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第十話
王都防衛戦 ⑷クルーズ旅行に行きたいエルフ
しおりを挟む黒龍が飛び立つと、ガレオン軍艦から大砲が次々と撃ち込まれてきた!
ロキは、その物凄い砲撃に負けないようには声を張り上げた。
「さぁ黒龍、戦闘開始だ!」
黒龍は咆哮しながらその口を大きく開くと、白く輝く熱線を左右から撃ち込まれる砲弾めがけて吐いた!
砲弾は熱線に触れたと同時に大爆発を起こし、儚く海面の藻屑となった。
「うひぉーー!!黒龍さーん!最高ですよぉ!MVP!MVP!MVP!」
社長室に戻ろうとしたオヤマダだったが、いきなり始まった戦闘に、完全に腰を抜かしながら万歳した。
「しかし、真面目にここは危ない……死ぬから戻ろう」
オヤマダは魔法陣を出して自分の世界に戻った。
ちょっとした間があり、煙が晴れると居並ぶ軍艦が慌ただしくなった。それぞれの兵が走り回り、中には跪いてる者もいる。
勿論、彼等だけに限った事では無いが、人生の中で龍を実際に見る事などほぼ無いのだ。
しかも、初めて見る龍が巨大で凶暴な黒龍である。先程までの勇猛さが一気に萎んだとて、誰が非難出来るだろう。
黒龍はその場でホバリングしなが、待機していた。
「ふーむ、終わりか?見たところめちゃくちゃ凶暴そうな兵だが……いきなり黒龍登場はきつかったかな?」
ロキは顎に手を添えながら残念そうに言う。
「オーストベルクは痩せた土地故に魔族や魔獣が少ないですからね。少し可哀想な気もします、だってあんなに怖そうなタトゥーが入ってるのに……ククッ」
「アイちゃん、ちょっと笑ってない?」
「いえ、笑ってません!他国の人を笑い物にするなんて失礼ですよ?ロキ様!」
「いや、俺は笑ってないんだけど……。それにしても船は立派だなぁ、壊すの勿体ないねぇ、あんなのでクルーズ旅行したらきっと楽しいよ、ねぇアイちゃん」
「クルーズ旅行……(見知らぬ土地を求めて冒険の旅……楽しそう……)」
アイーシャはサングラスに鍔広のハットを被り、甲板で優雅に過ごす自分を思い浮かべた。
「甲板にプールがあれば最高……いやいや、ロキ様この非常時に何を言ってるんですか!いいですか?残す船はあの大きくて一番豪勢なあの一隻だけですよ?」
アイーシャがタンガ・ロウの旗艦『マタ・ウエンガ』を指差した。
と、その旗艦から太鼓の音が響いた。攻撃を続けろと催促している様だ。
「黒龍、手加減してくれよ!」
再び大砲が黒龍に向かって次々に撃ち込まれた。
黒龍は迫り来る砲弾に向けて、いや、今度は面倒だとばかりに砲弾を貫きながら熱線を前列のガレオン軍艦に浴びせていった。
横っ腹に熱線を浴びせられた軍艦は艦内の砲弾に引火し爆発しながら傾き始めた。
(手加減って何だろう……まぁいいや)
「お疲れ様ー、黒龍。流石に戦意喪失しているだろうからちょっとお話しに行きますか」
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