6 / 16
EPISODE3 新しい生活
新しい生活①
しおりを挟む
「蒼ちゃん、俺学校行ってくるね」
「ん、んん……」
「テーブルの上におにぎり作っておいたから、食べられるようなら食べて」
「……怜音君?」
「行ってきます」
優しく前髪を掻き上げられて額に口付けられる。その瞬間、トクンと心臓が跳ね上がる。胸が甘く締め付けられた。
突然怜音がアパートにやって来てから、もうすぐ一週間が過ぎようとしている。はじめの頃は、怜音と生活を共にすることに対して強い抵抗があったけれど、そんな蒼汰の不安とは裏腹に、穏やかな生活が続いていた。
もうずっと前から一緒に住んでいたのではないか……という錯覚さえしてしまうくらい、怜音と過ごす時間は心地がいい。
蒼汰は失恋して以来、昼夜関係のない生活を送っていた。早朝に目が覚めることがあれば、夕方までずっと眠っていることもある。
起きていても、特に何もすることなんてないから、スマホを眺めていたり、漫画を読んだり。だけど何をしていても心が動かされることなんてなかった。
蒼汰はもともと裕福な家庭で育ったから、お金に苦労したことはない。だから、こんな堕落した生活は自分だから許されることだ……なんてことはわかっている。全く自立できていない自分に、心底嫌気がさしてくる。
ただ茫然と、一日が過ぎていって……虚しさだけが募っていった。
蒼汰が目を覚ましたのは、太陽の日差しが降り注ぐ正午過ぎ。あぁ、またこんな時間まで寝てしまった……と自己嫌悪に陥る瞬間。
テーブルに視線を移すと、大きな三角形のおにぎりが置かれていた。
「あ、怜音君が作ってくれたおにぎりだ」
今まで劣悪な食生活を送っていた蒼汰には、手作りのおにぎりが温かなものに感じられる。こんな自分のことを気にかけてくれる怜音の優しさに、鼻の奥がツンッとなった。
「いただきます」
蒼汰は両手を合わせてから大きなおにぎりに噛り付く。
「美味しい」
嬉しくて涙が出そうになった。
「怜音君、まだ帰って来ないのかな……」
もう何回も時計を見てみるが、時計の針はなかなか動いてはくれない。やっぱり独りぼっちは寂しくて、心が張り裂けそうになる。
加えて、燻り続けるヒートの熱が煩わしくて、泣きたくなった。
「あ、怜音君の匂いがする……」
長いことベッドに蹲っていた蒼汰が飛び起きる。ふんわりと怜音のフェロモンの香りがしたような気がして、クンクンと鼻を鳴らせば……勘違いではなく、怜音の香りがした。
「近くに怜音君がいる」
嬉しくて玄関まで走って行った蒼汰の足が、扉の前でピタッと止まる。やはり、この扉の向こう側にいくことには抵抗があった。
「怜音君、会いたい。会いたいよぉ」
小さく呟きながら、グズグズと床にしゃがみ込む。
ずっと待ち侘びた怜音がすぐ近くにいるというのに、怜音の元に駆け付けることさえできない自分が情けない。
「こんなに会いたいのに……」
蒼汰は膝を抱えて、体を縮こませる。
少しずつ近付いてくる[[rb:怜音 > α]]の香りに、体がどんどん疼き出すのを感じた。
「蒼ちゃん、ただいま。今から夕飯作るから起きて」
「ん……?」
「蒼ちゃん、なんで[[rb:玄関 > こんなところ]]にいるの? 寒いから早く部屋に行こう」
「怜音君……帰ってきたの?」
「うん、帰って来たよ。蒼ちゃん、お腹空いたでしょ? それに抑制剤も処方してもらってきたから」
「……抑制剤……?」
「うん。ご飯食べ終わったら抑制剤飲もう? ヒートが治まるから、体も楽になるよ」
自分の体をそっと揺らす怜音。カーテンの隙間から日差しが差し込んでいないから、きっともう日が暮れた時間なのだろう。
怜音から、フェロモンに交じって、ふわっと外の香りがした。
「怜音君、一人で寂しかった。寂しかったよぉ」
蒼汰は無我夢中で怜音に抱きつく。外は寒いのだろうか。帰って来たばかりの怜音の体は冷たかった。
