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第51話 二人の歌姫です
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広大な緑の中に一本の線を引いたかのように、その道は伸びていた・・・
オルトレマーナとグリューエンを繋ぐこの南西街道は、王国西側の諸領を巡るように伸びている。
平野が広がるこの南西部は、王国の食料生産を担う一大穀倉地帯だ。
初夏の温かさの中、青々と育った農作物が田畑を賑わす・・・そんな牧歌的な風景の中を、一台の馬車が進んでいく。
マユミはミーアと二人で馬車の後部から遠ざかっていく景色を眺めていた。
港町オルトレマーナはもう見えなくなっていた・・・今はただ農地ばかりの、変わり映えのしない風景が続いている。
(そろそろかな・・・)
この馬車に乗った時からマユミは警戒していた・・・もちろん乗り物酔いに、である。
一度船でひどい目にあったマユミだ、馬車だからといって安心できるものではなかった。
乗り物酔いの不安があるのはマユミだけではない・・・もうほとんど回復しているとはいえ、怪我人であるミーアも危ないとマユミは考えていた。
(たしか、『ずっと同じ風景はよくない』って聞いたことがある・・・何か、別の事を・・・)
マユミはうろ覚えの現代知識から・・・乗り物酔い対策を実行する。
揺れに意識がいかないように、何か別の事に集中するのだ。
「ミーアちゃん、一緒に本を読もう」
「本?」
「うん、街を出る前に本屋さんで買った本」
「お仕事の本?」
「そう・・・と言っても実際にやるかどうかはこれから決めるんだけどね」
マユミは本屋で買った数冊の本の中から適当に一冊取り出す・・・その本の表紙には『二人の歌姫』と書かれていた。
「ナーデ、ゲオルグさん、ちょっとうるさくしていいかな?せっかくだから声に出して読みたいんだ」
「ええ、構わないわ」
「むしろ聞かせてもらえた方が嬉しいくらいです」
二人の了承を得たところで、マユミは一緒に本が読めるようにミーアと隣り合って座る。
かくして、小さな朗読会が始まるのだった。
「『二人の歌姫』・・・昔、とある村に二人の姉妹がいました。姉妹は幼いながらも歌が得意で、村の人気者だったのです。
いつも仲良く一緒に歌を歌っていた姉妹でしたが、村が戦争に巻き込まれ、離れ離れになってしまいます。
姉は東の国へ、妹は西の国へ・・・互いに互いを戦火で死んでしまったと思い、深い悲しみにくれました。
・・・はい、ここから先はミーアちゃんが読んでみて」
とりあえず二人で交代しながら読む事にした、ミーアが読みやすいように彼女の方へ本を寄せる。
「・・・東の国へ逃れた姉は歌いました、歌だけが妹を失った悲しみを忘れさせてくれたのです。
やがてその歌声は評判となり、大勢の人々が集まってきました。
姉の歌声は、戦いに疲れた人々の心を優しく包み込んだのです。」
ミーアはページをめくると、本をマユミの方へと返す。
どうやらここでシーンが切り替わるようだ・・・再びマユミが読み始めた。
「・・・西の国に逃れた妹は歌いました、幼い彼女には歌う事しか出来なかったのです。
やがてその歌声は評判となり、貴族達の耳に届きました。
妹の歌声は、権力に固執する貴族達の歪んだ心を洗い流していったのです。」
いつしか二人は、話の流れで交代のタイミングがわかるようになっていた。
まるで最初から決めていたかのようにスムーズに切り替わって読んでいく。
「やがて二人は美しく成長し、それぞれの国を代表する歌姫となりました。
しかしどちらの国の人々も、自分の国の歌姫こそが最高の歌姫だと信じて疑いません。
いつしか人々は互いの歌姫を貶し合い、いがみ合うようになっていきました。」
ミーアがページをめくる・・・次のページを見た二人は同じ事を考えたようだ。
