学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと

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第5章 三姉妹の気持ち

24 好きと嫌いは表裏

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 おかしい。

 何かがおかしい。

 わたしは月森三姉妹つきもりさんしまいの仲を取り戻すために奮闘してきました。

 そして微力ながらですが、三姉妹の間にあったわだかまりを解消するお手伝いが出来たと自負しています。

 実際に、三人の雰囲気は和やかなものに変わりつつありましたから。

 それなのに――

「ていうかさ、千夜姉ちやねえ日和姉ひよりねえも最初は明莉あかりと距離とってたのに、最近なんか雰囲気ちがくない?」

 妹としての立場から姉に対して意見するようになった華凛かりんさんが吠える。

「あらあら、わたしは最初から友好的なつもりでしたよぉ?華凛ちゃんの方こそ、そうやってあかちゃんを困らせるのは良くないと思いますよ?」

 二女としてバランサーを務めていた日和さんは、今はそのバランスが崩れることがあっても自分の気持ちを表現するにようになった。

「そもそも家族を相手に“距離”や“友好的”という表現が好ましくないわね。親しき仲にも礼儀は尽くすべきよ」

 長女としてその気高い生き方を貫こうとしていた千夜さんも、こうして姉妹との会話を大事にしてくれるようになった。

 そう、これらは全て三姉妹の関係性を遠ざけていた要因だった。

 でも、それは今こうして改善されたのです。

 だから“不仲”は“仲良し”に反転する。

 そう思っていたのに……。

「いやいや!千夜|ねえが一番、明莉を家族として認めてなかったよね!?」

「確かにそうですよねぇ。わたし実は聞いちゃってたんですけど、あかちゃんがお家に来てすぐに“姉妹として認めるつもりはない”って、千夜ちゃんがはっきり仰ってましたよねえ?」

「……そ、そうだったかしら」

 やだ、千夜さんたら。

 いつの間にかわたしのこと家族として認めてくれてたなんて……きゅん。

「そうそう!なのにいきなりこのタイミングで手の平返しとかないから!」

「ちょっとわたしたちに遠慮して頂いても構わないかもしれませんねえ?」

「……へえ、私にそうくるのね」

 いやいや、待て待て、落ちつけ、わたし。

 きゅんきゅんしてる場合じゃ全然なかった。

 これのどこが“仲良し”なんですか?

「じゃあ言わせてもらうけど、“最も花野明莉と距離があり家族として認めなかったのが月森千夜”そう主張するのなら、そんな疎遠な二人こそ、今最も親睦を深めるべき人物なんじゃないかしら?」

「は、はぁ……!?なにその屁理屈!?」

「そ、それは都合の良すぎる解釈ですっ」

 完全に言い争っているではありませんかっ。

 以前までのお互いの気持ちを推しはかりつつ、不干渉を貫いていた頃とは違いますが。

 ですが、こうしてバチバチと主張をぶつけ合うような険悪なムードなことには変わりありません!

 どうしてっ!?

 どうしてこんなことになっちゃったんですかっ!?

「ていうか、明莉はいつまで黙ってんのよっ!」

「は、ひゃいっ!」

 華凛さんに背中をはたかれて、思わず飛び跳ねてしまいます。

「明莉の事で話してんだから何か言ってよ!話しがまとまらないじゃんっ!」

「あ、す、すいません……」

 で、でもどうしたら……?

 だってこれはわたしの望んだ展開で……でも結果は望んだものじゃなくて……。

 頭がパニック!

「見たわね、日和?」

「ええ、見ましたよ千夜ちゃん」

 そして急にコソコソ話風にダダ漏れな音量で話し出す二人……。

「な、なによ……」

 それに動揺を隠せない華凛さん。

 やっぱり姉二人を相手にするのは尻込みするようです。

 負けん気が強そうなのに、すぐおどおどしちゃうの可愛いですよねっ!