「一人は怖い……誰か一緒にいてくれないと、消えてしまいたくなる……」
「蒼ちゃん、何があったの?」
怜音に優しく問われる。蒼汰はたくさんの涙を浮かべた瞳で怜音を見上げた。心配そうな顔をしている怜音。胸がギュッと締め付けられる。
恋人に捨てられたときに、これからは一人だけで生きていこうと決めた。カーテンを閉めて、自分だけの殻に閉じこもって……。それなのに、怜音はそんな蒼汰だけの世界にいとも簡単に入り込んできた。
それまでは一人でも大丈夫だったのに、怜音という温もりを知ってしまった途端、今まで以上に蒼汰は弱くなってしまった。
誰かに甘える、ということを思い出してしまったから。
どんどん地へと堕ちていく……そんな恐怖すら感じていた。
「なんでこんな風に引き籠ってしまったのか……その原因が俺は知りたい。蒼ちゃん、俺に全部話してよ?」
「怜音君……」
「お願い、蒼ちゃん」
すがるような視線で顔を覗き込まれてしまえば、これ以上は逃げることなんてできない。蒼汰は深く息を吸ってから、恐る恐る口を開いた。
「怜音君がここにくる少し前に、将来番になろうって約束していた恋人と別れたんだ。向こうには、俺以外の番がいて……。それでも俺と一緒にいたいって言われたけど、俺はそれが許せなかった」
「蒼ちゃん、番になろうって約束してた人が、俺以外にもいたの?」
「ごめん、ごめんね……怜音君……だって、まさかあんな小さい頃の約束を覚えててくれていたなんて、思わなかったから……」
蒼汰の瞳にたくさんの涙が溜まると、溜息を吐きながらも怜音が涙を拭ってくれる。でもその顔が、ひどく辛そうに見えた。
「俺と離れてる間、蒼ちゃんにそんな相手がいたなんて、すげぇヤキモチが妬ける。蒼ちゃん、俺ね、めちゃくちゃ嫉妬深いんだ。独占欲だって強いし。蒼ちゃんは俺だけのものなのに……」
「ごめん……」
「そいつとは体の関係あったの?」
「……うん……」
「もう最悪、許せねぇよ」
まるで唸るように呟く怜音に、蒼汰は無我夢中で体を寄せる。まだ冷めやらないヒートにバラバラになってしまった心。心と体が「寂しい」と悲鳴をあげていた。
「俺も、許すように善処するけど、もうその男と会ったり連絡をとったりはしないでね」
「……うん、わかった……」
「約束だからね」
「うん」
強く自分を抱き締めてくれる怜音の腕に、蒼汰は自分の体を委ねたのだった。
お願い、離れていかないで……そう怜音に言いたかったけれど、そんな都合のいいことなんて言えるはずがない。
蒼汰は唇を噛み締めて、怜音の胸に顔を埋めた。
「ごめんね、怜音君。迷惑ばかりかけて」
「大丈夫だよ。……でも、少しだけ時間をちょうだい。俺も心の整理をしたいから」
「うん」
怜音はいつも優しく頭を撫でてくれる。蒼汰は、いつからかそれを心地よく感じるようになっていた。
「……俺はなんて駄目な人間なんだろう……」
同じ年だというのに、しっかり者の怜音を見ていると、更に自分が情けなくなってくる。
ヒートのせいか、怠くて体も思うように動かない。ネットで売っている粗悪品を飲み続けたせいで、かえって症状を拗らせてしまったのかもしれない。
「もう、消えてしまいたい」
涙が溢れそうになったから、慌てて手の甲で涙を拭ったのだった。
「ん、んん……」
「テーブルの上におにぎり作っておいたから、食べられるようなら食べて」
「……怜音君?」
「行ってきます」
優しく前髪を掻き上げられて額に口付けられる。その瞬間、トクンと心臓が跳ね上がる。胸が甘く締め付けられた。
突然怜音がアパートにやって来てから、もうすぐ一週間が過ぎようとしている。はじめの頃は、怜音と生活を共にすることに対して強い抵抗があったけれど、そんな蒼汰の不安とは裏腹に、穏やかな生活が続いていた。
もうずっと前から一緒に住んでいたのではないか……という錯覚さえしてしまうくらい、怜音と過ごす時間は心地がいい。
