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第二話 夕立ちとときめき
夕立ちとときめき⑤
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「やばい、雨が降ってきた。琥珀走るよ!」
「うん!」
突然バケツをひっくり返したように降り出す雨に、俺たちは大慌てで走り出す。大地を震わすように雷鳴が轟き、ピカッと目の前が光る。本格的な夕立に、俺たちは神社の境内に逃げ込んだ。
「予想より早く雨が降り出しちゃったね。琥珀大丈夫? びしょ濡れになっちゃった」
「全然平気だって。悠介だってびしょ濡れじゃん」
「俺は大丈夫だよ」
悠介は首に掛けていたタオルで俺の髪を拭いてくれる。「またガキ扱いしやがって」と言いかけた言葉を俺は呑み込む。濡れたシャツが悠介の体に張り付き、筋肉が浮き出ているのを目の当たりにしてしまい、何も言えなくなってしまったのだ。
悠介の体って、こんなに逞しいんだ……。
洋服越しにはわからなかったけれど、そのしなやかについた筋肉に、綺麗に浮き出た鎖骨。俺は目のやり場に困って視線を彷徨わせてしまった。
「ねぇ、琥珀。この神社覚えてる?」
「ん? 神社?」
戸惑いを隠しきれない俺は、悠介の言葉に我に返る。そっと辺りを見渡すと、そこは小さい頃悠介とよく遊びに来ていた神社だった。
「覚えてる。よくここで虫取りしたよね」
「そうそう。この神社にある天狗の仮面が怖くてさぁ。でも怖いもの見たさでよく見に来てたよね」
「うん。超懐かしい」
俺はまだまだ降りやみそうもない、真っ暗な空を見上げる。
「今ふと思い出したんだけどさ、俺がブータン(雌のカブトムシ)を琥珀に見せたら、ゴキブリだ⁉ って大泣きしちゃってさぁ。あの時はマジで焦ったなぁ」
「だって、ブータンなんて秩父弁知らなかったし。俺、そもそも秩父弁なんかわかんないんだからさ」
「ふふっ。そうだよね。でも、琥珀はめんこいよ」
「めんこい?」
「うん。すごくめんこい……」
めんこいってどういう意味? と口を開こうとした瞬間、稲妻が天を割き、ドンッという地響きと共に雷鳴が鳴り響く。
「わぁぁぁッ!?」
「どこか近くに雷が落ちたかもね」
俺はすぐ隣にいた悠介に咄嗟にしがみついた。それでもこんなこと悠介は慣れっこなのだろう。飄々としている。
雷鳴は鳴りやむどころかどんどん激しくなり、大雨で一寸先も見えない程だ。
「大丈夫? 琥珀怖い?」
「ううん。全然怖くねぇ……」
「嘘ばっかり。琥珀は、子供の頃から雷が苦手だったもんね」
悠介は、自分にしがみつく俺の頭を優しく撫でてくれる。ガキ扱いされて癪だけれど、今はそんなことを言っている場合ではない。俺は無我夢中で悠介に体を寄せた。
濡れた洋服越しに伝わってくる悠介の体温は心地よくて、俺の恐怖心が少しずつ和らいでいくのを感じる。次の瞬間、俺はその温もりから一気に引き離されてしまった。
「は⁉ なんで突き放すんだよ! 怖いんだからくっついててもいいだろう⁉」
「やっぱり怖いんじゃん⁉」
「こんな夕立、怖いに決まってるじゃんか!?」
「でも駄目、駄目だよ、琥珀! 今は駄目!」
「今は駄目って、今怖いんだから仕方ないだろう⁉」
「でも、駄目なの! お願いだから離れて‼」
「嫌だ! だって怖いんだもん! 絶対離れねぇ!」
まだ雨はザーザーと音をたてて降っているし、雷だって鳴っている。俺は嫌がる悠介に夢中でしがみついた。
「じゃあはっきり言うべぇか(言おうか)⁉ 今の琥珀は自分がどんな格好してるかわかってねぇだんべぇに(わかってないだろう)⁉ ち、乳首だって浮いて見えっし、俺だって男だから、そんな色っぺぇ(色っぽい)格好でひっつかれたら(くっつかれたら)たまげちまうんだよ(びっくりしちゃうんだ)‼」
「え? ちょっと、悠介……。何言ってんだかわかんないんだけど……」
「肌だってのめっこそうだし(つるつるしてそうだし)、琥珀、本当にめんこいし(可愛いし)。だら(だから)、めった(何度も)ひっつかないでくれ(くっつかないでくれ)!」
「あ、あの。えっと……。悠介、なんかわからないけど、ごめん?」
「はぁはぁはぁ……。俺こそ、ごめん」
「ぷっ。あはははは! 悠介、顔真っ赤じゃん!? ウケる!」
「ちょ、ちょっと琥珀、こっちは真剣なんだからな!」