「信じられないわ。距離がどうのこうの言っていた子が暴力だなんて……」

「距離の意味を誤解しているんじゃないでしょうか?“接触=距離”のような」

「それはどうしようもない勘違いね。不用意な接触は、心の距離を遠ざけるものなのに」

「まずは物理的な距離と、心の距離は似て非なるものという理解を促さないとですねぇ」

 おお、姉二人のフルコンボ……。

「べっ、別に暴力なんてしてないしっ、ちょっと触っただけじゃない!」

「加害者はいつだってそう主張するわ」

「そうですそうです。平等に基づきませんと、一方的な行いは良くありませんよ?」

「うっ……うるさいなーっ、もうっ!」

 華凛さんが涙目にっ。

 はわわ……姉にたじたじになる妹。

 不謹慎ながら、尊い……。

「だいたいねえっ!」

 しかし、華凛さんはスポーツマン。

 悔し涙を浮かべることはあっても、そのまま倒れ込むような事はしませんっ。

「日和ねえは平等だ大事だとか言ってたけど、じゃあこれなにっ!?」

 びしっと指差したのはわたしのお皿にあるお料理でした。

「え、ええ……?な、なんでしょうかぁ……?」

「あたし気付いてたんだからねっ。なんか明莉のだけ妙にパスタの具の量が多くない!?」

 日和さん、わたしが実はもうちょっと食べたいと思っていたのを察してくれていたんですか……?

 や、優しい。

「それは私も気付いていたけれど……。たまたまかと思っていたわ」

「あー……あははっ、そっ、それが一体なんだと言うのでしょうかぁ?」

 明らかに声が上擦る日和さん。

 華凛さんの瞳にはメラメラと闘志が宿ります。

「あたし知ってんだから。日和ねえは普段、姉妹で喧嘩にならないようにって料理の分量は人一倍気を遣ってることっ!」

「それは不思議ね、それがどうして一人だけ変わっているのかしら?」

「あ……あーらあら、本当ですねぇ。不思議なこともありますねぇ?」

「絶対わざとっ!全然平等になんかしようとしていないじゃんっ!」

 だがしかし……。

 そもそも月森三姉妹の皆さんは一体何を言い争っているのでしょう……?

 基本的にわたしが話題に出てきていますが、大事なのはその根本。

 わたしが介在することで言い争いになってしまう理由が重要なのです。

「ねえ、もうそろそろ明莉もなんか言ってよ」

「そうですよ、あかちゃんがはっきり仰って下さい」

「そうね。貴女が言えば済むことよ」

 ……そうかっ!

 千夜さんは、わたしを義妹、つまり家族として認めないことで三姉妹の絆を守ろうとした。

 華凛さんは、お姉さん方には絶対しない“叩くはたく”という行為をわたしにだけすることで、姉への尊厳を主張してみせた。

 日和さんは、料理の量をわたしにだけ多くすることで、三姉妹に対しては平等であるという公平性を暗喩させていた。

 これが意味することは、つまり!!

「皆さん、とっても仲良しで素敵ですねっ!」

 喧嘩するほど仲が良い。

 これはお互いの主張がぶつけ合えるようになった、心の変化が生み出した現象。

 その根本にあるのは“姉妹愛”。

 つまりラブなのだ。

「うんうん、皆さんが仲良くしてくれてとっても嬉しいです。わたしは陰ながら見守っていますよ」

 ただ、残念なのはその愛を確認するのにイレギュラーであるわたしという因子が絡んでいることだけど。

 でもまあ、のけ者のわたしが皆さんの姉妹愛を確かめる材料になったのなら本望です。 

「「「……」」」

「え、あれ、皆さんどうしました。そんな黙り込んでしまって」

 さっきまであんなに話していたのに、わたしが発言したらだんまり……。

 そんなにわたしがお邪魔でしょうか!?

「明莉ってさぁ……」

「なんと言いましょうか……、無自覚?」

「無責任と言ってもいいかもしれないわね」

 はあ……と、三人が同時に溜め息を吐きます。

 そ、そんなにわたしのことを嫌わなくてもいいじゃないですかっ!

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