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エピローグ
エピローグ②
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「あ、羽音。今日の朝早く、花屋の麗羅が薔薇を届けてくれたから、廊下に置いておいたよ」
「本当ですか?」
珀の言葉を聞いた羽音が目をキラキラと輝かせる。ずっとずっと待ち焦がれていた薔薇が届いたのだ。
「綺麗な白薔薇だったけど、なんていう薔薇なの?」
そんな羽音を見た珀も、ついつられて笑顔になってしまう。
「あの白薔薇は『ウェディングドレス』っていう名前なんです」
「へぇ……ウェディングドレスかぁ……幸せそうな名前だね」
「はい!」
羽音と珀が目を合わせて笑っている。
「なんだか、羽音は、あのドレスを着て誰かの所にお嫁に行くみたいだね」
凛斗が朝食の目玉焼きを頬張りながら呟く。
「え、え、そんな!?」
「そうなの? 羽音?」
珀が満面の笑みを浮かべながら、羽音の顔を覗き込んだ。その表情を見て、羽音はドキドキしてしまった。
珀は、凛斗より大分年下に見えるけど、本当に整った顔立ちをしているのだ。何より、海のような透き通った青い瞳で見つめられれば、そのまま吸い込まれそうになってしまう。
「男の僕がお嫁になんて……ありえないです……」
「そうかな? きっとあの純白のドレスは、羽音にピッタリだよ」
凛斗がニッコリと微笑えば、羽音の頬は真っ赤になってしまう。顔から火が出そうだった。
「ご、ご馳走様でした!」
慌てて残ったパンを口に詰め込んで食器を持ったまま、キッチンへと向かう。
「はいはい、食器は洗うから流しに置いておいていいよ」
呑気な珀の声が聞こえてくる。羽音の胸は、意味も分からずドキドキと高鳴った。
「ねぇ、凛斗……」
「ん? なんだ?」
珀がベーコンをフォークで突きながら、凛斗を見上げた。
「花屋の麗羅は、多分、羽音のことが好きなんだと思うよ」
「あぁ、多分そうなんだろうな」
「やっぱりそうだよね。あの子、羽音に会いたくてここに来てる感じだもん」
「うん」
凛斗が少し上目遣いで何かを考えた後、珀を見つめてにっこりと微笑んだ。
「でも、羽音にはきっと、もう命をかけてまで愛し合った人がいるんだよ」
「そっか……」
「そう、俺達みたいにね」
凛斗が珀の手を掴み、そっと頬に唇を寄せる。
「バァカ」
「でも、サラの遺言通り……今日、羽音には王子様が来るから」
「もう三年か……あっという間だったね。あの子達にも幸せになってもらいたい。あの時の、僕達みたいに」
「あぁ。そうだな」
珀が顔を赤らめながら、照れくさそうに、でも幸せそうに笑っていたことなんて……鈍感な羽音は、気付きもしなかった。
珀が言った通り、白薔薇は廊下にそっと置かれていた。
「ようやく届いた……」
羽音は嬉しくなり、そっと花束を抱き締めた。
ウェディングドレスという品種は、真冬の寒い時期にしか咲かない。だから、滅多に手に入れることはできないのだ。
「んー、いい香り」
羽音は、白薔薇の香りを思い切り吸い込む。そのまま軽やかな足取りで、再び教会へと向かった。
綺麗に手入れされたクリスマスツリーの近くの、大きな甕に水を入れ、それに白薔薇を活けた。
「綺麗だなぁ」
羽音はこのウェディングドレスが大好きだった。
記憶のない羽音が、なぜこんなにも、この薔薇に心を奪われているかなんてわからなかったけど……まるで、宝物のように大切な物に思えてならない。
『俺はこの薔薇を貴方に見せてあげたかった。貴方みたいに、可憐で綺麗だったから』
目の前で、誰かが照れくさそうにはにかむのだけど、羽音はそれが誰だかわからなかった。ただ、このウェディングドレスも、クリスマスツリーも、羽音にはとても大切な存在なのだ。
「羽音」
遠くから凛斗の声がした。
「今日、夜のお祈りの後、貴方に会いにお客様が来るからね」
「僕に……それも夜?」
「ふふっ。とびっきり素敵なウェディングドレスを着て待っててあげて」
