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番外編
12 おまけ @元パートナー
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僕の今の夫はふたり目の『番』だ。僕はΩだから本当ならあり得ない話だけど、相手が『運命』だったからできた事だった。
*****
当時の僕は中学生でそろそろ自分の二次性が分かるという頃、『運命』とすれ違った。
反対車線を行く車から香った『運命』の香り――『スズラン』。香った瞬間全身を何かが突き抜け、僕は一瞬で恋に落ちてしまった。だけどお互い車に乗っていて、おまけに僕はバスだったから引き返して『運命』を追う事なんてできるはずもなかった。せめてもと急いでバスから降りて『運命』が去って行った方を見つめるが、何時間経っても『運命』が戻ってくる事はなかった。
僕はその日から『運命』を探した。ネットの書き込みや、実際に『運命』が行った方向に何度も足を運んだ。行く先は分からないからそちらの方向で勘を頼りに探し歩いた。すぐに『運命』に再会できるはずだ。だって僕たちは運命だもの。そう思うと胸がドキドキとときめいて、つらいと感じる事はなかった。
が、それも1年、2年と虚しく過ぎていった時間が僕を不安にさせた。
もう二度と会えないのかもしれない。もしかしたらあっちは僕が『運命』だって気づかなかったのかもしれない。僕は『運命』の事を愛しているけど、『運命』は僕の事なんて何とも思わなかったのかもしれない。
――何で僕ばかりがこんな――?
そう思い始めた頃、彼に出会った。坂口 譲だ。彼との出会いは高2になってからで、共通の友人による紹介だった。彼はα然としたイケメンで、勉強もスポーツも何でもできた。そして優しかった。僕は彼の事を愛してるとまでは思わなかったものの好きだとは思っていて、『運命』探しに疲れ果てていた僕は彼の猛アタックに頷いてしまった。
彼は僕と付き合いだして前にも増して優しくなった。僕を第一に考えてくれて、些細な事からも守ろうとしてくれた。かといって度の過ぎた独占欲みたいなものはなく、僕の事を尊重してくれた。
本当に素敵な人。このまま番って一緒になって――きっと幸せになれる……そう思うのに『運命』を忘れられないでいた僕は、彼の事だけを考える事なんてできなかった。
何度も番になろうと言われた。これもα特有の独占欲などではなく、僕への純粋な愛情とΩである僕の事を心配しての事だった。だけど僕は――――。
のらりくらりと躱して、『運命』に再会できないまま気がつけば僕は25歳になっていた。流石にこの歳で番わないのは自身に何か欠陥があるのかと思われてしまう。折角入った会社も難癖をつけられて解雇されてしまうかもしれない。それくらいΩの立場は弱く、僕は常に怯えていた。
そういった理由もあり僕は彼と番う事にした。彼の事は愛してはいなかったけど好きだったから、番になるなら『運命』以外は彼しか考えられなかった。
彼と番になって結婚して――8年が過ぎて、やっと『運命』を諦め彼と――譲と幸せになろうと思えた時、『運命』と再会してしまったのだ。
僕は長年求めてやまなかった『運命』に再び出会えた事が嬉しくて、他の事なんて考えられなかった。
『運命』がやっと僕の元に来てくれた。『運命』の元へ行かなくちゃ。
そうして僕は譲の元を去り、『運命』の元へと行った――。
その日のうちに『運命』と番い、冷静になってくると大きな後悔と自責の念にかられた。
僕はなんて事をしてしまったんだ――。
『運命』と番えて嬉しいはずなのに、それ以上に胸が痛んで初めて気づいた。
僕は譲を……愛していたんだ――。
気づくのが遅すぎた。僕は『運命』を諦めて彼を選ぶのだから、彼は僕に優しくして当然だと心のどこかで思っていた。その優しさの上に胡坐をかいて、彼を大切にしなかった。僕はどこまでも自分勝手で――。