「あはははは! だからごめんって。でも早口だし、秩父弁丸出しだし。俺、何言ってるか全然わからなかった! あはははは!」
息を切らしながら顔を真っ赤にしている悠介を見ていると、可笑しくて――。
俺は腹を抱えて笑ってしまう。あぁ、俺ってまだこんな風に笑えるんだなって、びっくりしてしまった。
いつの間にか夕立は去って、空が夕焼けに染まっていた。温かな風が境内の中を吹き抜けていき、濡れた髪を揺らしていった。
「言い合いしてるうちに雨が上がったな。このまま髪と洋服が乾いちゃいそう」
「本当だね。大丈夫? 琥珀、風邪ひかない?」
「大丈夫だよ。それより、今鳴いてる蝉がカナカナだろう?」
「そう。ヒグラシのことをカナカナって言うんだ」
「俺、カナカナの鳴き声を聞くと凄く落ち着く」
ようやく普段通りの落ち着きを取り戻したのか、悠介が前髪を掻き上げている。乱れた長い髪が頬に掛かる姿が色っぽい。相変わらず濡れた洋服から透ける筋肉が、今の俺には目の毒だ。
悔しいけれど、悠介は男らしくてかっこいい。
「あ、琥珀、虹が掛かってるよ」
「本当だ。それに二重になってる!」
「超ラッキーじゃん! 綺麗だね」
二人して顔を見合わせて笑う。
「雨で地面がぬかるんでるから、手を繋ごう? ほら、手を貸して」
「だから、俺はガキじゃないって」
「でも、琥珀って昔からよく転んで怪我ばっかりしてたじゃない?」
少しだけ照れくさそうに悠介が手を差し伸べてくれたから、俺は文句を言いながらもその手を掴む。悠介がギュッと握り締めてくれた瞬間、嬉しくて胸が締め付けられた。
「ねぇ、琥珀。帰ったらお風呂に入ろう」
「は? 一緒に入るの? 悠介のエッチ」
「違うって。別々に入るんだよ。琥珀こそ、俺と一緒に入りたいんじゃないの? どうしても一緒に入りたいなら、入ってあげないこともないけど……」
悪戯っ子のように笑って見せる悠介の頬も、うっすら赤くなっている。それは夕日のせいだろうか。恥ずかしくなってしまった俺は、照れ隠しに話題を変えてしまう。
「それより俺、早く魚が食べたい!」
「うん、新鮮なうちに食べよう! 俺、魚捌くのも得意なんだよ」
「マジで? 超楽しみ!」
「沢蟹がないのは残念だけどね……」
「うっせぇよ。今度はクーラーボックスいっぱいに捕まえてやるからな!」
「それは楽しみだなぁ」
二人で顔を見合わせて笑う。俺に向って微笑む悠介に、ドキドキせずにはいられなかった。
「うん!」
突然バケツをひっくり返したように降り出す雨に、俺たちは大慌てで走り出す。大地を震わすように雷鳴が轟き、ピカッと目の前が光る。本格的な夕立に、俺たちは神社の境内に逃げ込んだ。
「予想より早く雨が降り出しちゃったね。琥珀大丈夫? びしょ濡れになっちゃった」
「全然平気だって。悠介だってびしょ濡れじゃん」
「俺は大丈夫だよ」
悠介は首に掛けていたタオルで俺の髪を拭いてくれる。「またガキ扱いしやがって」と言いかけた言葉を俺は呑み込む。濡れたシャツが悠介の体に張り付き、筋肉が浮き出ているのを目の当たりにしてしまい、何も言えなくなってしまったのだ。
悠介の体って、こんなに逞しいんだ……。
洋服越しにはわからなかったけれど、そのしなやかについた筋肉に、綺麗に浮き出た鎖骨。俺は目のやり場に困って視線を彷徨わせてしまった。
「ねぇ、琥珀。この神社覚えてる?」
「ん? 神社?」
戸惑いを隠しきれない俺は、悠介の言葉に我に返る。そっと辺りを見渡すと、そこは小さい頃悠介とよく遊びに来ていた神社だった。
「覚えてる。よくここで虫取りしたよね」
「そうそう。この神社にある天狗の仮面が怖くてさぁ。でも怖いもの見たさでよく見に来てたよね」
「うん。超懐かしい」
俺はまだまだ降りやみそうもない、真っ暗な空を見上げる。
「今ふと思い出したんだけどさ、俺がブータン(雌のカブトムシ)を琥珀に見せたら、ゴキブリだ⁉ って大泣きしちゃってさぁ。あの時はマジで焦ったなぁ」
「だって、ブータンなんて秩父弁知らなかったし。俺、そもそも秩父弁なんかわかんないんだからさ」
「ふふっ。そうだよね。でも、琥珀はめんこいよ」
「めんこい?」
「うん。すごくめんこい……」
めんこいってどういう意味? と口を開こうとした瞬間、稲妻が天を割き、ドンッという地響きと共に雷鳴が鳴り響く。
「わぁぁぁッ!?」
「どこか近くに雷が落ちたかもね」