互いの息を吸う音に意識を集中させ、タイミングを合わせる・・・
「ガキの歌なんて聞けたものじゃない!」
「年増女の歌なんて聞いてられるか!」
「「なんだって!!」」
「下賤な育ちの歌姫はその歌声まで下品だ!」
「貴族のお人形の歌が人の心に届くものか!」
綺麗にタイミングを合わせて罵り合う二人・・・まるで二人が本当に喧嘩しているかのようなそれは、二つの国の民の争いがうまく表現されていた。
「いがみ合う人々は争うようになり・・・小さな争いは大きな争いへと、人々の憎しみの連鎖が始まったのです。
かつて二人の歌によって収まった戦争は、皮肉なことに二人の歌を巡って再開されたのでした。」
「二人の歌姫はこの事態に深く傷つきました。
しかし今の二人は、もうただ泣いているだけの少女ではなかったのです。」
「私の歌でこの戦争を止めよう」
「・・・東の姫は戦場へと駆けました。
彼女の歌を愛する民衆が彼女を守りました、彼女の気持ちは彼らに届いていたのです。」
「私の歌でこの戦争を止めよう」
「・・・西の姫は戦場へと駆けました。
彼女の歌を愛する貴族が彼女を守りました、彼女の気持ちは彼らに届いていたのです。」
ミーアが台詞を言えばマユミが地の文を。
マユミが台詞を言えばミーアが地の文を。
・・・まるで打ち合わせたかのように間断なく読み続ける二人だった。
「そして戦場に二人の歌声が響き渡るのでした。
歌姫達は、ここで初めて互いの歌を聞いたのです。」
「この歌は・・・故郷の村の・・・」
「この歌声は・・・忘れもしない・・・」
「互いの歌声を聞いた姉妹は気付きました。
そして互いの歌声を頼りに歩みを進めます。
徐々に重なっていく二人の歌声に、人々は戦いを忘れて聞き入ってしまうのでした。」
「お姉ちゃん!会いたかった・・・会いたかったよ・・・」
「そして再開を果たした妹を姉は優しく抱きしめたのでした。
その戦場には・・・もう戦いを続ける者はいませんでした。
・・・こうして、長きに渡った二国の戦争は終戦を迎えたのです。」
「その後、姉妹の歌姫は片時も離れる事無く、常に二人で歌い続けたといいます。」
「仲睦まじい二人の姿は、平和の象徴として二国の人々に愛され続けました。」
パタン・・・本が閉じられる。
沈黙に包まれる中、馬車の立てる音だけが響いた・・・
「これで終わりだけど・・・どうかな?」
黙って聞いていた二人に、マユミが意見を求めるが・・・
(充分楽しめる内容だったけれど・・・)
(はたして、それでマユミ殿の参考になるのか・・・)
さすがにマユミの芝居を聞き慣れてきた二人は、何か建設的な意見の一つも言えないものかと考えていた。
すると、思わぬ所から・・・
「面白かったよ、お嬢様方は只者じゃないな」
御者台の男・・・名をトゥーガという、護衛として派遣された傭兵の一人で今回のリーダー格でもある。
・・・マユミ達の声は御者台にいる彼の所まで届いていたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「俺も吟遊詩人の歌を聴く事は何度かあったが、今まで聴いた中じゃ一番かも知れない・・・っと、雇われの身で余計な事喋っちまったな・・・どうかご無礼をお許しください」
「いえ、私はそういうの気にしないので、普通に喋ってくれて大丈夫ですよ、感想言ってもらえるのは嬉しいし・・・」
トゥーガにそう答えながら、マユミはエレスナーデの方を見る・・・マユミが何と言おうと雇い主はあくまで彼女なのだ。
・・・エレスナーデをじっと見つめるマユミ、その隣ではミーアも同じように彼女を見つめている。
「はいはい、私語を許可します・・・ただし、護衛の仕事に支障を出さない範囲でお願いするわね」
「それは助かる・・・ここらは平和だから、暇で眠くなりかねないからな」
王国内でも主要な街道の一つであるこの南西街道は、よく整備されているのに加えて、安定した生産力からか比較的治安がいいのだ。
