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僕のかわいいこぐまさま
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「彼方、今日俺んち来る?」
僕が弱音を吐いた翌日の放課後、奏がそんな事を言った。
「旋堂さんは?」
「今日はどうしても抜けられない用事があるんだって。だから俺の事慰めて?」
なんて、僕の様子がいつもと違っていたから心配した奏なりの励ましなのだろう。
下手なウインクなんかしておどけて見せる。
「しょうがないなぁ。久しぶりに行ってやるか」
だから僕も軽口で応じる。
婚約者ができてからは学校では今まで通り会えるもののお互いの家で遊ぶ事がなくなっていたから、久しぶりの及川家だった。
懐かしいなぁなんてほんの数か月の事なのに久しぶりに帰った実家のような気がした。
門をくぐりドアを開け、玄関で笑顔で迎えてくれた奏の母親の薫さんの姿を認めた途端、ドクン!!と動悸がして、全身にものすごいスピードで血が巡っていくのを感じた。
はぁはぁと息も荒く下腹部がズクズクと痛む。自分の身体に何が起こったのか理解できず怖い。
「――彼方?」
奏の僕を心配する声も、鼓膜に膜が張ったみたいにどこか遠くから聞こえてくるようで、パニックを起こしそうになり立っていられなくなってがくんと膝をついた。
「彼方君!? 大丈夫かい??」
遠くで聞こえる薫さんの声。奏が僕を抱き起そうと僕に向って手を伸ばした。
やだっ僕に触れていいのはこの手じゃない!
僕はその手から逃げるように身体をぎゅっと丸めて小刻みに震えた。
むわりと広がる僕のフェロモン。
僕はこの日初めてのヒートを起こしてしまった。
薫さんはそれに気づくと奏にこの場から急いで離れるように言い、僕の家に連絡を入れさせた。
奏はαだから、もしもがあっては困る。
それから薫さんは僕を抱きかかえ隔離部屋へと連れて行ってくれた。
柔らかなベッドの上に僕を降ろすと棚から薬のシートを探し、慣れた手つきでプチプチとシートから錠剤を取り出した。
「ヒートは初めてだったよね?これはΩ用の抑制剤だよ。お水なしで飲めるやつだから口開けて?」
言われるがまま口を開けようとするがガチガチと歯が鳴るほど震えていて、うまく開ける事ができない。
薫さんは少し強引に自らの指を僕の口の中に突っ込むと、「ごめんね」と言ってさっき取り出した錠剤を入れた。
「大丈夫、大丈夫だからね。誰もキミを害する人はここにはいないから安心して」
優しくそう言い背中をさすり続けてくれた。
10分ほどして呼吸も段々落ち着いてきて、意識もはっきりしてきた。
はっきりしてきて分かる事――。
「ありがとう……ございます。もう……大丈夫、です」
「よかった」
薫さんのほっと安心した笑顔にズキズキと胸が痛む。
ほどなくして母さんが車で迎えに来てくれた。
僕は薫さんにお礼を言う母さんの影に隠れるように立ち、薫さんの顔を見ないようにした。
僕は――明らかに薫さんに反応してヒートを起こしてしまったから――――。
僕が弱音を吐いた翌日の放課後、奏がそんな事を言った。
「旋堂さんは?」
「今日はどうしても抜けられない用事があるんだって。だから俺の事慰めて?」
なんて、僕の様子がいつもと違っていたから心配した奏なりの励ましなのだろう。
下手なウインクなんかしておどけて見せる。
「しょうがないなぁ。久しぶりに行ってやるか」
だから僕も軽口で応じる。
婚約者ができてからは学校では今まで通り会えるもののお互いの家で遊ぶ事がなくなっていたから、久しぶりの及川家だった。
懐かしいなぁなんてほんの数か月の事なのに久しぶりに帰った実家のような気がした。
門をくぐりドアを開け、玄関で笑顔で迎えてくれた奏の母親の薫さんの姿を認めた途端、ドクン!!と動悸がして、全身にものすごいスピードで血が巡っていくのを感じた。
はぁはぁと息も荒く下腹部がズクズクと痛む。自分の身体に何が起こったのか理解できず怖い。
「――彼方?」
奏の僕を心配する声も、鼓膜に膜が張ったみたいにどこか遠くから聞こえてくるようで、パニックを起こしそうになり立っていられなくなってがくんと膝をついた。
「彼方君!? 大丈夫かい??」
遠くで聞こえる薫さんの声。奏が僕を抱き起そうと僕に向って手を伸ばした。
やだっ僕に触れていいのはこの手じゃない!
僕はその手から逃げるように身体をぎゅっと丸めて小刻みに震えた。
むわりと広がる僕のフェロモン。
僕はこの日初めてのヒートを起こしてしまった。
薫さんはそれに気づくと奏にこの場から急いで離れるように言い、僕の家に連絡を入れさせた。
奏はαだから、もしもがあっては困る。
それから薫さんは僕を抱きかかえ隔離部屋へと連れて行ってくれた。
柔らかなベッドの上に僕を降ろすと棚から薬のシートを探し、慣れた手つきでプチプチとシートから錠剤を取り出した。
「ヒートは初めてだったよね?これはΩ用の抑制剤だよ。お水なしで飲めるやつだから口開けて?」
言われるがまま口を開けようとするがガチガチと歯が鳴るほど震えていて、うまく開ける事ができない。
薫さんは少し強引に自らの指を僕の口の中に突っ込むと、「ごめんね」と言ってさっき取り出した錠剤を入れた。
「大丈夫、大丈夫だからね。誰もキミを害する人はここにはいないから安心して」
優しくそう言い背中をさすり続けてくれた。
10分ほどして呼吸も段々落ち着いてきて、意識もはっきりしてきた。
はっきりしてきて分かる事――。
「ありがとう……ございます。もう……大丈夫、です」
「よかった」
薫さんのほっと安心した笑顔にズキズキと胸が痛む。
ほどなくして母さんが車で迎えに来てくれた。
僕は薫さんにお礼を言う母さんの影に隠れるように立ち、薫さんの顔を見ないようにした。
僕は――明らかに薫さんに反応してヒートを起こしてしまったから――――。
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