[完結]幼馴染みが失恋したところを狙い撃ちしようとするヒロインのラブコメ!

深山ナオ

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26 避けられてる?

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 教室に入ってすぐ、祐一は視線を綾香の机に向ける。しかし、荷物はあるものの、そこに幼馴染みの姿は無い。それから教室中に視線を巡らせるが――。

「……いないな」
「いませんね」

 祐一の呟きに、途中から一緒に登校してきた小糸が言葉を重ねる。
 祐一はため息とともに言葉を漏らす。

「これは、避けられてるよな……」
「そうですね……今は祐一くんと顔を合わせたくない、ということだと思います」
「だよな……困った」
「とりあえず様子見もかねて、私が探してきますね」
「俺も……」
 言いかけたところで、小糸が祐一の言葉を遮る。
「いえ、祐一くんはここにいてください。避けているということは、あやかぽんも心の整理をしたいということでしょうし、少し時間を置きましょう。大丈夫、私に任せて下さい! 二人がちゃんと話せるようにしますから!!」

 そう言って、小糸は頼もしく胸を張る。ちっちゃい子みたいだと思うが口には出さない。見た目に反して、小糸は頼りになる。 

「なら……有明さん、綾香のことよろしくお願いします」
「うんっ、任せて!!」

 元気に言って、小糸は教室を出ていった。


 綾香と小糸が戻ってきたのは、始業のチャイムが鳴るのと同時だった。
 祐一がその様子を眺めていると、綾香が笑いかけてきた――少しぎこちないけれど、愛想はある。
 それを受けて、祐一も表情を崩す。この様子なら、話しかけても逃げなさそうだ。休み時間になったら、声を掛けてみよう――。



   ♢



 今日は三限目に体育が入っている。その前後の休み時間は着替えと移動でバタつくから、それより前、一限前の五分休みに少し綾香と話したい。

 ホームルームが終わり、祐一は自分の席を立ち、綾香の席へ向かおうとするが……。

「なあ祐一」

 ちょうどそのタイミングで、男友達に呼び止められた。

「数学の課題でわからないところがあるんだけど、教えてくれないか?」

 正直、間の悪い相談だ。
 けれど、数学は一限目。この休み時間に教えなければ、この友人は困ってしまうだろう――自分を頼ってきた友人を見捨てるような真似は祐一にはできなかった。

「ああ、わかった」

 まあ、綾香と話すのは昼休みでもいい。むしろ、長く時間を使える昼休みの方がいいかもしれない、と思考を切り替える。

「で、どの問題だ?」
「これなんだけど……」
「ああ、これか。この問題は……」

 理解しやすいように、一から丁寧に解説していく。
 そうしているうちに、一限目の開始を知らせるチャイムが鳴った。
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