2 / 4
此処は宇宙(そら)彼方
しおりを挟む
何処までも沈んでいく、まるで海溝の深く暗く冷たい海中へと沈む様に、意識の底へと…
働いている思考とは裏腹に身体は指先一つ動かせない、そんな暗闇の中、懐かしい声が聞こえる。
《兄さん…大樹兄さん》
「結愛!結愛なのか!」
《兄さん、私幸せだったよ、兄さんの妹で良かった》
《だから、お願い…兄さんは大樹兄さんの幸せを探して幸せになって》
《ずっと見守っているから》
「チョット待ってくれ!!お願いだから俺を置いて行かないでくれ!」
「ゆっ結愛~」
…………………………
『……樹……Mr大樹……』
繰り返し名を呼ばれて目を醒ますと、知らない天井、白い壁、メディカルルームの寝心地の悪いベットの上だった。
「いっ痛ぅ…」
「桜… あれは夢…あれ?確か重力磁場に飲まれて死んだはずじゃ?」
『いえ、生きておられますバイタル、身体共に正常で異常な所見は見当たりません本艦の機能も正常に作動中、あの日から地球時間で126時間経過』
「126時間?5日以上寝てたのか?現在状況は、俺が寝ている間の報告を」
大急ぎで着替えオペレーションルームの椅子に着く。
「では、桜、現状解っていることを詳しく説明してくれ」
『はい、説明させて頂きます』
『磁場に飲まれて34分42秒その後、通常宇宙空間に放り出され磁場は消失、其所から2光秒先の恒星系第3惑星軌道上です』
『今、モニターに出します』
「こ…これは」
メインモニターいっぱいに写し出された大気を纏う、どこまでも青く美しい水の惑星
「ひょっとして地球に帰還したのか?」
『Mr大樹、見た目や大気組成は地球と全く同じですが、残念ながら地球とは別の天体です』
『ここ5日間で解析したデータを端末に転送します』
大気組成、重力、地球と99,99%同じ、質量、地球の1,8倍、自転周期
約24時間、恒星公転周期約365日の衛星を持つ海洋惑星
「まんま、デカイ地球じゃないか…凄い!! 桜! 世紀の大発見だよ!」
『…レポートの続きを見て下さい』
そして、地球へ居住可能惑星の宙域座標を転送すべく宇宙望遠レンズで他の銀河の位置を元に現在宙域を割り出した結果、地球より約30億光年離れたアルキオネウス銀河星団の恒成系第3惑星と結論に至る。
「なっ さっ、30億 30億光年だって!」
「そんなバカな!!」 「それじゃぁ」
アルキオネウス銀河星団の3D画像がモニターに写し出され全容が明らかになる全長1600万光年、直径10万光年、例えタキオン粒子航法で、光速の2倍で航行しても、アルキオネウス銀河から出る事すら叶わない。
『はい…例えメインジェネレータを再建したとしても、今現在の技術では帰る術が有りません』
『当然ながら地球との通信も救助を呼ぶことも出来ません』
全身の力が抜け、シートに体を預けたままずり落ちる。
「考えろ!思考を停滞させたって何も変わらない、今やれる事、出来る事を考えるんだ!」
モニターを見つめ膨れ上がる不安と苛立ちから爪を噛む。
本当は答えなんて、もう、既に出ている。
ただ、現実を受け入れる事が出来ないだけ。
帰る事が出来ないのであれば、この水の惑星を拠点に生活するしか手立ては無い、外宇宙に出たところで人は水と食料、空気がなければ生きられない暗く冷たい宇宙で永劫の時を彷徨う幽霊船となるのが落ちだ。
そう、始めから選択肢なんて残されていないのだ。
「桜!有るだけ惑星軌道上に観測衛星ばらまいて」
「無人偵察機とドローンを惑星に降下!」
「探査アンドロイド部隊を編成、降下艇で地上降下、橋頭堡を確保、ベース基地を築いて!」
「サンプル採集!いろんな場所の大気、土壌、海、河川、人体に危険が及びそうな危険生物、菌、ウィルス等々もう一度、徹底的に洗い出せ!」
『はい、命令を受諾、実行に移ります』
『現時点をもちましてコロニー公社、規約第3条にもとずき、フロンティア3及びメインコンピューター桜は、竹下大樹を本艦マスターと容認、指揮下に入ります』
「さあ、後は鬼が出るか蛇が出るか、開けてのお楽しみだな!」
