妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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妻を追って

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ジアーノンさんは俺の申し入れに難色を示したが、最後は熱意に押されてそれを了承した。

俺はしがない道具屋だ、戦いで六英雄の手助けなどできるわけもないので、自慢の自作道具の数々でサポートすることを考え、役に立ちそうな道具をバックに入れると旅の支度を終えた。

「お待たせしました、行きましょう」
すぐにでも出発しなければいけないこの状況で、無理を言って待ってもらった……俺はそう言いながら慌てて家を飛び出してきた。

「安全を保障できませんが本当に良いですか」
「大丈夫です」
「私も平気です」

「…………え? 何してるんだルーリエ」
いつの間にかジアーノンさんの隣で明らかに旅支度を終えているルーリエが待っていた。
「ごめん……話は全部聞いてたの……それで私も一緒に行くことにした……」
「どうして! 敵は六英雄かもしれないんだぞ!」
「だからよ……ヒュレルはたまに何も考えずに無茶するから……一人で行ったら死んじゃうよ」
「馬鹿だろ……足手まといが増えて、ジアーノンさんだって困るに決まってるだろ」
そう言ったのだが、意外にもジアーノンさんはそれほど困ってはいないみたいだ。
「いや、一人も二人も一緒だからね、余裕があれば助けるし、他に優先する事項があれば私は君たちを見捨てるのを厭わない、それだけは言っておくよ」

その言葉にもルーリエの気持ちは変わる事がなく、俺たちに同行することになってしまった。


「店はどうしたんだよ」
沈黙していた馬車の中でルーリエにそう聞く。
「お父さんに任せてきた」
「親父さん腰痛めてんだろ、大丈夫なのか」
「重い物を持たなきゃ大丈夫だよ」
「たく……アリナだけでも心配なのに……」
「六英雄を心配するなんて何様よ」
「旦那様だよ!」
「ふん!」

「君たち……仲がいいのか悪いのか……いや……仲が悪かったらこんな旅に同行しないか」
「ただの腐れ縁です」
ジアーノンさんの言葉に俺とルーリエの声がハモった。

「ゆっくり余裕を持って行きたいけど、できればアリナが北の神殿に到着する前に追いつきたいので、夜遅くまで移動に使おうと思ってるし、朝も早くなると思うけど大丈夫かい」
「はい、俺もその方が助かります」

こうして、俺たちの強行スケジュールの旅は始まった──

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