ネオン街の牛乳屋さん

ハリネズミ

文字の大きさ
8 / 10

愛の儀式へ(1)

しおりを挟む
それからは慌ただしかった。
そのまま二人で家に帰り母さんにモリアさんを紹介して、宇宙人である事や食事については流石に言えないので遠い国からやってきてバイト先で知り合って恋に落ちたって簡単に説明した。
最初は驚いていた母さんも俺が幸せなら、と許してくれた。
モリアさんの美しさに母さんはきゃーきゃーとまるで女学生のようにはしゃいだりもして、久しぶりに心から笑った。

モリアさんは牛乳屋さんで稼いだお金を殆ど貯金してあって、通帳を見せてもらったけど結構な金額だった。
俺を嫁にもらったのだから、と俺たちの生活費や学費やなんやかんや全部お金を出そうとするモリアさんに、奨学金だってあるし必要最低限は甘えて俺が就職したら少しずつ返していくという事で無理やり納得してもらった。
結婚したといっても俺はモリアさんにただ甘えるだけの存在にはなりたくないんだ。
それに何といってもお金の出所が牛乳屋さんだから、ちょっと胸中複雑だったりもするんですよ。
モリアさんはそんな俺の想いにも気づいてくれたのか、株をやってみたり事業を起こしてみたりと他の方法でお金を稼ぐ事を考えてくれて、三人で住む家なんかも探してくれる頼りになる旦那様です。


*****
そして俺たちは今、ホテルにいる。
キスはしたもののそれ以上の事はまだしていなかったのだ。
ああは言ったもののモリアさんなりに俺に考える猶予をくれていたのだろう。
まぁどれだけ時間おいたって答えは同じだけどね。
覚悟ならとっくに出来てる。
それに時間かけ過ぎちゃうと、他の人のなんか飲んでほしくないしモリアさんが空腹で死んじゃう。
という事でまだ大丈夫だと言うモリアさんを無理やり引っ張ってホテルへ来たのだ。

シャワーを浴びバスローブ姿でベッドに並んで座り見つめ合う。
最初から俺はモリアさんにどこか惹かれていた。
美しい容姿だけじゃなく、何か魂がこの人だって囁いたんだ。
あの時の警鐘はこうなる事を予感して?
でも、今更モリアさんから逃げるなんて選択肢は俺にはない。
仮にあの時こうなる未来が分かっていたとしても俺はモリアさんから離れる事はなかったと思う。
短い間に色々な事があったけど、俺は今幸せだよ。

「みかさ…本当に―――」

俺の大好きな人はこの期に及んでぐだぐだと言いそうになるから覚悟を決めろと唇に噛みついてやった。

「みかさ…っ」

いきなりの乱暴なキスにモリアさんの顔は真っ赤だ。
してやったりとにやりと笑う。

「じゃあ俺から一つだけ質問。ねぇ、これって『食事』?」

少しだけ心の片隅にあった不安。
口に出してみるとどれだけ自分が不安に思っていたのか、手が震え気づかされる。
モリアさんはそんな俺の頭を一撫でして真剣な顔で言った。

「どれでもいい『食事』じゃないよ。もうこれは僕にとってみかさとしかしたくない『愛の儀式』なんだ」

モリアさんの言葉に不安が消えて、幸せが広がっていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

兄の彼女/弟の彼女

逢波弦
BL
兄×弟です。大学生の兄が彼女と性行為をしていることに、妬いた高校生の弟が兄に迫る話。最後は両想いになります。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話

タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。 瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。 笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。

処理中です...