」
わたしが名乗り、続いてジェシカも怯えながらも答えることができた。
「…………」
それに対してアレックス王の反応は希薄。
まるで関心がないという態度だった。
わたしはとりあえず儀礼通りに口上を述べる。
「この度は偉大なるダラム国王陛下のお招きに預かり光栄至極に存じます。陛下のご厚情に甘える身ではありますが、これを機に両国の友好親善と御国のさらなる発展を切に願っております」
アレックス王の表情は変わらない。
さらに口上を述べようとすると、アレックス王は手で制した。
「もうよい。うわっ面の巧言など聞き飽きておるわ。それよりもだ」
アレックス王はわたしを指さす。
「シェトランドとブリジェンドめ。小国とはいえ、こんな貧相な娘ふたりを寄越してくるとはな。こんなもので従属の証になるとでも?」
アレックス王の言葉に、廷臣や兵からどっと笑い声が起きる。
それに調子づいたのか、さらに侮蔑の言葉を投げかけてきた。
「これならば金銀や家畜のほうがまだ使い道があるというものだ。かの国々を制圧すれば、それも好き放題に手に入れることができる」
謁見の間にまた笑い声が響く。
それが収まってから、わたしは口を開いた。
「お言葉ですが、それでは話が違います」
その場が一瞬で張り詰めた雰囲気に。ジェシカがちょっと、なに言ってるのと非難の眼差しを向けてきた。
アレックス王は少し驚いた表情。
前のめりになり、話が違うとは? と聞き返してきた。
わたしは失礼、と立ち上がる。すぐに廷臣のひとりから無礼だぞと指摘されるが、アレックス王がよい、と許してくれた。
わたしは少し周りを見渡し、それからアレックス王を見上げて意見を述べた。
「たしかに我が国とブリジェンドはダラム国に恭順の意思を示しました。しかし、それは正式な協定に同意しての決定。各々の国の第一王女を差し出せば国の自治と現王位は認めると。陛下の申された金銀や家畜、その他の物資や特産品も年ごとに一定数収めると約束されています」
「ふむ、たしかに。それが?」
アレックス王が興味深げにまた聞いてくる。
この答えによっては不興を買うかもしれないが、わたしは堂々と答えた。
「協定確約後において、この公の場で侵攻を示唆するような申され方はどうかと。ダラム国そのものの信用が揺らぎかねません」
廷臣や兵がざわつき始めた。わたしに対する怒りや不満の声が聞こえてくる。
アレックス王が手を挙げるとピタリと収まる。
「なるほど。たしかに正論だ。だがな」
アレックス王は底意地の悪そうな笑みを浮かべながら言った。
「女。自分の立場をわきまえるがいい。協定など余にはさほど意味をなさん。余の号令ひとつで大軍は動き、かの国らを蹂躙することなど容易い。無論、目の前の貴様らの命とて同じ。その首、ここで落としてみるか」
ここで隣にいるジェシカが這いつくばって大声をあげた。
「や、やめてぇっ! 殺さないでっ! 命だけはどうか……なんでもするからっ」
ジェシカの命乞いにさも満足したような顔を見せるアレックス王。
「ふん、命が惜しければみっともなく命乞いするのが当然だ。王族だろうと貴族だろうとな。それでいい。見苦しいものではあるが」
兵のひとりに連れ出すよう命じ、ジェシカは引きずられるように連れて行かれた。
「ひいぃっ、殺さないで! どうかっ、お願い!」
謁見の間から連れていかれる間、ジェシカの泣き叫ぶ声が響く。
止めようがなかった。わたしの周囲にも複数の兵が近づいている。
「……ジェシカ王女に乱暴はおやめ下さい。陛下に口答えしたのはこのわたし。罰するのなら、このわたしを」
「貴様は恐ろしくはないのか? 死ぬかもしれないという、この状況が」
「恐ろしくないと言えば嘘になります。ですが、ここへ来ると決まったときから覚悟はできております」
「ほう、覚悟か。ならば、これでも涼しい顔をしていられるかな」
アレックス王が目配せするとひとりの兵、いや、身なりからして騎士。わたしの前に進み出てきた。
騎士が剣を抜く。わたしに向けて鈍い光を放つ剣身を見せつけるように構えた。
「やれ」
アレックス王の一声。騎士の剣がうなりをあげ、わたしの首筋を刈るように払われる。
