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「……部屋に来てくれ?」
ジャージに着替え、ようやく落ち着きを取り戻した朝陽が問い返すと、依澄は頷いた。
「はい。“副会長を見ているだけでは足りない”と、気づいてしまったので」
「は……?」
「俺の部屋、個室です。防音も、鍵もあります。……安心して我慢できます」
「言い切るな……」
朝陽は頬を赤らめながら目を逸らしたが、内心では、何かがじわじわと熱を持って膨らんでいくのを感じていた。
(誰かと一緒に、我慢するなんて……。こんなの、今まで考えたこともなかったのに)
でも、思い出してしまう。
数時間前。生徒会室で限界を迎えたとき、制服の下で脚を小刻みに震わせていた自分に、依澄がじっと視線を向けていたことを。
あの目は、恐ろしいくらいに熱を帯びていた。
「……副会長。無理なら、断ってください。でも俺は……我慢して苦しむ副会長の表情が……」
「それ以上言うな、変態が」
吐き捨てるように言って、朝陽は一歩、依澄に詰め寄った。
「……自分でもわかってる。おかしいのは俺の方だ。だって……」
依澄の制服の襟を掴み、朝陽は口元を歪める。
「“一緒に我慢したい”って言われて、ちょっと嬉しかった自分がいるのが、もっとおかしいだろ」
「……いえ、嬉しいです。……ありがとうございます」
「……ああもう……!」
その夜。
ふたりは依澄の部屋にいた。
落ち着いたトーンのインテリア、整然としたデスク、本棚、そしてベッド。
生徒会役員と風紀委員は就任と同時に個室が与えられる。同じフロアで、部屋の場所は把握していたものの、これまでお互いがそこに足を踏み入れたことはない。
ベッドの端に、少しだけ距離を取って並んで座るふたり。
「……開始は、今からでいいか?」
「はい。俺は、すでに溜め始めています」
「……準備良すぎるだろ」
ペットボトルの水を用意している依澄を見て、朝陽は呆れたように笑った。
「じゃあ……」
朝陽も、水を飲み始めた。
無言の時間が流れる。
数十分後──
「……なあ」
「はい」
「脚、くっつけていいか?」
「……どうぞ」
朝陽の太ももが、依澄の脚にそっと触れる。 びくりと反応したのは、むしろ依澄の方だった。
「……もしかして、おまえ……もう?」
「いえ、まだです。でも……副会長の体温、すごく熱いので」
「うるさい。そっちこそ顔、赤いけど」
「副会長が、そんな顔するから……」
依澄が、小さく笑う。
二人の体が徐々に重なっていく。
この夜が、ただの性癖の共有にとどまらないと、朝陽はなんとなく分かっていた。
息の詰まりそうな沈黙と、昂る尿意。 苦しさが、快楽と期待に変わっていく。
そしてその先にあるものが、 “我慢の限界”だけでなく、“恋の始まり”でもあると気づくのは――もう少し先のことだった。
ジャージに着替え、ようやく落ち着きを取り戻した朝陽が問い返すと、依澄は頷いた。
「はい。“副会長を見ているだけでは足りない”と、気づいてしまったので」
「は……?」
「俺の部屋、個室です。防音も、鍵もあります。……安心して我慢できます」
「言い切るな……」
朝陽は頬を赤らめながら目を逸らしたが、内心では、何かがじわじわと熱を持って膨らんでいくのを感じていた。
(誰かと一緒に、我慢するなんて……。こんなの、今まで考えたこともなかったのに)
でも、思い出してしまう。
数時間前。生徒会室で限界を迎えたとき、制服の下で脚を小刻みに震わせていた自分に、依澄がじっと視線を向けていたことを。
あの目は、恐ろしいくらいに熱を帯びていた。
「……副会長。無理なら、断ってください。でも俺は……我慢して苦しむ副会長の表情が……」
「それ以上言うな、変態が」
吐き捨てるように言って、朝陽は一歩、依澄に詰め寄った。
「……自分でもわかってる。おかしいのは俺の方だ。だって……」
依澄の制服の襟を掴み、朝陽は口元を歪める。
「“一緒に我慢したい”って言われて、ちょっと嬉しかった自分がいるのが、もっとおかしいだろ」
「……いえ、嬉しいです。……ありがとうございます」
「……ああもう……!」
その夜。
ふたりは依澄の部屋にいた。
落ち着いたトーンのインテリア、整然としたデスク、本棚、そしてベッド。
生徒会役員と風紀委員は就任と同時に個室が与えられる。同じフロアで、部屋の場所は把握していたものの、これまでお互いがそこに足を踏み入れたことはない。
ベッドの端に、少しだけ距離を取って並んで座るふたり。
「……開始は、今からでいいか?」
「はい。俺は、すでに溜め始めています」
「……準備良すぎるだろ」
ペットボトルの水を用意している依澄を見て、朝陽は呆れたように笑った。
「じゃあ……」
朝陽も、水を飲み始めた。
無言の時間が流れる。
数十分後──
「……なあ」
「はい」
「脚、くっつけていいか?」
「……どうぞ」
朝陽の太ももが、依澄の脚にそっと触れる。 びくりと反応したのは、むしろ依澄の方だった。
「……もしかして、おまえ……もう?」
「いえ、まだです。でも……副会長の体温、すごく熱いので」
「うるさい。そっちこそ顔、赤いけど」
「副会長が、そんな顔するから……」
依澄が、小さく笑う。
二人の体が徐々に重なっていく。
この夜が、ただの性癖の共有にとどまらないと、朝陽はなんとなく分かっていた。
息の詰まりそうな沈黙と、昂る尿意。 苦しさが、快楽と期待に変わっていく。
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