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愛は突然の雨のように。
エピソード ☆2☆
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毎日がつまらなかった。
家にいても学校に来ても結局はひとりだ。
母親の悪い噂と俺自身も不愛想で他人と積極的にかかわる事ができないし。それに他人と関わる事がちょっと怖くもあった。
二年の時の担任だって最初は本当に俺の事を心配してくれてたと思う。
だけど俺のせいでいつからか歪んでしまった。いや、歪ませてしまったとしたら俺が誰にも愛されないのは当たり前の話なのかもしれない。
なんとなく今日は朝から胸がざわめいて落ち着かず学校に行く気にもならなくて、かといって家にいるのも嫌で、家の近くの公園に来ていた。といっても公園の隅っこの木で隠れられる場所に。
辺りには楽しい笑い声が溢れていた。
自分に向けられたものじゃなくてもただ聞いていたくて、でも近くに行くことは躊躇われて、だから誰にもみつからないように木の陰に隠れて寝っ転がって耳をかたむけているだけ。
このくらいの距離感が俺にはちょうどいいのかもしれない。
意識が空気を彷徨っていると、突然激しい痛みが右腕に走った。
何が起こったのか分からなかった。
「うわっ」という叫び声とともにどさりと誰かが倒れたのが分かった。
「あいたたた」
寝っ転がったまま右腕を押さえていると成人した男の声が聞こえてきた。
「うっわ、人じゃないか。ごめん! 大丈夫?」
俺に気づいた男は慌てて駆け寄ってきた。
訳が分からずその男をギロリと睨んでしまった。
「まじ大丈夫か? うわーごめんなー本当ごめん」
「…………」
男はどこにでもいるような平凡な感じの容姿をしていた。
だけど優しそうな目元で、それがかえって俺を不安にさせた。
近寄ってきた男は俺の顔を見て一瞬固まったのが分かった。
優しそうなこの男もきっと俺が変えてしまうんだな。
そう思ったらこれ以上俺に関わって欲しくなくて、
「どこ見て歩いてるんですか? 右腕痛いんですけど?」
必要以上に冷たく言って睨んだ。
だけど男は俺の腫れてしまった右腕を見て、痛ましそうに眉根を寄せた。
「びょ……病院行こう! まだやってるはず、急ごう!」
男は問答無用で俺をタクシーに押し込み近くの整形外科へと急いだ。
*****
検査の結果骨折はしていなかったが少し骨にヒビが入っているのが分かった。
利き腕だったので少し不便だな、と思った。
男は病院にいる間俺にずっと付き添ってくれて、喉が渇かないか? 痛いか? 大丈夫か? と気遣ってくれた。
そして会計も終わって、勢いよく頭を下げてきた。
「本当ごめん! その腕が治るまでキミが不自由ないようにするから!」
この男の誠実な態度に少し驚いて、そして興味がわいた。
もしかしたらこの男は……。
そう思ったら試さずにはいられなかった。
「何をしてくれるんです?」
この男が担任のように歪んでしまったとしても逃げればいいだけ。大丈夫。
「えっとごはん作ったり? 掃除したり? 洗たくしたり?」
「なんで疑問形……。僕の名前は葛城 光ひとり暮らしなのでほんと――に困るのであなたの家で面倒みてください。そうすればあなたの謝罪を受け入れます」
「あ……っと、俺の名前は正月 一、『しょうがつ いち』じゃないからな?」
とドヤ顔で言う男。無反応な俺に男は思い切り肩を落としていたが何を期待されたのか分からなかった。
こうやって騒がしく人のよさそうな男、正月 一との共同生活が始まった。
家にいても学校に来ても結局はひとりだ。
母親の悪い噂と俺自身も不愛想で他人と積極的にかかわる事ができないし。それに他人と関わる事がちょっと怖くもあった。
二年の時の担任だって最初は本当に俺の事を心配してくれてたと思う。
だけど俺のせいでいつからか歪んでしまった。いや、歪ませてしまったとしたら俺が誰にも愛されないのは当たり前の話なのかもしれない。
なんとなく今日は朝から胸がざわめいて落ち着かず学校に行く気にもならなくて、かといって家にいるのも嫌で、家の近くの公園に来ていた。といっても公園の隅っこの木で隠れられる場所に。
辺りには楽しい笑い声が溢れていた。
自分に向けられたものじゃなくてもただ聞いていたくて、でも近くに行くことは躊躇われて、だから誰にもみつからないように木の陰に隠れて寝っ転がって耳をかたむけているだけ。
このくらいの距離感が俺にはちょうどいいのかもしれない。
意識が空気を彷徨っていると、突然激しい痛みが右腕に走った。
何が起こったのか分からなかった。
「うわっ」という叫び声とともにどさりと誰かが倒れたのが分かった。
「あいたたた」
寝っ転がったまま右腕を押さえていると成人した男の声が聞こえてきた。
「うっわ、人じゃないか。ごめん! 大丈夫?」
俺に気づいた男は慌てて駆け寄ってきた。
訳が分からずその男をギロリと睨んでしまった。
「まじ大丈夫か? うわーごめんなー本当ごめん」
「…………」
男はどこにでもいるような平凡な感じの容姿をしていた。
だけど優しそうな目元で、それがかえって俺を不安にさせた。
近寄ってきた男は俺の顔を見て一瞬固まったのが分かった。
優しそうなこの男もきっと俺が変えてしまうんだな。
そう思ったらこれ以上俺に関わって欲しくなくて、
「どこ見て歩いてるんですか? 右腕痛いんですけど?」
必要以上に冷たく言って睨んだ。
だけど男は俺の腫れてしまった右腕を見て、痛ましそうに眉根を寄せた。
「びょ……病院行こう! まだやってるはず、急ごう!」
男は問答無用で俺をタクシーに押し込み近くの整形外科へと急いだ。
*****
検査の結果骨折はしていなかったが少し骨にヒビが入っているのが分かった。
利き腕だったので少し不便だな、と思った。
男は病院にいる間俺にずっと付き添ってくれて、喉が渇かないか? 痛いか? 大丈夫か? と気遣ってくれた。
そして会計も終わって、勢いよく頭を下げてきた。
「本当ごめん! その腕が治るまでキミが不自由ないようにするから!」
この男の誠実な態度に少し驚いて、そして興味がわいた。
もしかしたらこの男は……。
そう思ったら試さずにはいられなかった。
「何をしてくれるんです?」
この男が担任のように歪んでしまったとしても逃げればいいだけ。大丈夫。
「えっとごはん作ったり? 掃除したり? 洗たくしたり?」
「なんで疑問形……。僕の名前は葛城 光ひとり暮らしなのでほんと――に困るのであなたの家で面倒みてください。そうすればあなたの謝罪を受け入れます」
「あ……っと、俺の名前は正月 一、『しょうがつ いち』じゃないからな?」
とドヤ顔で言う男。無反応な俺に男は思い切り肩を落としていたが何を期待されたのか分からなかった。
こうやって騒がしく人のよさそうな男、正月 一との共同生活が始まった。
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