蒼汰は失恋して以来、昼夜関係のない生活を送っていた。早朝に目が覚めることがあれば、夕方までずっと眠っていることもある。
起きていても、特に何もすることなんてないから、スマホを眺めていたり、漫画を読んだり。だけど何をしていても心が動かされることなんてなかった。
蒼汰はもともと裕福な家庭で育ったから、お金に苦労したことはない。だから、こんな堕落した生活は自分だから許されることだ……なんてことはわかっている。全く自立できていない自分に、心底嫌気がさしてくる。
ただ茫然と、一日が過ぎていって……虚しさだけが募っていった。
蒼汰が目を覚ましたのは、太陽の日差しが降り注ぐ正午過ぎ。あぁ、またこんな時間まで寝てしまった……と自己嫌悪に陥る瞬間。
テーブルに視線を移すと、大きな三角形のおにぎりが置かれていた。
「あ、怜音君が作ってくれたおにぎりだ」
今まで劣悪な食生活を送っていた蒼汰には、手作りのおにぎりが温かなものに感じられる。こんな自分のことを気にかけてくれる怜音の優しさに、鼻の奥がツンッとなった。
「いただきます」
蒼汰は両手を合わせてから大きなおにぎりに噛り付く。
「美味しい」
嬉しくて涙が出そうになった。
「怜音君、まだ帰って来ないのかな……」
もう何回も時計を見てみるが、時計の針はなかなか動いてはくれない。やっぱり独りぼっちは寂しくて、心が張り裂けそうになる。
加えて、燻り続けるヒートの熱が煩わしくて、泣きたくなった。
「あ、怜音君の匂いがする……」
長いことベッドに蹲っていた蒼汰が飛び起きる。ふんわりと怜音のフェロモンの香りがしたような気がして、クンクンと鼻を鳴らせば……勘違いではなく、怜音の香りがした。
「近くに怜音君がいる」
嬉しくて玄関まで走って行った蒼汰の足が、扉の前でピタッと止まる。やはり、この扉の向こう側にいくことには抵抗があった。
「怜音君、会いたい。会いたいよぉ」
小さく呟きながら、グズグズと床にしゃがみ込む。
ずっと待ち侘びた怜音がすぐ近くにいるというのに、怜音の元に駆け付けることさえできない自分が情けない。
「こんなに会いたいのに……」
蒼汰は膝を抱えて、体を縮こませる。
少しずつ近付いてくる[[rb:怜音 > α]]の香りに、体がどんどん疼き出すのを感じた。
「蒼ちゃん、ただいま。今から夕飯作るから起きて」
「ん……?」
「蒼ちゃん、なんで[[rb:玄関 > こんなところ]]にいるの? 寒いから早く部屋に行こう」
「怜音君……帰ってきたの?」
「うん、帰って来たよ。蒼ちゃん、お腹空いたでしょ? それに抑制剤も処方してもらってきたから」
「……抑制剤……?」
「うん。ご飯食べ終わったら抑制剤飲もう? ヒートが治まるから、体も楽になるよ」
自分の体をそっと揺らす怜音。カーテンの隙間から日差しが差し込んでいないから、きっともう日が暮れた時間なのだろう。
怜音から、フェロモンに交じって、ふわっと外の香りがした。
「怜音君、一人で寂しかった。寂しかったよぉ」
蒼汰は無我夢中で怜音に抱きつく。外は寒いのだろうか。帰って来たばかりの怜音の体は冷たかった。
「一人は怖い……誰か一緒にいてくれないと、消えてしまいたくなる……」
「蒼ちゃん、何があったの?」
怜音に優しく問われる。蒼汰はたくさんの涙を浮かべた瞳で怜音を見上げた。心配そうな顔をしている怜音。胸がギュッと締め付けられる。
恋人に捨てられたときに、これからは一人だけで生きていこうと決めた。カーテンを閉めて、自分だけの殻に閉じこもって……。それなのに、怜音はそんな蒼汰だけの世界にいとも簡単に入り込んできた。
それまでは一人でも大丈夫だったのに、怜音という温もりを知ってしまった途端、今まで以上に蒼汰は弱くなってしまった。
誰かに甘える、ということを思い出してしまったから。
どんどん地へと堕ちていく……そんな恐怖すら感じていた。
