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7 狩り
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第五区荘園監督官のフィンに会い、わたしは事情を話した。
「そうなのですね。急なことなので驚きましたが」
困惑した様子でフィンは荘園の一角を指さす。
「あそこで放牧していた羊と牛はそれこそ昨日のうちに連れていかれましたよ。農耕に使うものまで。今までは戦といっても荘園内の家畜を連れていくことなんてなかったのですが。すみません、お役に立てず」
うなだれるフィン。ジェシカはそれを聞いて地団駄を踏む。
「戦にかこつけて嫌がらせしてるんだわ。使節団への対応が失敗するように。本当に意地が悪い」
わたしは森のほうを眺め、フィンに質問する。
「放牧地以外でも森で豚を放牧しているのでは? 秋には森の木の実を食べさせて太らせると聞いたことがあります」
「はい。ところがその豚まですべて。まだ小さいのもいたのですが、根こそぎ」
「そうですか……。ウィリアム、戦時における食料とはここまで肉を必要とするものですか?」
騎士ウィリアムはそれに淡々とした口調で答える。
「いえ、肉は塩漬けか干肉といった保存が効き、携帯しやすい状態にしたものが多いです。主食となるのは小麦、大麦などの乾燥穀物。牛は食料としてというより物資の輸送に活用しているかと。それでもこれほどの家畜を連れ出すのは初めてです」
それを聞いて、ほらやっぱりとジェシカがまた怒りだす。
それならば、とわたしはまた森についてフィンに質問する。
「森にいる野生の獣ならどうでしょう? いくらなんでもそれを狩り尽くしていく暇などなかったはずです」
するとフィンは慌てて首と両手を振る。
「そ、それはそうですが。森の獣はダメです。狩猟権は陛下のものですので」
それは予想していた。どこの国でも森は王や領主の管理下にある。勝手に狩りをするのは固く禁じられている。
遠征中のアレックス王に使いを送り、許しを得る方法は時間がないし、許可自体出る可能性も低い。だとしたらやる事はひとつ。
「仕方ありません。王妃の権限で一時的に猟場を解禁します。ウィリアム、城に戻り狩りの準備を」
「よろしいのでしょうか」
「はい。全責任はわたしが取ります」
「……わかりました」
ウィリアムは少し複雑な表情をしながらもうなずく。
わたしはフィンにも指示を出した。
「地元の猟師たちにも協力してもらいましょう。フィン、あなたが呼びかけてください」
「は、はいっ」
城へと戻る馬車の中でジェシカが心配そうに聞いてきた。
「本当に大丈夫なの? アレックス王が帰ってきたらなんて言うつもり?」
「ありのまま答えるつもりです。これしか方法がなかったと。本で調べたことですが、オークニーは肉を用いた料理の種類は少ないようです。こちらでの多彩な肉料理を楽しみにされている方も多いので、肉は絶対に欠かせません」
「う~ん。間違っちゃいないけど、勝手に狩りなんかしたらアレックス王の気性をからして激怒しそう。王妃なんかじゃいられなくなるかもよ」
「どちらにせよ使節団の対応に失敗すれば同じことです。やれるべきことはやって、あとは運命に身を任せましょう」
「相変わらず肝が座ってるっていうか、大胆っていうか……。その度胸と行動力がホントうらやましいわ」
ジェシカがしみじみと言うので、わたしもこう返した。
「そうですか? わたしもジェシカみたいな明るくて気さくな性格がとてもうらやましいです。わたし、他人からはどうしても冷たく見られますので」
「あー、たしかに。召使いとかでも怖がってる人、多いもんね。こんな頼りがいがあって、いい子なのに」