この馬車にはトゥーガを含めて計4名の護衛が同行しているが、余程の事がない限りは彼らの出番はないだろう。
「じゃあこの『二人の歌姫』で仕事がやれるように練習しようかミーアちゃん」
「うん、でもマユミがお姉さんじゃなくていいの?」
そう・・・先程の朗読ではマユミが妹の台詞を担当していたのだ。
年下のミーアがやった方が良いのではないか・・・ミーアがそう思うのも当然の話だが・・・
「それはダメ、お姉さん役はどう考えても私よりミーアちゃんの方が向いてるもの」
「・・・そうなの?」
「そうなの、だから自信を持ってやりなさい」
「うん、わかった」
どこか釈然としない様子のミーアだったが・・・マユミは声優としてのこだわりとして、この配役を譲る気はなかった。
・・・たしかにミーア本人としても、やりやすいのは姉の方だとは思っていたので納得する。
「んじゃ俺はちょっと交代してくるわ、あいつらにも聞かせてやりたいからな」
そう言うとトゥーガはいったん馬車を止め、前方で警戒に当たっている二人の片方と交代する。
代わりにやって来たのはまだ年若い傭兵だ。
「話はリーダーに聞いたよ、何か面白い事をやってるんだって?」
「面白いかどうかは・・・終わったら感想をお願いしますね」
まだ練習中なのにハードルを上げられるのは困る。
しかしマユミ達の朗読は彼にも好評を得る事が出来たようだ。
「こりゃあ面白いなんてもんじゃねーぞ!あの二人にも早く聞かせてやらないとな」
「や、出来たら気になった所とか具体的に・・・」
「全部面白かった!あんたすげーよ!」
彼は興奮した様子で次の仲間と交代しに行ってしまった。
「いや、ああいう反応も素直で良いのではないですか」
「そうね、実際すごく面白いもの」
「それはありがたいんだけど・・・私としてはちょっと物足りないかなって・・・」
これだけの事をやってまだ物足りないのか・・・と言う顔をした二人だが・・・
(うん・・・足りない・・・)
マユミの隣では、ミーアもまた物足りなさを感じていたのだった。
・・・その後もまだ聞いていない傭兵二人の為に2回分、通しで練習するマユミ達だった。
オルトレマーナとグリューエンを繋ぐこの南西街道は、王国西側の諸領を巡るように伸びている。
平野が広がるこの南西部は、王国の食料生産を担う一大穀倉地帯だ。
初夏の温かさの中、青々と育った農作物が田畑を賑わす・・・そんな牧歌的な風景の中を、一台の馬車が進んでいく。
マユミはミーアと二人で馬車の後部から遠ざかっていく景色を眺めていた。
港町オルトレマーナはもう見えなくなっていた・・・今はただ農地ばかりの、変わり映えのしない風景が続いている。
(そろそろかな・・・)
この馬車に乗った時からマユミは警戒していた・・・もちろん乗り物酔いに、である。
一度船でひどい目にあったマユミだ、馬車だからといって安心できるものではなかった。
乗り物酔いの不安があるのはマユミだけではない・・・もうほとんど回復しているとはいえ、怪我人であるミーアも危ないとマユミは考えていた。
(たしか、『ずっと同じ風景はよくない』って聞いたことがある・・・何か、別の事を・・・)
マユミはうろ覚えの現代知識から・・・乗り物酔い対策を実行する。
揺れに意識がいかないように、何か別の事に集中するのだ。
「ミーアちゃん、一緒に本を読もう」
「本?」
「うん、街を出る前に本屋さんで買った本」
「お仕事の本?」
「そう・・・と言っても実際にやるかどうかはこれから決めるんだけどね」
マユミは本屋で買った数冊の本の中から適当に一冊取り出す・・・その本の表紙には『二人の歌姫』と書かれていた。
「ナーデ、ゲオルグさん、ちょっとうるさくしていいかな?せっかくだから声に出して読みたいんだ」
「ええ、構わないわ」
「むしろ聞かせてもらえた方が嬉しいくらいです」
二人の了承を得たところで、マユミは一緒に本が読めるようにミーアと隣り合って座る。