働いている思考とは裏腹に身体は指先一つ動かせない、そんな暗闇の中、懐かしい声が聞こえる。
《兄さん…大樹兄さん》
「結愛!結愛なのか!」
《兄さん、私幸せだったよ、兄さんの妹で良かった》
《だから、お願い…兄さんは大樹兄さんの幸せを探して幸せになって》
《ずっと見守っているから》
「チョット待ってくれ!!お願いだから俺を置いて行かないでくれ!」
「ゆっ結愛~」
…………………………
『……樹……Mr大樹……』
繰り返し名を呼ばれて目を醒ますと、知らない天井、白い壁、メディカルルームの寝心地の悪いベットの上だった。
「いっ痛ぅ…」
「桜… あれは夢…あれ?確か重力磁場に飲まれて死んだはずじゃ?」
『いえ、生きておられますバイタル、身体共に正常で異常な所見は見当たりません本艦の機能も正常に作動中、あの日から地球時間で126時間経過』
「126時間?5日以上寝てたのか?現在状況は、俺が寝ている間の報告を」
大急ぎで着替えオペレーションルームの椅子に着く。
「では、桜、現状解っていることを詳しく説明してくれ」
『はい、説明させて頂きます』
『磁場に飲まれて34分42秒その後、通常宇宙空間に放り出され磁場は消失、其所から2光秒先の恒星系第3惑星軌道上です』
『今、モニターに出します』
「こ…これは」
メインモニターいっぱいに写し出された大気を纏う、どこまでも青く美しい水の惑星
「ひょっとして地球に帰還したのか?」
『Mr大樹、見た目や大気組成は地球と全く同じですが、残念ながら地球とは別の天体です』
『ここ5日間で解析したデータを端末に転送します』
大気組成、重力、地球と99,99%同じ、質量、地球の1,8倍、自転周期
約24時間、恒星公転周期約365日の衛星を持つ海洋惑星
「まんま、デカイ地球じゃないか…凄い!! 桜! 世紀の大発見だよ!」
『…レポートの続きを見て下さい』
そして、地球へ居住可能惑星の宙域座標を転送すべく宇宙望遠レンズで他の銀河の位置を元に現在宙域を割り出した結果、地球より約30億光年離れたアルキオネウス銀河星団の恒成系第3惑星と結論に至る。
「なっ さっ、30億 30億光年だって!」
「そんなバカな!!」 「それじゃぁ」
アルキオネウス銀河星団の3D画像がモニターに写し出され全容が明らかになる全長1600万光年、直径10万光年、例えタキオン粒子航法で、光速の2倍で航行しても、アルキオネウス銀河から出る事すら叶わない。
『はい…例えメインジェネレータを再建したとしても、今現在の技術では帰る術が有りません』
『当然ながら地球との通信も救助を呼ぶことも出来ません』
全身の力が抜け、シートに体を預けたままずり落ちる。
「考えろ!思考を停滞させたって何も変わらない、今やれる事、出来る事を考えるんだ!」
モニターを見つめ膨れ上がる不安と苛立ちから爪を噛む。
本当は答えなんて、もう、既に出ている。
ただ、現実を受け入れる事が出来ないだけ。
帰る事が出来ないのであれば、この水の惑星を拠点に生活するしか手立ては無い、外宇宙に出たところで人は水と食料、空気がなければ生きられない暗く冷たい宇宙で永劫の時を彷徨う幽霊船となるのが落ちだ。
そう、始めから選択肢なんて残されていないのだ。
「桜!有るだけ惑星軌道上に観測衛星ばらまいて」
「無人偵察機とドローンを惑星に降下!」
「探査アンドロイド部隊を編成、降下艇で地上降下、橋頭堡を確保、ベース基地を築いて!」
「サンプル採集!いろんな場所の大気、土壌、海、河川、人体に危険が及びそうな危険生物、菌、ウィルス等々もう一度、徹底的に洗い出せ!」
『はい、命令を受諾、実行に移ります』
『現時点をもちましてコロニー公社、規約第3条にもとずき、フロンティア3及びメインコンピューター桜は、竹下大樹を本艦マスターと容認、指揮下に入ります』
「さあ、後は鬼が出るか蛇が出るか、開けてのお楽しみだな!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる