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第7話 これが声優のお仕事です
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「何を隠そうこのお方こそ、伝説に語られし異世界よりの来訪者!今上の英雄殿であるぞ」
(うわーはじまっちゃった・・・どうしよう)
まるで自分の事のように得意げに語り出す侯爵・・・もはやマユミに止める気力はなかった。
(まぁどうせ信じないよね・・・こんな馬鹿げた話・・・実際私弱かったし、狼に殺されそうだったし)
見るからに真面目そうな騎士、ゲオルグはきっとこんな話は信じずに主を諫めてくれるだろう。
そんな期待を込めてゲオルグを見つめるマユミ・・・
「お主も見たであろう、この森から立ち上る強大な光を・・・儂はその光を追ってここまで来た、
そして見たのだ!光が集まり、人の姿となる所を・・・」
「それがこの少女・・・いや英雄殿であると?」
(あれ・・・「この少女」から「英雄殿」に訂正したよこの人・・・)
まさか・・・信じてしまったのか・・・マユミはとても嫌な予感がした。
「それだけではないぞゲオルグよ、お前が先ほど追い払った狼だが、お前が駆け付けるまで英雄殿は武器も持たずたった一人で、その気迫だけで、狼の動きを抑え込んでおったのだ」
(えっ・・・あー・・・そう見えたのかー・・・まぁそうだろうなー・・・)
この件に関してもゲオルグは神妙な顔で頷いた。
確かゲオルグが駆け付けた頃には、もう狼に抑え込まれ何も抵抗出来ない無様な姿を見せていたはずだが・・・
「確かに・・・私がここにたどり着けたのも、英雄殿の気迫あふれる声が遥か遠くまで響き渡っていたからです」
(そ、そうきたかー)
自慢の声がここで仇になったらしい。
(まずい、誤解されてる・・・何か弁明を・・・何か言わないと・・・)
「それは私が声優だからであって、気迫とかそういうのじゃないんです!」
「なるほど、英雄としてはごく当たり前のことで、まだまだ本気ではなかったと・・・」
何を言っているのだ、この人は・・・
まともな人だと思ったのに・・・まともな人だと思ったのに・・・
「英雄、じゃなくて、声優、ですっ!」
聞き間違えることのないようにしっかり強調して叫んだ。
だが、中世ヨーロッパ風の世界に生きる彼らが声優などという職業を知る由もなかった。
「せい・・・ゆう・・・?」
「声に優れると書いて声優!声だけであらゆるものを表現し、演じ、人の心を動かし、感動を与える・・・い、異世界の職業です・・・」
最後の方で声が小さくなる・・・しかし自分が異世界の存在である事は認めるしかない。
たとえ英雄ではないとしても、この世界にとっての異物には違いないだろう。
「異世界の職業、声優・・・声だけであらゆるものを表現し、演じ、人の心を動かし、感動を与える・・・それがお前だというのか?」
「え、ええ・・・まぁ・・・まだ未熟で、そこまでじゃないんですけど・・・」
・・・元いた世界の職業「声優」を説明するものとしては適切なつもりだが、自分のこととなると自信を持って言えない。
それはあくまでも尊敬し憧れるベテラン声優の方々の領域だ・・・今のマユミには程遠い。
見ると侯爵は勝手に納得して頷いていた、また何か勘違いしているのだろう。
そしてゲオルグはというと・・・難しい顔でなにやら考えていた。
「むぅ・・・すまないが、それだけではよくわからないな・・・いったいどういうものなのだ?」
「そうですね・・・何か実演でも出来れば良いんですが・・・」
とはいえ台本も何もない・・・アドリブはあまり得意ではなかった。
何かないだろうか・・・必死に考える・・・はっきりと記憶にあるのは散々練習した「ロリ婚」の台本くらいだった。
(ロリ婚・・・そういえば、あれも似たような世界か・・・よし、いけるかもしれない)