「なんでこんな風に引き籠ってしまったのか……その原因が俺は知りたい。蒼ちゃん、俺に全部話してよ?」
「怜音君……」
「お願い、蒼ちゃん」
すがるような視線で顔を覗き込まれてしまえば、これ以上は逃げることなんてできない。蒼汰は深く息を吸ってから、恐る恐る口を開いた。
「怜音君がここにくる少し前に、将来番になろうって約束していた恋人と別れたんだ。向こうには、俺以外の番がいて……。それでも俺と一緒にいたいって言われたけど、俺はそれが許せなかった」
「蒼ちゃん、番になろうって約束してた人が、俺以外にもいたの?」
「ごめん、ごめんね……怜音君……だって、まさかあんな小さい頃の約束を覚えててくれていたなんて、思わなかったから……」
蒼汰の瞳にたくさんの涙が溜まると、溜息を吐きながらも怜音が涙を拭ってくれる。でもその顔が、ひどく辛そうに見えた。
「俺と離れてる間、蒼ちゃんにそんな相手がいたなんて、すげぇヤキモチが妬ける。蒼ちゃん、俺ね、めちゃくちゃ嫉妬深いんだ。独占欲だって強いし。蒼ちゃんは俺だけのものなのに……」
「ごめん……」
「そいつとは体の関係あったの?」
「……うん……」
「もう最悪、許せねぇよ」
まるで唸るように呟く怜音に、蒼汰は無我夢中で体を寄せる。まだ冷めやらないヒートにバラバラになってしまった心。心と体が「寂しい」と悲鳴をあげていた。
「俺も、許すように善処するけど、もうその男と会ったり連絡をとったりはしないでね」
「……うん、わかった……」
「約束だからね」
「うん」
強く自分を抱き締めてくれる怜音の腕に、蒼汰は自分の体を委ねたのだった。
お願い、離れていかないで……そう怜音に言いたかったけれど、そんな都合のいいことなんて言えるはずがない。
蒼汰は唇を噛み締めて、怜音の胸に顔を埋めた。
「ごめんね、怜音君。迷惑ばかりかけて」
「大丈夫だよ。……でも、少しだけ時間をちょうだい。俺も心の整理をしたいから」
「うん」
怜音はいつも優しく頭を撫でてくれる。蒼汰は、いつからかそれを心地よく感じるようになっていた。
「……俺はなんて駄目な人間なんだろう……」
同じ年だというのに、しっかり者の怜音を見ていると、更に自分が情けなくなってくる。
ヒートのせいか、怠くて体も思うように動かない。ネットで売っている粗悪品を飲み続けたせいで、かえって症状を拗らせてしまったのかもしれない。
「もう、消えてしまいたい」
涙が溢れそうになったから、慌てて手の甲で涙を拭ったのだった。
424
あなたにおすすめの小説
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
君に捧げる紅の衣
高穂もか
BL
ずっと好きだった人に嫁ぐことが決まった、オメガの羅華。
でも、その婚姻はまやかしだった。
辰は家に仕える武人。家への恩義と、主である兄の命令で仕方なく自分に求婚したのだ。
ひとはりひとはり、婚儀の為に刺繡を施した紅の絹を抱き、羅華は泣く。
「辰を解放してあげなければ……」
しかし、婚姻を破棄しようとした羅華に辰は……?
君を選ぶ理由 〜花の香りと幼なじみのΩ〜
なの
BL
幼い頃から、桐生湊は桜庭凪のそばにいると、花が咲いたような香りを感じていた。
祖父同士が幼馴染という縁もあり、二人は物心つく前からいつも一緒だった。
第二性の検査で湊はα、凪はΩと判明。
祖父たちは「完璧な番」と大喜びし、将来の結婚話まで持ち上がる。
――これはαとΩだから?
――家のため?
そう疑う湊。一方、凪は「選ばれる側」としての不安を胸に、静かに距離を取ろうとする。
湊の兄・颯の存在も、二人のすれ違いを加速させる。
花の香りの奥に隠れた本当の気持ち。
役割や運命ではなく、「君だから」と選び直す、
幼馴染オメガバースBL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる