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生存者あり。
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島からの脱出。
DAS○島ならぬ脱出島。
そう考えるとワクワクしてくる。それもきっと、異世界での心沸き立った魔王討伐を思い出したからだろう。もっとも、ただのゲーム脳なだけかもしれないが……。
それはさておくとしてもだ。
「まずは水の確保ですよね。この島どれくらいの大きさでしたか」
「あら、元気になったわね。ちょうど東京駅くらいの岩しかない小さな島ね。真水は全くなかったわ。能力だったかしら、それで何とかならないの」
「あー、今は難しいです」
「何でもできるわね。どれくらいで出来るようになるのかしら」
「体調が万全なら、2日後ですね」
「そう。ねぇ、能力っていったかしら。詳しく教えてもらえない。もちろん私のことから話すから
」
「ええ、かまいませんよ」
「では、改めまして。須田アレナと申します。25%の日本人よ」
『彼女は在日ロシア人、75%』
閲覧数の伸びないブログのタイトルのようだ。そんな感想を言って笑い合えたのは、作戦の顔合わせから2ヶ月もたってからだった。
自己紹介が本当ならば、彼女の経歴はすごいものだ。
東京には「そっちの筋」の人が活躍する三大都市がある。
歌舞伎町、六本木に並ぶ東の街。それが錦糸町だ。その錦糸町でエリア部長を若くして務めている彼女は、普通に話せるとしたら国家機密を手土産にしなければ難しいだろう。
さらにさらに。
色々な、仕事があるスパイ。その中でも、彼女の仕事は『情報処理』。今回の魔王討伐チームに選ばれた理由だ。
具体的に上げるならば、2つらしい。
世論を操作すること。そして公表された情報の点をつなぐこと。
この2つは、比較的安全で功績を積みやすい仕事だ。
「でも、なんであえてそんな仕事を。その能力があればなんだって出来そうなのに……」
「正確には国籍は持ってないの。日本も、ソ連も。まぁ……恨みのこもった家訓のおかげでね。だけど、生活していかないとじゃない。妹がね、いるのよ。詳しく聞きたいかしら」
なんかエロい。
俺は憂いを帯びた顔から視線を離せなかった。それにしても、秘密は女性を輝かせるとはよくいったものだ。
艶やかに輝く彼女は中が見えない宝箱のようだ。ここで踏み込んで質問を続けられるほど非情になれれない。
それにだ。異世界で勇者の副業に探索者をしていた俺の勘だ。宝物に関してはスペシャリストの勘なのである。
開けなくても危険はない。いや、むしろ開けないほうがいい。
理由ともならない理由をつけている。しかし本当は、本当はもっと単純なことだ。
その秘密を無理やり聞いたら最期、彼女を傷つけてしまうのではないか。彼女の自己紹介は身を削るようにしてされたものだった。だからこそだろう。今の彼女は触れれば壊れてしまいそう。
「あー。大丈夫です」
「優しいわね。そういえば知ってるかしら。男の65%が、普段はしっかりしている男の弱った姿にグッとくるらしいわよ」
「あー、どうでしょうかね。それよりも今度は僕の紹介ですね。あなたと比べてたいした経歴じゃないですけど。一応トレジャーハンターと霊媒師の真似事やってます。山口進一です」
「当ててあげましょうか。忍者だったのね」
「あっ、違います。中学生のころ異世界でも勇者をやっていたんです」
「いいの、わかるわ。掟があるのよね」
「いや、本当に勇者ですって。忍術でなくて魔法です」
「それは……あれかしら。2年生の頃の話かしら」
「ちゅ、中二病ではないですよ。今はできないですけど、ゲームみたいなマップが出せるんです」
「ふーん。じゃあ、作戦のときにおまじないって言って、指を組んでたのは……」
「そこに。マップを。出していたんです。あっ、それで忍者って言ったんですか。忍者好きの外国人……、あっ。すいません」
「そんなに気にしなくて大丈夫よ。進一君は優しいわね。優しすぎるわよ。もしかして本当にピヨピヨさんなのかしらね」
「ピヨピヨさんってさっきから言ってますけどなんですか」
「それは、ねぇ。私の口から聞きたいのかしら」
「それは、はい」
「仕方ないわね」
「ど、童貞じゃないですよ」
「そう。専門家相手に嘘は難しいと思うけど……パーセントで出してもいいかしら」
「あー、カマかけないでくださいよ」
「あら、バレちゃったわね。じゃあ、改めて能力の説明お願いできるかしら。そうね、病気とか怪我を治せたりはするのかしら」
