1 / 4
プロローグ
しおりを挟む
早くに両親を亡くし、難病を患う妹の医療費を捻出する為、俺はスペースコロニー公社へと入社した。
何故なら、γ線バーストやスペースデブリ等、宇宙空間での作業は常に危険が付きまとう、オマケに宇宙服の中はオムツ着用と過去の言葉で言い表すなら3K、キツイ、汚い、危険と三拍子、なので非常に実入りが良い、それに衣食住は会社持ちと21歳、嫁無し彼女無しの俺にとっては非常に好都合なのだ。
何時もの様に鼻歌交じりにコロニー外壁増設作業中ヘルメットのマイクからホットラインコールが流れる。
「竹下君、大変だ!妹さんの容態が急変して……」
「今しがた…………息を引き取ったそうだ。」
「えっ、、……」
突然の言葉に理解が追い付かず溶接トーチを握り締めたまま呆然と固まってしまう。
何処までも広がる漆黒の静寂、音の無い世界、蒼いトーチの光だけがヘルメットフェイスに反射していた。
あれから俺は会社の同僚に支えられ、コロニーに帰還した後シャトルで地上へと戻ってきた。
しかし、連絡を受けて1ヶ月が過ぎており、妹は既に荼毘に伏され冷たい墓の下だった。
「結愛……」
「寂しい想いさせてゴメンな…駄目な兄貴で本当にゴメン……」
頬を熱い物が伝っては零れ落ち地面を濡らす
「俺には何も無い何も……」
、
虚無感にうちひしがれた7日の休みを経て辞表を握りしめ公社の廊下を歩く、その時ふと壁の広報ポスターに目を引かれる。
「第3次フロンティア惑星探査計画…」
「ケンタウルス座アルファ星系資源探査及び居住可能惑星探査、航海士募集…」
「4,4光年、タキオン粒子航法で片道4年ちょいって所か?探査も合わせて往復すると32歳迄には帰ってこれそうだな」
生きる目的の無い人生
「まっ、いいか?」
辞表を廊下のダストボックスに捩じ込み、気が付けば、そのまま総務課の人事部に足を向けて歩いていた。
……3年後…地球から1,5光年離れた宙域
居住区画のカプセルルーム、低温で細胞活動を低下させ老化を遅延させる宇宙航海時代ならではの装置、誰も動いていない部屋で冷気の排出音が鳴る
<プシュー>
低温カプセルのキャノピーが開き、重い瞼が開き徐々に意識が覚醒する。
「んん、……」
「冷た!!」
重い体に鞭を打ちカプセルから起き上がり床に足を着いた瞬間余りの冷たさに強制的にボケた頭がシャッキリする。
寒さに震えながら制服に着替え、艦内エレベーターでホストコンピュータルームに向かう。
惑星探査移民船フロンティア3、地球の衛星軌道上で建造された惑星探査移民船の3番艦で母艦を取り巻くファーム、ファクトリー両プラント4基から成る、沖縄本島ほどの大きさを誇る巨大艦である。
そしてこの艦の頭脳フロンティア3のホストコンピューター 【桜】
船の自動航行、艦内アンドロイド5000体の管理、乗員300人のメンタルケア等も担う自立思考、量子コンピューターである。
「桜!現在の状況報告とコールドスリーブ中の状況報告」
『ただ今、地球から約1,5光年の宙域を航行中、19682,5時間33秒で目標宙域に到着予定です。』
優しい女性の声が響く
航海士がローテーションで、一週間艦内チェックを行う決まりで是といって余りすることは無いが一応社内規則だからしょうがない。
「桜これから、一週間頼むよ」
『はい! Mr大樹、安全な航海をお約束いたします』
「さて、テキパキとお仕事やっちゃいますか」
何時ものルーティン変わりのない時間のはずだった。今のこの時まで。
ズッシィーーーン
突然、艦が大きく揺れ船体が軋む
けたたましく鳴り響くレッドアラート音
「桜!! 状況報告!!」
『突然2光秒前方に巨大重力磁場発生、艦ジェネレータ最大出力、回避中…』
『駄目です!!重力に引っ張られます!』
「桜!現在の状況打開案採択!」