「ありがとう。そんなふうに言ってくれる人、お母様以来です」
「あっ、今の顔! すごく柔らかでいい表情だった! それならみんなと仲良くなれるよ!」
「そ、そうですか? どんなふうな顔だったのでしょう」
わたしは自分の頬を触りながら聞いてみるが、ジェシカは首を振った。
「ああ~、一瞬だったか。うん、さっきのはホント優しそうで可愛かったのに。もう一回見たいなー」
まじまじと顔を見つめてくるので、わたしは恥ずかしくなって顔を逸らした。
そしてごまかすようにこう言った。
「ジェシカ。わたしたちも見ているだけとはいきません。狩りに参加しましょう」
城へ戻り、ウィリアムが狩りの準備をするよう兵士らに指示を出す。
それほど時間もかからずに、大勢の勢子や猟犬、馬が揃えられる。
「王妃殿下、そのお姿は」
わたしも狩りのためにドレスから軽装のものへと着替え、髪を結い上げていた。
そして馬に乗り、弓矢を携える。その姿にウィリアムが驚いて声をかけてきた。
「わたしも狩りに参加します。乗馬や弓の扱いには慣れてますので」
「我々に任せて頂ければよろしいのに」
「言い出したのはわたしです。自分だけじっとはしていられません」
言って、わたしは馬を進める。
同じように着替えたジェシカもあとに続いた。
ウィリアムや兵士らが慌てて追いかけてくる。
第五区荘園に再度到着し、フィンも地元の猟師たちを集めてくれていた。
「時間がありません。みんなで協力して、できるだけ多くの獲物を仕留めましょう」
猟師はすでに森で獲物の足跡や糞を見つけていた。
追跡と追い立てる役目は猟師と猟犬に任せ、勢子は退路を断つ。
わたしやウィリアムたちが待ち伏せている場所に獲物を誘い込まれてくるはずだ。
「ついてきたのはいいけど、わたし馬は乗れるけど狩りなんて出来ないわよ。あなたも慣れてるからって、手習い程度でしょう」
馬を横につけながらジェシカが小声で聞いてくる。
「ジェシカはわたしの側にいるだけでいいですよ。そのほうが安心するので」
「そりゃあ王妃専属の侍女だから側にいるけどさ。こんな狩りなんてのは男たちに任せとけば……」
ジェシカがそこまで言った時だった。
猟犬の吠える声と勢子のかけ声が近づいてくる。
獲物が近い。わたしは馬上で矢をつがえる。
突然、茂みから一頭の鹿が飛び出してきた。
即座に放った矢は狙いたがわず首に命中。
倒れた鹿に近づいてみると、腹にももう一本矢が刺さっていた。誰か別の者も同時に矢を放っていたらしい。
「わたしの矢です。王妃殿下のほうが一瞬速かったようですし、急所に当たっています」
舌を巻くように言ったのはウィリアムだった。
別方向にも獲物が逃げたと兵の声。
わたしたちは馬を駆ってそちらに向かう。
森の中を猟犬に追われている鹿を発見。
ウィリアムとともに馬を疾駆させながら矢を放つ。
これもわたしの矢が心臓を貫いていた。
「驚きました。馬を駆けさせながらの弓もわたしより上とは」
「いえ、まぐれですよ。運が良かっただけです」
言いながらジェシカの姿を探す。
どうやらはぐれてしまったようだ。仕留めた鹿はウィリアムと随伴の兵に任せ、わたしは森の中を単騎で進む。
突然の悲鳴。これはジェシカのものだ。
すぐに声のあったほうへ馬を走らせる。
ジェシカは落馬して地面に座り込んでいた。
「ジェシカ! 大丈夫ですか⁉」
「だ、大丈夫だけど、あれ」
震えながら指さす先には大きな猪。
猪の体にはすでに数本の矢が刺さっていた。猟師に追われ、逃げているところを迷っているジェシカと鉢合わせになったのか。
手負いの猪は鼻息荒く、ジェシカのほうへ突っ込んでいく。