ブオッ、と剣の風圧でわたしの青い髪が乱れる。
しかしわたしの首が飛ぶことはなかった。
寸止め。騎士の剣は触れるか触れないかの位置で止められていた。
「瞬きひとつせんとはな。たいした女だ」
アレックス王が呆れと感心が混じったような声を漏らす。
騎士は顔の前に剣を立てて礼の形を取り、後ろへ下がっていった。
「面白いな、貴様は。レイラとか言ったか」
「はい」
「貴様、余の妻となれ」
百官や兵からどよめきが起こる。突然のことにわたしも驚いた。
「陛下の……妻に?」
「そうだ。二度言わせるな。貴様を余の妻にしてやる」
廷臣の中でも位の高そうな男が転ぶように前に出てきた。
「陛下、いきなりそれは……。王妃を決めるとあらば、かような小国の王女でなくても。それと王室のしきたりがありまして、決められた順序が」
「黙れ。余が掟であり法である。余に意見するか」
「いっ、いえいえ! とんでもございませぬ」
一喝された廷臣はすごすごと引っ込んでいく。
なんという王だろうか。こんな場で求婚。まだ会ったばかりだというのに。しかも王女とはいえ、虜囚に等しい立場のわたしに。
アレックス王はそれでも蔑んだような目でわたしを見下ろしている。
「女、勘違いするな。貴様に求婚したのは惚れているわけではない。貴様のように平然としている態度が気に食わないのだ。ここで王妃として安穏に暮らせると思うなよ。あらゆる苦痛や恥辱を与えてやる。その顔がどのように歪むのか今から楽しみだな」
「わたしの意思は関係ないのですね」
「当然だ。そして貴様は余に助けを求めるであろう。自分の無力さを存分に思い知り、余に心から屈服するのだ」
これがアレックス王とわたしの最初の出会いだった。
わたしは婚約者となったものの、婚約の儀式は省略され、わたしの祖国にも簡単な文書を送っただけ。
シェトランドが属国という扱いも変わるものではないし、年ごとの貢物が軽減されるわけでもなかった。
正式な結婚式は国を挙げての盛大なものが開かれたが、参列者にシェトランドの親族の参加は許されなかった。
もしかしたらお父様やお母様に再会できるかも、と期待していただけにこれにはひどく落胆した。
これもわたしに対する嫌がらせのつもりなのだろう。
だけど落ち込むような表情は決して見せない。ずっと平静を装っていた。
豪勢な純白のドレスも、頭上に輝くティアラも全てが白々しく、虚しいものに思えた。
式の間も晩餐会のときもアレックス王はわたしの側には近寄りもしないし、話しかけもしない。
それどころか挨拶をしようとする来賓者も王には近づけない。
一定距離で兵が近づけないように囲んでいた。
暗殺でも恐れているのだろうか。
謁見の間であれだけ豪胆かつ横暴な態度を見せていたアレックス王だが、意外と気は小さいほうなのかもしれない。
そして夜が訪れる。ふたりにとっては結婚初夜となる。
寝所に向かう途中でもアレックス王はわたしとは距離を置いて歩いていく。
そして数人の兵も一定距離を保ってついてくる。
「陛下、あの者らはどこまでついてくるのですか?」
たまらず聞くと、アレックス王は目を逸し、バツが悪いようにボソボソとしゃべる。
「む……ついてきてはまずいか」
「それはそうでしょう。寝所ですよ。それに今夜は大事な初夜です」
「貴様は嫌ではないのか? 怖くはないのか? 望まぬ相手とそのような行為を」
どうにも様子がおかしい。あれだけ強気だったアレックス王が。
独身とはいえ、女を知らぬ身でもないだろうに。
「望まぬもなにも、すでにあなたの妻ですので。こうなっては王妃としての責務を果たすのみです」
「…………」
アレックス王は複雑な表情をしながら寝所の前で立ち止まる。
そして手で合図して兵を追い払った。
「これでいいだろう。貴様は先に中に入って休んでおけ」
アレックス王はそう言って扉の前から離れる。
わたしは言われるままに寝所へ入り、ドレスを脱ぐ。
下着姿でベッドへ潜り込み、目を閉じた。
わたしだって平気なわけではない。
でも王族として生まれたからには、いずれは誰かに嫁ぐことになる。
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