かくして、小さな朗読会が始まるのだった。
「『二人の歌姫』・・・昔、とある村に二人の姉妹がいました。姉妹は幼いながらも歌が得意で、村の人気者だったのです。
いつも仲良く一緒に歌を歌っていた姉妹でしたが、村が戦争に巻き込まれ、離れ離れになってしまいます。
姉は東の国へ、妹は西の国へ・・・互いに互いを戦火で死んでしまったと思い、深い悲しみにくれました。
・・・はい、ここから先はミーアちゃんが読んでみて」
とりあえず二人で交代しながら読む事にした、ミーアが読みやすいように彼女の方へ本を寄せる。
「・・・東の国へ逃れた姉は歌いました、歌だけが妹を失った悲しみを忘れさせてくれたのです。
やがてその歌声は評判となり、大勢の人々が集まってきました。
姉の歌声は、戦いに疲れた人々の心を優しく包み込んだのです。」
ミーアはページをめくると、本をマユミの方へと返す。
どうやらここでシーンが切り替わるようだ・・・再びマユミが読み始めた。
「・・・西の国に逃れた妹は歌いました、幼い彼女には歌う事しか出来なかったのです。
やがてその歌声は評判となり、貴族達の耳に届きました。
妹の歌声は、権力に固執する貴族達の歪んだ心を洗い流していったのです。」
いつしか二人は、話の流れで交代のタイミングがわかるようになっていた。
まるで最初から決めていたかのようにスムーズに切り替わって読んでいく。
「やがて二人は美しく成長し、それぞれの国を代表する歌姫となりました。
しかしどちらの国の人々も、自分の国の歌姫こそが最高の歌姫だと信じて疑いません。
いつしか人々は互いの歌姫を貶し合い、いがみ合うようになっていきました。」
ミーアがページをめくる・・・次のページを見た二人は同じ事を考えたようだ。
互いの息を吸う音に意識を集中させ、タイミングを合わせる・・・
「ガキの歌なんて聞けたものじゃない!」
「年増女の歌なんて聞いてられるか!」
「「なんだって!!」」
「下賤な育ちの歌姫はその歌声まで下品だ!」
「貴族のお人形の歌が人の心に届くものか!」
綺麗にタイミングを合わせて罵り合う二人・・・まるで二人が本当に喧嘩しているかのようなそれは、二つの国の民の争いがうまく表現されていた。
「いがみ合う人々は争うようになり・・・小さな争いは大きな争いへと、人々の憎しみの連鎖が始まったのです。
かつて二人の歌によって収まった戦争は、皮肉なことに二人の歌を巡って再開されたのでした。」
「二人の歌姫はこの事態に深く傷つきました。
しかし今の二人は、もうただ泣いているだけの少女ではなかったのです。」
「私の歌でこの戦争を止めよう」
「・・・東の姫は戦場へと駆けました。
彼女の歌を愛する民衆が彼女を守りました、彼女の気持ちは彼らに届いていたのです。」
「私の歌でこの戦争を止めよう」
「・・・西の姫は戦場へと駆けました。
彼女の歌を愛する貴族が彼女を守りました、彼女の気持ちは彼らに届いていたのです。」
ミーアが台詞を言えばマユミが地の文を。
マユミが台詞を言えばミーアが地の文を。
・・・まるで打ち合わせたかのように間断なく読み続ける二人だった。
「そして戦場に二人の歌声が響き渡るのでした。
歌姫達は、ここで初めて互いの歌を聞いたのです。」
「この歌は・・・故郷の村の・・・」
「この歌声は・・・忘れもしない・・・」
「互いの歌声を聞いた姉妹は気付きました。
そして互いの歌声を頼りに歩みを進めます。
徐々に重なっていく二人の歌声に、人々は戦いを忘れて聞き入ってしまうのでした。」
「お姉ちゃん!会いたかった・・・会いたかったよ・・・」
「そして再開を果たした妹を姉は優しく抱きしめたのでした。
その戦場には・・・もう戦いを続ける者はいませんでした。
・・・こうして、長きに渡った二国の戦争は終戦を迎えたのです。」
「その後、姉妹の歌姫は片時も離れる事無く、常に二人で歌い続けたといいます。」
「仲睦まじい二人の姿は、平和の象徴として二国の人々に愛され続けました。」