何かを思いついたマユミはゲオルグの背後に回り込もうとする。
「どうした?」
ゲオルグが振り返った・・・まぁ当然である。
「あー、その・・・ちょっとあっち向いてて貰えますか?声だけでやるんで、あんまり見られたくないというか・・・その・・・」
「ああそうなのか、すまない」
素直にマユミの言う事を聞いて背中を見せる。
他人に背後に立たれることを極端に嫌う人ではないようだ。
「では・・・始めます、ゴホン」
軽く咳をして喉の調子を整える・・・大丈夫、台本がなくても台詞は完全に覚えている。
「・・・勇者様、その聖剣を抜いてください」
「聖剣?これは街の鍛冶屋で打ってもらったものだが・・・」
そう言いながらもゲオルグは、自分の剣を律儀に抜いてくれた。
「やはり貴方が勇者様なのですね・・・」
「ん?何を・・・」
問い返そうとするゲオルグを無視して、マユミは続けた・・・
「私は聖剣の巫女ミリ・マイア、選ばれし勇者様と聖剣の巫女が共にある時、聖剣は真の姿を取り戻すのです」
「!」
ゲオルグが息を飲むのが伝わる・・・いいぞ・・・「引き込めている」
「ああ・・・感じます、勇者様の力を・・・さぁ今こそ・・・今こそ古よりの契約の時・・・」
「契約・・・私は・・・どうすればいいのだ?」
「なーんてね、こんな感じでどうでしょう?
声優がどういうものか、わかってもらえました?」
ゲオルグは驚愕に目を見開いた、物語から現実へと戻ったのだろう。
恐る恐る、といった感じにゲオルグが口を開いた。
「つ、つまり声優とは・・・」
「うんうん」
マユミはその先を促す・・・この異世界の騎士は自分の演技にどんな感想を抱いたのだろうか・・・
一人の声優として純粋に気になった。
「声優とは・・・聖剣を司る巫女の事であったか!」
「違います!」
・・・どうやら効き過ぎてしまったらしい。
その後・・・マユミは更なる時間を労して説明し、
なんとかゲオルグには声優という職業を理解してもらうのであった。
・・・それでも正しい理解は得られず、なんとなく、といった程度ではあったが・・・
(うわーはじまっちゃった・・・どうしよう)
まるで自分の事のように得意げに語り出す侯爵・・・もはやマユミに止める気力はなかった。
(まぁどうせ信じないよね・・・こんな馬鹿げた話・・・実際私弱かったし、狼に殺されそうだったし)
見るからに真面目そうな騎士、ゲオルグはきっとこんな話は信じずに主を諫めてくれるだろう。
そんな期待を込めてゲオルグを見つめるマユミ・・・
「お主も見たであろう、この森から立ち上る強大な光を・・・儂はその光を追ってここまで来た、
そして見たのだ!光が集まり、人の姿となる所を・・・」
「それがこの少女・・・いや英雄殿であると?」
(あれ・・・「この少女」から「英雄殿」に訂正したよこの人・・・)
まさか・・・信じてしまったのか・・・マユミはとても嫌な予感がした。
「それだけではないぞゲオルグよ、お前が先ほど追い払った狼だが、お前が駆け付けるまで英雄殿は武器も持たずたった一人で、その気迫だけで、狼の動きを抑え込んでおったのだ」
(えっ・・・あー・・・そう見えたのかー・・・まぁそうだろうなー・・・)
この件に関してもゲオルグは神妙な顔で頷いた。
確かゲオルグが駆け付けた頃には、もう狼に抑え込まれ何も抵抗出来ない無様な姿を見せていたはずだが・・・
「確かに・・・私がここにたどり着けたのも、英雄殿の気迫あふれる声が遥か遠くまで響き渡っていたからです」
(そ、そうきたかー)
自慢の声がここで仇になったらしい。
(まずい、誤解されてる・・・何か弁明を・・・何か言わないと・・・)
「それは私が声優だからであって、気迫とかそういうのじゃないんです!」
「なるほど、英雄としてはごく当たり前のことで、まだまだ本気ではなかったと・・・」
何を言っているのだ、この人は・・・
まともな人だと思ったのに・・・まともな人だと思ったのに・・・