この後めちゃくちゃ、自己紹介した。
DAS○島ならぬ脱出島。
そう考えるとワクワクしてくる。それもきっと、異世界での心沸き立った魔王討伐を思い出したからだろう。もっとも、ただのゲーム脳なだけかもしれないが……。
それはさておくとしてもだ。
「まずは水の確保ですよね。この島どれくらいの大きさでしたか」
「あら、元気になったわね。ちょうど東京駅くらいの岩しかない小さな島ね。真水は全くなかったわ。能力だったかしら、それで何とかならないの」
「あー、今は難しいです」
「何でもできるわね。どれくらいで出来るようになるのかしら」
「体調が万全なら、2日後ですね」
「そう。ねぇ、能力っていったかしら。詳しく教えてもらえない。もちろん私のことから話すから
」
「ええ、かまいませんよ」
「では、改めまして。須田アレナと申します。25%の日本人よ」
『彼女は在日ロシア人、75%』
閲覧数の伸びないブログのタイトルのようだ。そんな感想を言って笑い合えたのは、作戦の顔合わせから2ヶ月もたってからだった。
自己紹介が本当ならば、彼女の経歴はすごいものだ。
東京には「そっちの筋」の人が活躍する三大都市がある。
歌舞伎町、六本木に並ぶ東の街。それが錦糸町だ。その錦糸町でエリア部長を若くして務めている彼女は、普通に話せるとしたら国家機密を手土産にしなければ難しいだろう。
さらにさらに。
色々な、仕事があるスパイ。その中でも、彼女の仕事は『情報処理』。今回の魔王討伐チームに選ばれた理由だ。
具体的に上げるならば、2つらしい。
世論を操作すること。そして公表された情報の点をつなぐこと。
この2つは、比較的安全で功績を積みやすい仕事だ。
「でも、なんであえてそんな仕事を。その能力があればなんだって出来そうなのに……」
「正確には国籍は持ってないの。日本も、ソ連も。まぁ……恨みのこもった家訓のおかげでね。だけど、生活していかないとじゃない。妹がね、いるのよ。詳しく聞きたいかしら」
なんかエロい。
俺は憂いを帯びた顔から視線を離せなかった。それにしても、秘密は女性を輝かせるとはよくいったものだ。
艶やかに輝く彼女は中が見えない宝箱のようだ。ここで踏み込んで質問を続けられるほど非情になれれない。
それにだ。異世界で勇者の副業に探索者をしていた俺の勘だ。宝物に関してはスペシャリストの勘なのである。
開けなくても危険はない。いや、むしろ開けないほうがいい。
理由ともならない理由をつけている。しかし本当は、本当はもっと単純なことだ。
その秘密を無理やり聞いたら最期、彼女を傷つけてしまうのではないか。彼女の自己紹介は身を削るようにしてされたものだった。だからこそだろう。今の彼女は触れれば壊れてしまいそう。
「あー。大丈夫です」
「優しいわね。そういえば知ってるかしら。男の65%が、普段はしっかりしている男の弱った姿にグッとくるらしいわよ」
「あー、どうでしょうかね。それよりも今度は僕の紹介ですね。あなたと比べてたいした経歴じゃないですけど。一応トレジャーハンターと霊媒師の真似事やってます。山口進一です」
「当ててあげましょうか。忍者だったのね」
「あっ、違います。中学生のころ異世界でも勇者をやっていたんです」
「いいの、わかるわ。掟があるのよね」
「いや、本当に勇者ですって。忍術でなくて魔法です」
「それは……あれかしら。2年生の頃の話かしら」
「ちゅ、中二病ではないですよ。今はできないですけど、ゲームみたいなマップが出せるんです」
「ふーん。じゃあ、作戦のときにおまじないって言って、指を組んでたのは……」
「そこに。マップを。出していたんです。あっ、それで忍者って言ったんですか。忍者好きの外国人……、あっ。すいません」
「そんなに気にしなくて大丈夫よ。進一君は優しいわね。優しすぎるわよ。もしかして本当にピヨピヨさんなのかしらね」
「ピヨピヨさんってさっきから言ってますけどなんですか」
「それは、ねぇ。私の口から聞きたいのかしら」
「それは、はい」
「仕方ないわね」
「ど、童貞じゃないですよ」
「そう。専門家相手に嘘は難しいと思うけど……パーセントで出してもいいかしら」
「あー、カマかけないでくださいよ」
「あら、バレちゃったわね。じゃあ、改めて能力の説明お願いできるかしら。そうね、病気とか怪我を治せたりはするのかしら」
この後めちゃくちゃ、自己紹介した。
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