『メインジェネレータのある居住区画のみ本船よりパージ、サブブースター2基の点火による最大出力の脱出しかありません』
『脱出可能時間残り180秒』
「つまり、コンピュータールームに居る俺は脱出不可能……」
『はい……残念ながらMr大樹は、本艦と共に重力磁場に引き込まれます』
『Mr大樹……』
「いいね…いいじゃん!」
こんな、俺にも俺の命にも、こんな使い道が有るなんて乗員299名の命と等価交換、最高じゃないか。
「桜!!」
「救難信号発信!居住区画強制パージの後メインジェネレータ最大出力、サブブースター点火」
『Mr大樹……』
『了解、命令を遂行します』
ズッウウン、居住区画をパージした振動が伝わる。
「桜…本艦消失迄の時間は、」
『メインジェネレータを失いサブジェネレータ2基の推力では、後10時間程です。』
「桜、取り敢えずレッドアラート止めてくれる」
けたたましく鳴り響くレッドアラート音と赤い光の点滅が止まり艦内に静寂が戻る。
シートを倒し大きく息を吐く。
「桜、ありがとう」
これ迄の人生を振り返り、脳裏を想い出が走馬灯の様に移り過ぎて行く
何故だろう、急に睡魔に襲われ意識が遠退く、薄れ行く意識の中で呟く。
「父さん母さん結愛、俺頑張ったよ。俺もそっちに行ってもいいかな…」
コンピュータールームに充満する対テロ麻酔ガス、量子コンピューター桜のせめてもの気遣いだった。
『ゆっくりお休みになって下さい。Mr大樹、貴方と最期までお供いたします』
そして、何処までも蒼く目映いチェレンコフ光のひかりに艦内が包まれるのであった。
何故なら、γ線バーストやスペースデブリ等、宇宙空間での作業は常に危険が付きまとう、オマケに宇宙服の中はオムツ着用と過去の言葉で言い表すなら3K、キツイ、汚い、危険と三拍子、なので非常に実入りが良い、それに衣食住は会社持ちと21歳、嫁無し彼女無しの俺にとっては非常に好都合なのだ。
何時もの様に鼻歌交じりにコロニー外壁増設作業中ヘルメットのマイクからホットラインコールが流れる。
「竹下君、大変だ!妹さんの容態が急変して……」
「今しがた…………息を引き取ったそうだ。」
「えっ、、……」
突然の言葉に理解が追い付かず溶接トーチを握り締めたまま呆然と固まってしまう。
何処までも広がる漆黒の静寂、音の無い世界、蒼いトーチの光だけがヘルメットフェイスに反射していた。
あれから俺は会社の同僚に支えられ、コロニーに帰還した後シャトルで地上へと戻ってきた。
しかし、連絡を受けて1ヶ月が過ぎており、妹は既に荼毘に伏され冷たい墓の下だった。
「結愛……」
「寂しい想いさせてゴメンな…駄目な兄貴で本当にゴメン……」
頬を熱い物が伝っては零れ落ち地面を濡らす
「俺には何も無い何も……」
、
虚無感にうちひしがれた7日の休みを経て辞表を握りしめ公社の廊下を歩く、その時ふと壁の広報ポスターに目を引かれる。
「第3次フロンティア惑星探査計画…」
「ケンタウルス座アルファ星系資源探査及び居住可能惑星探査、航海士募集…」
「4,4光年、タキオン粒子航法で片道4年ちょいって所か?探査も合わせて往復すると32歳迄には帰ってこれそうだな」
生きる目的の無い人生
「まっ、いいか?」
辞表を廊下のダストボックスに捩じ込み、気が付けば、そのまま総務課の人事部に足を向けて歩いていた。
……3年後…地球から1,5光年離れた宙域
居住区画のカプセルルーム、低温で細胞活動を低下させ老化を遅延させる宇宙航海時代ならではの装置、誰も動いていない部屋で冷気の排出音が鳴る
<プシュー>
低温カプセルのキャノピーが開き、重い瞼が開き徐々に意識が覚醒する。
「んん、……」
「冷た!!」
重い体に鞭を打ちカプセルから起き上がり床に足を着いた瞬間余りの冷たさに強制的にボケた頭がシャッキリする。
