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大人になりきれない探偵、それと牛乳アレルギーの謎・III
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白い壁紙の部屋には、木製の机と椅子、それとベッドに棚があった。
部屋はおしゃれかつ奇麗で、隅にあるゴミ箱すらも高級そうに見えた。
棚の上にあるデジタル時計は、6時35分を指していた。
「司、ちょっとやりすぎじゃないの?」
部屋のドア越しに、僕とユウは司を見る。
「ユウさんに許可とったんだから大丈夫だろ」
司はまるで自分の物のように、堂々と女子の棚を物色していた。
「ありがとうユウさん。どうしても、あのカップルの出会いが気になって」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
ユウは元気な笑顔でそう言った。
いや、いくら心配だとしても……ちょっと不安じゃないのか?
今日初対面の相手に家族の棚を触らせるなんて。
「……あれ?日記がない」
「日記?あの日記じゃなくて?」
僕は司にそう質問する。
司は僕の方を振り向くと、一言呟いた。
「あの日記より前の日記だよ。あのカップルの出会いが知りたいなと思ってな」
その瞬間、ユウが言った。
「あ、姉さんは前の日記は処分してるらしいです」
司の顔色が悪くなっていくのが、僕にもわかった。
「……えぇ?まじかよ」
◇◇◇
リビングに戻ると、ユウはトイレに行った。
僕と司は椅子に座り、二人だけで話し出す。
「ねぇ司、本当に日記を探しただけなの?」
「……どういう意味だ?」
「いや、ただ女子の棚を漁りたかっただけじゃないのかなって」
司は目を見開いた。
「そ、そんなわけないだろう。というか、別に大したものは入ってなかったし」
その声は少しだけ動揺しているように聞こえた。
僕は不思議そうな顔をして、司を見つめる。
「大したものじゃないなら、何があったの?」
「……空のエナジードリンク数本と、なんか紫色の紙だけだ」
司の受け答えは、割と普通だった。
まぁ、司は意外と常識ある方だし……多分シロだな。多分。
その時だった。リビングにユウが入って来た。
「コウ。理由、なんか思いついたか?」
「いいや、まだだよ」
司は考えこんでいるようだったが、少し時間が足りない。
じゃあどうする?諦めるか?
「あの……コウ、お兄さん。ちょっと話があるんですが」
「なんでしょうか?」
司は素早く反応する。
「姉さんと晴弥さんの出会いではないんですけど、付き合った理由は一応覚えてるんですけども」
「え?マジですか?」
「マジです」
ユウはそう言うと、僕と司に説明しだした。
「姉さんは子供の頃からずっと牛乳アレルギーで、それでよく嫌な思いしてきたんです」
ユウの口調は落ち着いていた。おそらく、何度も聞かされたのだろう。
「誕生日ケーキ食べられないし、ヨーグルトもダメです。触るだけなら大丈夫ですけど、食べるとひどいことに」
「え、でも……じゃあなんで」
司は口を挟む。しかし、数秒後には手を合わせて『すいません』のジェスチャーをした。
「あぁ……ちょっとずつ、治していったんです。今では少しだけなら何も起きません」
「ありがとうございます」
司は軽く頭を下げた。
「えぇ……それで、姉さんが晴弥さんと出会ったのは、高校に入った後でした」
出会いのシーンになると、司の表情がさらに真剣になる。
「姉さんは、晴弥さんのことを『一緒にいると安心する』人と言っていました」
ふと司を見ると、苦い顔をしていた。
「二人が付き合ったのは、それからすぐだったと思います。『安心するし、とにかく好きになった』と」
ユウは目を閉じると、しばらくそのままでいた。
目を開いた後、ユウは話をしめる。
「……なにか、これで足しになればいいんですけど」
「いえいえ、ありがとうございます」
司はまた、軽く頭を下げた。
「僕からも。ありがとうな、ユウ」
「どういたしまして……それじゃあ、後は頼む」
そう言うと、ユウはまたリビングを出て行った。
時計を確認すると、今は6時41分だ。
「コウ。帰る時間大丈夫か?」
「ここからだと5分くらいだから大丈夫。それよりも、考えることに集中しないと」
僕は頭の中に、これまでにユウから聞いた話を映していた。
ユウは自分の姉のことを、いつも良く思っている。
もちろん家族だから、ケンカすることもあった。
だけど、少なくともユウは姉が好きだ。
僕だって、目の前でアレルギーの人が牛乳を一気飲みしたら困惑する。
ユウがその理由を知りたがるのも、ある意味当然か。
「……ねぇ、司。さっきの話、どう思う?」
「すまん。聞いてなかった」
え?嘘でしょ?
「ちょ、司?それは失礼だよ?」
「い、いや俺も仕事で疲れてるんだ……何の話してたんだ?」
「いや、茉莉さんと晴弥さんは同じアレルギーだとか、それでお互い安心だったとか……」
司はその言葉を黙って聞いていた……その時だった。
「ん?今安心って言ったか?コウ」
「え?言ったけど。どうしたの?」
その瞬間、司はそっと立ち上がる。
そのまま階段のほうに歩くと、2階へと消えた。
◇◇◇
「……なるほどな。最悪だよ」
茉莉さんの部屋では、司が頭を抱えていた。
「司?どうしたの?」
「あぁ、ちょっとな」
すると、司はゆっくりと立ち上がった。
おどろおどろしい模様が書かれた、紫の紙を持ちながらだ。
「真実がわかった」
「え……まじ?」
そう言う司は、また苦笑いしている。
部屋はおしゃれかつ奇麗で、隅にあるゴミ箱すらも高級そうに見えた。
棚の上にあるデジタル時計は、6時35分を指していた。
「司、ちょっとやりすぎじゃないの?」
部屋のドア越しに、僕とユウは司を見る。
「ユウさんに許可とったんだから大丈夫だろ」
司はまるで自分の物のように、堂々と女子の棚を物色していた。
「ありがとうユウさん。どうしても、あのカップルの出会いが気になって」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
ユウは元気な笑顔でそう言った。
いや、いくら心配だとしても……ちょっと不安じゃないのか?
