【完結済】結婚式の翌日、私はこの結婚が白い結婚であることを知りました。

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15.(※ポーラside)

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 初めて会った時から気にくわなかった。

 貴族学園に入学して、最初に座った席が隣だったことから仲良くなった。私は貧乏子爵家の娘。向こうは羽振りの良い伯爵家の娘。

 アミカ・オルブライトは、しっかり者で優しく美しい子だった。友人も多かった。いつも質の良くて素敵な髪飾りやアクセサリーを身につけ、持ち物も古びたものなど一つもなかった。

 貴族とは名ばかりの私とは大違い。

 紹介された婚約者も、彼女と同じく裕福な伯爵家の令息だった。それに引き替え私には婚約者はいない。うちと縁を結んだところで相手方にメリットなどないから良い縁談なんて簡単には決まらないのだ。
 アミカのお相手のミッチェル・ベルナップは、見た目はまあまあ及第点といったところ。特別素敵ではないが、伯爵令息の肩書きが彼を輝かせて見せた。

 何でも簡単に手に入れているアミカが妬ましかった。腹立ち紛れに試しにミッチェルに色目を使ってみたら、いともあっさりと私に靡いてきた。

 なんだ。簡単に奪えるじゃないの。

 私はほくそ笑んだ。アミカに人生の挫折を味わわせ、私が伯爵家に嫁いでやる。私はそう目論んだ。


 ミッチェルは単純な男だった。私の魅力にすぐに籠絡されメロメロになった。


『愛しているわ、ミッチェル』
『僕もだよポーラ…。君みたいな情熱的な女性は初めてだ』
『当たり前よ。だって私たちって特別な関係なのよ。これは運命の恋、真実の愛なのよ』
『…そ、そうか……。これが……真実の、愛……』
『そうよ、ミッチェル!あぁ……、あなたと結婚して生涯を添い遂げることができたら、どんなに幸せかしら……。私なら絶対に、アミカよりもあなたを幸せにしてあげられるのに……っ』
『ポ、ポーラ……』


 二人きりの逢瀬の時間に、私は度々ミッチェルに自分を売り込んだ。私こそ真実の愛の相手、きっと素晴らしい妻になれると。
 だがミッチェルは煮え切らなかった。私のためにアミカを振ってはくれない。両親が決めた婚約だから、両親がアミカを気に入っているから……。二言目にはそればかり。私はだんだん苛立ちはじめた。


『…じゃあ私とは結婚してくれないのね…?私たち、真実の愛で結ばれた二人なのに、……もう、これで終わりなのね……?うぅっ……』
『ポ、ポーラ……ッ』
 

 ミッチェルは困り果てながらも、一旦はアミカと結婚するが、必ず離婚してその後私と結婚してみせる、と苦しい約束した。

(……何よそれ。全くアテにならないじゃない)

 流されやすいミッチェルのことだ。いざ結婚してアミカと夜を過ごし始めたら、今度は向こうの魅力に気付いて気持ちがコロリと変わってしまうはずだ。こいつはそういう男だ。私は見抜いていた。

 頼りにならないミッチェルを誘導して、私は離婚までの計画を立て始めた。

 形式上、一旦は結婚するが決して寝室を共にしないこと。真実の愛で結ばれた私を絶対に裏切らないこと。
 結婚して両親を納得させたらすぐにアミカに不貞の事実を作って離婚に持ち込むこと。そして傷心のミッチェルを慰め支えた私を、頃合いを見計らって両親に紹介し、結婚を承諾させること。

 ミッチェルは私の計画を聞きながらウンウンと頷いていた。


『分かってる?ミッチェル。ちゃんとアミカと離婚して、私を妻にしてくれる?』
『ああ、もちろんだよポーラ』
『じゃあ、必ず計画通りにね』
『ああ』
『夜は絶対に別々の部屋で眠るのよ。あなたにはこの私がいるんだからね。私はもう全てをあなたに捧げたの。裏切らないで』
『うん、もちろんだよポーラ』
『…………裏切ったら、承知しないから』
『わ、分かってるってば』


 だが実際に二人が結婚してしまうと、不安ばかりが募りつい苛立ちをミッチェルにぶつけてしまう。
 本当は離婚するつもりなんかないんじゃないか。私に嘘をついてアミカと仲睦まじい夜を過ごしているんじゃないか。
 そう考えれば考えるほど疑心暗鬼になり、ミッチェルを責め立ててしまう。

 ミッチェルの幼なじみであるエイダンを使ってのアミカの不貞捏造も、結局失敗してしまった。エイダンではアミカを落とせなかった。

 焦りがピークに達し、たまらずアミカに夫婦生活を確認しに行ってしまったけれど、ミッチェルは約束通り寝室はきちんと別にしているようだった。悩んで落ち込んでいるらしいアミカの様子を見て、少しだけ溜飲の下がる思いがした。
 それにしても…、


(まったく……腹が立つわねあの小娘!)


 さっさと離婚しなさいよね!!



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