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運命さんこんばんは、ありがとう
5ー②
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航からの好意に、熱に浮かされたように幸せの中にいた玲斗が我に返ったのは、ラブホテルで航に散々抱かれた後だった。隣で気持ちよさそうに寝ている航の寝顔を見てうっとりとして、愛しさで満たされる。無意識に指先が航の頬をゆっくりとなぞり、すぐに動きを止めた。自分がしでかしてしまったことに気がついたのだ。昨夜のことはあの若いαが逃げていったあたりから夢のように感じていたが、実際目の前に航はいてあちこちに情事の痕は残されているのだから疑いようもない。『運命』の為に自分の気持ちを殺し抗っていたはずが、結局は『運命』を求めてしまったのだ。
玲斗は自身のハジメテよりも航に番を裏切らせてしまったことにショックを受けていた。取り返しのつかない失敗をしてしまったのだ。
そしてそれ以上にショックだったのは、夢のように感じていたのは恐らく軽くヒートを起こしていたからだ。なのに『運命』と交わったにも関わらず噛んでもらえなかったことだった。それでよかったはずなのにつらく悲しい。心が張り裂けそうだった。そんなことを考えてしまう自分が最低最悪の極悪人のように思えた。
玲斗は涙が溢れるのも構わず急いで服を着て、お札を何枚かサイドテーブルに置くとその場から逃げた。
*****
玲斗は自分が泊まっているホテルの部屋のベッドに寝転がり、天井を見つめた。
今回のことは無責任だが『間違い』として、なかったことにしてもらおうと思った。交わってもなお『運命』と気づかれないのなら苦しい想いをするのは自分だけなのだから、焦って番う相手を探す必要もないのかもしれないと玲斗は考えた。どうせ『保険』のままであったならこういう未来もあったのだ。
「あは……。運命さん……さようなら──」
これで終わり。終わりにしようと玲斗は別れの言葉を口にしたが涙が止まらない。顔は笑っているのに涙が溢れて止まらないのだ。
一夜の温もりも、知らなければ良かった。報われない恋を何度繰り返せば気が済むのか。
玲斗はまるで宝物に触れるように昨夜の記憶をなぞった。航は最初から最後まで玲斗のことを気遣ってくれていた。優しい声、温かな眼差し。髪にそっと触れる指先すら愛おしい。時々こちらを探るような目で見られ、その度に玲斗は微笑んで見せ、『愛してる』夢だと思っていても言葉にはできない想いを伝えた。
玲斗は燐に恋をして、恋が破れてもう二度と誰かを好きになることはないと思っていた。だが『運命』と出会い、ダメだと思いながらも惹かれ、これは叶わない恋だと知りながら、夢だとして肌を重ねた。
玲斗はもう二度と、今度こそ本当に誰のことも好きにはならないだろう。寂しさを埋める為に誰かを求めることもない。航以外誰であっても胸にぽっかりと空いた穴を埋めることはできない──。
玲斗は自身のハジメテよりも航に番を裏切らせてしまったことにショックを受けていた。取り返しのつかない失敗をしてしまったのだ。
そしてそれ以上にショックだったのは、夢のように感じていたのは恐らく軽くヒートを起こしていたからだ。なのに『運命』と交わったにも関わらず噛んでもらえなかったことだった。それでよかったはずなのにつらく悲しい。心が張り裂けそうだった。そんなことを考えてしまう自分が最低最悪の極悪人のように思えた。
玲斗は涙が溢れるのも構わず急いで服を着て、お札を何枚かサイドテーブルに置くとその場から逃げた。
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玲斗は自分が泊まっているホテルの部屋のベッドに寝転がり、天井を見つめた。
今回のことは無責任だが『間違い』として、なかったことにしてもらおうと思った。交わってもなお『運命』と気づかれないのなら苦しい想いをするのは自分だけなのだから、焦って番う相手を探す必要もないのかもしれないと玲斗は考えた。どうせ『保険』のままであったならこういう未来もあったのだ。
「あは……。運命さん……さようなら──」
これで終わり。終わりにしようと玲斗は別れの言葉を口にしたが涙が止まらない。顔は笑っているのに涙が溢れて止まらないのだ。
一夜の温もりも、知らなければ良かった。報われない恋を何度繰り返せば気が済むのか。
玲斗はまるで宝物に触れるように昨夜の記憶をなぞった。航は最初から最後まで玲斗のことを気遣ってくれていた。優しい声、温かな眼差し。髪にそっと触れる指先すら愛おしい。時々こちらを探るような目で見られ、その度に玲斗は微笑んで見せ、『愛してる』夢だと思っていても言葉にはできない想いを伝えた。
玲斗は燐に恋をして、恋が破れてもう二度と誰かを好きになることはないと思っていた。だが『運命』と出会い、ダメだと思いながらも惹かれ、これは叶わない恋だと知りながら、夢だとして肌を重ねた。
玲斗はもう二度と、今度こそ本当に誰のことも好きにはならないだろう。寂しさを埋める為に誰かを求めることもない。航以外誰であっても胸にぽっかりと空いた穴を埋めることはできない──。
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