「英雄、じゃなくて、声優、ですっ!」
聞き間違えることのないようにしっかり強調して叫んだ。
だが、中世ヨーロッパ風の世界に生きる彼らが声優などという職業を知る由もなかった。
「せい・・・ゆう・・・?」
「声に優れると書いて声優!声だけであらゆるものを表現し、演じ、人の心を動かし、感動を与える・・・い、異世界の職業です・・・」
最後の方で声が小さくなる・・・しかし自分が異世界の存在である事は認めるしかない。
たとえ英雄ではないとしても、この世界にとっての異物には違いないだろう。
「異世界の職業、声優・・・声だけであらゆるものを表現し、演じ、人の心を動かし、感動を与える・・・それがお前だというのか?」
「え、ええ・・・まぁ・・・まだ未熟で、そこまでじゃないんですけど・・・」
・・・元いた世界の職業「声優」を説明するものとしては適切なつもりだが、自分のこととなると自信を持って言えない。
それはあくまでも尊敬し憧れるベテラン声優の方々の領域だ・・・今のマユミには程遠い。
見ると侯爵は勝手に納得して頷いていた、また何か勘違いしているのだろう。
そしてゲオルグはというと・・・難しい顔でなにやら考えていた。
「むぅ・・・すまないが、それだけではよくわからないな・・・いったいどういうものなのだ?」
「そうですね・・・何か実演でも出来れば良いんですが・・・」
とはいえ台本も何もない・・・アドリブはあまり得意ではなかった。
何かないだろうか・・・必死に考える・・・はっきりと記憶にあるのは散々練習した「ロリ婚」の台本くらいだった。
(ロリ婚・・・そういえば、あれも似たような世界か・・・よし、いけるかもしれない)
何かを思いついたマユミはゲオルグの背後に回り込もうとする。
「どうした?」
ゲオルグが振り返った・・・まぁ当然である。
「あー、その・・・ちょっとあっち向いてて貰えますか?声だけでやるんで、あんまり見られたくないというか・・・その・・・」
「ああそうなのか、すまない」
素直にマユミの言う事を聞いて背中を見せる。
他人に背後に立たれることを極端に嫌う人ではないようだ。
「では・・・始めます、ゴホン」
軽く咳をして喉の調子を整える・・・大丈夫、台本がなくても台詞は完全に覚えている。
「・・・勇者様、その聖剣を抜いてください」
「聖剣?これは街の鍛冶屋で打ってもらったものだが・・・」
そう言いながらもゲオルグは、自分の剣を律儀に抜いてくれた。
「やはり貴方が勇者様なのですね・・・」
「ん?何を・・・」
問い返そうとするゲオルグを無視して、マユミは続けた・・・
「私は聖剣の巫女ミリ・マイア、選ばれし勇者様と聖剣の巫女が共にある時、聖剣は真の姿を取り戻すのです」
「!」
ゲオルグが息を飲むのが伝わる・・・いいぞ・・・「引き込めている」
「ああ・・・感じます、勇者様の力を・・・さぁ今こそ・・・今こそ古よりの契約の時・・・」
「契約・・・私は・・・どうすればいいのだ?」
「なーんてね、こんな感じでどうでしょう?
声優がどういうものか、わかってもらえました?」
ゲオルグは驚愕に目を見開いた、物語から現実へと戻ったのだろう。
恐る恐る、といった感じにゲオルグが口を開いた。
「つ、つまり声優とは・・・」
「うんうん」
マユミはその先を促す・・・この異世界の騎士は自分の演技にどんな感想を抱いたのだろうか・・・
一人の声優として純粋に気になった。
「声優とは・・・聖剣を司る巫女の事であったか!」
「違います!」
・・・どうやら効き過ぎてしまったらしい。
その後・・・マユミは更なる時間を労して説明し、
なんとかゲオルグには声優という職業を理解してもらうのであった。
・・・それでも正しい理解は得られず、なんとなく、といった程度ではあったが・・・
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