わたしが間に合って、と放った矢は猪の頭部へ命中。
走る軌道が逸れ、猪はジェシカの横の木へ激突。動きを止めた。
「レイラ、ありがとう! わたし、あんな大きな猪見たことなかったわ。もうダメかと思った」
ジェシカは駆け寄ってきて涙目でそう言った。
わたしが安堵してみんなの所へ戻りましょう、と言おうとした時。
動かなかったはずの猪が起き上がり、またジェシカを狙って走り出した。
矢を放つのも間に合わない。わたしは手を伸ばしてジェシカを馬上に引っ張りあげようとしたが──。
ズドッ、と猪に横から体当たりしたのはウィリアムだった。
手には短剣が握られ、猪の脇腹に深く突き刺さっている。
猪とともにもつれるように転がるウィリアム。
起き上がりながらさらに首へ短剣を突き刺した。猪が完全に死んだと確認してから、こちらに無事ですかと聞いてきた。
「はい。わたしもジェシカも大丈夫です。それにしても驚きました」
「獣の生命力とは恐ろしいものです。仕留めたと思っても、まだ動くこともあるので」
「いえ、猪のこともそうですが。凶暴な獣に体当たりするあなたの動きとその勇気に」
わたしだけだったらジェシカを助けられなかったかもしれない。
危険を顧みず救ってくれたウィリアムには本当に感謝する。
「あ、ありがと。助かったわ」
ジェシカも頬を染めながら礼を言った。
ウィリアムは軽くお辞儀をしてから、自分の馬を連れてくる。
「乗っていた馬は逃げてしまったのでしょう。わたしの後ろにお乗りください」
「え、でも」
わたしのほうをちらりと見るジェシカ。本当はわたしと一緒に乗りたいのかもしれないが、立場上それは許されない。
徒歩で帰すわけにもいかないので、ここはわたしもウィリアムの提案に同意する。
「そうしてもらいなさい、ジェシカ。ウィリアムと一緒なら安全でしょう」
「…………」
ジェシカも観念したようでウィリアムに手を引いてもらい、後ろに乗った。
皆のところに戻ったときには、多くの獲物が仕留められ、歓声をあげている最中だった。
「そうなのですね。急なことなので驚きましたが」
困惑した様子でフィンは荘園の一角を指さす。
「あそこで放牧していた羊と牛はそれこそ昨日のうちに連れていかれましたよ。農耕に使うものまで。今までは戦といっても荘園内の家畜を連れていくことなんてなかったのですが。すみません、お役に立てず」
うなだれるフィン。ジェシカはそれを聞いて地団駄を踏む。
「戦にかこつけて嫌がらせしてるんだわ。使節団への対応が失敗するように。本当に意地が悪い」
わたしは森のほうを眺め、フィンに質問する。
「放牧地以外でも森で豚を放牧しているのでは? 秋には森の木の実を食べさせて太らせると聞いたことがあります」
「はい。ところがその豚まですべて。まだ小さいのもいたのですが、根こそぎ」
「そうですか……。ウィリアム、戦時における食料とはここまで肉を必要とするものですか?」
騎士ウィリアムはそれに淡々とした口調で答える。
「いえ、肉は塩漬けか干肉といった保存が効き、携帯しやすい状態にしたものが多いです。主食となるのは小麦、大麦などの乾燥穀物。牛は食料としてというより物資の輸送に活用しているかと。それでもこれほどの家畜を連れ出すのは初めてです」
それを聞いて、ほらやっぱりとジェシカがまた怒りだす。
それならば、とわたしはまた森についてフィンに質問する。
「森にいる野生の獣ならどうでしょう? いくらなんでもそれを狩り尽くしていく暇などなかったはずです」
するとフィンは慌てて首と両手を振る。
「そ、それはそうですが。森の獣はダメです。狩猟権は陛下のものですので」
それは予想していた。どこの国でも森は王や領主の管理下にある。勝手に狩りをするのは固く禁じられている。
