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Season1 探偵・暗狩 四折
凍り付いて2
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◇暗狩 翔太
「で、何で外に出たのかな姉ちゃん」
電話から姉の声が聞こえた。
「静かなところで集中して推理したかったから。それだけ」
「ふーん」
実際、今この部屋には僕含めて3人いる。
ちゃんと考えるには、少し向いていない。
「それじゃ、切るね」
「はいはーい」
電話が切断された。
「……翔太くん!ちゃんと消毒しよっ!」
「あ、うん」
目の前には消毒液が入ったボトルがあった。
天音ちゃん、ちゃんとしてるな。
「あ、あの天音ちゃん」
「なあに?翔太くん」
僕は一つだけ気になっている箇所があった。
ボトルはお店に置いてあるようなものではなく、ペットボトルによって作られたものだった。
「これ、手作りなの?」
「うん!手作りなの……あ」
その瞬間、天音ちゃんは口を塞いだ。
「どうしたの?天音ちゃん」
「い、いやなんでもないっ!」
天音ちゃんは焦って僕から目線を外した。
一体どうしたんだろう。
「あまっち!こっちでゲームしよ!」
「あ、うんっ!」
天音ちゃんは急いでゲームの方に向かった。
僕はその後姿を、疑問を持って見つめることしかできなかった。
◇暗狩 四折
ショッピングモールは静けさに包まれていた。
本来人があふれているフードコートやゲームセンターにも人がいない。
夏休み直前だからだろう。私にとっては好都合だ。
「すいません。アイスイチゴチョコクレープ下さい」
「わかりました!」
私は店の横に移動した。
クレープ屋の店員は、慣れた手つきでクレープを作っている。
「……うん」
しかし、花を凍らせるとはどういうことなんだ?
物を凍らせるにはそれなりの時間がかかる。
もちろん、花も例外じゃない。
だとしたら、どうやったんだ?
「どうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
私はクレープを受け取ると、それにかじりついた。
深く考えるには、やっぱり糖分が必要だ。
食べ歩きつつ、私は思考を止めなかった。
「……どういうこと?」
考えれば考えるほどわけがわからない。
もちろん、超低温を用意すれば短時間で花を凍らせることもできるだろう。
ただ、その超低温をどうやって用意するんだ?
冷凍庫や氷では不可能だ。
きっと、想像以上の低温を作り出せる何かが必要だろう。
例えば液体窒素……普通の家にあるわけないか。
「あっ」
いつの間にかクレープを食べ切っていた。
深く考えすぎて、ほとんど味を覚えてないな。
「……いやまじでどういうこと?」
本人に訊けたらいいんだが、おそらく教えてくれないだろう。
それに、人から教えてもらう形で真実に触れるのは嫌だ。
何の意味もない。
◇暗狩 翔太
「天音ちゃん、あれどうやってるの?」
「あれって?」
「花を凍らせるやつだよ」
天音ちゃんは首をゆっくり振った。
「それは秘密っ!」
まぁ、そりゃそうか。
弾けるような笑顔の天音ちゃんに、僕はもう一つ訊いた。
「じゃ、じゃあさ!」
「……なあに?」
「自分で考えて、どういうからくりか当てるっていうのはしていい?」
天音ちゃんはしばらく考えると、今度は縦に首を振った。
「まぁ、がんばってねっ!翔太くん」
「がんばるよ。天音ちゃん」
おそらく、今頃姉も頭を必死に回しているところだろう。
僕は姉のような知りたがりじゃない。
だけど、少しくらい考えてみてもいいかもしれないな。
「あーもう!しょうちゃん強い!」
クラスメイトは苦い顔をした。
「ま、まぁこのゲーム結構やってるからね」
1000時間以上プレイしたレースゲームの順位が表示されていた。
20秒以上差をつけ、僕が一位になっていた。
「ねぇあまっち、アイス今日もある?」
「うん。今日もいっぱいあるよっ!」
クラスメイトの質問に、天音ちゃんは嬉々として答えた。
そういえば、この前この家に来た時もアイスが出されたような気がする。
「……アイス?」
そういえば、アイスの種類はいっぱいあった気がする。
チョコミントとか、バニラとか、抹茶とか。
「天音ちゃん、アイス好きなの?」
「すっごい好き!もう本当好き!」
またしても弾けるような笑顔だった。
天音ちゃんはクラスメイトに手を振ると、部屋を出ていった。
「……ねぇしょうちゃん」
「何?」
「ゲーム強すぎない?!なんでそんなに強いの?」
「え、いや」
1000時間やってるとはなんとなく言い出しにくい。
さすがに僕も、小学生でここまでゲーム三昧なのはおかしいと思ってはいる。
でも姉ちゃんは止めないし、別にいい気はするけど……
「いっぱいやってるし、ちゃんと練習してるからかな?」
「ゲームの練習?」
「僕は色々調べたり、早い走り方とか考えたりしてるから……」
「ふーん。すごいじゃん!」
もちろん、練習と言っても軽いものではない。
ノルマや表も作って、しっかりとやっている。
