妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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東へ向かう二人6日目 アリナ視点

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「今日はひと部屋しか空いてないよ」
最後の宿のおじさんの言葉は、ゼロスとの相部屋を確定させた……
「どうしよう、ゼロス……もうここしか宿ないし……」
「ふんっ、構わねええよ、その部屋はアリナが泊まれ、俺は外で適当に寝てるからよ」
「ダメよそんなの……この時期に外で寝るなんて体を壊しちゃう……」
「仕方ねえだろ、部屋が一つしかねえんだから」
「……もう……仕方ないからその部屋で二人で寝るしかないわね……」
「おいおい……俺と同じ部屋で寝るだって? 馬鹿じゃねえのか、そんなのどうなっても知らねえぞ」
確かに少し前の私だったら、死んでもゼロスと同じ部屋なんて嫌だったけど……今は彼を全面的に信頼している……無理やり変なことはしてこないと思うし、私が見ないでと言えば目をそらすくらいの心遣いはしてくれるのを知っている。
「どうなっても良くないから、一つだけ約束して……」
「なんだよ……」
「無理やり私にいやらしいことをしないって……」
「へっ……そんな約束はできねえな」
「いいからして!」
「……わかったよ、絶対にしねえよそんなこと!」
「うん、だったら大丈夫、一緒にその部屋で寝ましょう」

信じられないことに、私とゼロスは一つの部屋で一緒に寝ることになった……

部屋に入ると、さすがに胸がドキドキしてきた……ゼロスはすぐに服を脱いで、ラフな格好になったので、さらにその体を見てなぜかドキドキが激しくなった。

「そのベッドは使っていいぞ、俺はその辺の床に寝るから」
「ダメよ……床になんか寝たら体を痛めるって……このベッド広いから、二人で寝ても平気だと思うよ」
「おい……本気で言ってるのか?」
「だって無理やり変なことしないんでしょ、だったら大丈夫だから……」
「けっ! わかったよ、そこで寝るよ」

そのあと、私は着替えたのだが、何も言わないのに彼は目を自然とそらしてくれた……やっぱり私のことを大事に思ってくれてるようだ……

それから二人で並んでベッドに入る……広いと言っても二人で寝るようなものではないので、どうしても体が触れてしまう……私の細い腕が、彼の太い腕に触れて、その部分が熱く発熱する……

やだ……何意識してるのよ私……

ゼロスの寝返りで、腕が私の方へと伸びてきた……太くたくましい二の腕……思わず私はその二の腕に触れてしまった……それは硬くたくましく……こんな腕で抱きしめられたらどんな気持ちになるんだろ……想像するとさらに脈拍を早めることになった……


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