遠征中のアレックス王に使いを送り、許しを得る方法は時間がないし、許可自体出る可能性も低い。だとしたらやる事はひとつ。
「仕方ありません。王妃の権限で一時的に猟場を解禁します。ウィリアム、城に戻り狩りの準備を」
「よろしいのでしょうか」
「はい。全責任はわたしが取ります」
「……わかりました」
ウィリアムは少し複雑な表情をしながらもうなずく。
わたしはフィンにも指示を出した。
「地元の猟師たちにも協力してもらいましょう。フィン、あなたが呼びかけてください」
「は、はいっ」
城へと戻る馬車の中でジェシカが心配そうに聞いてきた。
「本当に大丈夫なの? アレックス王が帰ってきたらなんて言うつもり?」
「ありのまま答えるつもりです。これしか方法がなかったと。本で調べたことですが、オークニーは肉を用いた料理の種類は少ないようです。こちらでの多彩な肉料理を楽しみにされている方も多いので、肉は絶対に欠かせません」
「う~ん。間違っちゃいないけど、勝手に狩りなんかしたらアレックス王の気性をからして激怒しそう。王妃なんかじゃいられなくなるかもよ」
「どちらにせよ使節団の対応に失敗すれば同じことです。やれるべきことはやって、あとは運命に身を任せましょう」
「相変わらず肝が座ってるっていうか、大胆っていうか……。その度胸と行動力がホントうらやましいわ」
ジェシカがしみじみと言うので、わたしもこう返した。
「そうですか? わたしもジェシカみたいな明るくて気さくな性格がとてもうらやましいです。わたし、他人からはどうしても冷たく見られますので」
「あー、たしかに。召使いとかでも怖がってる人、多いもんね。こんな頼りがいがあって、いい子なのに」
「ありがとう。そんなふうに言ってくれる人、お母様以来です」
「あっ、今の顔! すごく柔らかでいい表情だった! それならみんなと仲良くなれるよ!」
「そ、そうですか? どんなふうな顔だったのでしょう」
わたしは自分の頬を触りながら聞いてみるが、ジェシカは首を振った。
「ああ~、一瞬だったか。うん、さっきのはホント優しそうで可愛かったのに。もう一回見たいなー」
まじまじと顔を見つめてくるので、わたしは恥ずかしくなって顔を逸らした。
そしてごまかすようにこう言った。
「ジェシカ。わたしたちも見ているだけとはいきません。狩りに参加しましょう」
城へ戻り、ウィリアムが狩りの準備をするよう兵士らに指示を出す。
それほど時間もかからずに、大勢の勢子や猟犬、馬が揃えられる。
「王妃殿下、そのお姿は」
わたしも狩りのためにドレスから軽装のものへと着替え、髪を結い上げていた。
そして馬に乗り、弓矢を携える。その姿にウィリアムが驚いて声をかけてきた。
「わたしも狩りに参加します。乗馬や弓の扱いには慣れてますので」
「我々に任せて頂ければよろしいのに」
「言い出したのはわたしです。自分だけじっとはしていられません」
言って、わたしは馬を進める。
同じように着替えたジェシカもあとに続いた。
ウィリアムや兵士らが慌てて追いかけてくる。
第五区荘園に再度到着し、フィンも地元の猟師たちを集めてくれていた。
「時間がありません。みんなで協力して、できるだけ多くの獲物を仕留めましょう」
猟師はすでに森で獲物の足跡や糞を見つけていた。
追跡と追い立てる役目は猟師と猟犬に任せ、勢子は退路を断つ。
わたしやウィリアムたちが待ち伏せている場所に獲物を誘い込まれてくるはずだ。
「ついてきたのはいいけど、わたし馬は乗れるけど狩りなんて出来ないわよ。あなたも慣れてるからって、手習い程度でしょう」
馬を横につけながらジェシカが小声で聞いてくる。
「ジェシカはわたしの側にいるだけでいいですよ。そのほうが安心するので」