今日初対面の相手に家族の棚を触らせるなんて。
「……あれ?日記がない」
「日記?あの日記じゃなくて?」
僕は司にそう質問する。
司は僕の方を振り向くと、一言呟いた。
「あの日記より前の日記だよ。あのカップルの出会いが知りたいなと思ってな」
その瞬間、ユウが言った。
「あ、姉さんは前の日記は処分してるらしいです」
司の顔色が悪くなっていくのが、僕にもわかった。
「……えぇ?まじかよ」
◇◇◇
リビングに戻ると、ユウはトイレに行った。
僕と司は椅子に座り、二人だけで話し出す。
「ねぇ司、本当に日記を探しただけなの?」
「……どういう意味だ?」
「いや、ただ女子の棚を漁りたかっただけじゃないのかなって」
司は目を見開いた。
「そ、そんなわけないだろう。というか、別に大したものは入ってなかったし」
その声は少しだけ動揺しているように聞こえた。
僕は不思議そうな顔をして、司を見つめる。
「大したものじゃないなら、何があったの?」
「……空のエナジードリンク数本と、なんか紫色の紙だけだ」
司の受け答えは、割と普通だった。
まぁ、司は意外と常識ある方だし……多分シロだな。多分。
その時だった。リビングにユウが入って来た。
「コウ。理由、なんか思いついたか?」
「いいや、まだだよ」
司は考えこんでいるようだったが、少し時間が足りない。
じゃあどうする?諦めるか?
「あの……コウ、お兄さん。ちょっと話があるんですが」
「なんでしょうか?」
司は素早く反応する。
「姉さんと晴弥さんの出会いではないんですけど、付き合った理由は一応覚えてるんですけども」
「え?マジですか?」
「マジです」
ユウはそう言うと、僕と司に説明しだした。
「姉さんは子供の頃からずっと牛乳アレルギーで、それでよく嫌な思いしてきたんです」
ユウの口調は落ち着いていた。おそらく、何度も聞かされたのだろう。
「誕生日ケーキ食べられないし、ヨーグルトもダメです。触るだけなら大丈夫ですけど、食べるとひどいことに」
「え、でも……じゃあなんで」
司は口を挟む。しかし、数秒後には手を合わせて『すいません』のジェスチャーをした。
「あぁ……ちょっとずつ、治していったんです。今では少しだけなら何も起きません」
「ありがとうございます」
司は軽く頭を下げた。
「えぇ……それで、姉さんが晴弥さんと出会ったのは、高校に入った後でした」
出会いのシーンになると、司の表情がさらに真剣になる。
「姉さんは、晴弥さんのことを『一緒にいると安心する』人と言っていました」
ふと司を見ると、苦い顔をしていた。
「二人が付き合ったのは、それからすぐだったと思います。『安心するし、とにかく好きになった』と」
ユウは目を閉じると、しばらくそのままでいた。
目を開いた後、ユウは話をしめる。
「……なにか、これで足しになればいいんですけど」
「いえいえ、ありがとうございます」
司はまた、軽く頭を下げた。
「僕からも。ありがとうな、ユウ」
「どういたしまして……それじゃあ、後は頼む」
そう言うと、ユウはまたリビングを出て行った。
時計を確認すると、今は6時41分だ。
「コウ。帰る時間大丈夫か?」
「ここからだと5分くらいだから大丈夫。それよりも、考えることに集中しないと」
僕は頭の中に、これまでにユウから聞いた話を映していた。
ユウは自分の姉のことを、いつも良く思っている。
もちろん家族だから、ケンカすることもあった。
だけど、少なくともユウは姉が好きだ。
僕だって、目の前でアレルギーの人が牛乳を一気飲みしたら困惑する。
ユウがその理由を知りたがるのも、ある意味当然か。
「……ねぇ、司。さっきの話、どう思う?」
「すまん。聞いてなかった」
え?嘘でしょ?
「ちょ、司?それは失礼だよ?」
「い、いや俺も仕事で疲れてるんだ……何の話してたんだ?」
「いや、茉莉さんと晴弥さんは同じアレルギーだとか、それでお互い安心だったとか……」
司はその言葉を黙って聞いていた……その時だった。
「ん?今安心って言ったか?コウ」
「え?言ったけど。どうしたの?」
その瞬間、司はそっと立ち上がる。
そのまま階段のほうに歩くと、2階へと消えた。
◇◇◇
「……なるほどな。最悪だよ」
茉莉さんの部屋では、司が頭を抱えていた。
「司?どうしたの?」
「あぁ、ちょっとな」
すると、司はゆっくりと立ち上がった。
おどろおどろしい模様が書かれた、紫の紙を持ちながらだ。
「真実がわかった」
「え……まじ?」
そう言う司は、また苦笑いしている。
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