ただそれは言えない。さすがに言えない。
そう思ってた時、電話が鳴った。
「で、何で外に出たのかな姉ちゃん」
電話から姉の声が聞こえた。
「静かなところで集中して推理したかったから。それだけ」
「ふーん」
実際、今この部屋には僕含めて3人いる。
ちゃんと考えるには、少し向いていない。
「それじゃ、切るね」
「はいはーい」
電話が切断された。
「……翔太くん!ちゃんと消毒しよっ!」
「あ、うん」
目の前には消毒液が入ったボトルがあった。
天音ちゃん、ちゃんとしてるな。
「あ、あの天音ちゃん」
「なあに?翔太くん」
僕は一つだけ気になっている箇所があった。
ボトルはお店に置いてあるようなものではなく、ペットボトルによって作られたものだった。
「これ、手作りなの?」
「うん!手作りなの……あ」
その瞬間、天音ちゃんは口を塞いだ。
「どうしたの?天音ちゃん」
「い、いやなんでもないっ!」
天音ちゃんは焦って僕から目線を外した。
一体どうしたんだろう。
「あまっち!こっちでゲームしよ!」
「あ、うんっ!」
天音ちゃんは急いでゲームの方に向かった。
僕はその後姿を、疑問を持って見つめることしかできなかった。
◇暗狩 四折
ショッピングモールは静けさに包まれていた。
本来人があふれているフードコートやゲームセンターにも人がいない。
夏休み直前だからだろう。私にとっては好都合だ。
「すいません。アイスイチゴチョコクレープ下さい」
「わかりました!」
私は店の横に移動した。
クレープ屋の店員は、慣れた手つきでクレープを作っている。
「……うん」
しかし、花を凍らせるとはどういうことなんだ?
物を凍らせるにはそれなりの時間がかかる。
もちろん、花も例外じゃない。
だとしたら、どうやったんだ?
「どうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
私はクレープを受け取ると、それにかじりついた。
深く考えるには、やっぱり糖分が必要だ。
食べ歩きつつ、私は思考を止めなかった。
「……どういうこと?」
考えれば考えるほどわけがわからない。
もちろん、超低温を用意すれば短時間で花を凍らせることもできるだろう。
ただ、その超低温をどうやって用意するんだ?
冷凍庫や氷では不可能だ。
きっと、想像以上の低温を作り出せる何かが必要だろう。
例えば液体窒素……普通の家にあるわけないか。
「あっ」
いつの間にかクレープを食べ切っていた。
深く考えすぎて、ほとんど味を覚えてないな。
「……いやまじでどういうこと?」
本人に訊けたらいいんだが、おそらく教えてくれないだろう。
それに、人から教えてもらう形で真実に触れるのは嫌だ。
何の意味もない。
◇暗狩 翔太
「天音ちゃん、あれどうやってるの?」
「あれって?」
「花を凍らせるやつだよ」
天音ちゃんは首をゆっくり振った。
「それは秘密っ!」
まぁ、そりゃそうか。
弾けるような笑顔の天音ちゃんに、僕はもう一つ訊いた。
「じゃ、じゃあさ!」
「……なあに?」
「自分で考えて、どういうからくりか当てるっていうのはしていい?」
天音ちゃんはしばらく考えると、今度は縦に首を振った。
「まぁ、がんばってねっ!翔太くん」
「がんばるよ。天音ちゃん」
おそらく、今頃姉も頭を必死に回しているところだろう。
僕は姉のような知りたがりじゃない。
だけど、少しくらい考えてみてもいいかもしれないな。
「あーもう!しょうちゃん強い!」
クラスメイトは苦い顔をした。
「ま、まぁこのゲーム結構やってるからね」
1000時間以上プレイしたレースゲームの順位が表示されていた。
20秒以上差をつけ、僕が一位になっていた。
「ねぇあまっち、アイス今日もある?」
「うん。今日もいっぱいあるよっ!」
クラスメイトの質問に、天音ちゃんは嬉々として答えた。
そういえば、この前この家に来た時もアイスが出されたような気がする。
「……アイス?」
そういえば、アイスの種類はいっぱいあった気がする。
チョコミントとか、バニラとか、抹茶とか。
「天音ちゃん、アイス好きなの?」
「すっごい好き!もう本当好き!」
またしても弾けるような笑顔だった。
天音ちゃんはクラスメイトに手を振ると、部屋を出ていった。
「……ねぇしょうちゃん」
「何?」
「ゲーム強すぎない?!なんでそんなに強いの?」
「え、いや」
1000時間やってるとはなんとなく言い出しにくい。
さすがに僕も、小学生でここまでゲーム三昧なのはおかしいと思ってはいる。
でも姉ちゃんは止めないし、別にいい気はするけど……
「いっぱいやってるし、ちゃんと練習してるからかな?」
「ゲームの練習?」
「僕は色々調べたり、早い走り方とか考えたりしてるから……」
「ふーん。すごいじゃん!」
もちろん、練習と言っても軽いものではない。
ノルマや表も作って、しっかりとやっている。
ただそれは言えない。さすがに言えない。
そう思ってた時、電話が鳴った。
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