凛斗がウィンクをしてから悪戯っぽく微笑んだ。
「羽音、素敵な夜になるといいね……」
「本当ですか?」
珀の言葉を聞いた羽音が目をキラキラと輝かせる。ずっとずっと待ち焦がれていた薔薇が届いたのだ。
「綺麗な白薔薇だったけど、なんていう薔薇なの?」
そんな羽音を見た珀も、ついつられて笑顔になってしまう。
「あの白薔薇は『ウェディングドレス』っていう名前なんです」
「へぇ……ウェディングドレスかぁ……幸せそうな名前だね」
「はい!」
羽音と珀が目を合わせて笑っている。
「なんだか、羽音は、あのドレスを着て誰かの所にお嫁に行くみたいだね」
凛斗が朝食の目玉焼きを頬張りながら呟く。
「え、え、そんな!?」
「そうなの? 羽音?」
珀が満面の笑みを浮かべながら、羽音の顔を覗き込んだ。その表情を見て、羽音はドキドキしてしまった。
珀は、凛斗より大分年下に見えるけど、本当に整った顔立ちをしているのだ。何より、海のような透き通った青い瞳で見つめられれば、そのまま吸い込まれそうになってしまう。
「男の僕がお嫁になんて……ありえないです……」
「そうかな? きっとあの純白のドレスは、羽音にピッタリだよ」
凛斗がニッコリと微笑えば、羽音の頬は真っ赤になってしまう。顔から火が出そうだった。
「ご、ご馳走様でした!」
慌てて残ったパンを口に詰め込んで食器を持ったまま、キッチンへと向かう。
「はいはい、食器は洗うから流しに置いておいていいよ」
呑気な珀の声が聞こえてくる。羽音の胸は、意味も分からずドキドキと高鳴った。
「ねぇ、凛斗……」
「ん? なんだ?」
珀がベーコンをフォークで突きながら、凛斗を見上げた。
「花屋の麗羅は、多分、羽音のことが好きなんだと思うよ」
「あぁ、多分そうなんだろうな」
「やっぱりそうだよね。あの子、羽音に会いたくてここに来てる感じだもん」
「うん」
凛斗が少し上目遣いで何かを考えた後、珀を見つめてにっこりと微笑んだ。
「でも、羽音にはきっと、もう命をかけてまで愛し合った人がいるんだよ」
「そっか……」
「そう、俺達みたいにね」
凛斗が珀の手を掴み、そっと頬に唇を寄せる。
「バァカ」
「でも、サラの遺言通り……今日、羽音には王子様が来るから」
「もう三年か……あっという間だったね。あの子達にも幸せになってもらいたい。あの時の、僕達みたいに」
「あぁ。そうだな」
珀が顔を赤らめながら、照れくさそうに、でも幸せそうに笑っていたことなんて……鈍感な羽音は、気付きもしなかった。
珀が言った通り、白薔薇は廊下にそっと置かれていた。
「ようやく届いた……」
羽音は嬉しくなり、そっと花束を抱き締めた。
ウェディングドレスという品種は、真冬の寒い時期にしか咲かない。だから、滅多に手に入れることはできないのだ。
「んー、いい香り」
羽音は、白薔薇の香りを思い切り吸い込む。そのまま軽やかな足取りで、再び教会へと向かった。
綺麗に手入れされたクリスマスツリーの近くの、大きな甕に水を入れ、それに白薔薇を活けた。
「綺麗だなぁ」
羽音はこのウェディングドレスが大好きだった。
記憶のない羽音が、なぜこんなにも、この薔薇に心を奪われているかなんてわからなかったけど……まるで、宝物のように大切な物に思えてならない。
『俺はこの薔薇を貴方に見せてあげたかった。貴方みたいに、可憐で綺麗だったから』
目の前で、誰かが照れくさそうにはにかむのだけど、羽音はそれが誰だかわからなかった。ただ、このウェディングドレスも、クリスマスツリーも、羽音にはとても大切な存在なのだ。
「羽音」
遠くから凛斗の声がした。
「今日、夜のお祈りの後、貴方に会いにお客様が来るからね」
「僕に……それも夜?」
「ふふっ。とびっきり素敵なウェディングドレスを着て待っててあげて」
凛斗がウィンクをしてから悪戯っぽく微笑んだ。
「羽音、素敵な夜になるといいね……」
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