『運命』の腕の中で後悔の涙がいつまでも流れ続け、『運命』はそれを嬉し涙だと思っていた――。
-おわり-
*****
当時の僕は中学生でそろそろ自分の二次性が分かるという頃、『運命』とすれ違った。
反対車線を行く車から香った『運命』の香り――『スズラン』。香った瞬間全身を何かが突き抜け、僕は一瞬で恋に落ちてしまった。だけどお互い車に乗っていて、おまけに僕はバスだったから引き返して『運命』を追う事なんてできるはずもなかった。せめてもと急いでバスから降りて『運命』が去って行った方を見つめるが、何時間経っても『運命』が戻ってくる事はなかった。
僕はその日から『運命』を探した。ネットの書き込みや、実際に『運命』が行った方向に何度も足を運んだ。行く先は分からないからそちらの方向で勘を頼りに探し歩いた。すぐに『運命』に再会できるはずだ。だって僕たちは運命だもの。そう思うと胸がドキドキとときめいて、つらいと感じる事はなかった。
が、それも1年、2年と虚しく過ぎていった時間が僕を不安にさせた。
もう二度と会えないのかもしれない。もしかしたらあっちは僕が『運命』だって気づかなかったのかもしれない。僕は『運命』の事を愛しているけど、『運命』は僕の事なんて何とも思わなかったのかもしれない。
――何で僕ばかりがこんな――?
そう思い始めた頃、彼に出会った。坂口 譲だ。彼との出会いは高2になってからで、共通の友人による紹介だった。彼はα然としたイケメンで、勉強もスポーツも何でもできた。そして優しかった。僕は彼の事を愛してるとまでは思わなかったものの好きだとは思っていて、『運命』探しに疲れ果てていた僕は彼の猛アタックに頷いてしまった。
彼は僕と付き合いだして前にも増して優しくなった。僕を第一に考えてくれて、些細な事からも守ろうとしてくれた。かといって度の過ぎた独占欲みたいなものはなく、僕の事を尊重してくれた。
本当に素敵な人。このまま番って一緒になって――きっと幸せになれる……そう思うのに『運命』を忘れられないでいた僕は、彼の事だけを考える事なんてできなかった。
何度も番になろうと言われた。これもα特有の独占欲などではなく、僕への純粋な愛情とΩである僕の事を心配しての事だった。だけど僕は――――。
のらりくらりと躱して、『運命』に再会できないまま気がつけば僕は25歳になっていた。流石にこの歳で番わないのは自身に何か欠陥があるのかと思われてしまう。折角入った会社も難癖をつけられて解雇されてしまうかもしれない。それくらいΩの立場は弱く、僕は常に怯えていた。
そういった理由もあり僕は彼と番う事にした。彼の事は愛してはいなかったけど好きだったから、番になるなら『運命』以外は彼しか考えられなかった。
彼と番になって結婚して――8年が過ぎて、やっと『運命』を諦め彼と――譲と幸せになろうと思えた時、『運命』と再会してしまったのだ。
僕は長年求めてやまなかった『運命』に再び出会えた事が嬉しくて、他の事なんて考えられなかった。
『運命』がやっと僕の元に来てくれた。『運命』の元へ行かなくちゃ。
そうして僕は譲の元を去り、『運命』の元へと行った――。
その日のうちに『運命』と番い、冷静になってくると大きな後悔と自責の念にかられた。
僕はなんて事をしてしまったんだ――。
『運命』と番えて嬉しいはずなのに、それ以上に胸が痛んで初めて気づいた。
僕は譲を……愛していたんだ――。
気づくのが遅すぎた。僕は『運命』を諦めて彼を選ぶのだから、彼は僕に優しくして当然だと心のどこかで思っていた。その優しさの上に胡坐をかいて、彼を大切にしなかった。僕はどこまでも自分勝手で――。
『運命』の腕の中で後悔の涙がいつまでも流れ続け、『運命』はそれを嬉し涙だと思っていた――。
-おわり-
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