パタン・・・本が閉じられる。
沈黙に包まれる中、馬車の立てる音だけが響いた・・・
「これで終わりだけど・・・どうかな?」
黙って聞いていた二人に、マユミが意見を求めるが・・・
(充分楽しめる内容だったけれど・・・)
(はたして、それでマユミ殿の参考になるのか・・・)
さすがにマユミの芝居を聞き慣れてきた二人は、何か建設的な意見の一つも言えないものかと考えていた。
すると、思わぬ所から・・・
「面白かったよ、お嬢様方は只者じゃないな」
御者台の男・・・名をトゥーガという、護衛として派遣された傭兵の一人で今回のリーダー格でもある。
・・・マユミ達の声は御者台にいる彼の所まで届いていたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「俺も吟遊詩人の歌を聴く事は何度かあったが、今まで聴いた中じゃ一番かも知れない・・・っと、雇われの身で余計な事喋っちまったな・・・どうかご無礼をお許しください」
「いえ、私はそういうの気にしないので、普通に喋ってくれて大丈夫ですよ、感想言ってもらえるのは嬉しいし・・・」
トゥーガにそう答えながら、マユミはエレスナーデの方を見る・・・マユミが何と言おうと雇い主はあくまで彼女なのだ。
・・・エレスナーデをじっと見つめるマユミ、その隣ではミーアも同じように彼女を見つめている。
「はいはい、私語を許可します・・・ただし、護衛の仕事に支障を出さない範囲でお願いするわね」
「それは助かる・・・ここらは平和だから、暇で眠くなりかねないからな」
王国内でも主要な街道の一つであるこの南西街道は、よく整備されているのに加えて、安定した生産力からか比較的治安がいいのだ。
この馬車にはトゥーガを含めて計4名の護衛が同行しているが、余程の事がない限りは彼らの出番はないだろう。
「じゃあこの『二人の歌姫』で仕事がやれるように練習しようかミーアちゃん」
「うん、でもマユミがお姉さんじゃなくていいの?」
そう・・・先程の朗読ではマユミが妹の台詞を担当していたのだ。
年下のミーアがやった方が良いのではないか・・・ミーアがそう思うのも当然の話だが・・・
「それはダメ、お姉さん役はどう考えても私よりミーアちゃんの方が向いてるもの」
「・・・そうなの?」
「そうなの、だから自信を持ってやりなさい」
「うん、わかった」
どこか釈然としない様子のミーアだったが・・・マユミは声優としてのこだわりとして、この配役を譲る気はなかった。
・・・たしかにミーア本人としても、やりやすいのは姉の方だとは思っていたので納得する。
「んじゃ俺はちょっと交代してくるわ、あいつらにも聞かせてやりたいからな」
そう言うとトゥーガはいったん馬車を止め、前方で警戒に当たっている二人の片方と交代する。
代わりにやって来たのはまだ年若い傭兵だ。
「話はリーダーに聞いたよ、何か面白い事をやってるんだって?」
「面白いかどうかは・・・終わったら感想をお願いしますね」
まだ練習中なのにハードルを上げられるのは困る。
しかしマユミ達の朗読は彼にも好評を得る事が出来たようだ。
「こりゃあ面白いなんてもんじゃねーぞ!あの二人にも早く聞かせてやらないとな」
「や、出来たら気になった所とか具体的に・・・」
「全部面白かった!あんたすげーよ!」
彼は興奮した様子で次の仲間と交代しに行ってしまった。
「いや、ああいう反応も素直で良いのではないですか」
「そうね、実際すごく面白いもの」
「それはありがたいんだけど・・・私としてはちょっと物足りないかなって・・・」
これだけの事をやってまだ物足りないのか・・・と言う顔をした二人だが・・・
(うん・・・足りない・・・)
マユミの隣では、ミーアもまた物足りなさを感じていたのだった。
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