「そりゃあ王妃専属の侍女だから側にいるけどさ。こんな狩りなんてのは男たちに任せとけば……」
ジェシカがそこまで言った時だった。
猟犬の吠える声と勢子のかけ声が近づいてくる。
獲物が近い。わたしは馬上で矢をつがえる。
突然、茂みから一頭の鹿が飛び出してきた。
即座に放った矢は狙いたがわず首に命中。
倒れた鹿に近づいてみると、腹にももう一本矢が刺さっていた。誰か別の者も同時に矢を放っていたらしい。
「わたしの矢です。王妃殿下のほうが一瞬速かったようですし、急所に当たっています」
舌を巻くように言ったのはウィリアムだった。
別方向にも獲物が逃げたと兵の声。
わたしたちは馬を駆ってそちらに向かう。
森の中を猟犬に追われている鹿を発見。
ウィリアムとともに馬を疾駆させながら矢を放つ。
これもわたしの矢が心臓を貫いていた。
「驚きました。馬を駆けさせながらの弓もわたしより上とは」
「いえ、まぐれですよ。運が良かっただけです」
言いながらジェシカの姿を探す。
どうやらはぐれてしまったようだ。仕留めた鹿はウィリアムと随伴の兵に任せ、わたしは森の中を単騎で進む。
突然の悲鳴。これはジェシカのものだ。
すぐに声のあったほうへ馬を走らせる。
ジェシカは落馬して地面に座り込んでいた。
「ジェシカ! 大丈夫ですか⁉」
「だ、大丈夫だけど、あれ」
震えながら指さす先には大きな猪。
猪の体にはすでに数本の矢が刺さっていた。猟師に追われ、逃げているところを迷っているジェシカと鉢合わせになったのか。
手負いの猪は鼻息荒く、ジェシカのほうへ突っ込んでいく。
わたしが間に合って、と放った矢は猪の頭部へ命中。
走る軌道が逸れ、猪はジェシカの横の木へ激突。動きを止めた。
「レイラ、ありがとう! わたし、あんな大きな猪見たことなかったわ。もうダメかと思った」
ジェシカは駆け寄ってきて涙目でそう言った。
わたしが安堵してみんなの所へ戻りましょう、と言おうとした時。
動かなかったはずの猪が起き上がり、またジェシカを狙って走り出した。
矢を放つのも間に合わない。わたしは手を伸ばしてジェシカを馬上に引っ張りあげようとしたが──。
ズドッ、と猪に横から体当たりしたのはウィリアムだった。
手には短剣が握られ、猪の脇腹に深く突き刺さっている。
猪とともにもつれるように転がるウィリアム。
起き上がりながらさらに首へ短剣を突き刺した。猪が完全に死んだと確認してから、こちらに無事ですかと聞いてきた。
「はい。わたしもジェシカも大丈夫です。それにしても驚きました」
「獣の生命力とは恐ろしいものです。仕留めたと思っても、まだ動くこともあるので」
「いえ、猪のこともそうですが。凶暴な獣に体当たりするあなたの動きとその勇気に」
わたしだけだったらジェシカを助けられなかったかもしれない。
危険を顧みず救ってくれたウィリアムには本当に感謝する。
「あ、ありがと。助かったわ」
ジェシカも頬を染めながら礼を言った。
ウィリアムは軽くお辞儀をしてから、自分の馬を連れてくる。
「乗っていた馬は逃げてしまったのでしょう。わたしの後ろにお乗りください」
「え、でも」
わたしのほうをちらりと見るジェシカ。本当はわたしと一緒に乗りたいのかもしれないが、立場上それは許されない。
徒歩で帰すわけにもいかないので、ここはわたしもウィリアムの提案に同意する。
「そうしてもらいなさい、ジェシカ。ウィリアムと一緒なら安全でしょう」
「…………」
ジェシカも観念したようでウィリアムに手を引いてもらい、後ろに乗った。
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