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俺のかわいい婚約者さま
5 @楓 1
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「楓!お前婚約者ができたって本当かっ!?」
そう叫びながら教室に飛び込んで来たのは僕の幼馴染みである一条 遥だ。
遥の家は華道の家元をしているが、本人は花を活ける事にまったく興味はないらしくかじった程度で辞めてしまった。
――――というのは建前で、本当は自分にセンスがない事を誰よりも分かっていて諦めた、と言った方が正しいのかもしれない。遥は花が好きだ。花を活ける事も好きだったはずだ。だからこそ自分では大好きな花たちを活かしきれない事に絶望し、華道家になる道を諦めた。
そして、花を活ける事はできなくても他の事で花と一生付き合っていけるように将来は美しく活けられた花を宣伝する仕事に就きたいと、内緒話をするみたいにこっそり教えてくれたのを覚えている。
僕は子ども心に自分にはない『大切なもの』を見つけた友人の事を羨ましく、そして誇らしく思った。
その時の事を最近よく思い出す。
あの時はなかった『大切なもの』は、今の僕にはある。薫さんだ。
僕があの時遥に感じた想いを遥も同じように僕に感じてくれるだろうか?
僕と薫さん、そして遥で時々は会って遊ぶのもいいかもしれない。
勿論薫さんがいいと言ってくれればだけど。
その時の事を想像して、ふふふと小さく笑う。
「あ、うん。情報早いね。流石遥ちゃん」
僕がそう言ってにっこりと微笑むと反対に遥はくしゃりと顔を歪ませた。
「――な……っ!お前は俺と結婚するんだろう……っ!?」
まだそんな事を言っているのかと、僕は大げさに肩をすくめて溜め息を吐いてみせた。
「何言ってるの。僕も遥もαでしょう?それに僕は薫さんの事運命だと思ってる。他の誰かと結婚するなんて考えられないよ。薫さんと番になって結婚して―――― 一生傍にいるんだ」
今すぐにでも薫さんと番いたいけど、流石にそれは無理だからせめて高校を卒業するくらいまでは我慢しなくちゃいけない。薫さんのお父様もそうおっしゃっていたし――。
でも僕はすでに8年も待っているから…あと4年もだなんて長いなぁ……。だけど我慢しなくっちゃ。今の子どもの僕では薫さんの事を守れないし、薫さんに恥ずかしい思いをさせてしまっている。僕は気づかないフリをしているけど、デートしてる時の周囲の僕たちを見る目は奇異なものを見る目ばかりだ。何でもう少し早く僕は生まれてこなかったのか……。
僕は薫さんの事が本当に大好き。
あの雨の日に僕は薫さんと初めて出会った。大きくて温かい小さい頃好きだったクマのぬいぐるみのような人。
遥は華道家になる事を諦めて、他の道で花と共にある事を選んだ。
だけど僕は他の道を探す事も薫さんを諦める事もできない。
だからもう少しだけ我慢しよう――あの人との未来の為に。
僕がそんな事を考えていると遥は机をバンと叩き、「俺は、認めないからなっ!」という捨て台詞を残し教室を出て行ってしまった。
「おーい。これから授業が始まるぞー?」
なんてのんきな言葉を遥の背中に投げかける。
僕だって分かってる。遥が僕の事を昔から好きだって事。
だけど、多分だけど違うんだよ。遥の想いを否定するつもりはないけど、僕が薫さんに向ける想いと遥が僕に向ける想いは似ているようで少し違う。
だから僕は遥がどんなであれ遥の事を幼馴染みとして、友だちとして大事に思っているから、だから遥の想いを見て見ぬフリをするんだ。
小さくなっていく幼馴染みの後ろ姿に少しだけ胸が痛んだ。
そう叫びながら教室に飛び込んで来たのは僕の幼馴染みである一条 遥だ。
遥の家は華道の家元をしているが、本人は花を活ける事にまったく興味はないらしくかじった程度で辞めてしまった。
――――というのは建前で、本当は自分にセンスがない事を誰よりも分かっていて諦めた、と言った方が正しいのかもしれない。遥は花が好きだ。花を活ける事も好きだったはずだ。だからこそ自分では大好きな花たちを活かしきれない事に絶望し、華道家になる道を諦めた。
そして、花を活ける事はできなくても他の事で花と一生付き合っていけるように将来は美しく活けられた花を宣伝する仕事に就きたいと、内緒話をするみたいにこっそり教えてくれたのを覚えている。
僕は子ども心に自分にはない『大切なもの』を見つけた友人の事を羨ましく、そして誇らしく思った。
その時の事を最近よく思い出す。
あの時はなかった『大切なもの』は、今の僕にはある。薫さんだ。
僕があの時遥に感じた想いを遥も同じように僕に感じてくれるだろうか?
僕と薫さん、そして遥で時々は会って遊ぶのもいいかもしれない。
勿論薫さんがいいと言ってくれればだけど。
その時の事を想像して、ふふふと小さく笑う。
「あ、うん。情報早いね。流石遥ちゃん」
僕がそう言ってにっこりと微笑むと反対に遥はくしゃりと顔を歪ませた。
「――な……っ!お前は俺と結婚するんだろう……っ!?」
まだそんな事を言っているのかと、僕は大げさに肩をすくめて溜め息を吐いてみせた。
「何言ってるの。僕も遥もαでしょう?それに僕は薫さんの事運命だと思ってる。他の誰かと結婚するなんて考えられないよ。薫さんと番になって結婚して―――― 一生傍にいるんだ」
今すぐにでも薫さんと番いたいけど、流石にそれは無理だからせめて高校を卒業するくらいまでは我慢しなくちゃいけない。薫さんのお父様もそうおっしゃっていたし――。
でも僕はすでに8年も待っているから…あと4年もだなんて長いなぁ……。だけど我慢しなくっちゃ。今の子どもの僕では薫さんの事を守れないし、薫さんに恥ずかしい思いをさせてしまっている。僕は気づかないフリをしているけど、デートしてる時の周囲の僕たちを見る目は奇異なものを見る目ばかりだ。何でもう少し早く僕は生まれてこなかったのか……。
僕は薫さんの事が本当に大好き。
あの雨の日に僕は薫さんと初めて出会った。大きくて温かい小さい頃好きだったクマのぬいぐるみのような人。
遥は華道家になる事を諦めて、他の道で花と共にある事を選んだ。
だけど僕は他の道を探す事も薫さんを諦める事もできない。
だからもう少しだけ我慢しよう――あの人との未来の為に。
僕がそんな事を考えていると遥は机をバンと叩き、「俺は、認めないからなっ!」という捨て台詞を残し教室を出て行ってしまった。
「おーい。これから授業が始まるぞー?」
なんてのんきな言葉を遥の背中に投げかける。
僕だって分かってる。遥が僕の事を昔から好きだって事。
だけど、多分だけど違うんだよ。遥の想いを否定するつもりはないけど、僕が薫さんに向ける想いと遥が僕に向ける想いは似ているようで少し違う。
だから僕は遥がどんなであれ遥の事を幼馴染みとして、友だちとして大事に思っているから、だから遥の想いを見て見ぬフリをするんだ。
小さくなっていく幼馴染みの後ろ姿に少しだけ胸が痛んだ。
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