俺はすぐ隣にいた悠介に咄嗟にしがみついた。それでもこんなこと悠介は慣れっこなのだろう。飄々としている。
雷鳴は鳴りやむどころかどんどん激しくなり、大雨で一寸先も見えない程だ。
「大丈夫? 琥珀怖い?」
「ううん。全然怖くねぇ……」
「嘘ばっかり。琥珀は、子供の頃から雷が苦手だったもんね」
悠介は、自分にしがみつく俺の頭を優しく撫でてくれる。ガキ扱いされて癪だけれど、今はそんなことを言っている場合ではない。俺は無我夢中で悠介に体を寄せた。
濡れた洋服越しに伝わってくる悠介の体温は心地よくて、俺の恐怖心が少しずつ和らいでいくのを感じる。次の瞬間、俺はその温もりから一気に引き離されてしまった。
「は⁉ なんで突き放すんだよ! 怖いんだからくっついててもいいだろう⁉」
「やっぱり怖いんじゃん⁉」
「こんな夕立、怖いに決まってるじゃんか!?」
「でも駄目、駄目だよ、琥珀! 今は駄目!」
「今は駄目って、今怖いんだから仕方ないだろう⁉」
「でも、駄目なの! お願いだから離れて‼」
「嫌だ! だって怖いんだもん! 絶対離れねぇ!」
まだ雨はザーザーと音をたてて降っているし、雷だって鳴っている。俺は嫌がる悠介に夢中でしがみついた。
「じゃあはっきり言うべぇか(言おうか)⁉ 今の琥珀は自分がどんな格好してるかわかってねぇだんべぇに(わかってないだろう)⁉ ち、乳首だって浮いて見えっし、俺だって男だから、そんな色っぺぇ(色っぽい)格好でひっつかれたら(くっつかれたら)たまげちまうんだよ(びっくりしちゃうんだ)‼」
「え? ちょっと、悠介……。何言ってんだかわかんないんだけど……」
「肌だってのめっこそうだし(つるつるしてそうだし)、琥珀、本当にめんこいし(可愛いし)。だら(だから)、めった(何度も)ひっつかないでくれ(くっつかないでくれ)!」
「あ、あの。えっと……。悠介、なんかわからないけど、ごめん?」
「はぁはぁはぁ……。俺こそ、ごめん」
「ぷっ。あはははは! 悠介、顔真っ赤じゃん!? ウケる!」
「ちょ、ちょっと琥珀、こっちは真剣なんだからな!」
「あはははは! だからごめんって。でも早口だし、秩父弁丸出しだし。俺、何言ってるか全然わからなかった! あはははは!」
息を切らしながら顔を真っ赤にしている悠介を見ていると、可笑しくて――。
俺は腹を抱えて笑ってしまう。あぁ、俺ってまだこんな風に笑えるんだなって、びっくりしてしまった。
いつの間にか夕立は去って、空が夕焼けに染まっていた。温かな風が境内の中を吹き抜けていき、濡れた髪を揺らしていった。
「言い合いしてるうちに雨が上がったな。このまま髪と洋服が乾いちゃいそう」
「本当だね。大丈夫? 琥珀、風邪ひかない?」
「大丈夫だよ。それより、今鳴いてる蝉がカナカナだろう?」
「そう。ヒグラシのことをカナカナって言うんだ」
「俺、カナカナの鳴き声を聞くと凄く落ち着く」
ようやく普段通りの落ち着きを取り戻したのか、悠介が前髪を掻き上げている。乱れた長い髪が頬に掛かる姿が色っぽい。相変わらず濡れた洋服から透ける筋肉が、今の俺には目の毒だ。
悔しいけれど、悠介は男らしくてかっこいい。
「あ、琥珀、虹が掛かってるよ」
「本当だ。それに二重になってる!」
「超ラッキーじゃん! 綺麗だね」
二人して顔を見合わせて笑う。
「雨で地面がぬかるんでるから、手を繋ごう? ほら、手を貸して」
「だから、俺はガキじゃないって」
「でも、琥珀って昔からよく転んで怪我ばっかりしてたじゃない?」
少しだけ照れくさそうに悠介が手を差し伸べてくれたから、俺は文句を言いながらもその手を掴む。悠介がギュッと握り締めてくれた瞬間、嬉しくて胸が締め付けられた。
「ねぇ、琥珀。帰ったらお風呂に入ろう」
「は? 一緒に入るの? 悠介のエッチ」
「違うって。別々に入るんだよ。琥珀こそ、俺と一緒に入りたいんじゃないの? どうしても一緒に入りたいなら、入ってあげないこともないけど……」
悪戯っ子のように笑って見せる悠介の頬も、うっすら赤くなっている。それは夕日のせいだろうか。恥ずかしくなってしまった俺は、照れ隠しに話題を変えてしまう。
「それより俺、早く魚が食べたい!」
「うん、新鮮なうちに食べよう! 俺、魚捌くのも得意なんだよ」
「マジで? 超楽しみ!」
「沢蟹がないのは残念だけどね……」
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