寒さに震えながら制服に着替え、艦内エレベーターでホストコンピュータルームに向かう。
惑星探査移民船フロンティア3、地球の衛星軌道上で建造された惑星探査移民船の3番艦で母艦を取り巻くファーム、ファクトリー両プラント4基から成る、沖縄本島ほどの大きさを誇る巨大艦である。
そしてこの艦の頭脳フロンティア3のホストコンピューター 【桜】
船の自動航行、艦内アンドロイド5000体の管理、乗員300人のメンタルケア等も担う自立思考、量子コンピューターである。
「桜!現在の状況報告とコールドスリーブ中の状況報告」
『ただ今、地球から約1,5光年の宙域を航行中、19682,5時間33秒で目標宙域に到着予定です。』
優しい女性の声が響く
航海士がローテーションで、一週間艦内チェックを行う決まりで是といって余りすることは無いが一応社内規則だからしょうがない。
「桜これから、一週間頼むよ」
『はい! Mr大樹、安全な航海をお約束いたします』
「さて、テキパキとお仕事やっちゃいますか」
何時ものルーティン変わりのない時間のはずだった。今のこの時まで。
ズッシィーーーン
突然、艦が大きく揺れ船体が軋む
けたたましく鳴り響くレッドアラート音
「桜!! 状況報告!!」
『突然2光秒前方に巨大重力磁場発生、艦ジェネレータ最大出力、回避中…』
『駄目です!!重力に引っ張られます!』
「桜!現在の状況打開案採択!」
『メインジェネレータのある居住区画のみ本船よりパージ、サブブースター2基の点火による最大出力の脱出しかありません』
『脱出可能時間残り180秒』
「つまり、コンピュータールームに居る俺は脱出不可能……」
『はい……残念ながらMr大樹は、本艦と共に重力磁場に引き込まれます』
『Mr大樹……』
「いいね…いいじゃん!」
こんな、俺にも俺の命にも、こんな使い道が有るなんて乗員299名の命と等価交換、最高じゃないか。
「桜!!」
「救難信号発信!居住区画強制パージの後メインジェネレータ最大出力、サブブースター点火」
『Mr大樹……』
『了解、命令を遂行します』
ズッウウン、居住区画をパージした振動が伝わる。
「桜…本艦消失迄の時間は、」
『メインジェネレータを失いサブジェネレータ2基の推力では、後10時間程です。』
「桜、取り敢えずレッドアラート止めてくれる」
けたたましく鳴り響くレッドアラート音と赤い光の点滅が止まり艦内に静寂が戻る。
シートを倒し大きく息を吐く。
「桜、ありがとう」
これ迄の人生を振り返り、脳裏を想い出が走馬灯の様に移り過ぎて行く
何故だろう、急に睡魔に襲われ意識が遠退く、薄れ行く意識の中で呟く。
「父さん母さん結愛、俺頑張ったよ。俺もそっちに行ってもいいかな…」
コンピュータールームに充満する対テロ麻酔ガス、量子コンピューター桜のせめてもの気遣いだった。
『ゆっくりお休みになって下さい。Mr大樹、貴方と最期までお供いたします』
そして、何処までも蒼く目映いチェレンコフ光のひかりに艦内が包まれるのであった。
0
あなたにおすすめの小説
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
辺境の落ちこぼれと呼ばれた少年、実は王も龍も跪く最強でした
たまごころ
ファンタジー
村で「落ちこぼれ」と呼ばれた少年アレン。魔法も剣も使えず、追放される運命だった。
だが彼の力は、世界の理そのものに干渉する“神級スキル”だった。
自覚のないまま危機を救い、美女を助け、敵を粉砕し、気づけば各国の王も、竜すらも彼に頭を下げる。
勘違いと優しさと恐るべき力が織りなす、最強無自覚ハーレムファンタジー、ここに開幕!
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる