あなたのお気に召すままに

舞々

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第二章 貴方へと向かう新しい一歩

貴方へと向かう新しい一歩①

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 空から、ヒラヒラと雪が舞い降りる寒い季節、小児科病棟の研修が始まった。待ちに待った小児科病棟に、俺の胸は高鳴る。
「よし、やるぞ!」
 俺は気合いを入れて白衣を羽織った。


「本日から、小児科病棟で研修をさせていただきます、医師の水瀬です。よろしくお願いします」


 ナースステーションで頭を下げると、優しそうな看護師さんたちが笑顔で迎えてくれた。


「水瀬先生、よろしくお願いします」
「分からない事は何でも聞いてくださいね」
「あ、ありがとうございます」


 そのアットホームな雰囲気に、緊張しきっていた俺の全身から力が抜けて行くのを感じた。


「水瀬君の指導をさせていただきます、成宮です。よろしくお願いします」
「は、はい! よろしくお願いします!」


 成宮先生が俺に向かって微笑んだ瞬間、ブワッと芳醇な香りを漂わせながら、大輪の薔薇が咲いたような気がした。看護師さん達の目はハートになり、「はぁ……」という甘い吐息が聞こえてくるようだ。


「では、水瀬君。行きましょう」
「あ、はい」 
 白衣をはためかせながらナースステーションを後にする成宮先生の後ろを、俺は慌ててついていったのだった。


 小児科病棟へ向かう途中の廊下を、成宮先生は振り返ることなく、どんどん歩いて行ってしまう。明らかに足の長さが違うから、俺は必死になって成宮先生の後を追い掛けた。


「なぁ、お前さ。さっきのナースステーションの雰囲気どう思った?」
 突然俺の方を振り返った成宮先生が、つっけんどんに言い放つ。そこには、あの笑顔を振り巻き柔和な雰囲気を醸した成宮先生はいなかった。


「え?」
「だからぁ、あの看護師たちを見て、どう思ったかを聞いてんの」
「あ、あの、えっと……皆さん、優しそうな人だなって思いました」
「お前、人を見る目ないな。いいか教えてやる。さっきの看護師のあの態度は、優しさじゃなくて、媚び売りだ。看護師達のほとんどは玉の輿に乗りたくて目を光らせてるんだから、ポヤポヤしてると食われちまうぞ?」
「く、食われる……?」
「そう。特に小児科病棟の看護師は肉食系の集まりだって医者の間では有名だから、気をつけな」


 言うことだけ言って、またさっさと歩き出す成宮先生の後を俺は必死に追い掛けた。


「これからグルッと病棟内を案内してやる。その後回診に回るから、ついて来い」
「あ、はい!」


 俺は相変わらず愛想のない成宮先生の後を追う。そして、オリエンテーション後の回診で、俺は成宮マジックを目の当たりにするのだった。

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